台湾グラミー「金曲奨」記念すべき30回目は、新たなる時代の幕開け!
暗いニュースが多かった2018年を明るく応援し続けた「蔡依林(ジョリン・ツァイ)」が圧巻の存在感を見せ付けました
こんにちは、台北ナビです。
2019年6月29日、今年も台湾グラミーこと金曲奨(ゴールデン・メロディー・アワード)が台北アリーナで開催されました!なぜか毎年、この日はいつもより蒸し暑くなります。今年も例年以上に湿度が高いと思っていたら、受付を待っている間に突然スコールに見舞われてしまいました。でも幸い、ゲストがレッドカーペッドに登場する前にはすっかり上がり、台湾きっての音楽アワードの幕が華やかに上がりました。
ドレスアップしたスターが続々!緋色の道を彩る面々
まず、レッドカーペッドの様子からご紹介しましょう。今年は記念すべき第30回目とあって、ノミネート者はもちろん、プレゼンターやゲストも例年より一段とドレスアップしているようでした。
みんな大好き!人気スター
プレゼンターとして、久しぶりに公の場所に姿を見せた
言承旭(ジェリー・イェン)。
突然大歓声が上がった方向を見てみたら、彼が現れたところでした。やっぱり根強い人気がありますね。以前より幾分髪が短くなって、さらに男っぷりが上がった気がします。シンプルなスーツ姿が決まってる!
黒のライダースジャケットとサングラスでクールに決めている
陳奕迅(イーソン・チャン)ですが、親しみやすさがダダ漏れてます(笑)。
記者スペースでは何度メディアに足を止められても、丁寧に取材に応える姿が印象的でした。
昨年(2018年)司会を務めた
蕭敬騰(ジャム・シャオ)は、プレゼンターとして参加。
今年はスーツの下にきちっとシャツを着込み、前髪も下ろして、昨年の攻めたファッションより、随分リラックスした感がうかがえます。
香港を拠点に活躍する実力派シンガー
鄧紫棋(G.E.M.)は、ゲストパフォーマーとして登場。
黒の皮と金具をあしらった、ちょっとハードな衣装が決まっています。
ずば抜けた高身長で小顔の
信は、何を着ても様になりますね。気だるい雰囲気もまたかっこいい。
会場悩殺のセクシー衣装
今年の司会を務める、人気タレント
黃路梓茵(Lulu)。
モノマネや軽快なトークで親しまれていますが、実はスタイルも抜群!肌がすけてみえるセクシーパンツで、颯爽と先頭を切りました。
記者スペースで今回とても人気があったのが
李千娜(リー・チエンナー)。
セクシーさと品の良さとのバランスが絶妙な真っ白なドレスが、とても似合っています。こういうセクシーな服を着たのは初めてだそう。台湾語のアルバム『査某囡仔』で、台湾語女性歌手賞、台湾語アルバム賞、年度アルバム賞にノミネートされています。
ナビは俳優としての彼女しか知らなかったので、ノミネート一覧表を見て驚きました!
金曲獎の常連、
艾怡良(アイ・イーリャン)は、背中が大きくあいたシルバーのドレスが小麦色の肌にぴったりマッチ。
今年は『垂直活著,水平留戀著。』で、中国語アルバム賞、作曲賞など、5部門でノミネートされています。
プレゼンターの
王彩樺(ワン・ツァイホア)。
そのセクシーすぎる後ろ姿に大きな歓声が上がりました。年齢を感じさせない、美背中美脚です。さすが台湾の浜崎あゆみという異名を持つだけあります!
日本勢も堂々
昼と夜を印象的なモチーフとして昇華させた「Go Slow」(deca joins)のMVで、ミュージックビデオ賞にノミネートされた
関山雄太。
ゲストパフォーマーの
ゆずは、黒とブルーのシックな出で立ち。
「とても歴史のある賞なので、フォーマルにしようかとも思ったのですが、やはり自分たちらしく歌える姿を意識しました」と、この衣装を選んだ理由に触れました。
ジャズバンド
東京中央線は、インストゥルメンタル部門のアルバムプロデュース賞、作曲家賞、アルバム賞にノミネート!
ほかにも気になるアーティストがいっぱい♪
台湾語男性歌手賞ノミネートの
許富凱(シュー・フーカイ)は、足のスネぐらいまで垂れたながーい赤ネクタイがファッションポイント?「どうしちゃったの、ネクタイ?」と記者に大ウケでした。
こちらから見ると逆ですが、30回を示した決めポーズ!
