【台湾音楽】2025年は夢を追いかけた「李竺芯」と注目のアルバム『AAA』がそれぞれ金曲賞三冠!!中国語歌手賞では、新星ラッパー「呂士軒」が歌王、「魏如萱」が歌姫の称号を堂々獲得!
17年ぶりに再結成した「Energy」や2025年にこの世を去った「方大同」の受賞など、感動が詰まった「第36回金曲賞」。7年ぶりにアリーナを震撼させた「MISIA」による迫力のステージなど、今年も見どころ満載です♪
こんにちは、台北ナビです。
2025年6月28日に台北アリーナにて開催された「第36回金曲獎(金曲賞)」。今年は291社、1,648枚のアルバム、23,486点の作品がエントリーし、最終的に169作品が選ばれ、27部門で賞を競いました。
中でも、台灣索尼音樂娛樂股份有限公司(Sony Music Taiwan)が11部門で最多ノミネート。アルバム部門では、韓国のバンド「HYUKOH」と台湾のバンド「落日飛車」とのコラボアルバム『AAA』が7部門でノミネートされ、注目を集めました。
観客を魅了した「MISIA」の心のこもったステージ♡
©️Rhythmedia
授賞式の目玉のひとつでもあるステージパフォーマンスでは、台湾中が待ち望んだ「MISIA」が圧巻のステージを披露。司会は立てず、6組のアーティストが入れ替わり進行役を務めるという、新形式での式典の様子をお届けします。
レッドカーペットに輝きを添える「ボルト」たち
レッドカーペットの顔になりつつある「陳明珠」と「黃偉晉(Wayne)」が、今年も息ぴったりな司会進行ぶりを披露してくれました!
レッドカーペット(星光大道)では、「陳明珠」と「黃偉晉」が3度目のタッグを組んで司会を務めます。すでに4回目の司会となる陳明珠は、「慣れたというより、より成熟して落ち着いて進行できるようになった、という感覚です」と語ります。
一方の黃偉晉も「緊張しないいちばんの理由は、信頼できる明珠が隣にいてくれるから。安心して、すべての場面に臨めます」とコメント。2人の安定した司会進行で、しっかり式典へとバトンタッチしてくれました!
2025年のテーマビジュアルである「六角ボルト」には、音楽を形作る製作陣、演者、そしてそれを受け取る視聴者——その全てのボルトが噛み合い、ひとつの作品が完成するという意味が込められています。
そんな「ボルト」たちが、それぞれの個性を放ちながらレッドカーペットを華やかに彩ってくれました!
★台湾語関連ノミネートアーティスト
さわやかさ満点の「陳以恆」。スカーフの装飾がかわいい~。
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今回6部門にノミネートの「李竺芯(Siri Lee)」は、ご両親とともに登場。
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美魔女の呼び名がぴったりの「蔡秋鳳(Carris Tsai)」。毎日の運動が、この美貌を保つ秘訣のようです。
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蝶ネクタイ姿で、ちゃめっ気たっぷりの「Funky Mo」。
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★客家語関連ノミネートアーティスト
金曲賞でおなじみの「黃子軒」は、3部門にノミネート。どうすれば金曲賞にノミネートされるのかをチャットGPTに聞いてみたら、「いつも自然体で、笑顔を絶やさないこと」との回答が。「両親にいつも言われているのと同じことを言われた」と冗談を飛ばしていました。
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最優秀客家語歌手賞にノミネートの「林鈺婷」と「山狗大後生樂團」。男性陣の、スーツの派手具合もよき♡
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★原住民語関連ノミネートアーティスト
新人賞をはじめ、3部門にノミネートの「Kumu Basaw 姑慕·巴紹」。なんと地元の部落から、1/3の人たちがレッドカーペットに登場!
3部門にノミネートの「桑布伊(Sangpuy)」は、進行役という大役にも抜擢されています。
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年度楽曲賞など4部門で、2年ぶりのノミネートとなった「阿布絲」。
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「戴曉君(Saul jal jui)」とプロデューサーの「吳蒙惠」。お母さんたちが着用している鮮やかな原住民衣装もステキ!
