コンパクトな街だから自転車にまたがって自由に散策できます
こんにちは、台北ナビです。
台北ナビサイトで何度もご紹介している台東県池上にまたまた行ってきました。中央山脈と海岸山脈に挟まれた花東縦谷にあり、美味しい空気と水、肥沃な大地に育まれた台湾一美味しいお米の産地として知られています。
そんな池上は四季を通じてさまざまな表情を見せてくれる変化に富んだ場所。そして素朴ながらも多様な文化が混ざり合った場所でもあります。今回、田植えが終わったばかりの春の池上を2泊3日で満喫してきました。楽しさ、美しさ、おいしさをお伝えします!
池上の自慢は「明るい農村」
すっかりお馴染みになったプユマ号
台北からは特急タロコ号・プユマ号で最速3時間14分。少し弾丸になってしまいますが、日帰りが可能です。また、台東市と池上を結ぶ路線バスが乗り放題になり、沿線の商店やレストランなどで使える食事券やDIY体験券がセットになった「台東おもしろカード就是愛池稻」を購入すれば、台東市方面と合わせてお得に旅行できるのでお薦めです。
木造駅舎が風情のある池上駅
人口は約8000人。約40%は客家人で、約25%はアミ族を中心とした原住民が暮らしています。約700戸が農業に従事していて、お米はもとより、プリプリの肉質が自慢の鶏肉が有名です。高齢化と人口流出が著しいですが、自然や文化を観光資源として生かしていて、一年を通じて多くの観光客が訪れます。
田園地帯をサイクリングして「金城武の木」を見に行こう
さて、池上旅行の最大の楽しみといえば、田園地帯の中をサイクリングすること。実は、これまでにブラウンコーヒーやエバー航空など、台湾を代表する大企業のテレビCMでロケ地になり、多く人の記憶の中に池上の田園風景が刻み込まれているんです。
出発!
池上では役場の主導の下、500ヘクタールの面積で電柱を撤去し、景観の美化に勤めていて、実際に足を踏み入れると、なんともいえない爽快感が味わえます。台湾南部や東部では一年に2度お米ができる2期作が一般的ですが、池上も同様。春と盛夏に田植えが行われ、初夏と秋に収穫が行われるんです。緑から黄色へ、一年に何度も田んぼの色が変わっていきます。
エバー航空のCMでは、金城武さんがこの木の下で休憩するシーンが撮影され、その後「金城武の木」と名付けられたんです
サイクリングで体を動かしたらお腹が空いてきました。「多力米故事館」に併設されたレストランとショップ「池上好店」で食事です。ここは、精米工場を運営している梁正賢さんによって設立された交流施設。池上米の紹介や、農耕具、精米機などの展示があります。
レストランでは台東の食材をふんだんに使った定食が食べられました。しかも池上米はお替り自由。お腹いっぱい美味しい池上米が食べられるだなんて幸せです。ナビは椒麻雞と呼ばれるピリ辛のペッパーチキンをオーダー。花椒がたっぷり乗ってピリ辛で香ばしく、鶏肉は肉厚でジューシー。とっても美味でした。
多力米故事館住所:台東県池上鄉中山路193号
電話:(089)864283
営業時間:多力米故事館8:00~17:00 池上好店11:00~20:00(定休日:月曜日)
多力米故事館の裏手にはお米の倉庫だった建物をリノベーションした芸術スペース「池上穀倉藝術館」があります。池上にゆかりのある人や池上を題材にした作品などが展示されていて、違った角度から池上の美しさを知られます。
池上穀倉藝術館
住所:台東県池上鄉中西三路6号
電話:(089)862089
開館時間:10:30~17:30
定休日:水・木曜
折角なら池上の民宿に泊まろう!
台北からの日帰りもいいですが、折角なので池上に1泊するのはいかがですか?池上には民宿がたくさんあるんです。残念ながら夜遅くまでオープンしているバーやレストランはないのですが、天気がよければ、満天の星空が拝めるんです。実は台湾の西部は意外と大気汚染が深刻で、なかなか星空を眺めることができないのですが、空気が澄んでいる池上ではほかの地域にはない夜のお楽しみが待っています!
