台北の郊外「文山区」でローカルに触れ合う一日を過ごしてみてはいかが?
こんにちは、台北ナビです。
茶園や茶芸館で有名な猫空や動物園のある文山区に行ったことはありますか?台北市の南に位置する文山区は住宅地や教育機関が集中するエリアで、ガイドブックにはあまり載る事が少ないのですが、実は魅力がたくさん詰まった場所なんです。
今回はこのエリアに住んで8年のナビが、ちょっとディープで時間がゆっくり流れるこの街を紹介していきます!
MRTとバスを駆使してローカルエリアを歩こう♪
文山区へのアクセスはMRT松山新店線や文湖線が便利ですが、地元民はバスを駆使している率高し。
というわけで、今回はMRT「公館」駅からスタートし
、路線バス「251」番に乗車しました。このバスに乗るとエリア内をくまなく回ることが出来るので、覚えてみてくださいね。
路線バスは難易度が高いという方は、最寄り駅までMRTでアクセスし、自転車やタクシーに乗って散策してみることをオススメします。
地元の学生に愛される文青氷の「三角冰」で狙うは木柵鉄観音を使ったカキ氷!
雙拼奶奶冰(110元)と黑糖刨冰(50元)
台湾で最近流行っているカキ氷に「文青氷」というジャンルがあります。「文青」(ウェンチン)とは「文芸青年」の略。つまり台湾の若者が手がけるおしゃれなカキ氷のことです。SNS映えや洗練された見た目、台湾らしさを表現したカキ氷を出すお店がここ最近増えていて、文山区で先駆け的存在なのが「三角冰」なんです。
場所はMRT「萬隆」駅出口1から徒歩4分のところ。251番バスなら「武功國小(羅斯福)」から徒歩2分。ここでは文山区が誇る木柵鉄観音を氷にしたふわふわの雪花氷が食べられます。「雙拼奶奶冰」は猫空の茶農家さんから仕入れた鉄観音と台湾の紅茶でミルクティーを作り、それを使って氷にしています。ふわふわでしっとりとした食感で、優しい甘さと豊かなお茶の香りが口いっぱいに広がります。おいしいのはもちろん、文山区に対する思いを感じますよ。
平日でも行列が出来る人気店
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キュートなオーナー姉妹
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氷はきちんと重さを量り、メニューごとに黄金レシピで仕上げます。安定した品質とおいしさの秘密ですね
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店内は近隣の大学の学生さんでいっぱい、台湾大学からやってきたグループはバスに乗ってご来店。わざわざ来る価値はこの楽しそうな雰囲気から伝わります。
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お店はオーナーの黨純安さん(姉)と黨侑萱さん(妹)が学生のときから始めて今年(2019年)で5年目。家族一丸となってお店を切り盛りしています。この日もお父さんがお手伝いに来て、娘2人を見守るようになじみのお客さんたちとおしゃべりしていました。こんな家族愛の深さが感じられるのもローカルなお店ならではの味わいですね。
朝の仕込みは早くから大忙し。20種類近くあるトッピング・シロップ全てお店で手作りしています。お客さんにおいしいものを食べてほしいというこだわりを感じます。
黑糖刨冰(50元)はお好みで4種類のトッピングができます。オススメはあずきと綠豆、黒糖粉粿、芋圓(タロイモ団子)。今回はさらに10元をプラスして毛毛蟲粉條(毛虫ヌードルゼリー)も加えちゃいました。どことなく懐かしい味わいを感じるかき氷で、小豆と緑豆はクリーミーでしつこくなく、他店では見たこと無い毛毛蟲粉條はヌルヌル&もちもちでカキ氷との相性goodでした。
※あとで調べてみると、粉條は樹薯粉(タピオカスターチ)を水に溶かして、熱を加え糊状になったものを好みの太さにしたもののようです。
三角冰
住所:台北市羅斯福路五段170巷10號
電話:(02)2932-1367
営業時間:12:00~22:00(L.O.21:40)
facebook https://www.facebook.com/sanjiaobing/
MRT「萬隆」駅出口4から徒歩4分/251番「武功國小(羅斯福)」下車徒歩2分
映画「等一個人咖啡」の舞台はなんと文山区!
ここ文山区には台湾を代表する作家九巴刀(ギデンズ・コー)原作で、2014年に公開された「等一個人的咖啡」(日本未上映)のロケ地となったカフェがそのまま残っている場所があります。お店の名前は映画のタイトルそのままの「等一個人咖啡」。
お店の経営母体はエスプレッソマシーンで有名なビアレッティ社の台湾代理店。コーヒーをもっと台湾で広めたいとの思いからカフェをオープンすることになった時、ちょうど映画撮影で使われたこの店舗を見つけ、1号店としたんだとか。市の中心部ではなく、あえて住宅街のど真ん中にカフェをオープンしたことについては「自慢のコーヒーであればどこでも通用する」という自信があったから。その発言の通り周辺でも単価がちょっと高めの設定ですが、いつもお客さんがいっぱいで並ばないと席に座れなかったりするんです。
冰老闆娘特調
今日はお店の方のオススメ「冰老闆娘特調(オーナーオリジナル)」155元、「阿不思莊園拿鐵(アブスのラテ)」180元、「香蕉巧克力冰淇淋鬆餅(バナナチョコレートアイスワッフル)」180元を注文しました。コーヒーの2点はもちろん映画にまつわるものですよ。
冰老闆娘特調は黒糖とオレンジやレモン果汁が入った南国チックなコーヒー。酸味のある柑橘系フルーツと苦味のあるコーヒーのミックスに味の想像がつかなかったナビですが、すっきり爽やかで、ほのかにフルーティな香りが漂い、夏にぴったりの一品。阿不思莊園拿鐵はビアレッティのモカエキスプレスで丁寧に淹れられたもの。実はナビ、ラテを飲むのが苦手だったのですが、こちらは渋みがなくさらっとして味に厚みがあるのが飲みやすい!そしておっきいワッフルが目を引く香蕉巧克力冰淇淋鬆餅は粉から調合されていて、食感はサクサクなのにふわっとした生地なんです。映画ファンはもちろん、コーヒー好きの方も是非一度足を運んでくださいね~。
等一個人咖啡(景美本店)
住所:台北市一壽街44巷1號1樓(景美女中對面巷子公園旁)
電話:(02)2936-0596
営業時間: 11:00~21:00(休日は9:00~)
facebook https://www.facebook.com/coffeewaitinglove
251番バス「實践國小」下車徒歩7分
モカエキスプレスはイタリアの掃除機からインスピレーションを得て開発されたんだとか!
