食べて、歌って、作って……気軽に楽しみながら台湾原住民文化が体験できる夏の野外フェスでした♡
こんにちは、台北ナビです。
ビタミンカラーが元気になれる台湾原住民グッズや大地の恵みたっぷりの台湾原住民料理、美しいハーモニーが鳴り響く台湾原住民音楽。これらに共通するキーワードは……そう、台湾原住民!
気になる台湾原住民の暮らしが身近に体験できるフェス、
「2024縱谷原遊會-部落食樂園(縦谷原遊会-部落食楽園/ East Rift Valley Festival)」へ行ってきました!
▼動画でクイックチェック「2024縱谷原遊會-部落食樂園https://www.instagram.com/stories/highlights/17981161991597968/
台湾原住民って?
台湾に暮らす多くは中国大陸からやってきた先祖を持ちますが、彼らがやってくる17世紀以前から台湾の地に暮らしてきた人々がいます。それが台湾原住民と呼ばれる少数民族です。
ブヌン族の子どもたち
台湾政府が認定している16の民族
――阿美族 (アミ族)・排湾族 (パイワン族)・泰雅族 (タイヤル族)・布農族 (ブヌン族)・卑南族 (プユマ族)・魯凱族 (ルカイ族)・鄒族 (ツォウ族)・賽夏族 (サイシャット族)・達悟族 (タオ族)・邵族 (サオ族)・噶瑪蘭族 (カバラン族)・太魯閣族 (タロコ族)・撒奇莱雅族 (サキザヤ族)・賽徳克族 (セデック族)・卡那卡那富族 (カナカナブ族)・拉阿魯哇族 (サアロア族)――
は現代文明の中で、それぞれの民族に伝わる独自の文化や風習を大切に守りながら暮らしています。
日本では、古くから土地に根付き暮らしている少数民族を「先住民」と呼びますが、台湾では「大もと、起こり」を意味する「原」の字を使った呼称「原住民」が一般的です。台北ナビでは彼らに敬意を表し、現地と同じ「原住民」表記で解説しています。
「2024縱谷原遊會-部落食樂園」とは?
そんな台湾原住民の文化や伝統に触れることができるのが、「2024縱谷原遊會-部落食樂園」です。
▼「2024縱谷原遊會-部落食樂園」公式サイトhttps://www.jacreative.com.tw/hdt/ervtour/index.html
今年で4回目を迎えるこのイベントは、台湾交通部觀光署花東縱谷國家風景區管理處(台湾観光庁縦管処)の主催で8月24、25日の両日に渡り盛大に繰り広げられました。
今年のテーマは「癒し」。花蓮の花東縱谷國家風景區(羅山管理站遊客中心)に作られた自然豊かな会場には、「MUMU廚房」「美學家屋」「山野獵場」「限定野宴」「選品市集」「山谷舞台」の6つエリアが設けられ、異なる部落(集落)のさまざまな文化や芸術、伝統などが体験できる仕掛けになっています。
それでは、さっそくナビと一緒に台湾原住民ワールドへとでかけましょう。
「MUMU廚房」で大自然の恵みDIY
食べるだけじゃない!台湾原住民の食を実際に作って体験しちゃいましょう!
タロコ族のお祝いに食べられるバナナの葉で包んだご飯Hlama Blbul。Sirawは生の豚肉を漬け込んだアミ族の特製ハム。ほかにもメニューはた~くさん、普通では体験できない台湾原住民料理の調理体験ができるコーナーです。
ナビが参加したのは2つ。まずはアミ族のina(アミ語でママの意)が教えてくれる酒釀 (チューニャン)作りに挑戦です。酒釀は簡単に説明すると、お米(主にもち米)を米麹で発酵(糖化)させた発酵食品で、天然の甘味料でもあります。
予め蒸して冷やしたもち米ご飯に混ぜるのは、乾燥させて粉末状にした蓮霧葉 (レンブの葉)、艾草 (ヨモギ)や九層塔 (バジル)、七里香 (シチリコウ)、刺葱 (カラスザンショウ)など。
大変な準備は全てinaがしてくれたので、とっても簡単に作業終了。あとは麹を3日ほど寝かせ、発酵が進むのを待つだけです。麹も呼吸が必要なので、移動のためにした蓋を開けて寝かせることをお忘れなく。好みの味になれば完成~!完成後は冷蔵庫に入れて保管しださいね。
教えてくれた「織羅米86團隊」のina
彼らにとって酒釀作りはとても神聖なもの。
心と身体の在り方を整えた状態で行なうことが重要で、それこそがおいしい酒釀ができると考えられています。作業中はおしゃべり禁止(今日は特別にOKだったけど)。
笑顔を絶やすことなく、「おいしくな~れ!」と作業に集中することが大切なんだそうですよ。
酒釀、おいしくな~れ!
作った酒釀はお土産に。発酵中のナビの酒釀はおいしく育ってくれるかな?
