今年もやって来た!中華圏の音楽界が大注目する金曲奨!栄冠に輝いたのは?
こんにちは、台北ナビです。
台湾のグラミー賞とも言われる音楽の祭典「第28回ゴールデン・メロディー・アワード」(金曲奨)が6月24日に台北アリーナで開催され、ナビは今年もレッドカーペットと授賞式に潜入してきました。
当日の模様をレポートします。
華やかなレッドカーペット
金曲奨で楽しみなことといえば、なんといってもレッドカーペット! 毎年人気アーティストが勢揃いします。開始の1時間前にはレッドカーペットの沿道にすでに人だかりが。特に今年は超人気バンド、メイデイ(五月天)が最多8部門にノミネートされていたこともあり、メイデイファンの熱気があふれていました。
レッドカーペットで特に輝いていたアーティストをナビセレクトでざっとご紹介します。
銀のキラキラがちりばめられた可憐な白ドレス。優雅さと大人な雰囲気を醸し出していていました
レイニー・ヤン(楊丞琳)年々色気と貫禄を増しているレイニー。レイニーは、今年はソーダグリーン(蘇打緑)の青峰が作詞した「年輪説」で年間楽曲賞にノミネートされました。実はレイニーが金曲奨にノミネートされるのは初めて。これで台湾の「三金」と呼ばれる金曲奨(音楽)、金馬奨(映画)、金鐘奨(テレビ)全てでのノミネートを果たしました。レイニーの才能の幅広さを物語っています。
ヤン・ナイウェン(楊乃文)は、足がうっすらと透ける黒と緑のレースドレスでセクシーに決めました。
ナイウェインは現在43歳。スタイルは衰え知らずで、細さは今回登場した女性有名人の中ではナンバーワン♪
バレンチノの透けドレスで登場した
ジョイ・ヨン(容祖兒)にはみんながドキドキ。
まるでドレスの下に何も身に着けていないかのようですが、インナーに肌色の下着をつけていたみたいです。
男性ではナビ的ヒットは、ヒップホップ歌手の
リー・インホン(李英宏、DJ Didilong)。
実はナビは今回はじめてこの方の存在を知ったのですが、イケメン度の高さに思わず凝視してしまいました。
もちろん
クラウド・ルー(盧廣仲)も忘れてはいけません。
今回はトレードマークの短パンではなく、ダブルスーツ姿を披露。スーツ姿も実は似合うんだなぁと思いました。
その他、主だったゲストです。
トリを飾った大人気メイデイ
いよいよセレモニーに突入!
セレモニーは夜7時に、チャン・チェンユエ(張震岳)、MCホットドック(熱狗)、頑童による台湾原住民(先住民)の要素たっぷりなパフォーマンスで開幕。
(金曲奨提供)
チャン・チェンユエは先住民の伝統領域の保護を訴えるメッセージを掲げ、先住民にエールを送りました
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新人賞のプレゼンターを務めたクラウド・ルー
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(金曲奨提供) |
1つ目のアワード、新人賞は最近主演ドラマが大ヒットしたクラウド・ルーにより発表されました。
草東沒有派對(金曲奨提供)
受賞したのは、今回6部門ノミネートされ注目を集めたインディーズバンド
「草東沒有派對」。ナビは金曲奨ノミネートのニュースで初めてこのバンドについて知ったのですが、実は音楽ファンにはすでに名の知れたバンドで、ライブは即ソールドアウトになるほどの人気なのだとか。どんなメンバーがいるのかと興味があったのですが、取材陣の前に登場した彼らは好青年そのもの。謙虚で誠実な受け答えで、かなり好感を持ちました。
