2025年9月5日~11月16日まで馬祖ビエンナーレも開催中!芸術作品や藍眼涙、馬祖の伝統建築や軍事施設まで……魅力あふれる馬祖列島の北竿&南竿の旅行の様子をレポートします!
こんにちは、台北ナビです。
台湾の離島をいつか全制覇したいと思っている島好きのナビですが、先日、初めて馬祖の北竿&南竿に1泊2日で行ってきました!
今回のツアーはもともと2泊3日で巡るプランを1泊2日に詰め込んだ、超弾丸スケジュール!ちょっと忙しいスケジュールでしたが、馬祖初上陸のナビにとっては、見どころ盛りだくさんで大満足の旅になりました。
今回は、1泊2日で巡った馬祖の見どころと11月16日まで開催中の馬祖國際藝術島(馬祖ビエンナーレ)作品、そして馬祖グルメを紹介します!
台湾の離島好き、アート好きの方は旅の参考にしていただければ嬉しいです!
ツアーのスケジュール
1日目
・台北松山空港から北竿空港へ
【北竿エリア】
・后沃聚落(后沃集落):馬祖ビエンナーレ作品「海量」「風化顯影」
・戰爭和平紀念公園主題館(戦争和平紀念公園主題館)
・芹壁聚落(芹壁村)
・北竿37據點(37拠点)
・北海坑道(午沙坑道/午沙北海坑道)
・昼食(龍和餐廳)
・北竿白沙港からフェリーで南竿福澳港へ
【南竿エリア】
・南竿26據點(26拠点):馬祖ビエンナーレ作品「不是誰的棋子,我們是…」
・夕食(醉仙樓)
・南竿北海坑道(藍眼淚(青の涙)観賞)
2日目
・朝食(萬家香早餐)
・津沙聚落(集落):馬祖ビエンナーレ作品「打開」「海之瀝瀝」
・鐵堡(鉄堡)
・媽祖巨神像
・馬祖境天后宮
・馬祖港(馬港):馬祖ビエンナーレ作品「海就是我的陸」
・八八坑道:馬祖ビエンナーレ作品「第88號記憶的顫音」
・昼食(枕戈待旦餐廳)
・南竿空港から台北松山空港へ
馬祖は南竿・北竿・東莒・西莒・東引の5つの島を中心とした島々から構成され、一般的には馬祖列島と呼ばれています。このエリアを総称して「馬祖」と呼ぶことが多いですが、「馬祖」という島はありません。
馬祖観光の見どころは、かつて重要な軍事拠点とされていた名残である、軍事施設の見学ができることや、中国大陸に近い馬祖ならではの閩東建築の街並みを散策できることです。
さらに4~6月にかけては夜の海に現れる幻想的な藍眼淚(青の涙)を見られるチャンスがあるなど、台湾本島では体験できない魅力にあふれた離島です。
ちなみに、馬祖は台湾で唯一信号機が1つもないエリアなのだとか。理由は車も少ないし必要ないから……ということでした。ただ、南竿の介壽小中学校前には2023年から可動式の信号機を設置して、学生の登校時に合わせて点灯させています!確かに車もバイクも少なかったですが、本当になくて問題ないのか、ちょっと気になるところです…。
馬祖の北竿空港までは台北松山空港から国内線に乗って約50分でアクセスできます。
プロペラ機なので機内は狭いですが、フライト時間が50分しかないので、機内で提供される飲み物を飲んでいたらあっという間に到着しました。
旅の初めはかつての漁村后沃聚落(后沃集落)から:馬祖ビエンナーレ作品「海量」「風化顯影」)
馬祖に到着して最初の観光スポットは「后沃聚落(后沃集落)」。馬祖ビエンナーレ作品「海量」と「風化顯影」の観賞も楽しみました。
后沃聚落は、かつて漁村だった小さな村です。后沃聚落の「沃」は「澳」という意味で、北竿の西側にある白沙村から見ると島の最も奥(もっとも東側)に位置するため、この名前になったそうです。
伝統的な家屋がそのまま残る街並みが、どこか異国情緒を感じるエリアでした。空き家や廃墟もありますが、その雰囲気も込みで楽しめます。
ここに展示されている馬祖ビエンナーレ作品「海量」は、后沃集落の廃墟と廃屋と水平線を融合させ、光と影が物質と交錯する時空装置を創出した作品。
交錯した鉄筋の間にある酒造甕は馬祖の豪快さと歓迎の精神を象徴しています。
「風化顯影」は馬祖の自然環境の中で錆び自動車や風化した外壁などの写真を通し、馬祖の未来が風化していくのかを問いかけた作品。
かつて軍事の最前線として45年に及ぶ軍事統制の時代を経験した馬祖はその時代を境に生活が一変したという背景から、変わったまま風化するのか、かつての姿に戻るのかというメッセージが込められています。
どちらの作品も廃墟や風化など、時間の経過をうまく利用した作品で、時間が止まったような空間に現れる人工的なアートにグッと引き込まれる作品でした。
個人的には屋外のアート作品が好きなので、1ヵ所目からかなり楽しめました。
馬祖の歴史を学べる戰爭和平紀念公園主題館(戦争和平紀念公園主題館)は必見!
