台湾人にも実態をあまり知られていない伝統スイーツ「元宵」をいただきま~す!「元宵」の見た目は湯圓にそっくり!でも作り方がちょっと違うんです!
こんにちは、台北ナビです。
旧正月後に初めて満月となる日を「元宵節」(小正月)と呼びます。この日をもって旧正月の一連行事が終わりを迎えるとされていて、清朝時代には農民は次の収穫に向けた畑仕事に取り掛かるという節目の日でありました。
現在でも台湾はこの元宵節を非常に重視していて、各地でランタンフェスティバルや爆竹を使ったお祭りが行われるのですが、各家庭でも「元宵」というお団子のような伝統スイーツを食べる習慣があります。
2025年は2月12日が「元宵節」です。そこで、ここ数年で驚いたことのトップ5に入る「元宵節」に関するあることについて迫った下記記事を再度掲載したいと思います!
台湾在住10年越えのナビが初めて知った事実……
その時は突然訪れました……。次の食べ比べは何にしようかとみんなで話していた時です。「元宵節が近いし、湯圓(台湾風白玉団子)を食べ比べてみるのはどう?」というナビに、台湾人ナビスタッフが一言……「元宵節に食べるのは、『元宵』だよ!湯圓じゃないよ!!」
えっ?元宵は湯圓のことじゃないの??
というわけで調査を開始したナビ。実はこの「元宵」、元宵節以外にはあまり食べられることのないスイーツであることが災いしてか、実は台湾人の間でも「湯圓」と混同している人が多いよう。どうやらナビも勘違いしていたみたいです……。
では、この「元宵」とは一体なんなのでしょうか?謎の実態に迫ってみました!
南門市場で元宵を探してみた
百聞は一見にしかずということで、実際に元宵を見てみるのが一番早いと思ったナビ。元宵はどこで買えるのか調査したところ、見つかったのは南門市場にお店があるという情報。早速足を運んで目に飛び込んできたのは、合興糕糰店の店頭で数人のお兄さんたちが大きなザルをゆっさゆっさと回して、団子をごろごろ転がしている光景でした。これこそがその元宵の製造工程です。
しばし観察していると、どうやら100円玉くらいの直径の玉をお湯に浸して、白い粉が敷かれているザルに置き、お兄さんたちがゆっさゆっさとザルを回して団子を大きくしている模様。それなりの大きさになったら、さらにお湯に浸けて、再びザルの上で粉をまぶすということ繰り返しています。
元々の餡にもち米粉をまぶしていきます
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少しずつ玉が大きくなっていきます
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実はこの白い粉はもち米粉。一番初めの玉は餡で、合興ではゴマ、ピーナツ、タロイモのほか、抹茶、チョコレート、イチゴ、チーズなどのフレーバーなどざっと16種類を販売。スタッフさんによると、一つの元宵を作るのに7回にわたってお湯に浸ける→粉をまぶすという作業を繰り返しているんだとか。
なるほど、元宵と湯圓は材料こそ似ていますが、湯圓は、お団子そのものだったり、そのお団子で具を包み込むようなものなので、作り方が全く異なるんですね。
ちなみに、元宵も湯圓と同様、お湯で煮込むのかなぁと思っていたら、お店の方いわく「フライパンで焼くといいのよ」とのこと。こんがりキツネ色になったら食べごろだと教えてくれました。もちろん、お湯で煮込んでもOKなので、お好みの食べ方で元宵の美味しさを楽しみましょう。
合興糕糰店
台北市中正區羅斯福路一段8號 (南門市場1F:41、42、43)
(02)2321-4702
月曜日休み
別のお店でも元宵を売っていました
普段「湯圓」を販売しているお店では、どうやら元宵節が近づくと元宵も販売している様子。南門市場では中華菓子を専門とする合興糕糰以外に、ちまきを中心に販売する南園食品でも元宵を販売していました。
南園食品では元宵や湯圓の販売はもちろんのこと、この2つに欠かせない酒釀とキンモクセイシロップも売っていました。お湯に砂糖や三温糖を溶いてシロップを作るのもいいですが、酒釀やキンモクセイシロップを足すと、さらに台湾らしい味になります。
南園食品台北市羅斯福路一段8號(B1F:76、77)(02)2396-3852
月曜日休みhttps://www.facebook.com/NanYuan1968
ゴマやタロイモの味がありましたよ
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一般的な湯圓のほか、酒釀やキンモクセイシロップも売っていました~
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レストランでも元宵が買えました
市場以外にも元宵が買える場所があると聞いて行ってきたのは、MRT「古亭」駅から歩いて7分の場所にある浙江料理レストランの「蔡萬興老店」。このお店は普段から酒釀芝麻湯圓が有名なのですが、旧正月から元宵節の期間には店頭に元宵の道具を持ち出して製造・販売をしています。
元宵を作っていたお兄さんが、元宵の中に入っている餡を見せてくれました。こんな小ぶりなものが、最終的にはピンポン玉よりも大きいボールになるのだから不思議なものです。
かなり大掛かりな装置で作っています
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これが元宵の餡!
