台湾のお祭り③「迎王祭」

3年に1度の南部東港のお祭り!これはもう見に行くしかない!


こんにちは、台北ナビです。

ある日、ナビは台湾人のナビ友と台湾のお祭りについて話をしていました。

「同僚にさあ、田舎のお祭りだからって、会社に1週間以上の休暇届けだした奴がいるんだよう。」「ひぇ~、それってすごいね、どんなお祭りなの?」「3年位1度しかなくて、でっかい船を燃やすらしいよ!そん時、村の男はどこで仕事をしていようが絶対帰らなきゃいけないらしい」…何となく記憶の片隅に残っていた友との会話が、今回くっきりと姿を現すかのごとく蘇ってきました…。
仕事を探すのが大変と言われている今の台湾で、仕事よりも大事な祭り!!
こんなすごい祭りは、台湾南部の屏東県にある東港から始まります!ナビは行く前からワクワクしてしまいました!

迎王祭とは?


東港というと、台湾最大のマグロの引揚げ漁港、そして、小琉球へ渡る船が出ているところとして有名です。南部ののどかな雰囲気と漁港の活気にあふれるこの町は、高鉄「左営」駅から30分に1本運行する墾丁快線に乗り、約45分でまず大鵬灣に到着。ここから東琉線接駁巴士に乗り約10分で着くことができます。
さて、今回ナビたち取材班を案内してくれる予定だった方も、祭りで神輿を担ぐから、という理由でお目にかかれず。やはり仕事より祭り!が、祭り役(これは後で説明)に選ばれてなくても、東港の男ならこの時期は帰るのが当たり前だろ、と20代の若者たちも口をそろえて言ってくれました。こんなに男たちを魅了してやまない(ナビは女ですが見る前から魅了されています)ステキな祭りの名前は「迎王祭」(王爺を迎え入れる祭り)と言います。

「迎王祭」がよくわからない人に焼船祭よ、と言うと、その豪華で大きな船を焼く情景が印象的なため、あ~あれ?!、とピンと来る人たちも多いそうです。が、船を焼くのは、東港の人たちにとっては、お祭りの最後に神様を送る場面のこと。土地の人たちはその様子を直視しないこともあり、焼船祭と呼ばれることをとても嫌がります。祭りの最後に王船を燃やしながら海へ流す時は、王爺がすべての悪を持っていってくれるので、土地の人たちは身に着けた笠や腰紐などを脱ぎ捨て、厄病神が追ってこないように振り返らずに一目散に立ち去るのです。
送ることよりも迎え入れることの方が大切、というわけで「迎王祭」なのです。 

今年の日程など


100年以上前から、中国福建省の沿海一帯で始まったこのお祭りは、「海」を生業にしている人たちが、海上での安全と厄除け、好運を祈ることから始まりました。2012年の今年は、10月14日~21日東港、11月2日~8日小琉球、11月26日~12月1日南州の順番に行われます。
さて、この日程なんですが、台湾では、端午節や中秋節などのように旧暦の何月何日と決まっているから、今年はその旧暦の日に当たる新暦の日に行うというのが通常ですが、なんと「迎王祭」は、毎回決まっていません…。え?じゃあいつわかるんですか?と東港の人に聞くと、1か月前くらいに神様に聞いて決まるんだよとのこと。大体10月の中ごろと言うことで、正確な日にちは神様がお決めになるのです。
でも、それからすべてを準備するのって大変では?と聞いたら、実は先のお祭りが終わって3日後に、次回手伝う人たちの役割が決められるので、実際にお祭りを行う日程以外の段取りは3年間にわたってついているのです。 
さて、2012年の今年は、以下のような日程でした。

10月14日(初日) 請水、過火(王爺を迎え入れる儀式)
10月15日~18日(2~5日目) 東港内を行列が歩きます。
10月19日(6日目) 王船法会(各角頭が順番に王爺を参拝します)
10月20日(7日目) 遶境(王船が東港内を回ります)
10月21日(8日目) 送王(王船を焼きます、深夜2時開始~)
 

祭りの見どころは、「請水」「王船を見る」「過火」「遶境」「送王」の5つでしょうか。

うち「請水」「王船を見る」「過火」は初日、「遶境」「送王」は7日目から8日目の明け方にかけて見ることができます。
車両が入れないので

車両が入れないので

ナビたちは歩きます

ナビたちは歩きます

途中、乩童(台湾語でキートン)に遭遇

途中、乩童(台湾語でキートン)に遭遇

神がかりになるので

神がかりになるので

倒れないよう支えます

倒れないよう支えます

スゴイ人です

スゴイ人です

「請水」の海岸へ

「請水」の海岸へ

向かいます

向かいます

もちろん屋台も出現

もちろん屋台も出現

祭りの役割を担う人たち

大総理

大総理


さて、3年前に祭り役を仰せつかった人たちのことを少し説明しましょう。

東港を7つのエリアに分けますが、その分けたエリアのことを「七角頭」と言います。その各エリアの廟から祭り役に選ばれた男たちが中心となって「迎王祭」を行うのです。

毎年「七角頭」の「大千歳」という役が回ってきたエリアの人たちは、大総理、内・外総理、参事を選び、その他6カ所の角頭からは、副総理と参事を選びます。大総理はその年の主祭官で、副総理は祭儀補佐にあたります。
副総理

