カツオの風味が香る日本人も食べやすいローカルフード
こんにちは、台北ナビで「おうちで本格台湾料理」を連載中の料理研究家、小河知惠子(オガワチエコ)です。 現在、2度目の台湾料理留学中。現地の料理スクールに通いながら、毎食台湾のローカル料理を堪能しています。
今回は2週間と短い滞在ですが、その中でももうすでに5回は食べたのが『大腸麵線』。素麺のような細い麺を、ダシの利いたとろみのあるスープで煮込んだものです。 カツオの風味が日本人好みなので、日本でも専門店ができ始めましたね。
今回もそうですが、台湾滞在中、毎回何度も行くのが「雙連朝市」。 そして、必ず立ち寄るのが、「天祥蚵仔麵線」というお店です。 朝市通りの終盤、蓮根茶と冬瓜茶のお店の隣にあり、ガイドブック等に載ることはないのですが、とても美味しく、上品なカツオの風味に癒されます。
メニューは牡蠣や豚モツが入っている綜合麵線(総合麺線)と何も入っていない清麵線の2種類。 サイズは大と小があり、私は大好物なので朝からいつも大碗を食べています。
さて、台湾で麺線と呼ばれるものには2種類あります。ひとつは素麺のような白い麺線。もうひとつは紅麺線という茶⾊い麺線。 この「大腸麵線」という料理には、煮込んでもグズグズにならない紅麺線を使うのが一般的なのですが、これは日本では手に入りません。
ほかに良い⽅法はないかと考え、紅麺線と同じく火を通してある⽫うどんの麺で代⽤することにしました。風味や食感は少し異なりますが、少し煮込むくらいではのびた感じになりません。
それではさっそく、日本の家庭でも作れる「大腸麵線」の作り方をご紹介しましょう!
まずは材料(作りやすい分量)
・豚ホルモンの醤油煮の材料豚ホルモン(下処理済みの茹でてあるもの)……300g
米焼酎……1/2カップ
水……1/2カップ
醤油……大さじ2
砂糖……小さじ2
・麺線の材料水……6カップ
鶏がらスープ……大さじ1
砂糖……大さじ1/2
醤油……小さじ1/2
塩……⼩さじ1/2弱
茹でたけのこ……70g
鰹節……7g
フライドオニオン……大さじ2
皿うどんの麵……100g
黒胡椒……少々
粉胡椒……少々
甘草粉……あれば少々
片栗粉……大さじ3弱
水……60ml
・醤油ダレの材料醤油……大さじ1
水……大さじ1.5
砂糖……小さじ1
ゴマ油……小さじ1/2
沙茶醤(サーチャージャン)……小さじ1/2
ウスターソース……小さじ1/2
水溶き片栗粉……少々
にんにくのすりおろし……小さじ1
・辛いタレの材料水……大さじ1強
一味唐辛子……小さじ2
サラダ油……小さじ1
ゴマ油……小さじ1/2
香草……適量
大腸麵線の作り方
① 豚ホルモンを洗い、まず米焼酎だけ入れて煮ます。こうすることで臭みが消えます。
②アルコールが飛んで臭みが消えたら、水、醤油、砂糖を加えて煮て、味をつけます。
⑤醤油ダレを作ります。まず、小さめの耐熱性密閉容器などに醤油とサーチャージャンを入れます。
沙茶醤は輸入食材を扱っているお店で手に入ります。エビ風味の調味料で、台湾人に好まれる味です。
⑥次に、にんにくと⽔溶き⽚栗粉以外の材料を⼊れて、蓋をして、レンジで 軽く沸騰させます。すぐに水溶き片栗粉を入れて手早くかき混ぜ、とろみをつけます。
本来ならば、醬油膏(ジャンヨウガオ)というとろみのついた醤油を使うのですが、やはり日本では手に入らないので、お醤油にお砂糖少しと水、片栗粉を入れてとろみをつけ、代用します。
⑦粗熱が取れたらにんにくを加えて、醤油ダレの出来上がりです。ここでちょっと鼻を近づけてみてください。すでにしっかりと台湾の香りがしますよね!
⑧辛いタレを作ります。材料をすべて混ぜ合わせれば完成。
⑨大きめの鍋に、お湯と③のたけのこを入れて沸騰させます。
⑩沸騰したらフライドオニオンと鰹節を加えます。台湾では揚げたエシャロットを入れますが、日本では入手しにくいので、フライドオニオンで代用します。フライドオニオンは大型スーパーや輸入食材が多いスーパーで購入可能。揚げた桜エビを入れても香りが良くて美味しいです。
鰹節は出汁をとるという感じではなく、このまま煮込んでいただきます。鰹節をこんな風に使う料理って、日本ではなかなかないですよね。
⑪皿うどんの麵を、手で細かく崩しながら入れていき、3分煮込みます。
⑫鶏がらスープの素、砂糖、醤油、黒胡椒と白胡椒、あれば甘草粉を入れて混ぜます。
⑬片栗粉と水を混ぜて水溶き片栗粉を作り、火を止めて少しずつ加えていきます。
⑭再度加熱し、混ぜてとろみがついたら完成。台湾ではここで老抽という色付け用のしょっぱくないお醤油を入れます。成分の一部はカラメルでできているので、黒くしたい人は少しカラメルを入れても良いかもしれません。
大腸麵線のできあがり!
⑮お碗に装い、豚ホルモンの醤油煮をのせ、香草を添えて完成。食べるときにお好みでタレをかけてください。
麺線を食べる時は、お箸を使わずレンゲで食べるのがマストスタイルです。ですから、皿うどんを鍋に入れるときは、手で細かくバリバリと割ってしまったほうが食べやすく仕上がります。
上品なカツオの香りが漂い、とろとろのスープはダシがしっかり利いています。弾力のあるモツの食感も良く、噛むほどに旨みがしみ出てきます。コクのある醤油ダレと、ピリッと刺激のある辛いタレとで、好みの加減を楽しめます。
牡蠣を加えて、「蚵仔麵線」も作ってみました!
牡蠣は洗って水分をよく切ります。
日本の牡蠣は大きいので、小さく切るようにしましょう。
片栗粉をまぶして、沸騰したお湯で茹で、周りが透明になったら引き上げます。
ぬるま湯に入れてしばらくすると、さらに周りが透明になり、つやつやしてきます。 それを麺線にのせます。
モツとはまたひと味違う、牡蠣のプリッとした食感と、濃厚な旨みが楽しめますよ。大腸(豚ホルモンの醤油煮)も合わせて、綜合麵線にしてもいいですね。
台湾は今、日本より一足早い梅雨の時期。今年は空梅雨なのか、例年に比べて雨は少ないようですが、スッキリしない天気が続いています。でも毎日、こんなに美味しい料理を食べられるので、私の気分は晴れやか。
日本もこれから梅雨に入りますが、お家で台湾の味を再現しながら、皆さんも明るい気分でお過ごしくださいね。
次回もお楽しみに!
(撮影:富田梨香)
料理と文:小河知惠子(オガワチエコ)
料理研究家・台湾料理研究家。
雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。
小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
https://twitter.com/ogawachieco
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2018-05-31