料理研究家小河知惠子(オガワチエコ)・おうちで本格台湾料理『第九回目・清燉牛肉麺』

モリモリ食べられてあっさり!台湾のお店に負けないおいしさです

こんにちは、台北ナビで「おうちで本格台湾料理」を連載中の料理研究家、小河知惠子(オガワチエコ)
です。

9月に入り、日本ではほんの少し暑さが和らいできましたね。減退していた食欲も回復してくるころでしょう。そんな時期に私が食べたくなる台湾料理が、「清燉牛肉麺」です。

牛肉麺といえば、誰もが初めての台湾旅行で食べるくらい代表的な料理です。多くの店では、醤油ベースでちょっと辛めの紅焼牛肉麺(ホンサオニュウロウメン)と、この清燉牛肉麺(チンドゥンニュウロウメン)があると思います。牛肉麺というと紅焼牛肉麺のほうを思いつく人の方が多いかもしれません。

清燉牛肉麺は、紅焼牛肉麺に比べてスープの色が透明に近く、唐辛子の辛味はなく、野菜の旨味が感じられるさっぱりとした味です。作り方も、紅焼牛肉麺よりもいくらか簡単。まだ暑さの残るこの時期にはぴったりだと思います。

担仔麺のように小さいお碗で食べるのではなく、これだけでお腹いっぱいになるような、大きいどんぶりで豪快に食べるのが牛肉麺の醍醐味。
食欲も回復してきたこの時期に、カロリーなど気にせず、がっつりと頂いちゃいましょう。

まずは材料(2人分)

【スープと牛肉】

牛スネ(カレー用の肉でも)……200g
牛スジ……200g
豚スペアリブ……200g
水……1.2リットル以上
@玉ねぎ……1/4
@キャベツ……70g
@セロリ……15g
@パクチーの根……1株分
◆八角……1つ
◆粒の花椒……小さじ1
◆クミンシード……小さじ1/2
◆シナモン……1本
◆ローリエ……1/2枚
塩……小さじ1~1.5(少し濃い目が良ければ小さじ1.5)
米焼酎……大さじ1.5
砂糖……小さじ1/2
鶏ガラスープの素……小さじ1/2
五香粉……小さじ1/8
九条ネギ……1本
生姜スライス 2枚
大根、人参……お好みの量

【麺】

中力粉……200g
塩……小さじ1/4
水……100ml
片栗粉……適量

【トッピング】

チンゲン菜……100g
ザーサイ……40g
野沢菜漬け……30g
万能ネギの小口切り……大さじ2
乾燥唐辛子輪切り……小さじ1/2
パクチー……1株
お酢……小さじ1弱

清燉牛肉麺の作り方

① まずは麺を作ります。ボウルに中力粉と塩をふるい入れ、少しずつ水を加えて手で混ぜ、ひとまとまりにします。乾かないようにビニール袋に入れ、冷蔵庫で20分ほど寝かせます。

最初は水分が少ないように感じますが、こねているうちにまとまってきます。

② その後、台に片栗粉の打ち粉をして、めん棒を使って、生地を長方形になるように伸ばします。上下を少し折りこんで、包丁で6ミリ幅くらいに切ります。

長方形にするのは、麺の長さを一定にするため。

実はここ、結構な力仕事です。時間のない方、より手軽に楽しみたい方は、市販のうどんでコシと塩分の少ないものを使うといいと思います。中華麺やラーメンはNG。

③ 切った麺を並べて、端と端を手で持ち、台に打ち付けるようにして軽く伸ばします。乾かないように再度ビニール袋に入れて、使うまで冷蔵庫で保存します。

④ スープを作ります。湯を沸騰させてから牛スジと豚スペアリブを入れて茹でこぼし、臭みをとります。

本来ならば、牛骨と豚骨を使うのですが、日本のスーパーでは入手しにくいので、ここでは豚スペアリブと牛スジを使います。

牛だけで作るよりも、豚や鶏ガラを入れたほうが複雑な旨みが加わります。 鶏ガラを使うと、豚よりもさっぱりした仕上がりに。お好みでお試しください。

牛スジはスープを取るだけでなく、具としても食べられますよ!