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最優秀原住民語歌手賞にノミネートの「曾妮 Dremedreman」は、家族で登場。帽子をかぶっているのかと思ったら、ヘアピンがたくさん!
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★バンド・ボーカル部門関連ノミネートアーティスト
再結成&21年ぶりのノミネートとなった「Energy」に、会場も湧いていました。「黃偉晉」に受賞したら、ステージ上で「16蹲」を披露するよう、せがまれていましたが、果たして⁈
見ているだけで心がなごむ「動力火車(Power Station)」は、10度目のノミネート
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黄色い歓声が飛び交っていた「TRASH」は、このたび4度目となるノミネート!受賞に向けた意気込みが感じられました‼
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男女デュオアーティストの「恐龍的皮」は、恐竜を引き連れての登場(笑)!
結成29年目にして初のノミネートという「八十八顆芭樂籽」。賭けに負けて「もし金曲賞にノミネートされたら、エプロンをつける」と宣言していたそうで、その約束を果たした形に。紅心芭樂をイメージしたというピンクのコーディネートでした。
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年度歌曲賞と最優秀バンド賞にノミネートの「美秀集團」。Yシャツの丈が短すぎるの~笑
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★新人賞ノミネートノミネートアーティスト
服装もテンションも控えめだった「someshiit山姆」。
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セクシーな衣装で登場の「JUD陳泳希」。
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家族3人で登場の「鄭雙雙」、そう3人目はお腹の中に♡
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元気なミニスカート姿で、笑顔はじける「Ander」。
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★豪華な顔ぶれ!中国語関連ノミネートアーティスト
シックな装いがとってもお似合いの「Karencici」。韓国でも人気の楽曲『Made For You』は、2週間という短期間で制作された作品だそう。新人賞のプレゼンターも務めます。
バービー人形のようなキュートなファッションがお似合いの「魏如萱(Waa Wei)」。追悼ステージでは、「方大同(Khalil Fong)」の代表曲を歌ってくれます。
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相も変わらずカッコいい「蔡健雅(タニア・チュア)」。会場では、お母さまもご一緒でした。
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「柏霖(PoLin)」は、ご両親と一緒に。DNAを感じる、美形親子です。
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ナビも注目している、香港音楽会の鬼才「林家謙(テレンス・ラム)」。
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白いフワフワのドレスが似合いすぎる「陳忻玥」。
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台湾版、サンプラザ中野くん⁈スキンヘッドにサングラスがトレードマークの「呂士軒」。
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★プレゼンターを務める豪華アーティストたち
今日も元気でかわいい~!「9m88(ジョウエムバーバー)」。
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ゴールドに身を包んでの登場、今年もセクシーな「孫盛希(スン・シェンシー/shi shi)」。
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「麋先生(MIXER)」は、クールでステキ♡
主に台湾を拠点に活躍する「千田愛紗」は、キリリとした黒いドレス姿がお似合い。
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鮮やかなピンクのドレスで登場の「黃妃」。
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式典の幕開けを飾るのは「Energy」!!
21年ぶりに金曲賞の舞台に戻ってきた「Energy」の5人。レッドカーペットには間に合わなかった「坤達(クンダー)」も無事到着し、メンバー揃ってオープニングを務め上げました。
解散から17年の時を経た昨年、『星期五晚上』で再び脚光を浴びた「Energy」。
最優秀ボーカルグループ賞と年間楽曲賞の2部門にノミネートされた彼らは、再結成の勢いそのままに、式典の幕開けを飾るには、まさにうってつけの存在です。
「どうも!新人、Energyです」という、愛嬌たっぷりの5人の挨拶から、授賞式のプレゼンターへとバトンが渡されました。
36回目を迎えた金曲賞では、年齢やスタイルを超越した中華圏ミュージシャンらによるPKが繰り広げられました。さっそく、受賞者を見てゆきましょう!!