今回ナビが宿泊したのは「稻香文旅」。2019年にオープンしたばかりの新しい民宿です。街の中心部から目と鼻の先なのと、お昼にサイクリングした田園地帯にも比較的近く、使い勝手のよさがグッドです。
稻香文旅
住所:台東縣池上鄉中東二路23號
電話:(089)86 2777
さて、2日目は大坡池と呼ばれる池を散策します。池上という地名は、まさにこの大坡池に由来しています。本来はこの池の直ぐ南側に集落ができたため、「池上」という名前がついたんだとか。湧水池で、灌漑用水として使われるほか、釣りなどを楽しむ人で賑わいます。また、桜をはじめとする木花が植えられているほか、カエルやホタルの重要な生息地域になっていて、生態系にも富んでいます。
日本統治時代には豊富な水資源があることから移民村が計画されたこともあり、池上では特に歴史のある場所です。
ナビ一行はここで竹筏乗船に挑戦することになりました!オールを持って6人乗りの竹筏に乗り込みます。左右でしっかりとタイミング合わせれば意外としっかり前へ進んでいきます。
自転車を改造したような2人乗りのボートもあります。操作性に優れて体力に自信がない人でも安心です。
しかも池なので波がなく、流されてしまったり、転覆したりする危険性が少ないのもメリット。強風の時は思った方向に進むことが難しいこともあるそうですが、そんな時はモーターボートが牽引してくれるそうなので、心配ご無用です。
さて、2020年6月21日には台湾の澎湖島、嘉義県と台東県を中心に金環日食が見られるんだそう!アフリカのコンゴやエチオピア、サウジアラビア、パキスタン、インド、中国などでも観測できるのですが、この日最後に観測できるのが台湾なんだとか。
台湾ではこれを逃すと次に金環日食が見られるのはなんと2215年!ちなみに全日食は2070年に。部分日食は2023年にチャンスがあるんだそうですよ。
池上郷ではこれに合わせてコンサートの開催を計画中。新型コロナウイルスの影響で不透明なところはありますが、場合によってはインターネットで中継する可能性もアリ?池上郷からの情報をしっかりとチェックして下さいね。
ちなみに、大坡池の畔には「
楽賞大坡池音楽庁」という交流施設があり、音楽イベントだけでなく、天体観測イベントを実施しています。大自然の中で芸術に触れられるだなんてちょっと贅沢な場所じゃありませんか?
楽賞大坡池音楽庁
住所:台東県池上鄉忠義街1号
電話:(089)865620Facebookファンページ
お次にやってきたのは池上郷農会(農協)が運営する金色豊収館。ちょうど精米工場に隣接しているとあり、こちらでも農具の展示や精米工程を学ぶことができます。日本統治時代から本格的に始まった近代的な稲作ですが、それでも多くの人力を必要としていた様子を知られ、大変さが伝わってきます。
左が脱穀直後の米で右がもみすり後
実際にもみすりの作業を体験してみると、お米がたくさんの工程を経て食べられるようになるのだなぁと身を持って実感できます。しかも大変な重労働。白いご飯が手軽に食べられるこの時代ですが、それに至るまでにはたくさんの人の苦労があったことが分かりました。
さて、敷地内ではポン菓子作りにも挑戦できます。と言ってもポン菓子作りには一定の技術が必要なので、すでに出来上がったポン菓子に麦芽糖を絡めて長方体に形成する作業を行います。今回は麦芽糖に台東名産のローゼルを混ぜたスペシャルバージョンを作ってみました。
池上郷農会(農協)
住所:台東縣池上鄉新興村7鄰85-6號
電話:(089)865936内線40または41
地元食材を使った「豊作弁当」と「台湾で3番目に美味しいチャーハン」を食べるっ!
農協に隣接している「田媽媽池農養生美食餐坊田園料理館」で昼食と行きましょう。こちらの名物は、地元食材を使った「豊作弁当」と行政院農業委員会農糧署が行った「台湾チャーハン王――全民チャーハン対決」の「創意・流行」部門で第3位に輝いた「剝皮辣椒老菜圃雞肉炒飯」です。
「豊作弁当」は、プリプリの鶏モモ肉にタケノコ、豚の角煮、切り干し大根入り卵焼きなどをご飯の上にてんこ盛りした客家料理風味のご飯。器は客家花布の巾着に入れてお持ち帰り可能なのも嬉しいです。
そして、「剝皮辣椒老菜圃雞肉炒飯」はタロイモの香りがする「高雄147号」に青唐辛子漬けと甘い切り干し大根を混ぜ込んだチャーハンで、池上米で作られた台湾の人気スナック「乖乖」を砕いたものを散らしていただきます
口に入れた瞬間、普段食べ慣れているチャーハンとは全く違った香ばしさが口いっぱいに広がりました。醤油と切り干し大根のあまじょっぱさに加えて、青唐辛子付けの塩辛さ、そして、乖乖のスパイシーな風味が絶妙に混ざって、固定概念を覆してくれるおいしさ。これで全国3位なんだから2位と1位はどれだけ美味しいのだろうと興味もそそられました。
藍染の風呂敷作りにも挑戦!
