2018年の歌王・歌后は誰?
こんにちは、台北ナビです。
6月といえば台湾グラミー賞こと、ゴールデン・メロディー・アワード(金曲奨)の季節です! 6月23日に開催された、この栄えある音楽アワード第29回目の授賞式に行ってきました。そこで、すでに恒例になりつつあるナビ的金曲奨リポートをお届けします!
ファッショントレンドは「V」ライン?
まずは、会場の台北アリーナへ入場する著名人たちが彩る絢爛豪華なレッドカーペットの模様をご紹介します。今回特に目を引いたのは、胸元に深く切り込んだV字ファッションのお三方。このセクシーなV字トリオに加え、レッドカーペットで輝いていたファッショニスタたちをピックアック!
台湾は日本と比べると男性のスーツ着用率は低めなのですが、さすが金曲奨ともなるとスーツ着用者続出で萌え萌えです。
ビビアン・スー(徐若瑄)今回レッドカーペットでいちばん注目を浴びていたのは、なんといってもビビアン・スー(徐若瑄)でしょう。14年ぶりに金曲奨の場に登場した彼女は、肩上の軽やかなゆるふわヘアーに、胸元が大きくV字に開いたセクシーなドレスで現れました。お腹もチラ見せなので、V字というよりもはやX?という気がしないでもないですが、ナビ的V字トリオ認定です。「プレゼンターなので、他の人の注目を奪わないように暗い色を選びました」とのことですが、その心遣いとは裏腹に大きな歓声に包まれたビビアン。ドレスはニューヨークの最高級ブランド、リーム・アクラだそうです。
ジャム・シャオ(蕭敬騰)ビビアンがV字クイーンなら、V字キングは間違いなくジャム・シャオでしょう。先頭をきってレッドカーペットに登場した彼は、素肌にグッチのキャメル色ジャケットを羽織り、ピアジェのアクセサリー、ルブタンの靴でキメてきました。過去にはLION(獅子合唱団)として最優秀バンド賞、個人でも最優秀中国語男性歌手賞を受賞していますが、今年は司会としての参加です。
ニッキー・リー(李玖哲)V字トリオのトリは、台湾で活躍する韓国人歌手のニッキー・リー。最優秀中国語男性歌手賞にノミネートされている彼は、鍛え上げられた筋肉を黒スーツの襟元から惜しげもなくのぞかせて、マッチョぶりをアピール。
ファッショニスタはモノトーンがお好き?
アーメイ (aMEI/張惠妹)ひときわ大きな歓声に迎えられたのは、泣く子もだまる歌姫アーメイ。女王の風格すら感じさせる、モノトーンのドレスはフェンディのオーダーメイドだそうです。左手にはカルティエのブレスレットが光ります。金曲奨の常連で、今年も最優秀中国語女性歌手賞にノミネートされています。
クラウド・ルー(盧廣仲)グッチのスーツに身を包んだクラウド・ルー。もともとおしゃれな人ですが、金曲奨という晴れ舞台にあたり、トレードマークの短パンを封印しての上品な装いです。台湾で縁起がいいと言われるトラの模様がついた白い襟がアクセント。4部門にノミネートされている彼が、いくつ受賞できるかにも注目が集まります!
