【前半】2021年放送開始予定!台湾ドラマ「斯卡羅 seqalu」の舞台を先取りしてきました♪

台湾の歴史を大河ドラマのようにして制作された大作!事前に予習して、台湾ドラマをより楽しもう!

こんにちは、台北ナビです。

最近「上質な台湾ドラマが増えてきている」といわれていますが、背景や台湾文化を知っていれば、作品をより楽しめるのになぁ……と思ったことありませんか?そこでナビは2021年放送予定の大注目されている歴史大作ドラマ「斯卡羅 seqalu」の舞台となった場所を巡ってみました。
ナビが今回訪れたスポットを地図にしてみました!

ナビが今回訪れたスポットを地図にしてみました!

「傀儡花(英訳:Lady the Butterfly)」って?!

公視(公共テレビ)が2021年に放送するテレビドラマ「斯卡羅 seqalu」は、台湾の医師兼小説家である陳耀昌さんの長編歴史小説「傀儡花」を原作としています。日本統治時代より前の1867年3月に屏東県の墾丁で起こった「羅發號事件(ローバー号事件)」を軸にその後までも描いた歴史大作なのですが、第51回金鐘奨(ゴールデン・ベル・アワード)において、「一把青」で監督賞を受賞した曹瑞原監督が3年ぶりにメガホンを取ったことでも話題に。また実力派俳優を集めただけでなく、制作費が1億5千万元を超えていて、その規模や映像美は映画級だとも言われています。

ドラマはまだ放送されていませんので、今回は原作の「傀儡花」に登場する舞台を追ってみたいと思います。以下、簡単に歴史も併せて紹介していますが、この原作は「フォルモサに咲く花」という日本語版が刊行されていまので、もっともっと深く知りたいという方は、ドラマを見る前に読んでみるのをオススメします。

色々わかっていないことも多いローバー号事件

「傀儡花」の主軸となるローバー号事件。「1867年にアメリカ船『ローバー号』が台湾海峡を渡る際に、台湾最南端の陸地である七星岩(台湾本島から約8海里の距離)に座礁してしまい、台湾原住民の領地に上陸したことから、原住民が乗組員を侵略者と誤認し、襲撃を行ったことで、外交事件を引き起こした」というのが簡単な説明なのですが、この事件を紐解くにはこの時代のことを少し知る必要があります。
読み応えのある「傀儡花」!日本語版でじっくり読むのもオススメ

読み応えのある「傀儡花」!日本語版でじっくり読むのもオススメ

事件発生当時、台湾は1683年から続く清朝の時代でした。事件発生直後、襲撃を受けながらも唯一助かったと言われる乗組員は、高雄(当時は打狗)にあるイギリス領事館に駆け込みます。当時の台湾にはアメリカの外交窓口がなかったからです。清朝はイギリスから連絡を受け、やっと事件の発生を知ります。アメリカへの連絡はさらにその後となりました。では、アメリカへはどのように情報がもたらされたのでしょうか?

これについて記載している資料があまりなかったのですが、どうやら清朝からアメリカに伝えられたのではなく、イギリスの会社「天利行(馬克亥爾洋行)」から、台湾対岸の廈門のアメリカ領事館へ書簡が届いたことで、初めて知ったようです。

この知らせを受けたアメリカのチャールズ・ルジャンドル領事(李仙得)は自ら台湾を訪れて原住民との直接交渉を試みますが、あろうことか上陸を断られてしまいます。そのため、海軍兵士181名を派遣し、天利行の畢麒麟(William Alexander Pickering)の助けを受けながら上陸に成功するも、原住民の攻撃により指揮官が死亡。アメリカ政府が態度を硬化させるきっかけとなりました。
なぜ清朝の対応がこれほどまでに後ろ手になっていたのでしょうか?実はこの頃、清朝は実際には台湾全土を統治していたわけではなく、原住民が暮らす大部分のエリアはほぼ野放しの状態としていました。清朝が統治するエリアと原住民が暮らすエリアには、境界線である「土牛界線」が引かれ、清朝は土牛界線の外側、つまり「番地」と呼ばれた原住民の生活区域は清朝の実効支配が及ばない場所で、そこで起こったことは清朝の管轄外だったというわけだったんです。

ローバー号事件の発生により、ここで初めて清朝の台湾における実効支配地が限定的であることが国際的に明らかになり、謝罪や賠償の問題だけでなく、さらには領有権を巡る問題にも発展することになります。
これらのことを知っておくと、事件について理解しやすいと思います。しかし、この事件に関する客観的な資料はとても少ないと言われています。資料を読めば読むほど、実際はどんなことが起こったんだろう?と想像力をかきたてるこの事件。原住民、アメリカ、清国、イギリスそして原住民との交易を行っていた客家人まで登場するこの事件から、「傀儡花」はどのような物語を紡ぎだしたのでしょうか?