石頭火鍋にも挑戦!
もう1つはアミ族法淖部落の「淖心工坊」が教えてくれる石頭火鍋です。
石頭火鍋ってアレですよね、台北でも食べられる石鍋で材料を炒めてからスープを入れて煮るお鍋……と思ったらそうではなくて、もっと野性味あふれる鍋でした……汗。
そりゃそうか!
竹で作った鍋の中にはあらかじめ川で捕ったばかりの新鮮な魚と(今日は市場で仕入れたという)エビと水。そこに焚火でキンキンに熱した石を投入すれば、短時間で火が通るからフレッシュのまま調理完了、あとは胃袋の中へ。
アミ族の火鍋はなんとも豪快!味付けは塩だけですが、素材の味わいが染み出していましたよ。(薄味に慣れたナビにはちょっとしょっぱかったけど!)
Wow!ワイルドな火鍋
「美學家屋」でアートな手仕事体験
木・花・貝殻……大自然の中にあふれるエコな素材を使って、いにしえから伝承されてきた台湾原住民の工芸品をDIYしてみましょう。
今回体験できたのは、アミ族伝統の刺繍キーホルダー作りやラタン細工、タロコ族の貝殻で作るピアス、プユマ族の花輪作りなど。ナビはアミ族の馬太鞍(ファタアン)部落にある「Kasasaan山角工作室」によるライトDIYに挑戦です!
籐と竹を編んだ漏斗状の道具で古くから魚を捕まえていたアミ族の人々。アミ語でrakarと呼び、そんな魚捕りの道具からヒントを得たのがこのライトです。
平たくカットした素材を交互に編み込むだけなのですが、硬さもあるのでなかなか思うようにいきません。何とかぐるりと編み込んで、ライトを巻き付ければできあがり。文字にするととっても簡単なのですが……。なぜ、ナビ不器用コンビは全然進まないんだ?先生のお助けを借りて、何とか完成!
できあがり!
現代のインテリアにもマッチするオシャレなライトに仕上がりました。
▼馬太鞍集落のことなら
「山野獵場」でアウトドア活動
なんちゃって弓矢体験も!
野を駆け回り、自然と対峙してきた原住民の男たちの仕事をちょこっと体験。弓矢を放ち、木の枝でパチンコを作り、自転車で野山を駆け巡ろう。
「限定野宴」でピクニックしながら原住民料理のフルコース
自然からいただいた恵みを大切に食してきた台湾原住民族の人々。素材の味わいを活かしたシンプルで素朴な味わいが食卓を彩ります。部落ごとに自慢の料理があり、それぞれの料理にはさまざまなストーリーがあります。
野外レストラン「限定野宴」
そんな彼らの物語に耳を傾けながら、大地の恵みをいただきましょう!
ナビが参加したのは花蓮・支亞干部落の「阿改玩生活」がもてなしてくれる「耕吧樹洞野宴」コース。
タロコ族の彼らは祝いの席や友人をもてなす時に振る舞うのがHlama Blbulと呼ばれるバナナご飯なのだとか。ナビたちももてなしを受け、宴はバナナご飯からスタートしました。
バナナの風味たっぷりのHlama Blbul。はちみつをつけて食べればおかしみたいな味わいに
野菜と山菜のプレートには山蘇も。狩りに行くときの大切な食事なんだとか
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素材本来の味が楽しめる塩味が効いたチキンと根菜のスープ
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メインは燻した豚バラ肉のローストです。塩やニンニク、米酒、それに部落に伝わる香辛料・山胡椒で味付けを。シンプルだけど肉の旨味がギュっと閉じ込められた味わいです。何よりボリュームいっぱい!
彼らにとって豚を殺めることは2つの意味合いがあるそうです。1つは狩人が怪我をしたり、家族が戦いで命を落としたり、重い病気になったりしたときに豚を食べることで悪事を遠ざけるというもの。このときはごく近親者だけで分け合うといいます。
豚バラ肉のロースト。目と舌と耳で楽しめるピクニックの宴で原住民料理フルコースを!
もう1つはその真逆、慶事のとき。結婚、退役、家の完成、車の購入などおめでたいときに皆で分け合っていただきます。豚肉を食べることで先祖は天国から戻り、祝福するそうですよ。
このように豚肉は彼らの暮らしには欠かせないものなのです。今日は夏フェスのおめでたい日ということでナビらも幸せのおすそわけに預かります。
小さくて真っ赤なキダチトウガラシも原住民料理らしさをプラス
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コースのシメは西洋風のバナナのバウンドケーキで
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「選品市集」マルシェでショッピング
花蓮・台東各地の台湾原住民部落やそこでショップやカフェ、食堂、工房を営む人々が一堂に会したのがこの青空市です。
ズラリと並んだショップ
台湾原住民料理や原住民グッズ気になるお店がい~っぱい!お店の人とのふれあいを楽しみながらショッピングを楽しみましょう。
「花子好食」の各種ドリンクは個性的な味わい
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花蓮・玉里にある「SERA咖啡x耕香園」は竹弁当風
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花蓮「大竹子走部落」のゴージャスプレート
▼「日出禾作」でナビもコーヒー作りを体験
「山谷舞台」でHighになろう!
