秋の雪山に登ってきました。今年3月雨・風・雪に阻まれ頂上900m手前で登頂を断念。今回11月に再度挑戦!お天気にも恵まれ、登頂を果たしました!
雪霸國家公園入口
こんにちは、ライターの木村明惠です。
台湾には3000m級の山が268座もあり、最高峰は玉山(3952m)。その次に高い山は、雪霸國家公園の中に位置する雪山(3,886m)。かつて日本が統治していた時代、玉山は「新高山」という名前でした。新高山の次に高い山として雪山は「次高山」と呼ばれていましたが、現在は雪山という名前になっています。
台湾は島全体を山脈が南北に貫いており、雪山は比較的北部に、玉山は中部に位置しています。地質学的にも雪山と玉山は別の山塊に属するのだそうです。
野訊國際登山旅行社のツアーを利用しました
雪山は玉山と同じく国家により「山地管制地域」に指定されているため、許可無く入山することはできません。
前回と同じく、ナビは台湾で登山を専門に扱う野訊國際登山旅行社のツアーに参加しました。ナビは中国語をほとんど話せませんが、山登りで必要なことは世界共通なので、ジェスチャーや英語でガイドさんたちと意思疎通できます。野訊國際登山旅行社ならひとりひとりにスケジュールブック(中国語)も作ってくれますし、手続きも簡単なので、いつもお世話になっています。
雪山行程表
2泊3日のツアーは、朝8時にMRT「古亭」駅出口に集合。ここから専用バスで宜蘭―武陵―登山口まで向かいます。
今回の参加者は23名。ガイドさんはリーダーの郭さん(とってもパワフル!)と女性ガイドのLanaさん(とっても美人!)2名のガイドさんがついてくれました。言うまでもなくガイドさんは登山のプロ。道中最後までお世話になりました。
MRT「古亭」駅出口2が集合場所
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バス車内 中型バスで定員25名
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バスは台北から宜蘭へ、宜蘭から山道に入ります
右上に宜蘭。川に沿って左下の山中に入っていきます。
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今は広い河原に幾筋もの細い川が流れていますが、大雨や台風のときは氾濫し大きな被害をもたらすそうです。
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朝から小雨が降っています。広い氾濫原を持つ蘭陽渓に沿う山道を進んでいきます。台北から登山口までは休憩を含めて6時間くらい。心配なのはこれからの天気。
14:30 やっと雪山登山口管制哨(2,300m)まで到着しました。ここで個人IDを提出。外国人はパスポート、台湾人はIDカードの身分証を提出します。管理建物の中で、歩行中の注意事項、雪山の自然や山小屋の使い方の案内ビデオの視聴をしました。
雨の中歩き始めます
登山口管制哨のチェックを終え、15:25いよいよ登山口から歩き始めました。今日は登山口から2㎞にある七卡(シチカ)山荘(2,463m)まで1時間半の歩行。高低差163mです。雨の中歩く…。
雨装備きちんとつけてさあ、出発!
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先頭はリーダーの郭さん。皆の様子を見ながら時々止まってペースを確認
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到着風景
16:55到着。
各人に寝袋が配布されます。今回のツアーでは、事前にブヌン(布農)族の人々の協力で事前に寝袋を運んでもらっています。食事も作ってもらいました。その分担ぐ荷物が減り助かります。
七卡(シチカ)山荘の夜
寝場所を指定してもらい、雨具の整理などしていると夕食ができたと連絡が。すでにかなり暗くなった炊事棟で夕食です。おかずは7品。ショウガの黒糖スープもあります。野菜中心の食事で、生のキクラゲが入ったおかずが2品ありました。山に自生する天然キクラゲと思われます。以前台湾の山中で採っていただいたことがあります。
おかずいろいろ。特にキクラゲ入りスープ。つるつるとした良い触感。美味!
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皆で乾杯!
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食後、入口のテーブルで今回のツアーにグループ参加した人々が酒盛り。職場の皆様だそうです。大勢で楽しいですね!!