アルバム「醜奴兒」を聞いてみると、独特の世界観があり、なんとなくジェイ・チョウ(周杰倫)の初期のアルバムを聞いたときに受けた印象と似たような感覚を覚えました。今後注目していきたいバンドです。新人賞受賞者は受賞後にパフォーマンスをするようになっているのですが、彼らはメンバーのうち2人が兵役中でリハーサルの時間がなかったということで、パフォーマンスは披露されませんでした。
ですが、その後にプレゼンターとして登場したウェイ・リーアン(韋禮安)が草東の「大風吹」の一部分をアカペラで披露してみせるというサプライズもありました。リーアン、サービス精神旺盛です。
リーアンは演奏類作曲家賞、作曲家賞を発表。作曲家賞受賞者のホアン・ジェンウェイ(黃建為)はリーアンの手助けがあったからこの賞を取れたと話し、リーアンの手からトロフィーをもらったことをとても喜んでいました。
「大風吹」を熱唱するウェイ・リーアン(金曲奨提供)
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ホアン・ジェンウェイ(金曲奨提供)
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特別貢献賞の発表前には、今回の台湾語女性歌手ノミニー、鳳娘、秀蘭瑪雅、曹雅雯、黃妃、李婭莎の5人が特別貢献賞受賞者、紀露霞の代表作「望你早歸」を熱唱。ハイレベルなパフォーマンスで観客を酔いしれさせました。(金曲奨提供)
台湾語の歌手賞はこのお二人が獲得
続いて発表された台湾語女性歌手、男性歌手はそれぞれ曹雅雯と謝銘祐が受賞。謝は台湾語が分からない若者が多くなっている現状を憂い、台湾語の普及を願いました。台湾語アルバム賞はウーバイの「釘子花」が受賞。
曹雅雯(左)と謝銘祐
陳建瑋と羅文裕のステージ(金曲奨提供)
その後は前回の台湾語男性歌手受賞者、陳建瑋と客家語男性歌手受賞者、羅文裕によるステージが披露されました。
ステージが終わると演奏類アルバムプロデューサー賞、演奏類アルバム賞が発表されました。
年間楽曲賞は草東沒有派對
トロフィーを手渡すジャム・シャオ(右)(金曲奨提供)
注目の賞の一つ、年間楽曲賞ではプレゼンターとしてジャム・シャオ(蕭敬騰)が登場。ジェイの「告白気球」、レイニーの「年輪説」、メイデイの「頑固」など強豪7曲が名を連ねる中、トロフィーを獲得したのは、草東沒有派對の「大風吹」。新人賞に続いて今回2つ目の賞を草東が手にしました。ここに来ると草東が主要部門を総なめするのではとのムードも漂ってきました。
メイデイのモンスター(右)と競演するGLAYのTERU(金曲奨提供)
客家語歌手賞、客家語アルバム賞の発表の後は、GLAYのステージ。GLAYは4年ぶりの台湾でのパフォーマンスということで、台湾メディアからの注目も高く、レッドカーペットの取材エリアでは多くの記者がメンバーのまわりに殺到。
TAKUROは「日本ではこんなに多くのメディアに囲まれることはない」と話し、台湾の気温的な暑さだけでなく、メディアの熱さにも驚いていました。GLAYは「the other end of the globe」と「誘惑」の2曲を披露。「誘惑」ではメイデイのギター、モンスター怪獣とコラボし、会場を盛り上げました。
ステージ終了後に、来年3月に台湾公演を行うことを発表したGLAY。台湾でお待ちしております。
桑布伊
原住民語歌手賞は、プユマ族の
桑布伊が受賞。
原住民語アルバム賞にはパイワン族の女性歌手、ABAO(阿爆)の