★最優秀新人賞……someshiit 山姆/『愚公』
演じることも好きだという「someshiit山姆」、今後の活躍に注目です。
今年の最優秀新人賞は、「someshiit山姆」が『愚公』で受賞しました。実はこの4年間、金曲賞受賞者のスピーチを記録する裏方として働いてきたという山姆。
受賞スピーチでは感慨深げに、「この4年間ずっと舞台裏で働いてきましたが、今年ついに裏方から表舞台に立つことができました。僕を見つけてくれてありがとう」と語りました。
受賞者の多くが、緊張のあまり準備してきたメモを見ながらスピーチをする中、メモに頼らず、一つ一つの言葉を噛みしめながら話す姿が印象的でした。
いつも最初に彼の音楽を聴いてくれるという、猫のAKIがプリントされたTシャツを掲げ、飼い猫に感謝を伝える、お茶目な一面も!
受賞後は、自身が作詞作曲を手掛けた『善良是Kinds of Kindness(ft.CHS)』を披露!
★最優秀客家語歌手賞&最優秀客家語アルバム賞【二冠】……黃子軒/『牛騷 New Sou』
チャットGPTのいうことを実践した成果あり⁈「黃子軒」の作品『牛騷 New Sou』が、最優秀客家語歌手賞と最優秀客家語アルバム賞の二冠を受賞しました。
客家語で歌うようになって15年が経つという黃子軒は、「9年ぶりの受賞で、まだ心の準備ができていないほど動揺しています。家族に感謝し、そして応援してくれた皆さんのご支持にも、心から感謝します」と語りました。
スピーチの最後には、客家文化でもある「客家山歌」をアカペラで披露。受賞のうれしさが伝わるスピーチでした!
客家語部門で二冠を制した「黃子軒」
プレゼンターを務めた「邱淑蟬」が、まるで自分の事のように涙を流して喜ぶ姿も印象的。客家音楽の継承に力を注ぐ仲間同士の愛情が感じられて、ナビも目頭が熱くなりました。
★最優秀原住民語歌手賞……Kumu Basaw 姑慕·巴紹/『Qrasun 格拉孫』
家家(Jia Jia)のコーラスを担当するなど、長年裏方として活躍してきた「姑慕·巴紹」が『Qrasun 格拉孫』で念願の受賞を果たしました。
ウエストに民族柄をあしらった、シックな装いがステキ♡
受賞スピーチでは、制作チーム、家族、部族の仲間、そして特に両親に感謝を伝えていました。小学6年生の頃から43歳になるまで、夢を諦めたことは一度もなかったと話す「姑慕·巴紹」。
会場にはご両親と3人のお子さん、そして南投県仁愛郷のセデック族集落のみんなが応援に駆けつけており、部落の絆の強さを感じました!
★最優秀原住民アルバム賞&最優秀編曲家賞【二冠】……:戴曉君 Saul jal jui/『VAIVAIK 尋走』
「戴曉君(Saul jal jui)」のアルバム『VAIVAIK 尋走』が、最優秀原住民アルバム賞と最優秀編曲家賞を受賞‼
ステージ上では感極まり、何度も言葉に詰まりながらも、天国にいるお父さんにこの賞を捧げると話し、帽子をかぶった姿でこう続けました。「父には公務員試験を受けるように、と言われ続けてきましたが、これからはもう、公務員になれとは言わずに、天国から私を応援してね。」
プロデューサーの「吳蒙惠」と共に喜びを分かち合う「戴曉君(Saul jal jui)」。
また、お母さんへも「母は苦労してきたのに、私がどん底にいた時も、きちんとご飯を作ってくれていました」と語り、故郷、そして家族への感謝をたっぷり表現してくれました。
ちなみに、アルバム内で使われている「月琴」は、原住民の伝統楽器ではないのですが、この楽器を通じて世界中で友だちができたそう!三味線にも似た「月琴」の音色に合わせ、原住民語で奏でられる独特の世界観に、納得のダブル受賞だと感じました。
★最優秀台湾語男性歌手賞……陳以恆/『罐頭塔』
台湾の葬送文化をテーマにしたアルバム『罐頭塔』で見事、最優秀台湾語歌手賞を手にした「陳以恆」。
R&B調のメロディに、台湾語と英語を乗せた楽曲で構成された『罐頭塔』は、陳以恆のやさしい声も相まって、心地よ~い!!R&B好きには、きっと刺さる楽曲たちだと思います。
なんと驚き!早稲田大学の政治経済学部を卒業している、高学歴の「陳以恆」。笑顔がさわやかなんだよな~!!
