高雄の山間部で台湾在来種のお茶に出合ってきました~!

飾らない自然な味と風味が楽しめます

こんにちは、台北ナビです。
台湾といえば世界に名を馳せる台湾茶が有名ですよね。ただ、現在台湾で栽培されているお茶のほとんどは、実は清の時代に中国大陸から持ち込まれたものだってご存知ですか?

でも、台湾にもあったんです。清の時代よりさらに前から台湾に自生していた在来種のお茶が。そんな在来種のお茶を現在でも栽培していて、実際に飲めるお茶農園が高雄市の山間部にあると聞いて、今回ナビは現地へ急行しました。果たして、台湾在来種のお茶はどんな風に育ってどんな味がしたのでしょうか。一緒に見ていきましょう。

標高1230メートルの高地に育つ在来種の茶

遠くに見えるのは六亀区の中心部。西側に当たります

遠くに見えるのは六亀区の中心部。西側に当たります

謝国華さん

謝国華さん

やってきたのは高鉄(台湾新幹線)「左営」駅から車で約1時間30分の場所にある高雄市桃源区の宝山部落。台湾原住民ブヌン族の人々が多く暮らす場所です。標高は1230メートル。ここで茶園を営んでいるのが拿普さんこと謝国華さん。中国語では「原生茶」と呼ばれる在来種のお茶を専門に栽培しています。

謝さんの調査では少なくとも近くには樹齢200年の木が今でも自生しているほか、300年前にはこの地に在来種のお茶が生えていたことは確認されているんだとか。ただ、ブヌン族にはそもそもお茶を飲む習慣がなく、謝さんの父親はここで芋を栽培していたんだそう。謝さんは約15年前に父親から土地を譲り受け、在来種の茶栽培を本格化させています。

因みに、ここで栽培されている在来種のお茶はチャノキではなく、変種のアッサムチャに近いとのこと。そのままにしていると高さ10メートル以上に成長してしまうので、矮化(わいか)という作業をして背が高くなりすぎないようにするそうです。
こちらは一見すると普通の茶畑と変わりません こちらは一見すると普通の茶畑と変わりません

こちらは一見すると普通の茶畑と変わりません

少し大きくなった木。人の背丈ほどあります

少し大きくなった木。人の背丈ほどあります

謝さんの土地の裏手に広がる原生林に自生した木はこんなにも大きく育っていました

謝さんの土地の裏手に広がる原生林に自生した木はこんなにも大きく育っていました

茶摘体験に出発

さて、茶摘に出発です。持つのは籠だけなのでお手軽です。ただ、傾斜地での作業になるので足元には要注意。そして蜘蛛の巣がたくさんあるので絡まないよう頭上にも注意しないといけません。

そして摘み取る茶葉の基本は「一芯二葉」。芽の部分と葉が2枚付いてる状態で摘み取るということです。日本茶だと「一芯三葉」で収穫することがあるようですが、ここでは新鮮で柔らかい状態のものを茶葉にします。

摘み取り方はいたって簡単。摘み取る茶葉の上方から掌で一芯二葉包みこむようにして親指と人差し指で茎を掴み、パキッと折ります。ちょうど2枚目の葉の下に、切り込みが入っているかのように折れる部分があるので、とても分かりやすいです。
掌で包んで……

掌で包んで……

パキッと折る!

パキッと折る!

はい、こちらが一芯二葉

はい、こちらが一芯二葉

収穫後は発酵させます。美味しくなるといいなぁ

収穫後は発酵させます。美味しくなるといいなぁ

ちなみにルリマダラが飛んでいました。農園が完全無農薬の証 ちなみにルリマダラが飛んでいました。農園が完全無農薬の証 ちなみにルリマダラが飛んでいました。農園が完全無農薬の証

ちなみにルリマダラが飛んでいました。農園が完全無農薬の証

昼食はシンプルだけど素朴で美味しい原住民弁当

さて、収穫を終えたら小休憩。宝山部落の料理名人が作ったという原住民弁当をいただきます。内容はとってもシンプル。

煮カボチャとサッと茹でたサヤインゲン、サツマイモの蒸かし芋、サバの塩焼き、さらに原住民が大好きな粟で作ったちまきの吉拿夫。鶏肉とヘチマのスープもありました。

味付けはサバの塩焼きを除いて基本的に薄味。質素ですが原住民からすると、これほどたくさんのおかずが揃う食事は実はご馳走だったりします。原住民の食事と、漢民族が持ち込んだ台湾料理を含む中華料理と比べながら味わうと、台湾の食文化の多様さに気付けるのではないでしょうか?