「vavayan 女人」が選ばれました。ABAOは英グラストンベリーフェスに出演のため式典は欠席。代わりに同作のプロデューサーを務めた日本と香港のハーフの荒井十一(壮一郎)さんがスピーチを述べました。このアルバムはパイワン語で歌われているので、ナビは全く歌詞の内容は分からないのですが、とてもポップでおしゃれな曲が詰まっていて、聞いていると思わずリズムに合わせて身体を動かしてしまうくらい楽しい作品です。今回のノミネート作品を一通り聞いてみた中で、ナビ的には一番のお気に入り。みなさんもぜひ聞いてみてください。
客席が大いに沸いた作詞家賞
スピーチをするアシン(金曲奨提供)
ウェイ・ルーシュエン(金曲奨提供)
今回、会場が大いに沸いたのは、作詞家賞。メイデイの
アシン(阿信)の名前が呼ばれると、会場からは大歓声が上がりました。
アシンはスピーチで「一生作詞者賞をとれなかったら『こいつは作詞者賞をとれなかった』と墓に刻むところだったけど、それはできなくなったね」とユーモアたっぷりに喜びを伝えていました。
スピーチが終わっても会場のざわつきは収まらず、プレゼンターのウェイ・ルーシュエン(魏如萱)が「冷静にー!」と叫ぶ一幕も。メイデイのファンの熱さを感じました。
次の編曲者賞でも驚きが。受賞者の香港歌手、
エレン・ルー(盧凱彤)はスピーチで「妻に感謝します」と同性婚をしたことを発表。会場を驚かせました。
ナビがいた舞台裏の取材エリアでは「フーッ」と温もりある歓声が上がり、おめでたい空気に包まれました。これはやはり同性婚法制化に動き出した台湾ならではの反応だなぁと思います。
ちなみに婚姻届けは昨年、海外で出したそう。「あなたがいなければ台湾で活動することはありませんでした」と妻に感謝を伝えていました。報道によれば、お相手は台湾人カメラマンとのこと。台湾では2年以内の法制化を目指しているため、2年後に台湾でも婚姻届けを出すことを考えたいと話していました。
存在感を見せたヨガ・リン
続いては今回中国語男性歌手賞にノミネートされていたヨガ・リン(林宥嘉)のパフォーマンス。舞台・映像監督の周東彦とのコラボレーションで、金曲奨史上初となる3Dホログラムを採用したステージが披露されました。
ヨガの歌う「沒用的傘」の歌詞と映像がうまくマッチし、まるでミュージカルを見ているような気分に。ヨガの表現力の高さも垣間見られました。
香港の歌手、ジョイ・ヨン(容祖兒)によってアルバムパッケージデザイン賞、ミュージックビデオ賞が発表された後、レイニー・ヤンがステージに登場。演奏レコーディングアルバム賞、歌唱レコーディングアルバム賞を発表しました。
レイニーが登場する前、CMに入る際には、レイニーの名前とともに、この次にパフォーマンスを行う中国の歌手、リー・ロンハオ(李栄浩)の名前が並んで画面に映し出されたのですが、この2人は交際を認めており、なんとも話題性をねらった演出でした。
リー・ロンハオ(金曲奨提供)
ロンハオはツイ・チェン(崔健)「一無所有」、Beyondの「歲月無聲」、ウーバイ(伍佰)の「樹枝孤鳥」と中国・香港・台湾のロック界を代表するアーティストの楽曲を披露。中華圏のロック音楽に敬意を表しました。
(金曲奨提供)
今回は2013年以来4年ぶりに審査員団賞の該当者が選出され、生祥楽隊の
「圍庄」にトロフィーが贈られました。
同アルバムは伝統音楽の北管にパンク、フォーク、ロックの要素を組み合わせたことが評価されたようです。
続いて発表されたコーラスユニット賞は中国の男女ジャズデュオ、
Mr.Missが受賞。
中華圏の中ではジャズは比較的マイナーということですが、2人は軽快でユーモアあふれる音楽を作り出しており、台湾のバンド、ワンフー(旺福)や自然捲からも影響を受けたと語っていました。
草東がバンド賞受賞で三冠!