受賞スピーチでは、メモ帳を手に台湾語で感謝の言葉を述べ、家族の支えと、育ててくれたことへの感謝を伝えていました。
そして「この賞をいただけて、本当に感動しています。台湾語を取り戻すことは、ずっと実現したかった夢でした」と、台湾語文化への深い思いと情熱を、力強く語りました。
★最優秀台湾語女性歌手賞&最優秀台湾語アルバム賞&年度アルバム賞【三冠】……李竺芯/『Suí 水』
金馬賞・金鐘賞の受賞に続き、金曲賞受賞で「三金」獲得が期待されていた、人気俳優「林美秀」は、惜しくも受賞ならず……
代わって最優秀台湾語女性歌手賞を手にしたのは、「フレンチ台湾語」という独特な歌唱スタイルで注目を集める「李竺芯(Siri Lee)」です。今回のアルバム『Suí 水』で、なんと最優秀台湾語アルバム賞、年度アルバム賞と合わせて三冠に輝きました‼
年度アルバム賞の受賞時には、時間が押していたため、少しでも時短できるようにと、靴を脱ぎ駆け足でステージに登壇(笑)。奔放な姿がかわいすぎる「李竺芯(Siri Lee)」♡
受賞スピーチでは、フランス語と台湾語を自在に操り、会場を和ませる場面も。
「歌声はとても正直で、そこには個性が隠れている。自分自身の悪い歌声も受け入れて改善すれば、私は自由になれる」と、彼女の哲学を語ってくれました。
また、「このアルバムを女性たちに、そしてすべての人に捧げたい。もし自分自身が課した定義のようなものを取り外せたら、この世界は夢そのものです。想像できることは、きっと叶えられます」と、力強いメッセージを発信。
自由奔放で飾らない部分と、揺るがない信念こそが、彼女のしなやかな音楽を創り出しているのだと感じました。
笑顔で片手ハートの「陳以恆」と、キメポーズの「李竺芯」。これからの台湾語音楽を担ってゆくであろう、この台湾語コンビ、なんかよい(笑)!
★最優秀ボーカルグループ賞……動力火車/『結伴』
いつも淡々としているタイプの2人も、受賞の瞬間は見ているこちらにも喜びが伝わり、胸が熱くなりました。会場に駆けつけた「車迷(ファンの愛称)」たちも、歓喜の渦!
受賞スピーチでは「もういちど、金曲賞を取りたいという気持ちがずっとあった。これはレコード会社とファンへの感謝の証」と率直な思いを明かしました。
20年ぶりに金曲賞で再び栄冠に輝いた「動力火車(Power Station)」の尤秋興(左)と顏志琳(右)。
さらに、「すべての車迷に感謝します。皆さんは、僕たちが走り続ける原動力です」と、長年応援し続けてくれたファンへの惜しみない感謝の言葉を贈りました。
幼なじみの2人の空気感は、いつ見てもほっこりします。ナビも一車迷として、これからも応援し続けます!!
★特別貢献賞……翁孝良、馬兆駿
特別貢献賞は、中国語音楽界の重鎮「翁孝良」に授与されました。プレゼンターとして登壇した「潘越雲」は、「翁孝良先生は、中国語音楽が脈々と受け継がれていくための重要な原動力です」と敬意を表しました。
ステージに立った翁孝良は、これまで共に作品を作り上げてきた音楽人たちへの感謝を述べ、「皆さんが私に、光と栄誉を与えてくれた」と語りました。
やさしい雰囲気を醸し出す「翁孝良」は、御年80歳!