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ゴマ湯圓と酒釀、溶き卵。これで150元
ちなみに、元宵はお持ち帰り限定。でも折角ここまで来たのだから店内で食べられる湯圓もいただきます。ゴマの湯圓に酒釀と溶き卵を入れたもの。意外とあっさりしていて、湯圓の中に入っている甘いゴマペーストの味を引き立てます。
楽しく食べていたら、元宵のサービスもありました!しかも、出してくれたのは揚げた元宵!お店の人によると、「揚げるのが一番美味しいよ」とのこと。実際に口に入れると、サクサクでフワフワの食感と、お米の香りと甘い餡の味が絶妙に広がって最高!お腹にたまるのでたくさんの数は食べられませんが、新たな美味しい食べ方を教わりました!
サービスで貰った揚げ元宵
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キンモクセイとゴマが入っていましたよ
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さて、帰ろうとした時に、嬉しいサプライズが!さっき外で元宵を作っていたお兄さんが「君たちもやってみるかい?」と声を掛けてくれました!小さいザルを使ってゆっさゆっさと元宵作りに挑戦です。
コツは元宵を均等に丸く、肉厚にできるよう、大胆に転がすこと。元宵をザルの縁に当てるように意識することが重要なんだとか。なので、腰を使ってザルを大きく揺らさなければならず、これがとんでもなく重労働!さらに途中でもち米粉を追加すると重量はさらに増加!たった30秒揺らしただけでも腰と手が痛くなってきました!
小さいザルを使っても腰に負担を感じるのに、大きいザルを使ったらどれだけ大変なことになるのかは想像もつきません。
うーん……。あまり手軽に作れるものではないから元宵節の前後だけに食べられるスイーツなのかもしれませんね。
実食してみましょう
元宵をお持ち帰りしてきました
さて、実際に元宵を家に持ち帰りして調理して食べてみます!
当初は煮るだけにしようかなと思ったのですが、先述したようにお店で「フライパンで焼いたらおいしい」とお薦めされちゃったので、焼き元宵も作ることにしました。
茹でる時に気をつけるのは、元宵の表面にヒビが入っていないかどうか。そのまま茹でてしまうと中の餡がドロドロになって溶け出してしまうので、水に入れる前に少し濡らして、指でヒビを均してあげました。
はじめは沈んでいた元宵ですが
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少しすると浮かび上がってきました
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お湯に入れる時はそっと。とても脆いので、元宵を崩さないように優しく扱います。ちなみに、テフロン加工の鍋を使ったのですが、それでも表面が鍋の底に張り付いてしまうことがあったので、状況を見計らってそっと剥がしてあげる必要がありました。浮いてきたら食べごろです。南門市場で買った酒釀とキンモクセイシロップをかけていただきます。
これだけ見ると湯圓とあまり変わらないようですが……
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歯ごたえが違います。そして食べてからやっと中に入っている餡が何か分かります
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食感は湯圓と比べて硬く、しっかりとした弾力がありました。湯圓よりももちの部分が厚く、食べ応えがあります。ちなみに、外から見ただけだと中身に何が入っているかほとんど分からず、複数の味をまとめて調理した場合は、食べて初めて何の味だったか分かります。大勢で一緒に食べたら「ピーナツだった!」「こっちはタロイモだ~」なんて盛り上がれるのが楽しいですね。
さて、お次は焼き元宵に挑戦です。通常の炒め物をするよりも多めの油をフライパンに入れ、表面がキツネ色になるまで焼きます。球体ですが、いびつな形をしているのと、元宵自体に重量があるので、フライパンを揺するだけでは回転してくれず、箸で絶えずコロコロさせながら焼き加減を均一にします。やはり崩れやすいので取り扱いは慎重に。
食感は表面がサクサクで中がしっとり。もち米を使っているのでおかきと同じ香ばしさなのですが、中の餡が風味をさらに豊かにしてくれます。お店の人が焼いたり揚げたりしたほうが美味しいという理由がよくわかりました。
ただ、冷めてしまうと美味しさが損なわれてしまうので、もしご家庭で試される場合はお早めにお召し上がりください。
元宵が元宵節に食べられる理由は湯圓同様、真ん丸で「團圓」(団欒・円満)に繋がる縁起物とされているから。これを食べれば今年一年、家内安全間違いなし!?ご家族のいる方はぜひ一家みんなでどうぞ!
という訳で
今年の元宵節はぜひとも元宵を食べてみてください!!……とはいうものの、実際には台湾人でも元宵ではなく手軽に購入できる湯圓を食べる人が多いので、便利な方法で元宵節の味と雰囲気を楽しんでください。
元宵は要冷蔵・冷凍ですが、台湾で購入後にキンキンに冷凍して荷物に詰め込めば、日本への持ち込みだって不可能ではないはず……!?その際には餡にお肉が使われていないものを選んでくださいね!
以上、台北ナビがお伝えしました!元宵節快樂~!
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2025-01-24