第2日目出発
今日はハードな日程です。登山口から2㎞の七卡(シチカ)山荘を出発し、三六九山荘を経て雪山主峰に登り、三六九山荘まで戻る約13㎞の行程です。
朝2時起床。3時出発。暗い中、ヘッドランプをつけて登ります。幸いにも雨はほとんど降っていません。
しばらく登り、5:45哭坡の展望台まで着きました。かなり明るくなってきました。雲海の向こうに中央尖山が見えました。
ここからさらに厳しい登りがあります。
100mおきに登山口からの距離をしめす標識があり励まされます。登山口から雪山頂上まで10.9㎞です。
かなり高度が上がってきました。標高3,100mくらいの場所でやっと高い木の数が減ってきました。でもススキが生えているのですね。ここが日本の山と違うところ。
雪山東峰近くに着きました。今日は頂上まで上がらず、主峰に向かいます。東峰は、明日帰り道に登ります。
三六九山荘から主峰に向かいます
雪山東峰からはやや下り坂の多い道です。8:30三六九山荘に到着。ここで少し休み、麺の食事をいただきました。大きなザックを山荘に置き、主峰往復のための小さなザックに代え、いよいよ雪山主峰への登りです。行くぞ~という緊張感でいっぱいです。
9:30 三六九山荘発。しばらく低い笹竹の斜面をジグザクに登ります。お天気は薄い曇り。念のため雨具を付けました。雨具は防寒着としても役立ちます。
黒森林に入りました
笹原を40分くらい歩くと、急に明るい景色が変わり、深い森林に入りました。黒森林/冷杉(モミの木の一種)の林です。この林を2時間くらいかけて抜け、山を回り込む形で雪山主峰へ向かうのです。針葉樹の良い香りがします。
道は高山らしく大きな石が増えてきました。歩きにくい~。
途中、石が川のようにたい積している場所がありました。自然のすごさを感じます。
はるか向こうに尾根が見えてきました。尾根からすり鉢状にえぐられたカールは氷河期にできたものと言われています。
黒森林を抜け、最後の登りに入ります
12:30 黒森林を抜け、明るい盆地に出ました。圏谷(カール)です。周囲には雪山の尾根がぐるりと囲み、めざす主峰ももうすぐです。
玉山圓柏。和名:ビャクシン(ヒノキ科)。長い間の風雪に耐え不思議な形をしたものが多いです
ここからは高木が無い岩の多い道が頂上まで続きます。10.1kmとかかれた標識を通過。あと800mです。足が重い~。朝から歩いてかなり疲れていますし、3600m以上の高山で空気が薄い。ガンバレ!と自分を励まし、1歩1歩足を前に進めます。リーダーの郭さんは全員の様子を見ながら、決して無理をしないで休み休み進んでくれます。こうした配慮はさすがプロ!周囲の広大な景色を励みに登ります。
全員集合
14:00 雪山主峰に登頂しました。予定よりかなり時間がかかりました。
最後の苦しい道を一緒に登った周囲の人と喜びを分かち合いました。薄曇りでしたが360度の景色は素晴らしい!ここで集合写真をパチリ。一緒にがんばって登った仲間です。
すこし雲が多くなってきました。急いで三六九山荘に帰りましょう。
とはいえ、岩の多い坂は危ないので注意して歩きます。下りは事故が多いので慎重に。途中で雨も降ってきました。頂上でなくてよかった。
17:30 頂上から約3時間かけてやっと三六九山荘に到着。すでに周囲は暗くなっていました。山荘は私たちパーティ以外にもたくさんの宿泊者。明日主峰に登ると思われる人々は、すでに寝袋に入り就寝体制です。山はともかく寝ないと体がもちません。
第3日目(帰り道)
3:30起床、4:40出発。空には満点の星。しかも満月でした。
まずは雪山東峰を目指します。周囲は真っ暗。ヘッドランプをつけて歩きます。写真には撮れなかったのですが、道沿いの冷杉の上で大きな鷹を見ました。ガイドさんが気づきライトで示してくれました。巣があるようです。自然の鷹をかなり近くで見たのは初めてです!!
雪山東峰(3,201m)登頂!
だんだん周囲が明るくなってきました。5:50 雪山東峰登頂!
まもなくご来光の時間です。頂上には30人以上の人がいました。カメラを設置してご来光のシャッターチャンスを待つ人も。
周囲の眺望をご紹介しましょう。
ご来光の光の中に中央尖山、はるか南には台湾最高峰の玉山(3,952m)、西側には昨日登った雪山主峰、北には雪霸國家公園の一群を成す池有山などが見えました。雲海も見えます。
雲海
20分ほど撮影や眺望を楽しみ、下山。これからはほとんど下り道です。
平たんな道も時々あり、周囲の展望が楽しめました。
8:40
シチカ山荘に到着。山荘の前にはテントが張られていました。山荘内で泊まることができない場合はテント泊になります。
登山口に到着!よく歩いた!
9:40 登山口に到着しました!美しい管理建物が迎えてくれます。2日前雨の中を出発、往復21.8㎞の高山をよく歩きました。達成感でいっぱいです。
管理建物の下に待つバスで台北へと帰りました。
歩き始めた地点に戻ってきました
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下でバスが待っています
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雪山の魅力
何といっても神秘的な黒森林とそこを抜けたときに広がるカールの感動、広い尾根を眺めながらの最後の登りと登頂の達成感、頂上や道々の眺望でしょうか。季節柄お花は少なかったですが、森林の息吹を思い切り吸ってきました。下界の憂さなど忘れます!
聞くところによると、雪山主峰は最高峰の玉山より難易度は高いとのこと。
今回のパーティには登山経験初めてという男性もいました。年齢・体力・技量がまちまちの人を率いて全員登頂できたのも2人のガイドさんのお力です。
雪山は決して軽い気持ちで行く山ではありませんが、それなりの登山の心得と熱意があり、きちんと準備すれば行けるものです。是非挑戦してください。
ガイドの郭さん 後ろに雪山主峰が見えます
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ガイドのLanaさん いつも明るく皆を励ましてくれました
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主峰までは無理、という方も、がんばれば、雪山東峰まで登山口から日帰りで往復できます。私たちが下山するとき、多くの人が登っていました。中には小さな子供連れも。登山口近くにあるリゾート地/武陵に泊まり東峰まで往復する人も多いそうです。(入山申請必要)
以上、台湾の山大好き木村明惠でした。
(取材日:2017年11月3日‐5日)
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2017-12-19