「傀儡花」では、ローバー号事件をメインに描きますが、その後日本統治時代までも取り上げています。牡丹社事件(宮古島島民遭難事件から台湾出兵に至るまでの一連の事件)については、日本語での説明も多いので、詳しく知りたい方は調べてみてくださいね!
牡丹社事件に関するスポットは後半で詳しくご紹介します! 牡丹社事件に関するスポットは後半で詳しくご紹介します!

牡丹社事件に関するスポットは後半で詳しくご紹介します!

ビッグな「車城福安宮」では知る人ぞ知る石碑を見逃すな!

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車城が誇る、台湾一大きな土地公廟(土地神がまつられている廟)「車城福安宮」にやってきました。本殿は吹き抜けの2階建てになっていて、さすが台湾一の規模だとビックリするでしょう。地元民が真剣に祈っている様子からも、どれだけ篤く信仰されているのかも感じ取れると思います。
圧巻!

圧巻!

思わず見とれてしまいます 思わず見とれてしまいます 思わず見とれてしまいます

思わず見とれてしまいます

多くの人が篤い信仰を寄せています 多くの人が篤い信仰を寄せています

多くの人が篤い信仰を寄せています

廟グッズはゲーム機とガチャガチャで購入!ってすごい現代的! 廟グッズはゲーム機とガチャガチャで購入!ってすごい現代的!

廟グッズはゲーム機とガチャガチャで購入!ってすごい現代的!

この廟は観光スポットとしてももちろん魅力的なのですが、ここに「ローバー号事件」に関係のあるものがあるんです。それが本殿向かって左手にあるこの石碑です。
なぜここにあるのかというと、車城が瑯嶠(恒春)の中で最も大きな漢人の集落だったなんだとか

なぜここにあるのかというと、車城が瑯嶠(恒春)の中で最も大きな漢人の集落だったなんだとか

ローバー号事件は、清の対応の鈍さに業を煮やしたチャールズ・ルジャンドル領事が、紆余曲折しながらも、最後は瑯嶠地区(現在の恆春鎮)の十八社総頭目(酋長)である卓杞篤(パイワン語名:Cuqicuq Garuljigulj)と直接交渉し、「南岬之盟」(平和条約)を締結したということで無事終息しました。(「社」は集落という意味)しかし、ことの重大さに気づくのが遅かった清国も、臺灣鎮の主官であった劉明燈を、この事件の処理担当として瑯嶠に派遣していたのです。というわけで、劉明燈は瑯嶠を離れる時に、清の国威発揚を声高に叫ぶため、自分はここにきたぞ!という石碑を残しました。簡単に言えば、清の存在感をアピールするため。この石碑があるのも、当時の複雑な状況があったからこそなんですね!

地元台湾人もあまり知らないこの石碑。ここを訪れたら、注意深く探してみてください。

台湾海峡の美しさを一望できる「龜山」で、劇中の舞台となる集落の位置関係を知ろう!

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台湾南部の人気レジャースポット「国立海洋生物博物館」へ行く少し手前にある「龜山」は、珊瑚礁の岩石でできた海抜72mの小高い山です。ここは歩道が整備されていて、運動不足のナビでもちょっと息切れするくらいで登れました。

山頂からは青い空、青い台湾海峡が見渡せて、リゾート気分になっちゃうかも!でも、ここはローバー号事件、そして牡丹社事件にとってとても重要な場所なのです。
道が整備されているので歩きやすい! 道が整備されているので歩きやすい!

道が整備されているので歩きやすい!

珊瑚礁の岩石 珊瑚礁の岩石 珊瑚礁の岩石

珊瑚礁の岩石


迎曦亭 迎曦亭

迎曦亭

山頂から少し下ったところにある迎曦亭(展望台)。ここから見えるのは龜山の東側で、恆春縱谷が一望できます。右手に見えるのは、台湾が誇る中央山脈の最南端部、左手は海が見えます。これで何となくここの位置がお分かりいただけたでしょうか?
展望台からはこんな風な景色が広がっています 展望台からはこんな風な景色が広がっています

展望台からはこんな風な景色が広がっています

では、傀儡花の本の中に描かれたいくつかの場所を見てみましょう。左手手前にあるのが「射寮」。その奥、橋を越えたところにあるのが「新街」。もっと遠くに巨大な関羽の像がある集落が「統埔」。そしてここから少し右手の丘陵と平原が交差する場所にいくつかの家が見えるのですが、ここが「保力」で、客家人の里です。右手に視線を移すと見えるのが「虎頭山」。そこからさらに右手前に2つの山、その後方に比較的高い山「三台山」があります。そのふもとにある集落が「貓仔社(十八社)」。もっとも右手に見える低い平原は比較的低い山「龍鑾山」も含めて「龍鑾社」の領域でした。龍鑾山の後ろにある「大山母山」は恆春半島の南灣にあたる場所。その後ろには珊瑚礁の大地が広がる「龜仔甪(現在の社頂集落)」があります。そう、この「龜仔甪」がこのローバー号事件の始まりで、この場所へローバー号の船員たちが上陸したのです。
地図にするとこんな感じの位置関係です!