アメリカ育ちのØZIは、新人賞をはじめ6部門にノミネート。音楽の才能は核爆弾級と言われる大型新人。
台湾語男性歌手賞にノミネートされている
康康は家族で登場。
ジャケットは、背中にノミネートされた曲名をプリントした特注品だとか。汗が滝のように流れていて、カメラマンから心配されていました。
昨年の金曲奨で新人賞を受賞した
茄子蛋は、今年は一人抜けて3人に。ゲストパフォーマーとして、どんなステージを見せてくれるか楽しみです。
ナビの独断と偏見で、この日のイケメンナンバー1は
柯智棠に決定!
歌声も包み込まれるようで素敵です。顔も良くて声もいい。もちろん音楽もいいとなれば、注目しない手はありませんよ~!
誰よりも格好いいと思った何韻詩
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日本の雑誌などでも見かけるデザイナーの方序中(左)
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豪華ゲストによる、ここでしか聞けない名曲メドレー!
各部門賞の合間に繰り広げられる、ノミネート受賞者やゲストによるパフォーマンスも見所満載です。今年は特に豪華な面々が登場し、それぞれ特定のテーマに沿った楽曲で授賞式に華を添えました。
オープニングを飾ったのは、金曲獎の常連でもあり、年度アルバム賞にノミネートされている陳奕迅(イーソン・チャン)。
「金氏紀録」というテーマの下、「頑固」、「雙棲動物」、「安靜」、「甲你攬牢牢」、「黑吃黑」など過去の受賞曲のメドレーで、たっぷり15分のワンマンショー。それぞれの名曲が元々イーソンの曲だったんじゃないかと錯覚させるほどの歌唱力には、さすがとしか言いようがありません。
その後に続いたのが、司会者の黃路梓茵(Lulu)。
ラップもなかなかイケてます。その後も合間に今回の審査員、陳珊妮(サンデー・チャン)のモノマネをしたり、その多才多芸ぶりには脱帽です。
鄧紫棋(G.E.M.)は「STREAMING」というテーマで「不為誰而做的歌」、「小幸運」、「那些年」、「告白氣球」などYouTubeでの再生回数が多かった曲のメドレーを披露。
演奏を極力抑えたアレンジが、逆に彼女の歌唱力とメロディーを際立たせ、それぞれの楽曲が流行った時代にタイムスリッップしたかのような錯覚すら感じさせました。
黃子軒(ホアン・ズーシュエン)、茄子蛋(エッグプラントエッグ)、阿爆(アーバオ)は「交朋友」(友達になる)をテーマに、「他郷變故郷+浪流連」、「Ms.Doremi+你在哪裡了」、「Izuwa+平快車」をそれぞれ披露。
台湾で使われている言語のうちの3種類、中国語、パイワン語、台湾語によるミックスメドレーは、まさに台湾ならではの多様性が表現されていて、非常に見応えがありました。
昨年、結成17年を迎えた女性ユニットS.H.E.は「我們」(私たち)をテーマに「美麗新世界」、「十七」の2曲を披露。
会場の中央に据えられた大きな花びらを模したステージに、3人が背中を合わせ客席を向いて歌う姿は、「背中を預ける」ほどの信頼関係を感じさせます。フェミニンなSelina、エキゾチックなHebe、パンツスーツのElla、その一見バラバラな衣装は、それぞれテイストや声質の異なる個性を活かしてきたS.H.E.の魅力を反映しているかのよう。これまでの17年を歌詞にした「十七」を歌い上げると、やっとお互い振り向き合いしっかりと握手を交わした3人。エラとセリーナの目には涙が見えて、ナビも思わずもらい泣きしました。
今でこそソロ活動が増えましたが、仲がいいことで知られるS.H.E.にも、セリーナの事故などそりゃあいろいろあったので、再び3人一緒の姿が見られることはファンにとって感無量です。
写真提供:台視
「SUPER WOMAN」のステージを担当した孫燕姿(ステファニー・スン)。「百年孤寂」、「姐妹」、「獨一無二」と、自身の楽曲「奔」で、中台港新を代表する女性歌手のナンバーを一気に歌い上げました。デビューして約20年、二児の母となっても以前と変わらずかっこいい彼女こそ、まさにスーパーウーマン!
日本から駆けつけたゆずは、台湾のシンガー・ソングライター蔡旻佑(エヴァン・ヨー)とのコラボレーションを実現!