馬祖の戦争の歴史を学ぶことができるテーマ館です。
銃や弾丸の展示のほか、馬祖の人々の暮らしが垣間見える品々など、戦争や軍事と切っても切り離せない馬祖の歴史を知ることができます。
島中のいたるところに軍事関連施設や、戦争スローガンが描かれた壁が残る媽祖を観光するなら、絶対に立ち寄りたいスポットになっています。
今回は駆け足での見学でしたが、次回はもう少し時間をかけて見学したいなと思うほど、見ごたえのある博物館です。また、館内の一番奥には海を一望できる休憩スペースがあり、ここからの眺めも絶景で癒されました♡
窓際に座って海を眺めるのも気持ちいいです!
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見渡す限り海!!
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芹壁聚落(芹壁村)は伝統的な閩東式建築の建物がほぼ完ぺきな形で残っている集落です。エリア内には戦時中のスローガンが掲示されているなど、軍事統制時代の名残も見ることができます。
また、ここから対岸にある中国大陸を肉眼で見ることができます。天気がいいとかなりはっきり見えるので、改めて近さを実感します。白い壁の建物と海のコントラストがヨーロッパにいるかのような、異国情緒あふれる気分にさせてくれるうえ、どこを撮っても絵になるフォトジェニックなエリアです。
対岸にある中国大陸が見えます!
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美しい街並みはずっと見ていても飽きません…♡
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ガイドの方が「ここはどこを撮っても絵になるよ」と言っていた通り、見える景色全部がおしゃれで写真を撮る手が止まりませんでした。
馬祖独特の建築美を楽しめるエリアで、所々カフェやレストランもあるので、休憩をはさみながらゆっくり散策したいスポットです。ただ、日差しを遮るものがあまりないので、散策する際は帽子や日傘をお忘れなく!
海を望む絶景が待つ北竿37據點(37拠点) &人口のトンネル北海坑道(午沙坑道/午沙北海坑道)
北竿37據點(37拠点)
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北海坑道(午沙坑道/午沙北海坑道)
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北竿37據點(37拠点)は、もともと「37拠点」と呼ばれる軍事拠点だった場所で、今は展望台として開放されています。
島なので当然といえば当然ですが、海を望む景色がどこも本当にきれいで、北竿37據點からも例外なくきれいな海を望めます。海好きのナビにとっては、馬祖の観光地はどこも絶景の宝庫です。
これを人の手で掘ったなんて…想像を絶する苦労だったでしょう……
北海坑道(午沙坑道/午沙北海坑道)は1968年に兵士たちがツルハシやスコップ、熊手などを使い掘った坑道です。ボートを停泊させるために作られたそうですが、完成後も使用されることなく放置されていたのだとか。工事は3年近くかかり100名以上の兵士が犠牲になりました。
現在は中を見学することができますが、引き潮の時でないと中に入れないので注意が必要です。
北海坑道内は特に電気などの明かりがないので、外との明るさの差で目が慣れるまでかなり真っ暗に感じました。広さはあまりないですが、足元に気を付けて見学することをおすすめします。
秘密基地のような軍事拠点!南竿26據點(26拠点):馬祖ビエンナーレ作品「不是誰的棋子,我們是…」)
南竿26據點からの景色
昼食後は北竿白沙港からフェリーで南竿福澳港へ移動しました。乗船時間は約15分。あっという間の船旅です。
すれ違いが難しいほど細い廊下!
