ブヌン族・伝統芸能とスポーツの祭典 Part1

4年に1度の盛大なブヌン族のお祭りに行ってきました!


こんにちは、台北ナビです。
5月の初旬、梅雨には入ったものの過ごしやすい日、ナビは台東県延平郷で行われた「103年度全國布農族・射耳祭曁傳統技能競賽活動」へ行ってきました。
台湾の原住民14民族の中で、4番目くらいの人口を誇る布農(ブヌン)族。
初期は南投県の山岳地帯に集中していましたが、勢力の拡大や日本統治時代の締め付けなどにより、中央山脈を越え台東のほうへも移住。現在多くは中央山脈をはさんだ南投県と台東県の山間部に住んでいますが、花蓮県や高雄市の山間部にも集落を形成しています。

射耳とは?ブヌン語でManahtainga

さて、今回のイベント「103年度全國布農族・射耳祭曁傳統技能競賽活動」ですが、「2014年全国ブヌン族の伝統芸能イベントとスポーツ競技大会」という意味になります。
が、その中にある「射耳祭」(打耳祭ともいう)というのが気になりますよね。ブヌン族の住む郷(日本でいう郡)や村では、1年で最大のお祭りが「射耳祭」なのです。毎年大体5月ですが、詳細な日程は、祭司の決定にゆだねられます。
狩猟民族であるブヌン族は、子供が健康でりっぱな狩人として育つよう、鹿の耳を切ってぶら下げたものを弓で射るという儀式を行なってきました。対象は12歳以下の男の子で、祖父や父、叔父など親族の男が、男の子の弓に手を添えて一緒に引きます。当たるまで順番に行い、その後は分け与えられた肉をその場で焼いて皆で食べ切ります。鹿を捕らえる段階から様々な儀式が行なわれ、参加できるのは、ブヌン族の男に限られます。
今大会の会場でも「射耳」の儀式は行なわれましたが、公共の場なので、大人の男が男の子たちの矢を一緒に引いてあげ、すでに焼いた鹿肉に射すという簡単な形式で行なわれました。
さて、今回は4年に一度の祭典!
台湾中のブヌン族が一堂に会し、伝統のお祭りパフォーマンスとスポーツ競技を行なうというもので、見どころはブヌン族に関するすべての儀式が観賞でき、台湾でも多くのスポーツ選手を輩出しているブヌン族が郷や村の期待を背に、力と技を競い合う競技の数々。
祭司によって決められた日程は、2014年5月7日(水)~10日(土)の4日間。梅雨にもかかわらず、この期間お祭りが滞りなく進められたのは、祭司がお天気もしっかり占ったからだそうです。

台湾全土からブヌン族精鋭のパフォーマーとスポーツ選手が集合!


今回の会場である台東県延平郷の桃園國中(中学)は、台鉄「鹿野」駅からタクシーで20分くらいのところ。2009年に起こった「八八水災」で埋没してしまった紅葉温泉やかつて少年野球で一世を風靡した紅葉國小も近くにあります。桃園國中は、山間の小学校が統括された中学校ですが、全校生徒数は50人足らずで、客家人1人、パイワン族1人、アミ族1人以外はみなブヌン族の子供たちです。四方を高い山に囲まれた学校は、運動場だけでも台北市内の3000人規模の中学校以上の広さ。バスケットコートやバレーコートなどの体育設備も万全で、都会の子供たちには羨ましいほどの環境が整っていました。
大会では運動場を囲む形で、南投県の仁愛郷と信義郷、高雄市の那嗎夏区と桃源区 花蓮県からは新城郷、萬榮郷、卓渓郷、長濱郷。そして、地元の台東県は海端郷と延平郷の10の地方で分かれています。


開催地である延平郷は、さらに鸞山村、武陵村、永康村、紅葉村、桃源村と村ごとのブースがあり、年配の方たちは前列に座り観戦していました。鸞山村の鸞(らん)は、神霊の精が鳥と化したものを意味します。紅葉や桃源もきれいな名前ですね。各地方や村の名の下には、ローマ字でブヌン語の読み方が書いてありました。
中学校に到着

中学校に到着

今回のイベント場所の案内

今回のイベント場所の案内

祭典や競技会場案内図

祭典や競技会場案内図

食べ物や民芸品、特産品売り場の案内も明確

食べ物や民芸品、特産品売り場の案内も明確

皆競技道具を持ってバスを降ります

皆競技道具を持ってバスを降ります

聖火が灯る台を中心に今回参加の人たちのブース

聖火が灯る台を中心に今回参加の人たちのブース

広くて、四方見渡す限りの山山山!手前の砂はブヌンレスリングの土俵!

広くて、四方見渡す限りの山山山!手前の砂はブヌンレスリングの土俵!

台湾ブヌン族一堂に会す! 台湾ブヌン族一堂に会す!

台湾ブヌン族一堂に会す!

