朝食や夜食にピッタリ。肌寒い日が続く春に食べたくなる優しい味です
こんにちは。台北ナビで「おうちで本格台湾料理」を連載している料理研究家の小河知惠子(オガワチエコ)です。
4月に入り、台湾は30度を超える真夏日もちらほらある頃でしょう。一方日本は、暖かい日もありますが、朝晩はまだまだ冷え込み、寒い日は寒い、という感じですよね。そんな肌寒い日に私が食べたくなる料理が、「餛飩湯」(フントゥンタン)です。
「餛飩」ってなに?
さて、今回ご紹介する「餛飩」とはなにかご存知ですか?日本語の「饂飩(うどん)」と漢字が似ていますが、実は日本語ではいわゆる「ワンタン」になります。日本でよく食べられるのが香港風のワンタンということもあり、「雲吞」と書かれているのもよく見かけます。元々は中国の料理ですが、台湾でもよく食べられており、街中でもチェーン店をよく見かけます。ちなみにワンタンの台湾語は「扁食」といい、花蓮のワンタン屋さんはこれを使っているところが多いです。
ちなみに「湯」はスープを表す中国語なので、「餛飩湯」は、「ワンタンスープ」という事になりますね。「日本でも食べられるからいいや!」と思って旅の食事から外してしまう方もいるかもしれませんが、実際はだいぶ違うんです。
日本で一般的に食べられているのは、鶏ガラ醤油ベースのスープにワンタンが浮かんだもの。それに対して台湾のものは、豚のスープに干しエビが香るのが特徴。台湾のワンタンは日本のワンタンよりも大きく、豚肉だけでなく、エビや野菜が入ることもあります。
台湾のワンタン皮
今回は、豚肉ワンタンと、エビ入りワンタンの2種類を作ります。でも、台湾のワンタン皮は日本のワンタン皮よりもずっと大きく、男性の手の平くらいはあります。豚肉だけのワンタンであれば、小ぶりにはなりますが、日本のワンタン皮でも作れるでしょう。ですが、エビ入りとなると少々心もとない。
というわけで、今回はエビ入りワンタンの皮に、少し工夫をしてみました。
それではレシピを紹介していきましょう。
材料 2-3人分
[ワンタン]
ワンタンの皮(豚肉ワンタン用) 50g
餃子の皮(エビ入りワンタン用) 50g
豚ひき肉 120g
卵 2/3個
☆片栗粉 小さじ1
☆醤油 小さじ1
☆ごま油 小さじ1/3
☆塩 ふたつまみ
☆鶏ガラスープの素 少々
☆白胡椒 少々
むきエビ 120g
[スープ]
スペアリブ 200g
水 1リットル
サラダ油 大さじ1
干しエビ 大さじ1.5
鶏ガラスープの素 小さじ1弱
塩 小さじ2/3
醤油 小さじ1
青菜(チンゲンサイやロメインレタス) 適量
[トッピング]
海苔 1/2枚
セロリの一番細い部分 15センチ程度
作り方
1: 鍋に水とスペアリブを入れて加熱します。沸騰したら弱火にしてコトコト1時間弱煮込みましょう。その間にトッピングの用意やワンタンづくりをします。
3: セロリをみじん切りにします。現地では台湾セロリという細いセロリを使いますが、日本では入手できないので、セロリの葉の下の一番細い部分を使います。
5: 海苔は短冊切りにします。湿気ないようにラップをかけておきましょう。海苔は必ずハサミで切ってください。手でちぎるとスープの中で溶けてしまいます。
8: そこに2の溶き卵の2/3を入れます。残りはこの後作るワンタンスープに入れても構いません。
9: 白っぽくなるまでよく混ぜます。とにかくよく混ぜて空気を含ませることが美味しく作るコツ。
10: 餃子の皮を麺棒で伸ばします。エビ入り用は餃子の皮を伸ばして作ります。1.5倍くらいの大きさになるまで伸ばし、乾かないように濡れ布巾をかぶせておいて下さい。
11: 周りに水をつけてエビと肉あんを中心に置きます。
13: その後、左側の皮の一番下部分を上に持っていき、余った部分を閉じてくっつけます。右も同じように。
14: 豚肉ワンタンの方は通常のワンタンの皮を使います。周りを水でぬらし、先が細めのスプーンで、中心に肉あんをのせます。
15: そのまま逆さにして、キュッとふちを閉じます。
16: スプーンを抜き取り、ふちをしっかりくっつけます。
17: 皮の枚数分繰り返します。この間、できたワンタンが乾燥しないように濡れ布巾をかぶせておきます。
19: 1のスープ、4カップ分を加えて沸騰させ、中火で5分加熱します。干しエビの出汁を取るような感覚です。
20: 鶏ガラスープの素と塩、醤油を入れて3分加熱します。
21: ここでチンゲン菜やロメインレタスなどの青菜を入れます。チンゲンサイの場合は少々煮込み、ロメインレタスの場合は火を止めてから入れてください。
これでスープは出来上がりです。
22: たっぷりのお湯を沸騰させ、ワンタンを入れ、中火にします。
23: ワンタンが浮き上がってきたら、すくってどんぶりに入れます。
24: スープを温めて注ぎ、セロリのみじん切りと海苔を散らして出来上がり。
薄い色のスープに、鮮やかな青菜と乳白色のワンタンが浮かび、とってもきれい。レンゲですくって食べると、肉の旨味がしっかりと感じられ、後から干しエビの香りが口の中に広がります。エビ入りのワンタンにはプリッとした食感も加わり、ツルッとした皮とのコントラストが楽しめます。
ボリュームがありそうに見えますが、スープが薄味でさっぱりしているので、あっという間に食べきってしまうでしょう。ものたりない時は、ここに細めの麺を入れれば、しっかりとした食事にもなります。
台湾のワンタン皮を再現
今回、エビ入りワンタンには、通常サイズの餃子の皮を1.5倍に伸ばして使用しました。1.5倍くらいだったら大判餃子の皮を使えばいいじゃないか、と思うかもしれませんが、それだと水餃子になってしまいます。ワンタンの皮のように、薄く薄く伸ばすのがポイントなので、必ず通常サイズの皮を使ってださいね。これで、台湾の大きいワンタンの皮に近づけることができます。
2種類をいっぺんに作った今回ですが、もちろん1種類だけでもかまいません。その場合、作る方の皮を2倍にしてください。エビ入りだけを作るときはエビも2倍です。ひき肉の量は変えなくて大丈夫。時間をかけず手軽に作るなら、皮を伸ばす必要がない豚肉ワンタンだけを作るのが良いでしょう。
ワンタンはたくさん作って冷凍することもできます。その場合は、凍ったまま沸騰したお湯に入れて、弱火にして中まで火を通してください。水餃子よりも火が通るのがずっと早く、すぐに食べられるので、我が家の冷凍庫には、常にワンタンが入っています。そして朝食やお酒を飲んだ後のシメなどにも活躍中。柔らかいので幼児やお年寄りにもオススメですよ。
次回も台湾で親しまれている食べやすい料理をご紹介します!お楽しみに。
料理と文章:小河知惠子(オガワチエコ)
料理研究家・台湾料理研究家。
雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。
小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
https://twitter.com/ogawachieco
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2019-04-19