さらに母の言葉「人を助けることは、自分を助けること」を引用したメッセージに、心温まるひとときとなりました。
もう一つの特別貢献賞は、故「馬兆駿」、通称「馬爺(マーイエ)」に贈られました。
馬爺を偲び、長年音楽を共にしてきた親友「巫啟賢」が、心のこもった歌声を響かせました。
スクリーンには、笑顔の馬爺が映し出され、なんとも言えない切ない気持ちに。「老馬、今夜、私たちが望むものは多くない。ただ、君がいてくれればそれでいい、馬兆駿」という、親友「巫啟賢」の語り掛けに、会場は感動に包まれました。
功績を称え、翁孝良が手掛けた名曲『夢田』、『我的未來不是夢』などを次々と披露した「蕭煌奇」。
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「馬兆駿」の長年の親友である「巫啟賢」が、彼を偲びながら『我要的不多』を熱唱。
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★最優秀作曲家賞&審査員賞【二冠】……方大同/『才二十三《夢想家》』
「方大同(Khalil Fong)」と仲良しだった「盧廣仲(クラウド・ルー)」は、「9m88(ジョウエムバーバー)」と共に、プレゼンターを務めました。
長年の闘病の末、2025年2月に惜しまれつつこの世を去った「方大同(Khalil Fong)」が、2024年10月に病床でレコーディングをした遺作『才二十三《夢想家》』で、最優秀作曲家賞と審査員賞を受賞しました。
C-POPを愛する人なら一度は耳にしたことがある名曲を、数多く残してくれた方大同。享年41歳の若すぎる死に、ファンだけでなく、多くの音楽仲間も胸を痛めたはず。
方大同の親友が代わりに受賞
トロフィーは方大同の親友が代理で受け取り、「彼が創り出した価値と精神を、これからも守り続けます。彼の声は記憶にとどまらず、未来を動かす力となる」と力強く誓いました。
また、審査委員長「丁曉雯」は、「このアルバムを聴いたとき、彼が人生の最後の旅路の中で、自らを燃やすようにして一曲一曲を磨き上げたことが、痛いほど伝わってきました」と感慨深く語りました。
そしてトロフィーを高く掲げて、「大同、これは私たちがあなたに贈る賞です!」と、天国の方大同へと、声を届けました。
「魏如萱(Waa Wei)」の繊細な歌声が会場に静かに響き渡り、優しくも、しみじみとした空気に包まれました。
続いて、「魏如萱(Waa Wei)」が方大同の代表曲4曲、『一簾幽夢』、『彼個所在』、『愛愛愛』、『十分鐘的戀愛』を丁寧に歌い上げ、2024年に逝去した音楽人へ、深い敬意と追悼の意を表しました。
昨年、台湾中に深い悲しみをもたらした「大S」こと「徐熙媛(バービースー)」もスクリーンに映し出され、「あぁ、本当に逝ってしまったのだなぁ」と、改めて悲しみが込みあげました。
★年度楽曲賞……Energy/『星期五晚上《Here I Am》』
2024年に再結成した「Energy」が、やはり強かった~!!昨年大バズリだった『星期五晚上《Here I Am》』で、年度楽曲賞を手にしました。
デビュー23年目だけれど、そのうち17年ちかく離れ離れだった彼らは、久しぶりのステージ復帰での栄誉に、よろこびを隠しきれない様子!
2002年にデビューし、台湾における「元祖・歌って踊れるグループ」と呼ばれる「Energy」の5人。
「この曲が僕たちを再定義してくれて、今では16蹲叔叔(16スクワットおじさん)と呼ばれている」と、「牛奶(ニウナイ)」は笑います。
「Toro」は「今日はダンスチューンでの受賞です。歌って踊れる歌手が、受け入れられる時代が来ました!」と陽気にコメント。
「阿弟(アディー)」は涙ぐみながら、「この1年はリハビリとパフォーマンスの両立で本当に大変だったけど、幸せでした。」と語りました。また歌手から、タレント、俳優へと転身し、歌手業を諦めかけていた中でも、支えて応援してくれた妻への感謝をしみじみと伝えました。
「書偉(シューウェイ)」と「坤達(クンダー)」はそれぞれメンバーと家族への感謝を口にし、最後に坤達は妻で俳優の「柯佳嬿(アリス・クー)」に向かい「もうすぐ帰って猫にごはんあげるね」と甘い言葉で締めくくり、会場を和ませました。
ナビと同世代の彼らがこうして輝いている姿は、希望でしかない!どうかみんな、膝を大切にね‼ ナビは、陰ながら応援しています。
★最優秀バンド賞……TRASH/『幸福的末班車』
プレゼンターを務める「麋先生(MIXER)」が、トロフィーを授与。
この瞬間を15年間待ったというロックバンドの「TRASH」が、ノミネート4度目にして初となる最優秀バンド賞を受賞‼
興奮の中、ボーカル「阿夜」とベースの「博文」は、家族や関係者への感謝を伝え、鹿港出身のギター「頤原」は、「鹿港ではじめて、金曲賞で受賞した鹿港人になることができた」と会場の笑いを誘いました。
メンバーが家族や関係者に感謝を伝える中、終始自分自身に感謝を伝えるドラムの「魁剛」(笑)。この日はお父さんの誕生日ということで、最高の誕生日プレゼントになったことでしょう!