エッグプラントエッグ(茄子蛋)昨年リリースしたファーストアルバム『卡通人物』で、 新人賞ほか4部門でノミネートされている エッグプラントエッグ 。黒いスーツのメンバーの中、ひときわ目立っていたのは、紫色のスーツを着たボーカルのNg KiPin(黃奇斌)。バンドの名前どおりのナス色が受けていました。
Amuyi(呂薔)最優秀中国語歌手賞の初ノミネートコンビ、許書豪とともに登場したAmuyiは、台湾のデザイナーWangliling(汪俐伶)による黒いドレス。流線型の異質素材の組み合わせ、透け感のある素材で艶かしい魅力を放っていました。
シオンザイ(熊仔)ジェイコブ・リーのスーツに日本ブランドのクリスチャンダダのベージュのロングシャツを組み合わせ、ラッパーらしく小粋にドレスダウンしたシオンザイ。丈の違う上着をバランスよく着こなしているセンスの良さに唸らされます。シングルプロデューサー賞ノミネートです。
サンディー・チェン(陳珊妮)シンガー・ソングライターのサンディー・チェンは、白いふわふわのファーをあしらった異素材ミックスの衣装で登場。エキセントリックで、まるでファッションショーから抜け出てきたモデルのような存在感でした。
Chang and Lee(張三李四)最優秀バンド賞にノミネートされているChang and Leeの出で立ちも多くの人の注目を浴びました。メンバー同士まったく統一感のない出で立ちで、一人は『マジンガーZ』のプリントが施されたスーツ、もう一人は日本人にも昨今人気のプチプラ菜市場バッグ模様のスーツなど非常にポップ。全員自身の母をエスコートしていたのですが、ママたちは逆に紺のドレスで、メンバーより統一感を醸し出しているのが面白いですね。
ソン・ニエンユー(宋念宇)5年ぶり2度目、最優秀中国語男性歌手賞ノミネートのシャオユー(小宇)ことソン・ニエンユー。濃紺のスーツに黒いシャツと、控えめな彼の内面を表したような衣装ですが、実は今回下馬票がとても高く、初受賞に期待が集まります。
JJ/リン・ジュンジエ(林俊傑)昨今は毎年ノミネートされているシンガポール出身のJJ。今年は中国語男性歌手賞など最多6部門入賞です。シンプルながら、クリスチャン・ディオールのスーツにディオール・オムの靴と、さりげなく最高級の服装で登場。
イーソン・チャン(陳奕迅)今年は年度アルバム賞など4部門にノミネートされている、こちらも金曲奬の常連、香港人のイーソン・チャン。グレーのジーンズに黒のジャケットに、ボッテガ・ヴェネタの蝶ネクタイをセレクト。気負わない感じが逆に王者の風格です。
Creating Music Orchestra(CMO樂團)の中央には、リーダーのSuana(蘇瓦那)と、ノミネート作品『直美』に参加している宮古島出身の三線演奏家Hiraraさん
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カラフルで美しいパイワン族の衣装をまとうサン・メイジュエン(桑梅絹)
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金曲奬、2018年の応募総数はなんと2万点弱!
27部門賞の授与に加えて、合間にはいろいろなアーティストによるパフォーマンスなど、サービス精神たっぷり、エンタメ要素満載の金曲奬。とはいえ、授賞式だけでも5時間という長丁場なので、ここではナビの独断によるかいつまみリポートとさせていただきます。
さてレッドカーペットに引き続き、最初に登場したのは初司会を務めるジャム・シャオ。持ち前の力強い歌声で「REMEMBER TONIGHT」を歌い上げ、一気に客席を惹きつけます。
続いて、これまで司会を務めていた黃子佼が今年は最初のプレゼンターとして登場。彼の口から、最優秀作曲賞はクラウド・ルーが受賞したことが伝えられました。次にソーダグリーン(蘇打緑)のウー・チンフォン(呉青峰)から最優秀年度楽曲賞が発表されると大きな歓声が!クラウドが「魚仔」でダブル受賞です!登壇したクラウドは右手を左胸にあてたまま、言葉がなかなか出てこない様子。
「心臓がドキドキしてます。自分が好きなものを他の人も好きになってくれるのは最高にロマンチック」と喜びを気持ちを述べました。
ここでジャム・シャオが、華語ミュージックシーンを森にたとえ、華語音楽人を森の動物、そして新人を小鳥に比喩し、手を使っての影絵を披露。続いて、新人賞にノミネートされたペイジ・スー(蘇珮卿)、J.Sheon、エッグプラントエッグらが次々に登場し楽曲を披露しました。
アルバムの中の「浪子回頭」はぜひ聞いていただきたい。クセになる「チキチキチキ〜♪」
最優秀新人賞に選ばれたのは、アルバム『卡通人物』の
エッグプラントエッグ!
