夏にピッタリのさっぱり料理
こんにちは。台北ナビで「おうちで本格台湾料理」の連載をしている台湾料理研究家の小河知惠子(オガワチエコ)です。
あっという間に梅雨が明け、台湾に負けないぐらい暑い日が続いていますね。今年の夏は、長くなりそうな予感がします。
暑い日、私が食べたくなる台湾料理が『雞肉飯(ジーローファン)』です。以前ご紹介した滷(魯)肉飯(ルウロウハン)と同じように、台湾発祥のごはんとして知られています。
滷肉飯は、豚肉を味の付いたスープで煮込んだものをご飯にかけますが、雞肉飯は茹でた鶏肉をご飯にのせて食べるさっぱりした料理。ですから、暑い日でも抵抗なく食べられるんですね。
台湾の雞肉飯事情
滷肉飯はたくさんの食堂に置かれていますが、雞肉飯はどこにでもあるわけではなく、お店が限られています。滷肉飯と雞肉飯を両方置いてある店も意外と少ない。
私が台湾でよく食べるのは、寧夏夜市の方家雞肉飯と、松江南京の梁記嘉義雞肉飯の2店。
特に、梁記嘉義雞肉飯は通っていた料理学校から近いこともあり、しょっちゅうお弁当を買っていました。また、日本から来た親戚や友人を連れて行くこともあり、これもまた喜んでもらえます。
ちなみにここは、雞肉飯だけでなく、キャベツ炒めや白ゴーヤのスープなど、おかずや汁物も抜群においしく、1歳の息子もお気に入り。特に豆干(干し豆腐)の煮物が大好きで、パクパクよく食べていました。
雞肉飯は嘉義発祥の料理で、実は鶏肉ではなく火鶏(ホーチー)を使っています。火鶏というのは七面鳥のこと。鶏肉だと思って食べていた雞肉飯は、実はけっこうな確率で七面鳥だったんですね。
鶏肉を使っているお店もありますが、七面鳥のほうが身の部分が多く、お店をやるうえでは効率的なんだそうです。家庭で少量作る場合は、鶏肉のほうがいいですね。
それでは、作り方をご紹介しましょう!
まずは材料(作りやすい分量)
鶏胸肉……1枚(300g程度)
鶏を煮たスープ……150ml
薄口醤油……大さじ3
砂糖……大さじ1
塩……小さじ1
ごはん……適量
鶏皮……150g
ネギ(青い部分を入れて)……15センチ
たくあん……適量
②ネギを大きめの小口切りにします。台湾ではエシャロットを使うのが通常ですが、日本では入手しにくいので、香りの出やすいネギで代用しています。
③鍋に鶏がかぶるくらいの水を入れ、沸騰させます。冷蔵庫から出したばかりの冷たい鶏胸肉を入れて、すぐに弱火にして10分間茹でます。こうすることで低温で茹でられ、肉がパサパサせず、しっとり仕上がります。
⑤10分経ったらすぐに取り出し、そのまま粗熱をとってください。ずっと入れておくとパサパサしてしまいます。茹でたスープは後で使うので捨てないようにしてくださいね。
⑥ フライパンに、鶏皮を入れてしっかり油が出るまで10分以上炒めます。鶏皮が黄金色になったら取り出します。鶏皮が手に入らない場合もあるので、そのときの方法は後程ご紹介します。
⑦ ⑥のフライパンに、②のネギを入れて炒めます。香りが出て、黄金色になったら取り出して、オイルの完成。
⑧ 鶏肉の粗熱が取れたら、食べやすく裂いておきます。たくさんできるので、余ったらサラダに入れたり、棒棒鶏にしてもいいですね。
⑨ 小鍋に鶏を煮たスープと、砂糖、塩、薄口醤油を入れて加熱し、タレを作ります。あまり黒くしたくないので、ここでは薄口醤油を使いましょう。
⑨ ごはんをよそい、⑧の鶏肉をのせ、⑨のタレを大さじ1くらい、⑦のオイルを小さじ1くらいかけます。
⑩ 適当な大きさに切ったたくあんを添えて出来上がり。
見るからにあっさり。
でも、食べると味はしっかりしています。鶏皮を炒めて作った鶏油には、まろやかさがあり、そこに香ばしいネギの風味も加わり、豊かな味わい。鶏肉もしっとりとしていて弾力があり、噛むほどに旨みがしみ出してきます。
さっぱりしていて暑い日でも食べやすいのが雞肉飯の良いところ。
ですが、もう少しボリュームが欲しい方は是非、半熟の目玉焼きをのせて、醤油をひとたらししてみてください。
相性ぴったりの組み合わせに、きっと満足するはずです。
この時の目玉焼きは、両面焼きだとより台湾らしくなりますよ。
鶏皮が入手できない時の裏ワザ
今回は近所のスーパーで購入した鶏皮を使いましたが、置いていないところもたくさんあると思います。
というわけで、鶏皮が手に入らなかった時の裏ワザもご紹介します。
① フライパンにサラダ油を大さじ4入れて、前の工程の①で鶏肉から取った皮を入れて炒めます。
② そこに同じようにネギを入れて炒めれば、同様のオイルができあがります。
鶏皮そのものを使って作ったオイルよりも、仕上がりの色はやや薄くなります。味にさほど差はありませんが、前者がまろやかなのに対して、さっぱりといった印象です。好みによって使い分けてもいいかもしれません。
日本でも、これからまだまだ暑い日が続きますが、楽しい夏休みの季節でもあります。
今の時期に台湾へ行く方は、小まめな水分補給や休憩を忘れずに。
カラダを冷やしてくれる緑豆沙(緑豆ミルク)や仙草ゼリーなどを食べて、少しでも暑さをしのいでくださいね。
次回もまた、夏に負けないパワフルな台湾料理をお届けします!
料理と文:小河知惠子(オガワチエコ)
料理研究家・台湾料理研究家。
雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」 (泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)等。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 1歳男児の母。
小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2018-07-31