蔡旻佑をピアノ伴奏だけに起用という、なんとも贅沢なコラボです。開演前に「心を込めて歌いたい」と言っていた北川の言葉通り、「栄光の架橋」は台湾人の心にもしっかり届いたようで、会場は大いに沸きました。またこの歌詞が今日のステージにぴったり! 実は訪台前に中国語を勉強してきたというゆず、最後も「謝謝大家。我愛你們」(皆さん、ありがとうございました。愛してます)という中国語の挨拶で締めました。
写真提供:台視
ゆずはこの後、ナビの単独体当たり取材にも気さくに応えてくれました。こちらも合わせてぜひご覧ください。
「美」をテーマに、パフォーマンスのトリを飾った蔡依林(ジョリン・ツァイ)が披露したのは、自身の楽曲「怪美的」。
既存の審美観に疑問を投げかけたこの曲のチョイスに、彼女のメッセージ性が感じられます。最初は少し歌声が聞こえづらかったのですが、サビに向かうに従って歌も踊りもキレを増していきました。
実は、ゆずが次回コラボレーションしたい相手として挙げたのがこのジョリン。その理由としてミュージックビデオの質の高さを挙げましたが、ジョリンは曲ごとのメッセージ性が明確で、今回のステージもMVと一貫性があるため、両方見るとさらに楽しめます。
妥当? 波乱? 新世代の受賞も続々
写真提供:台視
いよいよ授賞式に入りましょう。今年はプレゼンターもひときわ豪華で、ジャケットデザイン賞とミュージックビデオ賞のプレゼンターには、
言承旭(ジェリー・イェン)が登場しました。
実は20年前、第10回金曲獎の受賞者に景品を渡す役で登壇したことがあるジェリー。受賞者発表の前に当時の映像が画面に流れると、プレスセンターは大いに盛り上がりました。最初ナビは、なぜそんなに盛り上がってるかわからなかったのですが、後からその事実を知りビックリ。「いつか受賞者としてこの舞台に立ちたい」とのコメントに、実現した暁にはきっとこの日の映像が流れるだろうと思った人も少なくないでしょう。
でも謙虚なジェリーは「冗談です」と即座に自己否定。いえいえ、そんなこと言わずに、音楽活動も頑張ってください!
ジェリーから受賞を発表された、『Hold That Tiger』で最優秀ジャケットデザイン賞を受賞した
黃家賢、楊豐銘。
さて今回、プレスルームで多くのメディアが殺到したのが最優秀新人賞を受賞したØZI。
デビューアルバム『ØZI The Album』で、中国語アルバム賞、年度楽曲賞、中国語男性歌手賞、編曲家賞、シングルプロデュース賞の計6部門にノミネートされ、新星のように現れた大型新人です。有名なタレント葉璦菱を母に持つ、いわゆる二世タレントなのですが、そのことを差し引いても、その才能と将来性に期待が集まっているようです。
喜びのコメントを行っていると……
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突然お母さんからのコールイン!ØZIよりも饒舌に喜びを語る姿にØZIも苦笑い
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新人とは思えない堂々としたパフォーマンス
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写真提供:台視 |
もう一人注目を集めたのは、ØZIが逃した最優秀中国語男性歌手賞を射止めたLeo王。
普段はラッパーグループ夜猫組のリードボーカルですが、蛋堡がフィーチャリングしたソロ「無病呻吟有情抒情」での受賞です。同賞をラッパーが受賞するのは金曲奨史上初めて。この快挙に会場は騒然となりました。
台湾の名門大学、台湾大学を中退して音楽の道に入った異色の経歴の持ち主ですが、「自分の創りたいものだけを創ってきた。アーティストにとって、それが一番重要!」と、叫ぶように発した受賞コメントに大喝采を浴びました。
写真提供:台視
最優秀中国語男性歌手賞のプレゼンター、
莫文蔚(カレン・モク)。
陳奕迅(イーソン・チャン)と並んで、台湾人から愛される香港スター一人です。今回ノミネートされた人々は読み方が難しくて緊張する~と言いながら、候補者を呼ぶ姿がキュートでした。
そして最優秀ボーカルグループ賞を受賞したのは
椅子楽団(The Chairs)。
レッドカーペッドにはなんとメンバーのパパたちが登壇したんですよ。このグループを今回初めて知ったナビは、20代のはずなのに、レッドカーペッドで見る彼らはどう見てもおじさん(失礼!)。老けてみえるだけかな?と勘違いしていましたが、本物の彼らを見て、年相応だと一安心(笑)。
若者はジャンプ撮影を強いられるのが台湾!