メイデイのほか、ジャム・シャオ率いる獅子合唱団、ベテランの董事長楽団など強豪がひしめき合ったバンド賞を制したのは、草東沒有派對。この日3つ目の賞となり、会場は大いに沸き立ちました。
草東はメイデイを下したことについて聞かれると「みなさんの心の中にあるメイデイの地位はゆるぎません」と謙虚に答えていました。メイデイは受賞を逃したものの、舞台下で草東に拍手を送っていたほか、式典終了後のインタビューでは「草東が獲ってくれてうれしい」と先輩らしい貫禄を見せていました。さすがです。
代わりにトロフィーを受け取ったチャン・ユーシャンの母親(左)と弟
2人目の「特別貢献奨」を31歳の若さで亡くなった
チャン・ユーシャン(張雨生)に授与する前には、アーメイ(張惠妹)がユーシャンの代表曲「天天想你」ら5曲を情感たっぷりに歌い上げ、会場を感動に包みました。
最後には涙をぬぐう仕草も見せていたアーメイ。映像を通じて恩師であるユーシャンとの共演を果たし、ユーシャンを偲びました。
(金曲奨提供)
楽曲プロデューサー賞に続いて発表されたアルバムプロデューサー賞は、「vavayan女人」で
荒井十一さんが受賞。
荒井さんの同賞受賞は2015年に続いて2回目となりました。
この後メイデイが今回複数ノミネートを果たした「頑固」を披露。会場は大歓声に包まれました。
(金曲奨提供)
中国語男女歌手賞は2人とも初受賞
イブ・アイ(左)とカリル・フォン
前回の受賞者、リン・ジュンジエ(林俊傑)によって発表された中国語男性歌手賞は、
カリル・フォン(方大同)が受賞。6回目のノミネートにして初受賞となりました。
カリルは「この賞を取れるとは思わなかった。音楽には多くのものをもらったため、音楽にお返しがしたい。これからも努力を続けます」とさらなる意欲を示していました。
審査員団主席によると、カリルは1回目の投票で20票中18票を獲得。圧倒的な勝利だったようです。
プレゼンターを務めたJJ
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中国語女性歌手賞発表の前には、前回の受賞者、ジュリア・パン(彭佳慧)がステージを披露。G.E.M鄧紫琪の「夜空中最閃亮的星」に乗せて、スクリーンにはこれまでの金曲奨授賞式の名場面が映し出されました。
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(金曲奨提供) |
中国語女性歌手賞を受賞したのは今回7部門ノミネートを果たした
イブ・アイ(艾怡良)。
歌、創作能力ともに高い実力を持ちながらもなかなか芽が出ていなかったイブ。とても嬉しそうにスピーチをしていたのが印象的でした。
審査員団主席によると、女性歌手はウェイ・ルーシュエン、ジャージャー(家家)、イブの3人に関する討論が多く行われ、イブは野心とポテンシャルの高さを評価されての受賞となったそうです。
メイデイが中国語アルバム賞を獲得
中国語アルバム賞は本命の
メイデイ「自伝」が見事獲得。
マサは「20年をともにしたメンバーに感謝します。20年の絆があったからこそこのアルバムを生み出すことができました」と感情的にスピーチしました。
アシンは式典後のインタビューで、「メイデイは本当に幸運。今日の結果はとてもとても嬉しい。重要な賞をとれた」と喜び。そして、「新世代のアーティストが賞を獲り、多くの音楽を愛する人が注目されたのはすばらしいこと」と音楽界全体の発展にも関心を向けていました。
そしていよいよ最後の賞「年間アルバム賞」の発表。この賞は今年初めて設けられた賞で、中国語、台湾語、客家語、原住民語の各ノミネートアルバムを含む24作品から選ばれるものです。受賞したのは、原住民語アルバムの「桑布伊創作專輯 - 椏幹」。
Sangpuy(桑布伊)は原住民語歌手賞を受賞しましたが、アルバムは原住民語アルバム賞を受賞していないため、意外な結果となりました。桑布伊は受賞を「光栄」だと話し、先住民の領土の保護などに関心をもってもらえるようになればと願いを伝えました。
「椏幹」の製作陣
(金曲奨提供)
レッドカーペットを含め、6時間半におよんだ金曲奨はこれで終了。最終結果は、草東沒有派對とSangpuyがともに3部門を獲得し、最多受賞。前評判の高かったメイデイは2部門にとどまりました。
今年は話題性の高いアーティストのノミネートが多くなかったため、なんとなく地味な印象の金曲奨でしたが、草東の3部門受賞や、原住民語アルバムが年間アルバム賞を獲得したことなど、台湾ローカルの、特色あるポテンシャルの高い音楽が評価を得たのは、とても喜ばしいことだと感じました。金曲奨の意義の一つには、メジャーでないアーティストを世間に紹介するというものがあります。
さて、来年はどんなアーティストが出てくるのか。今から楽しみにしたいと思います。
以上、ナビがお伝えました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2017-08-04