在来種の茶の味をじっくりと味わおう

さて、お腹がいっぱいになったところで、謝さんの茶畑で採れたお茶の味を楽しみましょう。茶畑の一角に作られた屋外の茶室にお邪魔します。これまで公園など広々した場所でお茶を飲んだことはありますが、一面緑の葉を付けた木々に囲まれた場所で飲むのは初体験。人里離れたこの場所で、鳥のさえずり、セミやキョンの鳴き声を聞きながらという環境は特別で印象に残ります。ちなみにお湯は炭火で沸かします。こうすることで味がまろやかになるんだとか。

ちなみに、テーブルに描かれた模様は、ブヌン族に伝わる伝統的な暦。粟を植えて収穫する時期や、狩りをする時期、祭りの準備をする時期などが描かれています。ちょうど中央部分にお茶の葉っぱが描かれていますが、これは謝さんが考え出したお茶の収穫時期を表す記号になっています。
では、まず烏龍茶からいただきます。
お茶を入れる前に茶葉の香りをかぐと、ほのかに甘い香りがしてとても清々しい感じ。お茶は透明度の高い黄色をしていました。

ただ、お味についてですが、正直ににいうと、少々植物っぽいというか、荒削りな印象。

それもそのはず、いわゆる普通の台湾茶は、品種改良や栽培方法を工夫して美味しさを追及したもの。在来種のお茶は、古くから台湾にあった茶葉です。素材を楽しむという意味ではぴったりのお茶かもしれません。
続いて紅茶をいただきましょう。茶葉を適度に発酵させた烏龍茶に対して、紅茶は完全発酵させたもの。ガラスの急須で入れたのですが、色は綺麗な赤味を帯びたオレンジでした。

気になるお味は……一口すすってビックリ。芳ばしい紅茶の香りが口いっぱいに広がったばかりか、舌全体に深みのある味わいを感じました。

「在来種の味はアッサムチャに似ている」と前述しましたが、まさにインドのアッサムチャ同様、紅茶にすると、植物っぽい味も芳ばしさに変わるようで、こちらはぜひとも多くの人に飲んでもらいたい味でした。

最後に「拓印」遊びでお土産作り

お茶を楽しんだら最後は農園敷地内の草花を集めて「拓印」遊びに挑戦です。拓印とは布の下に草花を置き、石やハンマーでたたいて色や模様を転写させる遊びで、今回は手ぬぐいに草花の色を転写しました。

子供向けの遊びだろうと高をくくっていたナビ、実際にやってみると、ストレス解消にもなってだんだん楽しくなってきました。水分が多い草花の場合は強くたたきすぎるとにじんでしまうので、微妙に力加減を調節しながら清朝に作業を進めます。どんな色になっても、どんな模様になってもそれが個性。出来上がった時には不思議と達成感がありました。
草を貼り付けて裏がえして優しく叩くと、いい感じの模様が浮かび上がります 草を貼り付けて裏がえして優しく叩くと、いい感じの模様が浮かび上がります 草を貼り付けて裏がえして優しく叩くと、いい感じの模様が浮かび上がります

草を貼り付けて裏がえして優しく叩くと、いい感じの模様が浮かび上がります

旅仲間も真剣そのもの

旅仲間も真剣そのもの

高雄の山間部で台湾在来種のお茶に出合ってきました~! 在来種のお茶 野生茶 ブヌン族 桃源郷 烏龍茶紅茶 じゃじゃーん。鮮やかな手ぬぐいが完成。左上はルリマダラを表現してみました(笑)

じゃじゃーん。鮮やかな手ぬぐいが完成。左上はルリマダラを表現してみました(笑)


台湾では北部から南部、東部にいたるまで、各地で茶葉が栽培されていますが、在来種の茶を生産している場所はとても限られています。今回の宝山部落で在来種のお茶の栽培現場を見学して、味わえたことは貴重な体験でした。都会を離れた大自然の空間で味わう在来種のお茶。忘れられない思い出になること間違いなしです。ぜひ訪れてみてくださいね。

以上、台北ナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2019-11-26

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