日常的にもお祝い事にも食べられるお米の食感が楽しい素朴料理
こんにちは。台北ナビで、「おうちで本格台湾料理」の連載をしている料理研究家の小河知惠子(オガワチエコ)です。 3月に入り、日本は暖かい日が増えて来ましたね。 台湾では、日本の5月くらいの気候で汗ばむ時もある、というところでしょうか。私が先月訪台した際は、半袖でもいいほどの日が何日かありました。2月だというのに!
このくらいの陽気になると、外でご飯を食べるのが美味しくなって来ますよね。 私が台湾で外ご飯をする時によく選ぶ料理が、「油飯」(ヨウファン)です。 台湾式のおこわのようなもので、油飯と書きつつも、油っぽくはなく、日本のそれよりもさらっと軽いのが特徴。乾物の風味がきいた素朴な味わいが魅力です。
この油飯、私は台北市立動物園や猫空に行く前に購入して、お昼にベンチなどで食べるのが定番。持っていくにもそれほどかさばらず、こぼしたりせずに食べられるのがポイントです。
イベントにも使われる油飯
台湾で日常的によく食べられている油飯ですが、赤ちゃんが生まれて1ヶ月経った時のお祝い「禰月」にも使われます。生まれた赤ちゃんが男の子だった時、油飯に、紅く染められた2つの卵と調理された骨つきの鶏もも肉を添えて、親戚やお世話になった人たちに配るんですね。台湾版のお赤飯、ともいうべきでしょうか?
そのほかにも、選挙の時に候補者が有権者に振る舞うこともあるそう。朝ごはんとして食べる人が多いということも、台湾人の友人が教えてくれました。 さて、そんな油飯、日本の食材でも美味しく作れますので、早速ご紹介していきましょう。
まずは材料
もち米 1合
うるち米 1合
ゴマ油 大さじ2
玉ネギ 1/4個
スルメ 15g
干しエビ 15g
干し椎茸 4つ
豚細切れ肉(脂身が多くないもの) 50g
醤油 大さじ2
水 120ml
作り方
① スルメは軟骨を取り除いて、3センチ程度の短冊切りにします。
③ 干し椎茸も水で戻し、軸をとって薄切りにします。
④ もち米は洗って1時間くらい、米は洗って30分くらい水につけます。
⑤ ④をザルにあげて水気を切り、炊飯器に入れます。
⑥ 水を340ml(分量外)入れ、普通に炊飯します。 台湾では炊くよりも蒸すのが主流ですが、作りやすいように今回は炊くレシピになっています。
⑦ 玉ネギは粗いみじん切りにします。 台湾ではエシャロットを使いますが、日本では入手しにくいので、いつものように玉ネギで代用しています。
⑩ フライパンにゴマ油を入れて火をつけ、玉ネギが透き通るまで強火で炒めます。
⑮ 汁気が少なくなるまで炒めます。 ここまでずっと強火なので、あっという間です。
⑯ 炊き上がったごはんの釜に入れて、よく混ぜて出来上がり。
いかがですか? 見た目からも、干し椎茸やスルメ、干しエビの良い香りが伝わってきますよね。
食べてみると、調味料が醤油だけとは思えない奥深い味わい。乾物から出ただしをお米がまとっているので、口の中にその風味がパアッと広がります。
お米もモチモチしすぎていないので、軽くていくらでも食べられてしまいそう。
この食感を出すために、今回はもち米とうるち米を半分ずつにして炊きました。
でも、本場台湾では少し違うので、ここで台湾のもち米について説明しますね。
日本のもち米と台湾のもち米との違い
台湾のもち米は、基本的に2種類あります。 ひとつは、湯圓(白玉)や年糕(旧正月に食べるお餅)等の甘いものに使われる丸いもち米。これは圓糯米といい、日本のもち米とほとんど同じで粘りが強いのが特徴です。
もうひとつは、タイ米のように長細いタイプのもち米。丸いもち米よりも粘りが少なく、サラッとしながらもモチモチ感が楽しめます。こちらは長糯米と呼ばれ、お米料理などのしょっぱいものに主に使われます。
日本の食材で長糯米の食感を出すには
なので、油飯やちまきは、この長いタイプのもち米を使うのが現地のスタイル。 でも日本ではなかかなか手に入らないので、上記のように、もち米とうるち米を混ぜ、長糯米のような食感を出してみました。こうすれば、本場台湾の油飯とほとんど同じ感覚でいただけると思います。
そんな油飯、私がよく購入するのは林合發油飯店(林合發粿店)。朝早くに売り切れてしまうことが多い有名店です。 迪化街の中にある永楽市場の一階に位置しており、観光時のアクセスも良いので、訪れたことがある方も多いのではないでしょうか?
少し遠出する際のお弁当のほかにも、私は、帰国する日の朝にもこのお店に立ち寄ることがあります。 帰りの飛行機の時間が14時から16時くらいの時、朝食後すぐにここで油飯のお弁当を購入。そのまま、迪化街で乾物のお土産をいくつか買って、空港に着いてから買った油飯を昼食にします。重い食事ではないので、夕方の機内食に響く事もありません。 何よりも美味しいので、台湾旅行を締めくくる最後の一食にぴったりなんです。
そして帰ってからもその味わいを思い出し、すぐに油飯を作ります。保存ができる食材ばかりなので、買い出しいらずでサッと作ることができるのがさらに嬉しいですね。
次回もそんな台湾の余韻に浸れるようなお料理を紹介します。お楽しみに!
料理と文章:小河知惠子(オガワチエコ)
料理研究家・台湾料理研究家。
雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。
小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
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記事登録日:2019-03-20