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老闆娘特調はホットを注文すると映画に登場するカップで出てきますよ~
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木柵鉄観音を生産・販売して早100年!信頼の「張協興茶行」
台北市で採れる茗茶といえば「文山包種茶」や「木柵鉄観音」が有名。その産地はいずれも猫空を抱える文山区にあります。猫空で茶農家を営む人たちの祖先は、そのほとんどが中国福建省安溪で暮らしていた人たち。猫空の環境が安渓と良く似ていたため、わざわざ故郷まで戻って茶の木を取りに行ってお茶栽培を始めたんだといわれています。
そのうち鉄観音は張迺妙により1895年に安溪から木柵に移植されて栽培が始まったそう。「張協興茶行」は、それと同時期に茶葉栽培を始めた老舗。現店主の張欣柔さんで3代目です。席に案内されるや否や、長い歴史を裏付ける日本統治時代の茶製造業届を見せてくれました。こんな立派なお店が文山区にもあるんです。
お茶はやっぱり自分の舌で美味しさを確かめてから買いたいですよね。張さんが流れるような手つきで、鉄観音を淹れてくれました。鉄観音の特徴は重発酵、重焙煎で茶湯の色はオレンジから茶色です。同じ鉄観音でも製法や年数、茶樹の違いで作り出される味わいは変わってきます。今では珍しい炭焙煎の方法もこのお店の特徴です。地面に穴をあけて炭を組べた焙煎炉でローストをかけるやり方は台湾でもかなり希少な製法なんだとか!もちろん、「包種茶」の種類も豊富。お客さんのニーズに合わせて阿里山を始めとする台湾各地のお茶も置いてあります。
またお茶で作った飴やヌガーも観光客に大人気。1970年代にお茶離れの若い世代をターゲットにお茶を使った製品を開発し、それが口コミで広がり今に至るまで愛されるロングセラーとなっています。
文山区の歴史と発展を見守り続けてきたお店で、お茶とお土産を買い求めてみてはいかがでしょうか?
張協興茶行
住所:台北市指南路二段93號
電話:(02)2939 4866
営業時間:12:00~22:00
facebook https://www.facebook.com/張協興茶行-325606127463731/
251番バス「指南路口」下車徒歩7分/MRT「公館」駅または「動物園」駅から羅斯福幹線バス「政大」下車すぐ
祝!ミシュランビブグルマン2019に登録の歴史あるレストラン
半日トリップの最後は2019年のミシュランビブグルマンに輝いた昔ながらのレストランを紹介しましょう。
市内でもローカルな夜市として知られる景美夜市のすぐ隣にある「
義興樓」です。景美夜市周辺は早くから農業用の水路が建設され、栄えた町なのですが、この「義興樓」も歴史は古く、80年以上この場所にお店を構えています。
義興楼の鉄板メニューがこちら!
それではビブグルマンに輝いたお料理の数々をいただきます~!このお店の売りは飾らない台湾料理。ということで、「金錢蝦(海老だんご)250元」「芋頭酥(タロイモ揚げ)150元」「菜脯蛋(たくあん入り卵焼き)80元」「糖醋排骨(酢豚風炒め物)250元」「水蓮(水蓮炒め)100元」の定番メニューをオーダーしました。
女将さんが特にオススメしてくれたのは「金錢蝦」。濃厚な味わいの剣えびを使用し、絶妙な温度で揚げているんだそうです。食べてみると外はカリカリで中はとてもジューシー♪もう一つ揚げ物を使った料理の糖醋排骨も豚の揚げ具合がgoodでおいしい~!濃い目の味付けがごはんにぴったりの一皿でした。
そして最後に女将さんが「これもオススメだよ~」とさりげなく差し入れしてくれたのが「涼拌豬肝(冷製レバー)」。レバーが苦手な人って多いと思うのですが、こちらは丁寧に下処理されて臭みがなく、クリーミーな味わいでした。
ビブグルマンに登録されてからお客さんは増えたそうですが、外国人のお客さんはまだ少ないということです。ローカルが好む本場の台湾料理を食べるならここは穴場的存在です。MRTの駅からもすぐでアクセス良好です。
義興樓
住所:台北市景文街121號
電話:(02)2931-3966
営業時間:ランチ11:00~14:00、ディナー17:30~20:00
MRT景美站1番出口から徒歩1分/251番バス「文山二分局」徒歩1分
冒頭でもお話したようにナビは文山区で暮らしています。日本で刊行される台北のガイドブックを見ると、文山区の部分が掲載されていないことが多く、ちょっとがっかりしています。
今回の取材を振り返ると、日本統治時代以前から現在に至るまで、長い歴史を感じる旅でした。ガイドブックに載るような人気スポットを巡るのもいいですが、ナビは文山区で台湾を深く知る旅をオススメしますよ!
是非、ナビの住む文山区の魅力を体感してください。
以上、台北ナビがお届けしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2019-08-27