「2019客鼓鳴心-鼓王争霸戦」――花蓮客家太鼓フェスティバル

太鼓の音が鳴り響く、のどかな客家の里へショートトリップ

こんにちは、台北ナビです。

本日ナビがご紹介するのは、台湾東部の花蓮県瑞穂郷です。緑豊かなのんびりムードが漂うこの地で、にぎやかな太鼓の音が鳴り響くお祭りが開催されました。1年1度のイベントを楽しんだレポートが届きましたよ~。

それでは、さっそくご紹介します。

「客鼓鳴心-鼓王争霸戦」とは?

台湾はさまざまな民族(族群/エスニックグループ)が暮らす土地です。その多様な民族の1つに客家(Hakka)の人々がいます。

彼らが大切にしている12の行事の1つが「客鼓鳴心-鼓王争霸戦(花蓮客家太鼓フェスティバル)」です。毎年7月に花蓮県瑞穂郷の富源地区で開催されている太鼓の技を競うお祭りで、今年も客家委員会の指導の下、花蓮県政府主催、花蓮県政府客家事務所の制作で7月28~29日に行なわれました。地元の名手だけでなく、台湾中から優秀な太鼓楽団が集結し、ステージ上で共に客家のお祭りを盛り上げました。
元々はこの地区の寺廟、富源保安宮にまつられている保安宮城隍爺の生誕を祝う夜回りが始まりだったという「鼓王争霸戦」。とても長い歴史があるお祭りです。そんな小さな地元の祭事が、今では全国規模のイベントへと成長し、大々的に執り行われるようになりました。それには前花蓮県長の傅崐萁氏の尽力が大きかったとか。

さらに傅氏は、花蓮観光と客家文化の融合にも積極的に取り組んできたそうです。その成果として「客庄小旅行(客家ショートトリップツアー)」も開催されるように。今年は「客鼓鳴心-鼓王争霸戦」と同時期に日程が組まれ、イベントの観戦のほか、台湾西部とは異なる花蓮の客家文化を深く知ることのできるものとなりました。
花蓮県政府客家事務所舞踏クラス」のダンス

花蓮県政府客家事務所舞踏クラス」のダンス

「花蓮客家合唱団」の歌声

「花蓮客家合唱団」の歌声

オープニングイベントは太鼓の夜会

2日間に渡るイベントの幕開けは「観喜鑼鼓満客情晩会(太鼓の夜会)」です。夕暮れと共に、前年度のチャンピオンらが富源保安宮に集結し、太鼓の音を鳴り響かせました。
2018年学生部門チャンピオンの新北市八里区米倉小学校

2018年学生部門チャンピオンの新北市八里区米倉小学校

2018年社会人部門チャンピオンの「声色抜仔・響富源」

2018年社会人部門チャンピオンの「声色抜仔・響富源」

圧巻の演奏

ほかにも、世界的に有名な「十鼓撃楽団」、「御鼓坊」、「重撃現実打撃楽団」や台湾でよく知られる「新瓦屋花鼓隊」が登壇、それぞれの音を響かせました。観客も彼らの素晴らしい太鼓の音色とバチさばきにうっとり…。
「十鼓撃楽団」

「十鼓撃楽団」

「御鼓坊」

「御鼓坊」

「重撃現実打撃楽団」

「重撃現実打撃楽団」

「新瓦屋花鼓隊」

「新瓦屋花鼓隊」

ド迫力の演奏!お腹の底まで響く太鼓の音色

「十鼓撃楽団(Ten Drum)」は、土地と文化を結び付けた特色ある活動を行っているドラムパフォーマンス集団です。とりわけ2007年に台南県仁徳郷にオープンした「十鼓文化村」は、製糖工場跡地をリノベした園内で、太鼓のパフォーマンスや太鼓のレッスンが楽しめるほか、各種体験ができる人気のスポットとなっています。また、2016~2017年には花蓮文創園区でも劇場をオープン、東部エリア初のテーマ劇場として注目されています。

そんな彼らの演奏は、伝統的な太鼓文化の位置づけを守りつつ、多様性あふれるアーティスティックなドラムパフォーマンが特徴的。京劇風の衣装とメイク、芸術的な演出で、ステージ上の空気も彼ら色。会場に集まった観衆の心を揺さぶります。
続いて登場したのが「新瓦屋花鼓隊」です。彼らは顔にメイクアップを施し、おもしろおかしないで立ちで本格的なパフォーマンスを見せてくれます。台湾風のダンスと組み合わせた『敲鑼打鼓喜洋洋』や『桐花鼓』、『歓喜鑼鼓』などの曲目を披露し、客席も盛り上がっていました。
「重撃現実打撃楽団」は、思わず身を乗り出してしまうほどのユニークさ。身近な暮らしの中にあるさまざまな用具を組み合わせて、無限の驚きと感動を与えてくれます。例えば、叩いているのはバケツ。軽快なリズムに思わず体も自然と揺れてしまうほど。彼らは、「リズムはどこにでもあり、その可能性は無限大だ」と信じ、身近な用具から感動の音楽を創り出しています。