副総理

内総理、外総理

内総理、外総理

「中軍府」や「温王爺」という役割を担ったエリアの人たちは、王船の建造管理や祭り期間内の一切の庶務を請け負います。

以下の服の色で、見分けがつきますよ。
藍(温王爺)、白(中軍府)、薄紫(五千歳)、緑(四千歳)、黒(三千歳)、薄ピンク(二千歳)、黄(大千歳)
「七角頭」以外に、儀式の進行や文書面を担当する内司、儀式で使用される用具の管理や警備を担当する班頭も重要なポストです。
内司

内司

班頭

班頭

「請水」

爆竹が響き、風船が飛んでいく…

爆竹が響き、風船が飛んでいく…


まずは、「請水」という王爺を迎え入れる儀式から紹介しましょう。

儀式は東港の「鎮海公園」で行われ、砂浜にはたくさんの料理が並べられます。ナビが行った日は初日だったので、この「請水」の行われる日でした。「請水」が終わると、爆竹が鳴らされるのですが、海岸近くに来た時に、もうバチバチバチっと爆竹の音!遅かった~!

謝将軍・范将軍や八家将たちが急いで出てきました。残念ながら「請水」の儀式を見ることが出来ませんでしたが、祭りに参加している七角頭や主要な役の人たちの行列を見ることができました。「請水」の後、王船が燃やされるまでの期間、マリンスポーツは禁止されています。 
七角頭の先頭を切るのは、藍色の(温王爺)です 七角頭の先頭を切るのは、藍色の(温王爺)です 七角頭の先頭を切るのは、藍色の(温王爺)です

七角頭の先頭を切るのは、藍色の(温王爺)です

またしても、乩童(キートン)

またしても、乩童(キートン)

若い人はもうこれはやりたがらないそうです

若い人はもうこれはやりたがらないそうです

海岸では、まだ儀式が続いています

海岸では、まだ儀式が続いています


それでも海岸に入って行くと、まだ多くの人たちが待っています。ここにいる女性は祭り役ではなく、一般の人たちです。女性が参加できるのは、神楽団、大漢楽団だけで、笛やラッパを吹いている人たちです。10月半ばの東港…日中の気温は30度を超えています。しかし、男たちはとても忍耐強く、そして疲れた風でもなく、誇らしげでもあります。

何故ならこの日は、選ばれた男たちだけがこの行列に加わることが出来るのですから。たとえば黄色い服の大千歳から下頭角の役割を果たすのは、民国41年生まれの呉と言う名字の男性という風に、生年月日と名字から選ばれました。この行列に加わっている人たちは、すべて今回の「迎王祭」の役割を王爺に選ばれた人たちで、中には3歳の男の子もいます。 
向こうは海 向こうは海

向こうは海

我慢強く…

我慢強く…

待つ人々

待つ人々

犯人とは?

家族から行くべきと言われやってきたそうです

家族から行くべきと言われやってきたそうです


さて、男女問わず、時々首に黄色い輪や四角いものをかけた人たちを見かけます。彼らは、かつて王爺に請うて健康になったとか改善した人たちで、この日首に黄色い紙の首輪をかけ、太い線香を1本持ち、王爺にお礼を述べに来たというわけです。自分を悪者として仕立てるため、この祭りの期間中は犯人と呼ばれます。また、新しい服を着ちゃいけない、過火に参加してはいけない、みこしを担いではいけないなどなどいろんな規則を守らなければならないのです。
大千歳の上にハトがとまり、1時間ほどいました… 大千歳の上にハトがとまり、1時間ほどいました…

大千歳の上にハトがとまり、1時間ほどいました…

中山路へ


今日はナビたちも皆と同じ道を歩きました。鎮海公園からの大通りをまっすぐ、そして、中山路を歩きます。この日は老若男女東港の住人はすべて通りに出てきます。皆線香を持って静かに待っていたり、ひざまずいて祈っていたり、小さな男の子も手を合わせていました。

八家将に遭遇


街中人、人、人…。

この後、ナビたちは王船を見に、また「過火」の会場である東隆宮へ向かうところで…。 
始まりました~ 始まりました~

始まりました~


各家庭の前にはお供え物が置かれます。

基本的にこのお祭り期間は、12種類の料理を準備しなければいけません。

休みなしの「歌仔戯」!