うれしさ爆発の「TRASH」の4人。左から、ベース「博文(ボーウェン)」、ギター「頤原(イーユエン)」、ボーカル「阿夜(アイエ)」、ドラム「魁剛(クイガン)」。
最後に、メンバー4人で「他說你不行 我說你可以(彼がダメだと言っても、私は君ならやれると信じてる)」と叫び、TRASHらしいロックな締めに、会場が湧きました。
★最優秀中国語男性歌手賞&最優秀中国語アルバム賞【二冠】……呂士軒/『好聲豪氣』
ダークホースが多いと言われていた中国語男性歌手賞のノミネート陣。ナビも注目していた、6部門にノミネートの「林家謙(テレンス・ラム)」など、競合を抑えて栄誉を手にしたのは新星「呂士軒(Trout Fresh)」。しかも、最優秀中国語アルバム賞とのダブル受賞‼
まことに失礼ながら、ナビ的にノーマークだっただけに呂士軒の存在がとても気になり、さっそく受賞したアルバム『好聲豪氣』を聴いてみたら……めちゃくちゃイイ‼‼
ラップが素晴らしいし、何より滑らかなメロディーラインが心地よく、ずっと聴いていられるんです。
プロデューサーの「呂尚霖」と喜びを分かち合う「呂士軒(Trout Fresh)」。
受賞スピーチでは、「母さん、僕が周杰倫に一番近づけた瞬間だよ!」とユーモアたっぷりにコメント。どうやら両親に音楽の道を反対されていたようで、「周杰倫にでもなるつもりか!」と笑われた過去があったそう。
この作品は、自分が大切に思う人や物事のために作ったと語り、「金曲賞が、僕の想いを大切にしてくれたことに感謝します」と感謝の意を述べていました。
審査委員長の「丁曉雯」いわく、呂士軒の作品には、単なるラップにとどまらない台湾らしさや人間味が込められており、表現力、完成度、そして何より「音楽としての可能性」が評価され、堂々の受賞となったそう。更に、「彼はただラップを読むだけでなく、歌も上手に歌える。明確な音楽性を持っている」と、その実力を称えていました。
ナビのように、はじめて呂士軒を知ったという人は、ぜひ一度彼の楽曲を聴いてみてください‼‼‼今後の活躍が楽しみです♪
★最優秀中国語女性歌手賞……魏如萱/『珍珠刑』
プレゼンターを務めた「孫盛希(スン・シェンシー/shi shi)」は事前に魏如萱から、「誰が受賞しても私の名前を叫んでね」と冗談交じりに言われていたそう。「本当にあなたが受賞するなんてー!」と嬉しそうに「魏如萱」と叫んでいました。
実力派揃いだった候補者の中から、最優秀中国語女性歌手賞を手にしたのは、「魏如萱(Waa Wei)」でした。魏如萱だから着こなせる、アニメチックなカワイイ衣装で登場。ポケットがないので、ソックスに入れていたという受賞コメントを読み上げながら、感極まった様子でよろこびを伝えてくれました。
「ついに蔡健雅(タニア・チュア)の隣を抜け出し、この壇上へ上がって来ることができました!」とジョークを飛ばすと、隣で同じく受賞の瞬間を待っていた蔡健雅も投げキッスで応答。豪華なアーティスト同士のやり取りが見られ、なんとも贅沢な瞬間でした。