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とってもダンディですが、やっぱりどう見ても20代には見えなかったです。
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孫盛希(スン・シェンシー)は、『希遊記』で最優秀中国語アルバム賞を受賞。このほか、中国語女性歌手賞、年度アルバム賞、編曲家賞にもノミネートされていました。
ちなみに、冒頭の技術賞を除く受賞者は全員20代!なかなか若い世代が育たないと言われてきた台湾音楽シーンですが、こうしてどんどん新しい人が育てばますます質も高まっていくことでしょう。
もしかしたら今、世代交代を迎えつつあるのかもしれない、そんなふうに思わされた受賞結果でした。
プレゼンター紀曉君(サミンガ)とMatzkaから発表された原住民語歌手賞、原住民語アルバム賞は『斯瓦細格』の雅維·茉芮(Yawai·Mawlin)がダブル受賞!
タイヤル族出身の彼女は、故郷の集落の名を冠したこの曲も自ら書きました。現代的な曲風にタイヤル語をのせた曲は、音の響きがとても新鮮。原住民語音楽の多様化が感じられます。「故郷の物語を曲にしている」という雅維·茉芮、今後さらに注目されそうなアーティストです。
写真提供:台視
そして、プレゼンターの
王彩樺と
盧廣仲(クラウド・ルー)から発表された台湾語男性歌手賞は、『溫一壺青春下酒』の
流氓阿德が受賞しました。
台湾語女性歌手賞に輝いたのは『露螺』の
江惠儀。「古い台湾語曲、新しい台湾語曲とは何かとよく言われるけれど、音楽も言葉も文化発展の一部。自分が好きなスタイルの台湾語曲を創り、私自身がこの時代の台湾語曲の証拠になりたい」という受賞コメントがとても印象的でした。
ちなみに彼女は現在も中華電信でプログラマーとして働く才女でもあります。「二束の草鞋」が見事に実を結びました!
台湾語アルバム賞は
廖士賢の『廖士賢 西部』。
「私は嘉義人なので嘉南平原には特別な思いがありました」とアルバムモチーフについて語りました。
楊淑喻
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羅思容
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客家語歌手賞は『理所當然』の楊淑喻(吉那罐子)、客家語アルバム賞は羅思容の『落腳』がそれぞれ受賞しました。 |
それからインストゥルメンタル部門の最優秀アルバム賞は、なんと日本のジャズバンド
東京中央線の『Lines&Stains』が奪取!
「賞のために作ったアルバムではなかったので嬉しい」と喜びを述べました。皺とシミという意味のタイトルが付けられたこのアルバム、遊び心や楽しさ、艶が目一杯伝わってきて、年齢を重ねたからこその深みや厚みが魅力になって染み出しているんだなと思わせられます。今回フィーチャリングした台湾人のサックス奏者・謝明諺の演奏も、聞き所です。
最優秀バンド賞は、日本のメタルファンにもその名を轟かせるブラックメタルバンド閃靈(ソニック)。アルバム名はその名も『政治』ですが、それも受賞に影響しないのが金曲奨の良さですね。
現在政治家としても奮闘中のボーカル林昶佐(フレディ・リム)は、ちょうど香港で逃亡犯条例の改正を巡ってデモが起きていた時期でもあり「香港頑張れ、台湾万歳」と発言。元々、元々二・二八事件、霧社事件や高砂義勇兵などのテーマにした曲も多く、人権問題にも積極的に関わっているフレディらしさが全面に出ていました。
最優秀作曲家賞を艾怡良(アイ・イーリャン)が受賞するとプレスルームで大歓声が上がりました。
プレゼンターはA-Lin。
写真提供:台視
最優秀作詞家賞は
李宗盛(ジョナサン・リー)が受賞。代理でなんと
五月天(Mayday)
阿信が受け取りました。
「弟子である私が恩師の代わりに賞を受け取ります。みんなに『ありがとう』と伝えて欲しいと言っていました」と、とても簡単な挨拶。ナビ個人のSNSには阿信最高というメッセージが踊りました!
ちなみに「新寫的舊歌」は700文字弱を使って、父親との関係を描写しています。力強く渋い歌声も合わさり心に響きますよ!流行曲だけでは語りきれない台湾音楽の層の厚さを感じると思います。是非台湾男性からの熱い支持を受けている彼の歌声を聴いてみてくださいね!