東隆宮の門の前では、台湾の京劇といえる「歌仔戯」が演じられていました。

祭りの8日間は24時間休むことなく、演じられるそうです。
祭りの期間ぶっつづけ!

祭りの期間ぶっつづけ!

子供たちも見ています

子供たちも見ています

東隆宮到着


金箔が貼られた豪華絢爛な門を入ると、向こうに火が燃えているのが見えます。

その向こうに「代天府」があり、ここは、「迎王祭」を主催する廟で、祭りの期間はこの廟内に入ることはできません。
きれいですねえ

きれいですねえ

向こうに火が燃えています

向こうに火が燃えています

火の向こうが代天府

火の向こうが代天府

広場は幻想的

広場は幻想的

この火は

この火は

19:00ぐらいの状況、「過火」は21時過ぎです

19:00ぐらいの状況、「過火」は21時過ぎです

「王船を見る」


門を入って左の方向に王船はありました。

東港の大工たちが約4か月の期間をかけて作り上げた船は、10m以上の長さで船内に人は乗らなくとも、浴室や台所、トイレ、羊や豚、鶏など家畜の小屋などすべての設備が整っています。豪華絢爛な船の建造には、50~60歳の熟練した職人たちが携わり、約700万元の費用がかかっているそうです。先ほどの「請水」が終わると、大千歳が来臨し、その年の王船の前方に入れられる名字を提示。今年は「耿」でした。船の周囲には、健康や家内安全などを祈願した札がたくさん掛かっています。 

「過火」

火が弱まってくると…

火が弱まってくると…


「七角頭」は、各エリアの廟の神様を「鎮海公園」から「代天府」のある東隆宮広場へお連れします。ここで燃え尽きた木々の上を歩く「過火」の儀式が行われるのです。「代天府」の前では、東西南北と中の5カ所で薪が燃やされます。火が消された後に塩と米がかけられ、藍(温王爺)、黄(大千歳)、薄ピンク(二千歳)、黒(三千歳)、緑(四千歳)、薄紫(五千歳)、白(中軍府)の順番で、神様を「代天府」の中に安置します。「過火」には、身を清め、災いから免れる厄除けの意味があり、一般の人たちもその後に続き歩いてもよいのですが、女性は歩くことができません。 

夜8時になると、燃やされた木が消される作業が始まりました。近づくととても熱いのですが、たくさんの人たちがこの数時間後に始まる「過火」を」見るために集まってきました。 
火にかける塩もこんなに準備

火にかける塩もこんなに準備

少しずつ消し

少しずつ消し

消しては待ち…

消しては待ち…

儀式が始まり、車も入ってきました 儀式が始まり、車も入ってきました
儀式が始まり、車も入ってきました 儀式が始まり、車も入ってきました

儀式が始まり、車も入ってきました

この上に塩と米をかけ、人が裸足で歩きます

この上に塩と米をかけ、人が裸足で歩きます

花火が上がって、七角頭が順番に入ってきます 花火が上がって、七角頭が順番に入ってきます 花火が上がって、七角頭が順番に入ってきます
花火が上がって、七角頭が順番に入ってきます 花火が上がって、七角頭が順番に入ってきます 花火が上がって、七角頭が順番に入ってきます

花火が上がって、七角頭が順番に入ってきます

ものすごい人でした!

ものすごい人でした!

「迎王祭」終盤の内容

 
「遶境」

七角頭と三太子、八家将、七爺八爺、十二婆姐陣たちが、王船を「送王」(船を焼く)の儀式をする鎮海公園へ移動させながら、東港内を歩きます。 
「送王」では、傘も焼き払います

「送王」では、傘も焼き払います


「送王」

真夜中を過ぎて、鎮海公園に到着。午前2時ごろから焼き始め、焼き終わるのは明け方の4時ぐらいになります。豪華な船が燃えていく様子は、荘厳的なものだそうですが、地元の人は直視しません。焼き始めたら喧嘩や太鼓を打ったりはできません。先に書いたように、王船がすべての悪を持っていってくれるので、焼き終わるまでは待っていません。この情景を見たがるのは、観光客だけよ、とは地元民の声。船を燃やした後の3日間は、慶事が禁止されています。 

今回3年に1度の機会に恵まれたナビ、 「迎王祭」は、海の男の祭りという印象を強く持ちました。
台湾と言わず、華僑のいる国では、海を守る神様「媽祖」を奉る「天后宮」があります。「媽祖」様のお祭りも盛大ですが、「迎王祭」では、使命感を持った男たちの情熱が強く伝わってきました。

また、3年後。 今度は、「遶境」と「送王」をぜひ見たいと思っているナビです。      
関連タグ:祭り南部

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2012-11-02

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