今回の案内役、イスタダ・アリーマンさん

イスタダさんは、台東県海端郷の出身。小学校3年の時、家族で台北に引っ越しましたが、親族はほとんど海端郷にいます。おばあちゃんが普段はブヌン語なのに、イスタダさんとはずっと日本語を話していたので、習わずとも日本語が話せる若者です。ブヌン語はうまく話せないけど、聞くのは問題なし。今回4日間にわたる大会で、8日が一番見応えがあるというのを教えてもらい、いろいろ案内してもらいました。
元は台湾中部にいたブヌンが、台東に居住し始めて100年以上経ちましたが、高い山を一つ越えてしまったからか、南投県と台東県のブヌン語も若干違いが生じ、イスタダさんいわく南投のブヌン語のほうが古典的だそう。ナビは南投の東埔温泉のブヌン村も行きましたが、山岳に住むブヌン族と台東という海も近い気候もいい地に住むブヌン族では、同じ民族でも雰囲気が違うなと感じました。南投ブヌンの人たちは、眼光鋭く、顔つき険しく、見た目も怖い、攻撃的なイメージですが、台東のブヌンは、優しいのんびり感も感じられます。

薪背負いリレー

母強し!

母強し!

朝8時過ぎ、開幕式前に成人組のリレーが始まりました。案内の冊子には負重接力と書いてあります。接力はリレーというのがわかったのですが、負重って?何か持って走るのかな?とは思っていたけど、なんと!薪を背負って走るというのが、その時になってわかりました!しかも30kgで、最初に女性4人、その後男性4人が1チームでつないでいきます。男性の方が重いのかと思ったら、皆30㎏だって!?
薪をまとめたひもは頭に引っ掛けます。お母さんたち強い!追い上げ、追い抜いた女性もいます。第一組は高雄市の那嗎夏区、第2組は花蓮県の卓渓郷が1位を獲得しました!
那嗎夏区の女性が台東県海端郷の女性を追い抜いた時、会場から大歓声! 那嗎夏区の女性が台東県海端郷の女性を追い抜いた時、会場から大歓声!
那嗎夏区の女性が台東県海端郷の女性を追い抜いた時、会場から大歓声! 那嗎夏区の女性が台東県海端郷の女性を追い抜いた時、会場から大歓声!

那嗎夏区の女性が台東県海端郷の女性を追い抜いた時、会場から大歓声!

ブヌン族・伝統芸能とスポーツの祭典 Part1 ブヌン族の女性は力持ち!ビンロウも食し、酒豪もたくさん、たくましい女性たちに注目!

ブヌン族の女性は力持ち!ビンロウも食し、酒豪もたくさん、たくましい女性たちに注目!

男性は速いですね、走り方もエネルギッシュ 男性は速いですね、走り方もエネルギッシュ
男性は速いですね、走り方もエネルギッシュ 男性は速いですね、走り方もエネルギッシュ

男性は速いですね、走り方もエネルギッシュ


そして、次は高校の部で全国から選ばれたブヌン族ダンスの精鋭たちのパフォーマンス
更に開催地である台東県延平郷/桃園小学校の合唱団の歌。澄んだ歌声に、ナビも涙腺がウルウルしました。

開幕式

儀式で始まります

儀式で始まります

まず火を起こします

まず火を起こします


リレーとパフォーマンスの後、9時から開幕式が始まりました。
運動場では薪を燃やし、各自が手に持った刀と「射耳」儀式に使う鹿肉を火の上にかざします。
そして、順番に火の上をまたいで渡り、運動場の真ん中に設けられた神棚で「射耳祭」への感謝や成功を祈りました。
「射耳祭」の鹿肉をいぶし

「射耳祭」の鹿肉をいぶし

刀も神聖な火に

刀も神聖な火に

男たちは銃や刀を持って

男たちは銃や刀を持って

狩猟に向かう出で立ちです

狩猟に向かう出で立ちです

運動場中央で祈り

運動場中央で祈り

12歳以下の男の子4人が順番に行います

12歳以下の男の子4人が順番に行います


その後、男の子たちが順番に「射耳」の儀式を行ないます。
肉は鹿肉。鹿は一番捕えにくい獲物なので、鹿を仕留めた人はそれを自慢するのに、鹿の頭の皮をかぶったりしました。
今回は4年に一度のブヌン族の盛大なお祭りでもあるため、年配の方は民族衣装に身をつつみ、鹿をかぶった方もいらっしゃいました。刀を腰に差し、狩猟に向かうスタイル。ブヌン族であることに誇りを持った威風堂々とした出で立ちです。
ブヌン族・伝統芸能とスポーツの祭典 Part1 しっかりと耳を捕えます

しっかりと耳を捕えます


鹿は、強い男の象徴! 鹿は、強い男の象徴!

鹿は、強い男の象徴!


その後、鉄砲で開幕の合図がありました。

選手入場!