⑤ 鍋に茹でこぼした牛スジとスペアリブ、水、牛スネ、@の野菜を入れて煮込みます。最初強火で沸騰させ、その後中火にしてアクを取りながらトータル30分くらい煮たら蓋をします。アクは取りすぎないほうがいいので、最初だけで大丈夫です。

圧力鍋を使えばお肉が早く柔らかくなるのですが、蓋が閉めっぱなしになるのでスープが濁りやすく、肉に味がしみ込みにくいので、普通の鍋を使って時間をかけるほうが美味しくできます。

⑥ その後10分くらいで、スペアリブ以外の野菜と牛スネ、牛スジは取り出します。

⑦ 牛スネ、牛スジ肉は大きめの一口大に切ります。

熱いので、キッチンばさみを使うと楽チンです。

⑧ スペアリブが入っているスープ鍋に、⑦の牛スジ、牛スネを戻し入れます。


⑨ ◆のスパイスをお茶パックに入れて、鍋の中に入れます。


⑩ ネギと生姜、塩、焼酎、砂糖、鶏ガラスープの素、五香粉、を入れて弱火~中火で煮込みます。

ネギは九条ネギが台湾のネギに近いです。通常のネギを使う場合は、1/6本程度が良いでしょう。

⑪ 人参、大根の皮をむき、大きめの乱切りにしてスープに入れ、少し蓋をあけて煮込みます。

大根と人参は30分くらいで柔らかくなり、それ以上だと煮崩れてしまうので、このタイミングで入れます。が、なければ入れなくても構いません。

蓋を閉めたままだとスープが白濁するので、少し蓋を開けましょう。


⑫ トッピングを作ります。輪切り唐辛子にお湯を少量かけ、ふやかしておきます。パクチーは5mm幅くらいに切ります。ザーサイは細切りに、野沢菜は小口切りにします。

パクチーは最後に薬味として入れるので、次の工程で炒めてしまわないように気をつけてくださいね。

⑬ フライパンに油を入れて、ザーサイと野沢菜、輪切り唐辛子を炒め合わせます。炒めたら火を止め、お酢を回しかけて酸味を加え、付け合わせを作ります。

台湾では酸菜というお漬物を使うのですが、日本では入手が難しいので、味わいの似たザーサイと野沢菜漬けで代用しています。

⑭ スープが完成したら、チンゲン菜を茹でて食べやすい大きさに切り、麺を茹でます。

麺はすぐに茹で上がるので素早くおこないましょう。

⑮ 器に麺を入れて、牛肉と大根、人参をのせます。

⑯ スープをかけ、青梗菜と14の酸菜もどきをのせ、パクチーと万能ネギをかけて出来上がりです。

清燉牛肉麺のできあがり!

とにかく、麺がすぐにスープを吸ってしまうので、お早めに召し上がってください。

食べると若干塩気が少なく感じるかもしれませんが、それで正解。 台湾料理は、日本料理よりもずっと薄味なので、これが本場の味です。

しかしながら、ラーメンなどを食べ慣れた日本人であれば、もう少し塩分濃度を高くしたくなるかもしれません。その場合は少し塩を加えてみてくださいね。
牛肉は柔らかくホロホロと崩れ、味もよくしみ込んでいます。スープにはスパイスの香りと野菜の甘みが溶け出し、クセになる味わい。付け合わせのザーサイと野沢菜が、酸味と辛味を添え、良いアクセントとなっています。
麺を入れず、スープの量を減らしてとろみをつけると、夕食の一品のようなおかずにもなりますよ。 ボリューム感がありますが、あっさりしているのでペロッと食べてしまうのではないでしょうか。
台湾人の多くには、ご贔屓にしている牛肉麺屋さんがあります。私もいくつかよく行くお店がありますが、これからもっとご贔屓と呼べるようなところを探していきたいところ。

とは言いつつ、自分で作った牛肉麺もかなり美味しいので、開拓はもう少し先になりそうです。

次回も、台湾のお店に負けないくらいのお料理を紹介しますので、どうぞお楽しみに!

料理と文:小河知惠子(オガワチエコ)

料理研究家・台湾料理研究家。

雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。

小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
https://twitter.com/ogawachieco

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2018-09-20

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