4部門でノミネートされていた彼らは、最優秀バンド賞と年度アルバム奬こそ逃しましたが、
最優秀台湾語アルバム賞とダブル受賞を果たしました。
ボーカルの黃奇斌は「人生にはいいことと悪いことがあるけど、こんなにいいことばっかりが起こり、これからいったいどんな困難が待ち受けているのか」とコメントして会場を笑わせました。
そして恒例の審査員の紹介です。ジャム・シャオがエリック・チェン(陳子鴻)にプレッシャーがないか尋ねると、「君の司会がうまくいくかがプレッシャー」と逆に言われてしまいました。実際、歌手としては実力派のジャムですが、口下手としても知られていた彼が、果たして司会者として進行を引っ張れるのか心配する声は少なくありませんでしたが、結果は上々。ハイテンションを維持し見事な司会者ぶりを発揮しています。
ちなみに審査員は320日、ほぼ1年かけて楽曲の審査をするそうですよ。今年はなんと245組、884枚のアルバム、1万9,539点から選ばれたとのこと。その数の多さに驚かされますね。
パフォーマンスも盛りだくさんの授賞式
今回のテーマは「未来ing」。「次世代のアーメイがいるかも?」との紹介に、今年ウイーン国際合唱祭で最優秀賞に輝いた嘉興小学校の合唱団の子供たちが登場。タイヤル族の衣装に身を包んだ彼らは、天から降ってくるような清廉で力強い声をアカペラで披露してくれました。
続いて、台湾原住民(先住民)のジアジア(家家)とSangpuy(桑布伊)によって最優秀原住民歌手賞はパイワン族のサン・メイジュエン、最優秀原住民アルバム賞はアミ族のCreating Music Orchestraの『直美』と発表されました。壇上でトロフィーを受け取ったサン・メイジュエンが、アカペラで歌い始めると、そのあまりの美しい歌声に客席は水を打ったような静けさに。「地元の部落は私に栄養を与えてくれました。この受賞の栄誉は部落のものです」と受賞の喜びをかみしめました。
↓↓↓最優秀原住民歌手賞を受賞したサン・メイジュエンがプレスルームでもその歌声を披露してくれましました!↓↓↓
宮古島の伝統衣装を着たHiraraさん、ステキ〜
一方、Creating Music Orchestraの『直美』には、以前ナビでも紹介したことがある沖縄宮古島出身の三線演奏家
Hiraraさんが参加しています。
受賞後のバックステージで「リーダーのSuanaが沖縄がとても好きで、今回沖縄と台湾原住民の曲でコラボしたい、宮古島のお母さんの曲を探してほしいと言われたことがきっかけです。長い時間をかけて探した宮古島の原曲を、アレンジして宮古島とアミ族両方の言葉で歌っています」とコラボの経緯を教えてくれました。
「Anna Ina」というその曲の、Annaは宮古島の言葉、Inaはアミ語でお母さんという意味だそうです。Suanaは「アミ族の言葉と文化を残したい。メンバーのみんなはバンドの活動だけでは生活していけず、アルバイトをしながらそのために頑張ってきた」と平坦ではなかった道のりを述べました。
続いては、アミ族の歌姫A-Linと、中国出身のロックの女帝タン・ウェイウェイ(譚維維)によるデュエット。二人の卓越した歌唱力、迫力のあるポリフォニーに会場も大盛り上がり。
最優秀台湾語男性・女性歌手賞には、今回4度目の受賞となるリッキー・シャオ(蕭煌奇)、初受賞のエリー・チャン(張艾莉)がそれぞれ選ばれました。リッキーは台湾語で「気持ちいい」、音楽の先生を兼業していたエリー・チャンは「あなたの先生は金曲獎の歌手よ、と生徒に言えます」と涙まじりに喜びを語りました。
デビュー10年後で栄誉を勝ち取ったエリー・チャン
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4度目の受賞となるリッキー・シャオは最多受賞を記録
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嬉しいというのがダイレクトに伝わってくる笑顔のふたり!