メインステージでは、原住民族の歌や踊り、楽器演奏が披露されました。観客との距離が近く、特に原住民アーティストらによるバンド演奏は大盛り上がり!
霧鹿小のブヌン族八部合音
開会式は台東県霧鹿小(霧鹿國小)合唱団によるブヌン族八部合音から。
八部合音とはアワの豊作を願って捧げられる歌声のことで、最高8つのパートに分かれてハーモニーを響かせます。透き通るような歌声が空に鳴り響き、心が洗われるよう……!
▼ブヌン族の八部合音
ひときわ盛り上がったのは原住民の人気アーティストMatzkaと桑布伊のステージです。
Matzka
初日のトリを務めたのはパイワン族出身のMatzka。レゲエをベースにロックやジャズ、ヒップホップなど各種音楽を取り交ぜた独自のビートと力強い歌声に観客もノリノリに。思わず身体が動いちゃう♪
桑布伊
最終日の大トリは桑布伊(Sangpuy)。大地から鳴り響き、夜空へと抜けるような歌声は山々に囲まれたステージで聞いたら涙モノ。台湾音楽の祭典「金曲賞」でも数々の賞を受賞しているのも頷けます。
曲と曲の合間のMCでは自身と同じプユマ族出身のブランド「WADIYAN」のてぬぐいをしきりにアピール。「WADIYAN」とはプユマ語で友達や兄弟を表すとか
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ナビカメラマンも愛用。大きめサイズと肌触りのよさ、切れ端の処理が抜群によいそうですよ。台北・永康街「LiMA」でも購入可!
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桑布伊のステージを以てこの楽しいフェス「2024縱谷原遊會-部落食樂園」も終了です。最後は会場すべてがステージと化し、桑布伊と共にみんなで歌って踊って大合唱。笑顔に包まれて閉幕となりました。
▼原住民音楽をもっと知りたいなら
2024秋開催の「2024餐桌上的部落旅行」へ行こう
「2024縱谷原遊會-部落食樂園」はすでに終了していますが、来年もまたやってきます!(そのはずです!) 毎年8月末に行なわれているので、興味のある方は今から予定を空けて待っておくといいかもしれません。
餐桌上的部落旅行
1年先まで待てない方は、秋のイベントを要チェック。
今回ご紹介した「2024縱谷原遊會-部落食樂園」の原点でもあり、「限定野宴」で驚きのコース料理を振る舞ってくれた部落を中心に、夜空の下のパーティー「2024餐桌上的部落旅行」が2024年10月5日~11月24日の週末を中心に開催されます。
さきほど「縱谷原遊會」は4回目とお伝えしましたが、その前からこの「餐桌上的部落旅行」は開催されていたんです。このフェスティバルの核ともいえるイベントですので、今回気になった方は是非参加してみてくださいね。
▼太巴塱集落
「2024餐桌上的部落旅行」はそれぞれの集落が会場だから、より身近に彼らの生活に触れられるチャンスですよ。おいしい料理と温かなもてなしを体感してみましょう。
スケジュール
【10月】10/5 太巴塱部落-月光下紅糯米田野餐桌
10/11、10/12 永康部落-月光下獵人野食餐桌
10/19 崁頂部落-月光下小米鞦韆餐桌
10/26 織羅部落-月光下稻田腳印餐桌
【11月】11/8 大埔部落-月光下穀倉豐收餐桌
11/9 崁頂部落-月光下小米鞦韆餐桌
11/15、11/17 支亞干部落-月光下耕吧樹洞餐桌
11/23 織羅部落-月光下稻田腳印餐桌
11/24 大埔部落-月光下穀倉豐收餐桌
▼「2024餐桌上的部落旅行」の詳しい日程や活動内容、申し込みはこちらからチェックしてみて下さいhttps://www.accupass.com/event/2407180629068006338940
SDGsが叫ばれる昨今、台湾原住民の伝統や文化からエコライフを学ぶ機会も得たナビ。今回使われていた食器類はすべて天然素材から作られたもので、コップやカトラリーも各自持参することが推奨されていました。(持ってくるのを忘れた人にはデポジット制のレンタルもあり)ナビも次回訪れる際には忘れないようにマイ箸を用意しようっと。
台湾原住民文化がギュギュっと詰まった「2024縱谷原遊會-部落食樂園」に参加すれば元気をお土産にもらえちゃう。来年の開催を楽しみに待っていてくださいね。
以上、台北ナビがお伝えしました!
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2024-09-10