さて、お次にやってきたのは池上の南側・富興地区にある発展協会の工房。ここでは染物体験ができます。本来であればタマネギなどの天然素材を使って染物ができるのですが、ナビたちは時短バージョンで人工顔料を使って染め上げます。
道具はいたって簡単。白い手ぬぐいと輪ゴム、割り箸またはアイスキャンディの棒。これで布を思い思いに縛って、染料を入れて煮込んだ鍋に投入するだけ。もちろん自分自身でどんな模様を浮かび上がらせたいという希望があれば、きちんとした縛り方がありますが、感性の赴くまま縛り上げて出来上がりを期待するのもワクワク感があって楽しいものです。
大体小1時間程度煮込んだら完成です。思い描いた通りの模様になっても、そうでなくても、独特の味わいがある世界に一つしかない手ぬぐいの完成です。
じゃじゃーん!色鮮やかな藍染ができました!
夕食は同じく富興地区にあるレストラン「197阿部風味餐」でいただきます。先述のように、こちらでは台湾原住民のアミ族も多く暮らしていることから、少し原住民テイストの料理をいただきます。メインは地鶏のグリルとヘルシーな野草鍋。さらにイノシシ肉や野草など、台北などで食べる台湾料理や、お昼に食べた客家風の料理とは違った食材を使った料理が食べられます。日本人にも抵抗なく食べられる味なのでご安心を。ぜひここで台湾の料理の奥深さをしっかりと味わってみて下さい。
197阿部風味餐
住所:台東県池上郷万安村2隣23号
電話:(089)869966
チキンオイルをかけて香ばしくいただきます。ジューシーな食感が溜まりません
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野草鍋はえぐみはないですが、独特の風味があって美味しいです。出汁醤油でサッパリいただきました
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住宅街にある人気の湯葉屋さんは必ず訪れたいスポット
民宿での朝食を楽しむのもいいですが、湯葉屋さんの「大池豆包豆花豆漿店」もぜひ試してみて下さい。元々は湯葉、豆花、豆乳の工場だったのですが約10年前から直売を始め、人気店になりました。
湯葉を炒めた「豆包」は外はサクサク、中はシットリで優しい塩加減が美味しいです。豆花はなめらかな喉越しで濃厚。黒糖のシロップがよく合いました。
大池豆包豆花豆漿店
住所:台東県池上郷大埔村4鄰39之2号
電話:(08)986-2392
営業時間:7:00~売り切れまで。大体平日は夕方、休日は午後過ぎあたりまで。
定休日:水曜日
池上の人たちを見守る廟もやっぱりお米と深いつながりがあります
池上にある宗教施設は道教の神様「玉皇大帝」をまつる「清玉宮」と土地の神様「土地公」をまつる「田中伯公廟(福徳宮)」があります。
全く異なった信仰の中心ではありますが、お米の産地ということもあり、「平安米」と呼ばれるお米が置かれていて、「お気持ち」を渡して「平安米」を持ち帰り食べることができます。台北などの大都市にはなかなかない配慮です。
日本でも各地でお米とお守りをセットにして、試験合格や安産を祈願する「祈願米」というものがありますが、こちらではどんな願い事も叶うと信じられていて、ご利益がある範囲が広そう。
そして、「田中伯公廟」では廟を管理する主任さんが、ご神像の下に安置されている3つの石を見せてくれました。実は、土地公は元々このような石や岩を崇拝の対象にしていることが多く、池上も例に漏れずこの3つの岩が本来の神様でありました。今でもひっそりと池上を見守り続けているんですね。
玉清宮
住所:台東県池上郷文化路20号
電話:(089)862164田中伯公廟
住所:台東県池上郷慶豊村慶豊56-5号
電話:(089)863095
最後は「池上飯包故事館」で台湾の駅弁の元祖をいただきます
さて、池上と言えば忘れてはいけないのが駅弁の池上弁当です。かつて花蓮と台東を結ぶ汽車は速度が遅く、目的地に着くまで非常に長い時間を必要としていました。そこで米どころの池上では、おいしいお米を使った駅弁が販売されるようになったんだとか。始めはお結びで竹の葉に包まれていたものが、木製の弁当箱になり、具材が増えて豪華に。現在でも全国で名前を知られている名物です。
「池上飯包故事館」は特に有名な弁当屋さんで、全国各地から行楽客やツアー客が訪れる人気店。台湾全土はおろか中国などにも店舗を持つので、色々な場所で食べられる味ではあるのですが、本場で食べたいという人たちがひっきりなしに訪れます。池上米の産地で、しかも台東産の食材を使っているせいか、他の場所で食べるよりも美味しく感じられるのが不思議です。
お店の前にはかつて台東と花蓮を結んでいた台鉄の客車2両が留置されていて、車内で食事することも可能。写真映えもするので記念になりますよ。
池上飯包故事館
住所:台東県池上郷忠孝路259号
電話:(089)862326
営業時間:8:00~19:50
食べてばかりの池上旅行。花東縦谷の大地の恵みや文化の深みや重みをしっかり味わえます。ファミリーやグループでの旅行にも最適です。ぜひ足を伸ばしに来てくださいね。
以上、台北ナビがお伝えしました!
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2020-05-08