地図にするとこんな感じの位置関係です!

ここでローバー号事件を紐解く上で理解しておきたい「斯卡羅」についても教えてもらいました。それは、かつて台湾東部から移り住んできたパイワン族化した卑南族(プユマ族)の政権であり、瑯嶠地区に存在しました。斯卡羅は大きく分けて、豬朥束社、射麻里社、貓仔社そして龍鑾社の4つの行政区からなります。豬朥束社は主の行政区であり、リーダーはGaruljigulj 家系から選ばれていました。ローバー号事件でアメリカの領事が交渉したのが、斯卡羅のリーダー(総頭目)である卓杞篤だったのです。豬朥束社が統率していたエリアは、パイワン族の「牡丹社」「山頂社」「龜仔角社」など、アミ族の「港口社」、漢族の「保力」「車城」「九棚」「四重溪」など広範囲に渡っていました。
このQRコードを読見込めば、ガイドさんが傀儡花にまつわる場所を説明してくれている動画が見られます! このQRコードを読見込めば、ガイドさんが傀儡花にまつわる場所を説明してくれている動画が見られます!

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絶景スポットで歴史を感じる

絶景かな~!

絶景かな~!

景色のいい山頂に移動して、再度位置関係を見てみましょう!台湾海峡に向かって右手に見えるのが、歴史的なスポットとして有名な瑯嶠灣で、台湾海峡へそそぐ2本の渓流が見えます。手前の川が「保力溪」で、本の中では「射寮溪」と書かれています。保力溪のほとりにあるのが「射寮」であり、ここのいくつかの集落は平埔族である馬卡道族がここへ移り住んできてできた集落。この場所はすでに原住民の領域だったため、平埔族は恆春西台地の西側(後灣、萬里桐、白沙を含むあたり)に集落を作っていきました。本の中で出てくる「土生仔」の集落がこのあたりとなります。
この写真の左手の湾が「瑯嶠灣」です

この写真の左手の湾が「瑯嶠灣」です

また、奥の川は本の中では「柴城溪」と呼ばれていて、現在は「車城溪(四重溪)」といいます。そのほとりにあるのが「柴城(車城)」で、先ほど紹介した車城福安宮も見えます。本の中に出てくる「射寮」「射寮」「保力」といった集落の分布の様子はここからもよく見えますよ!
案内を見ていると分かりやすい!

案内を見ていると分かりやすい!

保力溪と車城溪(四重溪)

保力溪と車城溪(四重溪)


ちなみにチャールズ・ルジャンドル領事はローバー号事件当時、この海湾に対して非常に細かく測量し記録を残しました。この資料、実は日本と大きな関係があるのです。1874年に台湾出兵が起きたのですが、その際日本軍の軍事顧問を務めていた彼はこの資料を日本軍に渡しました。龜山からは集落の分布や海湾等が見渡せる絶好の場所だということを助言したことで、日本軍は龜山へ上陸し、ここと今の海生館の駐車場を軍の駐屯地にしました。ここは当時の日本軍にとって非常に重要な軍事要塞であったわけなのです。
軍事基地と植物の生命力を感じる場所 軍事基地と植物の生命力を感じる場所

軍事基地と植物の生命力を感じる場所

第二次世界大戦の末期になると、日本軍はアメリカ軍がこの龜山から上陸するのではないか?と心配し始め、恆春半島の山々を掘り、縦横無尽に移動できる坑道を作りました。もちろん龜山にもあり、砲台跡も残されています。
当時の様子が伺えます 当時の様子が伺えます

当時の様子が伺えます

恆春はリゾート地のイメージが強くありましたが、今回ローバー号事件に関するスポットを巡ったことで、台湾において重要な歴史が刻まれた場所であることを実感できました。美しい風景を心に刻むと同時に、台湾を紹介することを生業としているナビは、知っておくべく歴史だったんだなぁと深く感じました。

長くなってきたので、牡丹社事件に関するスポットは後半でご紹介します!

以上、台北ナビがお届けしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2020-05-20

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