途中、客席から飛び入りで男の子が壇上へ。ボトルを上手に叩いて客席から大きな拍手が送られていました。そういえば子供の頃、お茶碗やグラスを叩いて叱られたことがあったなぁ…。若き彼らの原点もこんなところにあるのかも!?
そしてイベントの目玉は、何と言っても「御鼓坊」のパフォーマンスです。太鼓好きが集まって結成したという彼らの音楽は、伝統的な太鼓の精神を基軸に、台湾の豊かな民族文化や世界各地の太鼓文化、現代音楽の要素を融合させた演奏が魅力的です。新たな芸術としての太鼓のムーブメントを目指し、多様性のある太鼓音楽の新たな波を創り出すことに尽力しています。

台湾文化と溶け込んだ独創的な舞台

「今年は目でも楽しんでもらいたい!」と、ステージには特別に「光の保安宮」も出現する仕掛けも用意。まるでどん帳に描かれた3Dのイラストのように 、ぽっかりとバックステージに浮かんでいたのは、夜の富源保安宮でした。伝統と革新がステージ上で見事に融合!台湾らしい特色ある舞台演出に、気分も高まりました~♪

2019年の太鼓王は誰だ!

開会式

開会式

太鼓合戦

太鼓合戦

イベントの後半戦は翌日、9時から富源小学校で行なわれました。いよいよメインの「客鼓鳴心-鼓王争霸戦」、太鼓合戦です。台湾中から太鼓の達人たちが大集合し、社会人部門11組、学生部門13組、計24組が参加して、王座を競い合いました。太鼓の技術はもちろんのこと、ステージパフォーマンスや衣装の創意度、応援旗のデザイン性、チームの団結度などが評価の対象となります。みな、それぞれ特色あるパフォーマンスを繰り広げ、会場からも歓声が上がります。
太鼓の音が鳴り響く! 太鼓の音が鳴り響く!

太鼓の音が鳴り響く!

見事な技のぶつかり合いのほか、休憩タイムには「客家童謡DoReMi」や「花蓮県客属会瑞穂分会舞踏クラス」、「鳳林客家歌謡クラス」が素晴らしい客家の歌声や踊りを披露、和やかなムードも広がります。

また、「客家産業カーニバル」も同時に開催され、参加者に客家フードやドリンクが振る舞われたほか、特色あるお土産の販売も。さらにイベントを盛り上げる「客家小学堂」コーナーでは東部客家民族による客家語のレクチャーが。加えて、飛び入りコンテストの「現場擂鼓王」やiPhone XRや50インチ液晶テレビが当たる抽選会もあり、多彩なアクティビティーでにぎわいました。
かわいらしい「客家童謡DoReMi」

かわいらしい「客家童謡DoReMi」

各種パフォーマンスも

各種パフォーマンスも

そして…いよいよ本年度の優勝チームの発表に。

2019年学生部門のチャンピオンは「南庄翔飛獅鼓陣-少年英雄戦鼓隊」でした。迫力ある舞台はもちろんのこと、客家布で飾られた太鼓や腰布、頭のバンダナに客家民族らしさが出ていて好印象。そして、社会人部門のチャンピオンには、昨年と同様「声色抜仔・響富源」が再び王座に輝き、その名誉と賞金を手にしました。ピタッと息の合った一糸乱れぬ演奏は圧巻。会場を歓喜の渦に巻き込みました。
学生チャンピオン「南庄翔飛獅鼓陣-少年英雄戦鼓隊」

学生チャンピオン「南庄翔飛獅鼓陣-少年英雄戦鼓隊」

社会人チャンピオン「声色抜仔・響富源」

社会人チャンピオン「声色抜仔・響富源」

台湾の特色があふれる太鼓のパフォーマンスは、想像を絶する感動の嵐!自然豊かな花蓮の空気感が、より一層そうさせてくれたのかもしれません。花蓮観光と合わせて、あなたも体験してみてはいかがですか?次回の開催は2020年の夏予定!今から要チェックです。

以上、台北ナビでした。

画像提供:客鼓鳴心-鼓王争霸戦

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2019-08-15

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