「勇気と優しさは、痛みの中から見つけるものだと思います。ステージに立ち続ける意味はあるのか、私は本当に良い母親なのか──そんなことを何度も自問してきましたが、いちばん難しいのは「諦めること」でした。この賞が、私はまだやれる!と教えてくれました」と、日々の葛藤の中から生まれたアルバム『珍珠刑』への想いを語りました。
とにかく嬉しそうな「魏如萱(Waa Wei)」。
仕事仲間、家族、そしてご近所さんに感謝を伝え、最後に「ありがとう私。私ってすごい!前回の受賞時に、一度目があれば、二度目もある。二度目があれば、三度目もある、と話したのですが、まだ足りない!私はもっと欲しい!」と、お茶目に締めくくりました。
魏如萱の言霊が、きっと三度目をもたらしてくれるはず。
その他の受賞は下記のとおりです。
【歌唱部門/個人賞】
◆最優秀シングルプロデューサー賞……海大富/『BUNUN 布農《QUEENDOM》』
◆最優秀アルバムプロデューサー賞……高潮(林志仁)/『雲就要翻過山』
◆最優秀作詞家賞……張淦勛 Giyu Tjuljaviya/『南迴之子《雲就要翻過山》』
【インストゥルメンタル部門/出版賞】
◆インストゥルメンタル最優秀アルバム賞……張貝芝/『練習曲』
【インストゥルメンタル部門/個人賞】
◆インストゥルメンタル最優秀アルバムプロデューサー賞……蘇紫旭、安志華/『以空』
◆インストゥルメンタル最優秀作曲家賞……王育嘉、簡聿民、林均憲/『參螺旋《幾何碼》』
【テクニカル部門/個人賞】
◆最優秀パッケージデザイン賞……Chanhee Hong、Na Kim/『AAA』
【出版賞】
◆最優秀歌唱レコーディングアルバム賞……『AAA』/夕陽音樂產業有限公司
◆最優秀演奏レコーディングアルバム賞……『OR手術劇院』/
好有感覺音樂事業有限公司
◆最優秀MV賞……『Antenna《AAA》』/夕陽音樂產業有限公司
多ジャンルで魅了する、台湾らしさ溢れるステージパフォーマンス
1996年のアトランタ五輪で披露された、台東馬蘭部落の歌をアカペラで披露した「桑布伊(Sangpuy)」。その歌声に、会場全体が一気に引き込まれていました。
金曲賞のみどころのひとつである、ステージパフォーマンス。今年もたくさんのアーティストが、多彩なステージを披露してくれました!!
一組目のパフォーマンスへとバトンを繋ぐ進行役は、今回の金曲賞でも3部門にノミネートされた「桑布伊(Sangpuy)」。惜しくも受賞は逃したものの、ユーモアあふれる司会進行に、会場が湧きました。
近年の原住民音楽は、ロック、R&B、ゴスペル、ラップ、エレクトロニック・ダンスミュージックなど、ジャンルが多様化していると語る桑布伊。
昨年のパリ五輪に合わせた文化プログラム「文化オリンピアード」での「ABAO阿爆(阿仍仍)」によるパフォーマンスなど、国内にとどまらず、国際的な舞台でも異彩を放つ存在となっています。
今回は、そんな原住民音楽を盛り上げる次世代の実力派アーティストらによって、族語・リズム・創造力を融合させた壮大なステージが繰り広げられました。
『You are not alone』を、「Kivi」、「Makav 真愛」、「Dremedreman曾妮」の3人がユニットを組む「那屋瓦少女隊」が披露。昨年の新人賞を受賞している「Makav 真愛」の美声が鳴り響く、ジャズ調でクールな出だしに鳥肌!