王若琳(ジョアンナ・ウォン)は、審査員賞を受賞。
実はこの賞、ほとんど該当者なしという状態で、今年も特に受賞者がいることを知らさされていませんでした。そのため名前を呼ばれた王若琳は会場にいないハプニングがあったんです。お弁当を食べていたところ、受賞したことを知り、あわててステージに走って向かったんだそう。
会場にいない娘にかわり、音楽プロデューサーである父・王治平さんがトロフィーを受け取り、そのトロフィーを王若琳へ渡す、超レアな場面がありました。
「ありがとうございます。父からトロフィーを受け取るなんて特別ですね!」と語りました。
客家語歌手賞と客家語アルバム賞のプレゼンターは羅文裕(ルオ・ウェンユー)。
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原住民語歌手賞、原住民語アルバム賞を発表しに、登壇早々、アカペラを披露してくれた紀曉君(サミンガ)とMatzka。
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インストゥルメンタル部門の最優秀アルバム賞のプレゼンターは、許郁瑛(シュー・ユーイン)
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写真提供:台視 |
蔡依林(ジョリン・ツァイ)、ダブル受賞で圧倒的存在感!
写真提供:台視
自らも年度アルバム賞にノミネートされているのに、最優秀中国語アルバム賞、年度アルバム賞のプレゼンターも務める
陳奕迅(イーソン・チャン)。
最高の盛り上がりを見せる最優秀中国語アルバム賞のプレゼンターは、国民的の五月天(Mayday)。今回はなぜか阿信、怪獸(モンスター)、瑪莎(マサ)のみの登壇。
年度楽曲賞のプレゼンター、五月天(Mayday)のマサからジョリンの名前を呼ばれると顔を手で覆ったジョリン。舞台上では作詞協力した阿信とも抱き合い喜びを共有。これには会場が沸きました!というのも、ネット上でのやり取りが親密で、付き合っているのではないか?と言われているからです。
でも、そんな周りを吹き飛ばすかのような愛溢れるコメントに、ナビの目はうるうる……。
「この曲は生命力に溢れています。侯季然監督に再度お礼を言いたいです。葉永鋕事件を教えてくれてありがとうございました。葉永鋕さんは私に気づかせてくれたんです、どんな状況であれ、自分がある種の少数派になる可能性があることを。だから相手のことを思うおもいやりの心を持って、周りの人たちを愛していきたいと思います。この曲は葉永鋕さんに捧げるとともに、かつて選択肢もチャンスもないと思っていた方々にも捧げます。覚えておいてください。自分で自分を選ぶこと、そして自分を支持することを!」
葉永鋕事件とは、女っぽいという理由からいじめに遭った少年がトイレで謎の死を遂げたこと。これを機に性の多様性の議論が進みました。
中国語、台湾語、客家語、原住民語のアルバム賞にノミネートされたすべてが対象となる最優秀年度アルバム賞には『Ugly Beauty』の蔡依林(ジョリン・ツァイ)「玫瑰少年」の年度楽曲賞とダブル受賞です。
今回、7部門最多ノミネートをしたのは、蔡依林(ジョリン・ツァイ)と林憶蓮(サンディー・ラム)。最優秀女性歌手賞のほか、最優秀年度楽曲賞、最優秀歌唱録音アルバム賞、最優秀中国語アルバム賞、最優秀年度アルバム賞など、5部門で対決することになりました。
そのうち最優秀女性歌手賞を射止めたのは、
林憶蓮(サンディー・ラム)。本人はあいにく欠席でしたが、経験や地位に甘んじない、常に新境地を求める姿勢が受賞へと導いたとのこと。
しかしながら、やはり一番の存在感を放っていたのは蔡依林(ジョリン・ツァイ)でしょう。20年前、アイドルとしてデビューした彼女が、今では最新の音楽やファッションを発信するアイコン的な存在になりました。『Ugly Beauty』然り、LGBT支持然り、強いメッセージ性を込めた歌を、MV、衣装、ファッション、できうる限り最高のパッケージに包み、より多くの人に届きやすい、受け入れやすい形で発信。もちろんそれはジョリンを支える多くのスタッフ、クリエーターたちも優秀だからこそですが、カリスマ性を備えたジョリンの功績は大きいと思います。もはやオピニオンリーダー的な風格さえ備えた彼女が、この二つの大きな賞を受け取ったのは、実に納得の結果だったのではないでしょうか。
一方で、金曲奨ノミネート初で最優秀賞受賞という、若い世代の受賞も目立った今回。新たな未来の30年に向けて、新しい才能の誕生、成長が強く望まれ、反映された結果なのかもしれません。その変化と発展を今後も見続けていきたいです。
以上、台北ナビ(二階堂 里美)でした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2019-08-19