南竿に着いて最初の観光スポットは南竿26據點(26拠点)です。
南竿26據點はかつての軍事拠点で、入り口以外は半地下に隠れた造りをしています。そのため、地上から見ただけでは基地の全貌が把握できないうえ、海に面した場所にあるため、基地内からは周囲の様子を把握しやすいという特性を備えた軍事拠点でした。
今でも基地の建物は残っていて、半地下の建物の中を歩いていくと、海を見渡せる展望室に行くことができます。軍事拠点だったころは気の抜けない緊張感があったはずですが、今は気持ちのいい景色を堪能できるスポットになっています。
半地下の秘密基地のような建物とそこから眺める海の景色に、ちょっと冒険心をくすぐられました。
馬祖ビエンナーレ作品「不是誰的棋子,我們是…」
ここには馬祖ビエンナーレ作品「不是誰的棋子,我們是…」という囲碁をモチーフにした作品が展示されていました。碁盤の上にある碁石に描かれた絵は馬祖に暮らす人たちが描いたもので、今回案内してくれたガイドさんが描いた作品もありました。
作品には馬祖の歴史への敬意が込められているそうです。
軍事拠点という無機質な空間に展示された作品ですが、碁石に描かれた可愛らしいイラストが温かみを感じる、どこかホッとする作品でした。
南竿の北海坑道では、夜間のボートツアーに参加することができます。ここでは、真っ暗な坑道をボートで進みながら水面に現れる藍眼淚(青の涙)を鑑賞できるのです!
海岸で藍眼淚を見るには4~6月という限られたシーズンに訪れないと難しいそうですが、ここならシーズンオフでも藍眼淚を見られます。
ボートに乗りミニオールのようなヘラで水面をたたくと、水面に輝く藍眼淚がたくさん現れます。手動なので少し腕が疲れましたが、どんどん出てくる藍眼淚が面白くて夢中で水をたたき続けてしまいました。全員かなり必死に水面をたたくので、どこからともなく結構大量の水しぶきが飛んでくるので、参加するときは覚悟してください。
救命胴衣も着ていますが、夢中になりすぎてボートから落ちないように注意してくださいね。あと、ボートに揺られながらずっと下を向く姿勢になるので、船酔いしやすい方は気を付けてください。
津沙聚落(津沙集落)を散策:馬祖ビエンナーレ作品「打開」「海之瀝瀝」
津沙集落は馬祖の中で中国大陸に最も近い漁村です。石造りの家屋が立ち並ぶ村で、今でもここに住んでいる方もいらっしゃいます。
カフェや民宿もあり、狭い路地を歩くだけでも楽しいエリア。あまり知られていませんが、訪れる価値アリの場所です。
ここでは馬祖ビエンナーレ作品の「打開」と「海之瀝瀝」を見ることができます。
「打開」は馬祖酒廠(馬祖酒造会社)の製品の瓶で作られた門を廃墟となった建物に作ることで歓迎の意味を表した作品。ガラス瓶でできた窓から望む海の景色は絶景です。
廃墟の中でキラキラ光るガラス瓶の扉や窓が異空間のようで、引き込まれる作品でした。また、窓からは馬祖の海が一望できるので、窓をフレームにして写真を撮ると渾身の一枚が撮れますよ!ここを訪れたらぜひ記念に一枚撮ってみてください。
「海之瀝瀝」は、戦争と生活が共存していた馬祖の姿を現した作品です。
馬祖の伝統的な閩東建築の瓦が持つ「天を仰ぎ、海に向かい、風雨を遮る」という意味になぞらえ波が雨のように打ち寄せる音を使い「家と国」「防衛と庇護」というテーマを問いかけるとともに馬祖の島文化が「戦いと生」「遠さと近さ」であることを表現しています。
静かな廃墟に響く音が心地良い作品でした。
鐵堡(鉄堡)は、かつて海を渡って来る敵の侵略を防ぐ目的で作られた軍事要塞です。
坑道内は兵士たちが暮らす居住空間になっていいて、トイレやベッド、台所などの跡が残っています。夜中の敵兵の侵入を防ぐため軍用犬を配置していたため、軍用犬を飼っていたあとも見ることができます。
生活の跡をみると、軍事拠点だったことをリアルに感じます。
現在は、広大な海を望む絶景スポットになっていて、海風を感じる気持ちのいい展望台になっています。階段が多くてちょと疲れますが、行けば絶景が待っています!
馬祖に来たら媽祖巨神像を拝むべし!