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「Ponay 卜耐」の『GMA36 Cypher』は、エレクトロニック・ダンスミュージック調。
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告五人の『愛人錯過』、楊乃文の『思緒的盡頭』、林強の『愛情研究院』を披露。
これまで他のアーティストとの共演が少ないことで知られている「楊乃文(ヤン・ナイウェン)」と、昨年『又到天黑』で最優秀楽曲賞を受賞した人気バンド「告五人(Accusefive)」とのスペシャルコラボが実現。
音楽スタイルは対照的ながら、両者ともに強烈な個性を持つ実力派で、ステージ上での化学反応もバッチリでした。
デビュー28年を迎えるロッククイーン、楊乃文。ちょっと意外なのですが、金曲賞でのステージパフォーマンスは、これが初めてとのこと!これまで何度も金曲賞にノミネートされてきた彼女ですが、今回の出演には「正直、少し迷いもありましたが、事務所と話し合い挑戦してみることに決めました」と心境を明かしていました。
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カッコいいパンツルックで登場した「犬青」。ワールドツアーを終えたばかりの3人は、「ワクワクと緊張が入り混じっています。全力で駆け抜けて、観客のみなさんと一緒にステージを楽しみたいです!」と意気込みを語っていました。この夏にニューアルバムのリリースを予定しており、すでに複数のミュージックビデオも撮影し終えたそう。新たな作品で、音楽シーンを再び驚かせてくれることでしょう。
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最優秀客家語歌手賞と最優秀中国語女性歌手賞の両方を手にした、金曲賞史上初のバイリンガル歌姫である「彭佳慧(ジュリア・パン)」。
6月初旬に小巨蛋(台北アリーナ)で4度目の単独コンサートを行ったばかりの「彭佳慧(ジュリア・パン)」。休む間もなく金曲賞のパフォーマンス準備に入ったという彼女は、「このふたつの大きなステージがほぼ同時進行で行われることになるので、本当に自分にこなせるのか、とても迷いました」と正直な胸の内を明かしていました。しかし、さすがは「鉄の肺を持つ歌姫」の異名を持つ彭佳慧。生気に満ちた迫力ある歌声で、『快樂的人請舉手』、『鼓勵我的頭』などのスペシャルメドレーを、中国語と客家語のミックスで披露してくれました。
我らが日本の歌姫「MISIA」が、7年ぶりに台湾中を沸かせてくれました!
©️Rhythmedia
昨年の花蓮地震の影響により、台北でのソロコンサートが急遽中止となってしまった「MISIA」。彼女の歌声を待ちわびていた多くのファンが無念な想いを抱えていましたが、今回金曲賞の招待により、再び台湾にて彼女の圧巻の美声を聴けることに‼うれしい~‼
「このような特別な舞台である金曲賞で歌えることを、とても光栄に思っています。最後に台湾で歌ったのは2018年6月、もう7年近くも経ってしまいました。本来は昨年4月に台湾公演を予定していましたが、地震の影響で実現できず……この間ずっと、いつかまた皆さんに歌声を届けたいと願っていました。こうして再び台湾で歌える日が来て、本当に嬉しいです。心を込めて歌います」と語ってくれたMISIA。
何度かコンサートへ足を運んだことがあるナビですが、あの小柄な体型からは想像もできないほどの歌唱力と豊かな表現力は、いつ聴いても旋律に触れ、自然と涙が流れます。
今回は『希望のうた』、『明日へ』の2曲を熱唱。彼女のあたたかな歌声は、圧倒的な存在感とともに愛と希望を届け、会場は感動の渦に包まれました。
特に、『明日へ』では、一部の歌詞を中国語で歌い、台湾人の心を揺さぶります。それだけに留まらず、クライマックスではノーブレスで約20秒間、最後の一音にかけて更にキーを上げながら歌い上げたのです。MISIAの肺は、一体どうなっているのか……。天井を突き抜けるような声量に、小巨蛋(台北アリーナ)がぶっ壊れるのでは、と心配になるほど。
心に響く真摯な歌唱とパフォーマンスが多くの人の胸を打ち、会場はスタンディングオベーションの大絶賛!!心のこもった素晴らしすぎるステージを、本当にありがとう♡
©️Rhythmedia
裏方から表舞台へと挑戦する人——
プロデューサー・仲間・家族らと支え合いながら夢を追いかけている人——
大切な仲間との別れや出会い——
それぞれの持ち場で役割を果たす音楽界のボルトたちの、内に秘めた想いや生き様に、ほんの少し触れることができた「第36回金曲賞」でした。
今年も台湾音楽に新しい風を吹かせてくれた、たくさんのアーティストたちに敬意と感謝を込めて。
以上、台北ナビでした。
情報・画像提供:台視
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2025-08-01