料理研究家小河知惠子(オガワチエコ)・おうちで本格台湾料理『第十八回目・豆花』

好きなトッピングを加えてアレンジ自在。優しい味の王道スイーツ

こんにちは。台北ナビで「おうちで簡単本格台湾料理」を連載している料理研究家の小河知惠子(オガワチエコ)です。
ただいま日本は梅雨真っ只中。一足先に梅雨明けしている台湾がうらやましく感じますね。
日本の梅雨は雨が一日中降り続くことが多いので、この時期はどうしても部屋で過ごす時間が増えます。土日に雨が続くとどこにも出かける気にならず、気分も下がりがち。

そんな時にオススメなのが台湾スイーツ作りです。素材の味を活かした甘さ控えめの台湾デザートを食べれば自然と幸せな気分に。夜市の活気や台湾人の温かさを思い出しながら作れば、お部屋で過ごす時間もあっという間に感じられるでしょう。

かき氷や仙草ゼリーなど魅力的なものが多い台湾スイーツの中でも、今回ご紹介するのは豆花のレシピです。
豆花といえば、観光客だけでなく台湾人も頻繁に食べる代表的なスイーツ。豆乳を柔らかく固めたプリンのようなものに三温糖を溶かしたシロップをかけて、夏は冷たく、冬は温かくして食べます。

台湾リピーターの間でも「旅行中必ず1回は食べる」、「豆花を食べなければ台湾に来た気がしない!」という声が多く聞かれるほど人気のデザートです。

この豆花、トッピングを選ぶのもなかなか楽しいひととき。金時豆や小豆などの豆類や白キクラゲなどの薬膳食材、タピオカなどのモチモチ系(台湾ではこの食感をQQといいます)がいくつもあり、その中から3〜4種類選んでトッピングするのが一般的です。

ちなみに私が好きな組み合わせは、緑豆、ピーナツ、蓮の実、芋圓(タロイモ団子)。ほかにもトッピングはたくさんありますが、全部豆系や薬膳系にするよりも、モチモチ系を1つでも加えた方が美味しいと個人的には思います。

今回は日本でも比較的入手しやすいトッピングを3種選んで豆花と一緒にご紹介します。

まずは材料から

材料 3~4人分

 豆花
無調整豆乳(8%がおすすめ) 500ml
にがり 5g
コーンスターチ 2g

シロップ
水 80ml
三温糖 100g
氷水 400g

トッピング
・ タピオカ
乾燥ブラックタピオカ 40g
三温糖 15g

・ 煮緑豆
緑豆 100g(カルディなどで購入できます)
水 600ml
砂糖 35g 

・ 白玉 
白玉粉 60g
水 60ml

① まずは豆花を作ります。ボウルににがりとコーンスターチを入れます。

② よく混ぜます。

コーンスターチのデンプンが入ることによりクリーミーな口当たりになります。本場では地瓜(サツマイモ)粉を使いますが、日本では入手しにくいので、コーンスターチを使いましょう。

③ そこに豆乳を静かに入れて混ぜます。

泡を立てないことが滑らかに仕上げるコツです。泡が立ってしまったらスプーンですくい取りましょう。

④ 蒸気の上がった蒸し器に入れて強火で10分、弱火で20分蒸します。途中、水が足りなくなったら足してください。

蒸し器の蓋をさらしで包むと豆花に水滴が落ちるのを防ぐことができます。加熱時間は、使う容器や豆乳の温度などによりばらつきがあります。様子を見ながら行ってください。

⑤ 箸を指してみて、豆乳の白い液体が出てこなければうまく固まっています。火を止めて火傷しないように取り出し、人肌程度になるまで冷まします。

⑥ トッピングのゆで緑豆を作ります。さっと洗った緑豆と水を、鍋に入れて沸騰させます。

緑豆とはもやしに使われる緑色の豆のことで、台湾では餡にしたり、ドリンクにしたりもします。小豆よりもさっぱりしていて煮るのにもそれほど時間がかかりません。

⑦ 弱火で40分くらい煮て、緑豆の皮が弾けてきたら砂糖を加え、軽く混ぜてそのまま冷まします。

⑧ 鍋に水を入れて沸騰させ、タピオカを入れて中火にし、40分〜45分くらい茹でます。

⑨ 蓋をして15分蒸らします。

⑩ タピオカを取り出してボウルに入れ、熱いうちに三温糖を加えてよく混ぜ、そのまま冷まします。

冷蔵庫に入れると固くなるので、室温で冷ましてください。

⑥〜⑩は同時進行できればその方が効率良いです。さらに手際が良い方はタピオカと緑豆を茹でている間に白玉作りもできるかも?

⑪ シロップの準備をします。耐熱性密閉容器に水80ml(分量外)と三温糖を入れて600Wのレンジで2分弱加熱し、よく溶かしてそのまま冷ましておきます。

⑫ 白玉を作ります。ボウルに白玉粉と水を入れてよくこね、直径1.5センチくらいに丸めます。

⑬ 沸騰したお湯で茹でます。全部浮いてからさらに30秒茹でて引き上げます。

⑭ 水を張ったボウルに入れて冷まします。

⑮ シロップの仕上げです。氷水に常温くらいまで冷ました⑪を入れてシロップは完成。

⑯ 豆花を大きめのスプーンを使ってすくい、器に入れます。

なるべく薄くそぐようにするのが台湾流。こうするとシロップが絡みやすくなります。

⑰ シロップを適量そそぎます。

トッピングをのせて出来上がり!!

これぞ台湾!という感じの素朴でヘルシーな見た目にテンションが上がりますね。

豆花はなめらかで口溶けが良く、ほのかに大豆の風味を感じます。甘さ控えめのシロップとも良く合い、これだけでも立派なデザートになるでしょう。
そこに食感の良いトッピングを添えることで、柔らかくなめらかな豆花に優しいアクセントが加わります。

全体的に甘さ控えめでとても上品。ボリュームのある食事の後でも、スルッとお腹に入ってしまう所以はこれですね。

トッピングは作り置き可能!日本でも手軽に台湾スイーツを堪能してください

台湾では以前、豆花を食用石膏で固めていましたが、今はにがりを使うことが多いようです。

現地では、ボウルに粉のにがり、水、地瓜粉を入れて混ぜたところに80度〜85度に温めた豆乳をダイナミックに流し、そのまま蓋をして固めるのが一般的。ですが、温度管理が難しいので、蒸すやり方で失敗なく作れるようにしてみました。
今回のレシピ、トッピングの用意に少々時間がかかりますが、一度作ってしまえば、タピオカ以外は冷凍可能です。特に緑豆は多めにできるのでぜひ冷凍してみてください。シロップも冷凍できるので、それぞれ解凍すれば、豆花を用意するだけですぐに食べられます。

もちろんトッピングを1種類だけ作るのでも全く問題ありませんよ。
そしてもっと簡単なのが、市販の豆類を利用すること。缶詰のゆで小豆やパックの金時豆などはどこのスーパーにもあるので便利です。美味しい豆花ですぐに気分を上げたいときには、こういったトッピングが活躍するでしょう。

台湾には通常の豆花のほかにも、黒豆を使った黒豆花や、卵を使った丁香豆花などがあります。それらを食べるのも楽しいのですが、やっぱりオーソドックスなものが一番おいしいように感じます。

次回もシンプルながらも長く愛されている台湾料理をご紹介します。お楽しみに!

料理と文章:小河知惠子(オガワチエコ)

料理研究家・台湾料理研究家。

雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。

小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
https://twitter.com/ogawachieco

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2019-06-21

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