次にデザイン、録音など技術部門への授賞、韓国人気ユニットのヒョゴ(HYUKOH)による中国語でのパフォーマンスを経て、最優秀作詞賞の発表です。プレゼンターは、自身もジェイ・チョウ(周杰倫)の「龍捲風」など、多くの楽曲の歌詞を手がけてきたビビアン・スー。中国の宋冬野の「郭源潮」が受賞し、ナビが応援するクラウド・ルーは残念ながら授賞を逃してしまいました。続いて最優秀ボーカル賞はラップグループの頑童MJ116が受賞。大淵は「コメント用意してなかった」と驚きが隠せない様子ながらも、「受賞は、ヒップホップのために頑張っている多くの仲間、一緒に支えてくれたみんなのもの」と感謝の気持ちを述べました。
体中で喜びを表すチェアマン
最優秀バンド賞は、結成20年になる
チェアマン。「前回受賞したのは10年前。10年後もまた同じように輝き、もっといいアルバムを作り続けたい。ロックンロールは永遠に死なない」とロック魂を見せつけました。
プレスルームではおなじみのジャンプを華麗に決めた彼ら。動画を撮ってみたので、ご覧ください!
合間のパフォーマンスで最も盛り上がったのは、シオンザイ、先住民のラップグループBOXING樂團のKasiwa、アンドリュー・チョウ(麻吉弟弟)、Miss KO(葛仲珊)らによるヒップホップショー。また、御年80歳近い歌手のリウ・フージュー(劉福助)が、ヒップホップ風の出で立ちで登場し、台湾語のラップらしきものを披露したときは、プレスルームで大ウケでした。
みんながおどろいたリウ・フージューの登場!
歌王・歌后はイーソンとララが奪取
JJは、自身のヒット曲「江南」、「可惜沒如果」などのバラードメドレーで、アメリカで活躍するコンテンポラリー・ダンサーの簡珮如とのコラボレーション。今回、最多6部門にノミネートされていながら、受賞できなかった彼ですが、大きな見せ場となりました。
そして、金曲奬でいちばん注目されているといっても過言ではない最優秀中国語男性・女性歌手賞には、それぞれイーソン・チャン(陳奕迅)とシンガーソングライターのララ・スー(徐佳瑩)が選ばれました。さらに二人はそれぞれ年度アルバム賞、最優秀中国語アルバム賞を受賞し、今年の頂点を制したといってもいいでしょう。
:「彼氏にも感謝しています」と堂々宣言するララは、プライベートも順風満帆の様子
ララ・スーは、喜びのあまり、後ろに座っていた恋人ビル・チア(比爾賈)に思わずキスした姿が印象的でした。
3度目の正直となった今回の受賞で「前は手を握り合ってるノミネート者たちを見て嘘くさいと思っていたけど、自分も知らないうちに握りあっていた。もう誰が受賞してもいいという感じでした」と興奮した様子で語りました。
イーソンはまずトロフィーを持って、客席をバックにスマホで撮影するお茶目な姿を見せました。
「座りすぎて体がガチガチなんだけど」と軽く笑いを取りながら、「台湾のみんなはずっと僕にとてもよくしてくれている。すべきことはいいステージを届けることだと思っている」と未来へとつなぐコメントをすると、受賞アルバム『Cmon In~』の中から「披風 (Soar)」のワンパートを披露し金曲奬の幕を閉じました。
今年はナビが大好きな小隊長にノミネートしている全部の賞で受賞して欲しかったけど、2つに留まりました。でも1つの賞でも充分に嬉しそうな小隊長の姿を見て、複数の賞を受賞するのはとてもすごいことなんだなぁと思いました。
そして毎年台湾では様々な歌が生まれ、愛されている。そんな層の厚い台湾の歌を1日で楽しめるこのゴールデン・メロディー・アワード(金曲奨)はとっても貴重なイベントだと思います。来年はどんな歌が選ばれるのか……。今からとっても楽しみです!
以上、台北ナビ(二階堂 里美)でした。