「馬祖に媽祖あり」というように、馬祖の由来にもなった航海の神様「媽祖」の巨像を間近で見ることができます。
巨像までの道のりには「祈福坑道」と名付けられた道があり、そこを通って媽祖像の真下まで行きます。
船の甲板のような展望台からは馬祖の海が一望できます。日本でも屋外に建つ観音像や大仏を見る機会はありますが、ここまで海に近いのは珍しいのかなと思いました。海を見つめる媽祖像を見ていると、海の安全を守ってくれているような雰囲気を感じます。
馬祖に来たからには、媽祖巨神像は必見です。
媽祖巨神像のふもとには媽祖様がまつられている馬祖境天后宮があります。
ここには父親を救うために海へ身を投じ、命を落とした媽祖の遺体がまつられているそうです。
馬祖境天后宮からは丘の上に立つ媽祖巨神像を見ることもできます。鮮やかな廟と海のコントラストが、航海の神様である媽祖様をまつるのにこれ以上ない立地で、何となくパワーを感じるスポットでした。
かわいいアートが見られる馬祖港(馬港):馬祖ビエンナーレ作品「海就是我的陸」
馬祖ビエンナーレ作品「海就是我的陸」
馬祖境天后宮前の馬祖港(馬港)には、馬祖ビエンナーレ作品の「海就是我的陸」がありました。
馬祖で暮らす人々にとって船にある風景は日常生活の風景であり、生活に欠かせないアイテムです。「海就是我的陸」は、使わなくなった軍艦や旧台湾馬祖航路船などから収集した船の部品を使い、馬祖の人々が軍艦に抱く記憶を埔湧現した作品。
クジラのようなかわいらしいフォルムとその向こうに広がる海の景色が気持ちのいい作品でした。
お酒の香りに酔いしれる!八八坑道:馬祖ビエンナーレ作品「第88號記憶的顫音」
八八坑道は、もともと戦争に備えて銃器や弾薬などを保存するために使われていた地下道ですが、現在は高粱酒(コーリャン酒)の醸造所として使われています。
坑道内は涼しくて天然の冷蔵庫のよう!熱気をまとった観光客が酒甕に触ってしまうと、お酒の温度が上がり醸造の妨げになってしまうので、絶対に触ってはいけません!ここのお酒は、近くにある馬祖酒廠で購入や試飲ができます。
馬祖ビエンナーレ作品「第88號記憶的顫音」
坑道内には馬祖ビエンナーレ作品の「第88號記憶的顫音」があります。酒甕を挟んだモニターには軍人へのインタビューや軍事演習の実録、地元の人の歌う姿が映し出され、戦争と人々の感情の動きや共鳴を表現しています。
暑い中歩き回った後に八八坑道に入ると、天然のクーラーのようで極楽♪坑道内はお酒の香りが充満していて、香りだけで酔いそうになるほど。お酒が苦手な方はちょっと大変かもしれません。
南竿空港には全家(ファミリーマート)があるので、搭乗前に飲み物や食べ物を買うことができます。
小さい空港ですが、待合スペースには椅子が多めに設置されていたので、早めに着いても座って待てるのがありがたい!
1泊2日でもこれだけ馬祖グルメが楽しめました!
【1日目の食事たち】
・昼食(龍和餐廳)
・夕食(醉仙樓)
【2日目の食事たち】
・朝食(萬家香早餐)
馬祖では餛飩(ワンタン)のことを扁肉と言うそうです
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馬祖の扁肉湯(ワンタンスープ)は途中でお酢を入れて味変するのがおすすめ!さっぱりとおいしくいただけます
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この狗麵(まぜ麺)とワンタンを一緒に注文するのが馬祖流です!
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ほんのり甘い「女兒餅」も朝ごはんにぴったりです!
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・昼食(枕戈待旦餐廳)
レストランはこの奥
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オーシャンビューの開放感あるレストランでした♪
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本来は2泊3日くらいの日程を2日に詰め込んだスケジュールだったので駆け足での観光になりましたが、初めての馬祖観光だったナビにとっては貴重な経験になりました!まだ行けていない島もあるので、次は全エリア制覇したいと意気込んでおります。
馬祖ビエンナーレは11月16日まで開催中!今年がだめでも2年に一度開催される予定なので、アート好きな方は、馬祖ビエンナーレに合わせて訪れてみてください!
以上、台北ナビがお届けしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2025-11-07