菖蒲が各所にみられました、魔除け、厄払いです

菖蒲が各所にみられました、魔除け、厄払いです



さて、各地方の代表者たちが登場。
老若男女ですが、子供や若い人、中高年は歌やスポーツに。年配の方たちは、伝統芸能で自慢の喉を披露してくれます。南投県仁愛郷、南投県信義郷、高雄市那嗎夏区、布農族同郷会、花蓮県新城郷、花蓮県萬榮郷、花蓮県卓渓郷、花蓮県長濱郷、高雄市桃源区、台東県海端郷、台東県延平郷と順番に入場!
南投県仁愛郷と信義郷のブヌン族には、これぞ正真正銘のブヌンの末裔という殺気のような威圧感が感じられます。強そう~。高雄は陽気な感じ、花蓮や台東はおおらかさがありますね。
が、中高年の方たちは、皆りっぱな体格で、男性のふくらはぎは山の民族を象徴し、男女平等なブヌン社会において、女性たちもがっちりとした体つきに、肝っ玉母さんのたくましさが感じられます。

こちらは司会者ブース

こちらは司会者ブース

選手最後には旗も登場、まさにブヌン族オリンピックです!

選手最後には旗も登場、まさにブヌン族オリンピックです!

聖火トーチがついて、花火が上がりました

聖火トーチがついて、花火が上がりました

そして、静かに始まったのが…「八部合唱」

そして、静かに始まったのが…「八部合唱」

ぜひ聞いてほしい「八部合音」

「八部合音」は、小米(粟)の豊作を祈る歌と一般に知られていますが、イスタダさんが実はブヌン族の間では戦士への鎮魂歌だと教えてくれました。「八部合音」は、ブヌン語ではバシムムと呼ばれます。ブヌンはブヌン語で人を表し、人という文字は人間が支えあう形ですが、ブヌン族の中でも人を支えあい助け合う精神が最重視されています。台湾原住民の中でも特に団結力が強く、固有の言語や伝統を大切にする民族というのもこの精神からきているようですね。「八部合音」も丸くなって人がつなぎあい支えあう形をとります。低音、中音、高音ですが、中音は2部あるので、4つのパートに分かれます。最初低音から始まりますが、これは戦場の仲間に捧げる歌。中音第一パートは亡くなった戦士の遺族に捧げる歌、そして、第二パートは山で捕獲した獲物に捧げる歌、高音は神様に向かって捧げる歌なのです。

各地の同族へ品々を運びます

食べ物と小米酒

食べ物と小米酒



歌が終了すると・・・小米酒と食料が今回参加するブヌン族の各地方に、主催者の延平郷の人たちが配ります。
捕った獲物は皆で均等に分け、助け合いの心を持つブヌン族。配った小米酒はすぐに皆に注がれ、男たちが囲み、その周りを女が囲み、さっそく唄の掛け合いが始まりました。
かなりの重さ、各地方の挨拶も兼ねるので、皆民族衣装です かなりの重さ、各地方の挨拶も兼ねるので、皆民族衣装です
かなりの重さ、各地方の挨拶も兼ねるので、皆民族衣装です かなりの重さ、各地方の挨拶も兼ねるので、皆民族衣装です

かなりの重さ、各地方の挨拶も兼ねるので、皆民族衣装です

始まりました!

始まりました!

まずは自己紹介して、自慢を話すのが唄だそうで、俺も俺もとなるそうです。内容は、「俺りゃ、高雄の桃園から来た○○と言う、村では一番の狩り人だ、今まで捕ったのはイノシシ10頭、鹿1頭さ」というようなことを短く区切って唄うたび、その唄を皆が復誦。唄い終わったら、酒を相飲みし「おうさ、今度は俺の番だ」と次の人が歌い始めます。開幕式なので、2回ほどの掛け合いでしたが、イスタダさん曰く、非公式だともっと掛け合いが激しくなり、皆競い合ってあって歌い合い、それが延々と続くのだとか。さわりだけでしたが、その迫力に圧倒されたナビです。
こんな感じでもう朝から飲み会開始となったようなもの。イスタダさんの故郷海端郷では、昨日の成人組のバスケやバレー、ソフトボールなどが予選でいい成績を上げたので男たちは朝まで飲み明かし、今日はお祭りのクラマックスでもあるから皆楽しくて引き続き飲みながら行なうとのこと。さあ、まだ朝ですが、この後どんな風に繰り広げられるのか楽しみ♪
こちらの男性の唄に、会場皆が復誦

こちらの男性の唄に、会場皆が復誦

次なる男も一杯飲んで

次なる男も一杯飲んで

唄い始めます

唄い始めます

隣でも始まりました~

隣でも始まりました~

大会参加者たち全員の開幕の踊り

にぎやかに、盛大に始まりました! にぎやかに、盛大に始まりました!
にぎやかに、盛大に始まりました! にぎやかに、盛大に始まりました!
にぎやかに、盛大に始まりました! メディア陣は、聖火台の上から撮影!

メディア陣は、聖火台の上から撮影!

にぎやかに、盛大に始まりました!

本番は、Part2へ続く…

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2014-05-28

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