音楽評論家の関谷元子さんが全力レポート!「周杰倫」だけが作り上げられる<カーニバル>は、作り込まれた世界感と唯一無二のメロディと歌声が融合し、感動の嵐を巻き起こしました!
ナビを台湾とのご縁で結んでくれた「周杰倫(ジェイ・チョウ)」
画像提供:JVR Music
こんにちは、台北ナビです。
台湾を代表するアーティスト「周杰倫(ジェイ・チョウ)」。台湾が好きなら彼の曲を一度は耳にしたことがありますよね?何を隠そうナビもその一人。中国で『忍者』を聞き、「周杰倫(ジェイ)」の存在を知り、そして台湾のアーティストなんだということで、台湾に興味を持ったということもあり、ナビと台湾を結び付けてくれた恩人でもあります。
そんな「周杰倫(ジェイ・チョウ)」が16年ぶりに日本でライブを開催する!と聞き、ナビも会場へ駆けつけたかったのですが、エアチケット高騰により敢え無く断念。そんなナビに代わり、音楽評論家の関谷元子さんがレポートしてくださいます!
では、バトンを関谷さんにお渡ししましょう!
ごめんなさい、「周杰倫(ジェイ・チョウ)」のこと知らないんです!って人でも3分でわかる彼のすごさ!
ペンライトの光に照らされながら歌う「周杰倫(ジェイ・チョウ)」
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こんにちは、関谷元子です。
「周杰倫(ジェイ・チョウ)」のツアー「嘉年華 世界巡迴演唱會(カーニバル・ワールド・ツアー)」は、2019年10月17日、上海のメルセデス・ベンツ・アリーナから始まり、中国、東南アジア、オーストラリア、ヨーロッパを回り、今年2024年4月6日と7日の2日間、Kアリーナ横浜で行なわれました。
ここで簡単に「周杰倫(ジェイ・チョウ)」のご紹介をしておくと……
「周杰倫(ジェイ・チョウ)」は、中華圏音楽シーンのキングとして不動の地位を築いてきたアーティストです。2023年台湾のSpotifyで最も聴かれたアーティストに選ばれ、デビューから20年以上たった現在もその人気は衰えることを知りません。
もともとは、友人がTVのソング・コンテスト番組に出場する際にその伴奏としてついて行ったにもかからず、そこで彼の才能が注目されました。まずは作家としてほかのシンガーに曲を提供。そして、ついに2000年にデビュー・アルバム『杰倫(Jay)』をリリースし、瞬く間に中華圏全体で人気を博しました。
中華圏のトップ・アーティスト・周杰倫(ジェイ・チョウ)
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周杰倫(ジェイ・チョウ)の音楽はそれまでにない斬新なものでした。特に、バラードでは誰もがうっとりする美しいメロディーで聴かせ、中華圏のトップ・アーティストになり、今に至ります。
そして、周杰倫(ジェイ・チョウ)のすごさは映画界でも花開きました。2005年には日本のコミックを実写化した映画『頭文字(イニシャル)D THE MOVIE』に主演、2007年には監督・脚本・主演・音楽を兼ねた『不能說的秘密(邦題:言えない秘密)』を大ヒットさせ、その後は音楽の本業を行いながら、俳優としても大作に主演しています。
周杰倫(ジェイ・チョウ)の活躍を書けば、それだけで語り尽くしてしまうので、ライブの話に戻りましょう!
16年ぶりの日本のコンサートは24年のキャリアの集大成のカーニバル!
三味線の演出は圧巻!
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周杰倫(ジェイ・チョウ)にとって16年ぶりの日本でのこのコンサートは、彼の24年に及ぶキャリアの多様さ多彩さを見せてくれました。初期の曲も多く聞け、ピアノはもちろんのこと、ギター、古筝、なんと日本の三味線まで楽器を奏し、もちろんダンスも素敵!トークも楽しく、ファンにとってはスペシャルなものになったのではないでしょうか?
周杰倫(ジェイ・チョウ)の<カーニバル>はこんな感じでスタートしました
周杰倫(ジェイ・チョウ)のミュージックビデオなどいくつかの映像が映し出されています。会場の照明も半分くらいの明るさでかつ音量も小さめ。そんな時間がしばらく過ぎると、まばゆい映像と共におもちゃの兵隊さんのような恰好のミュージシャンがトランペットを持ち、サーカスのクラウンとなってが登場!ここで、ショーの始まりを観客に宣言します。
この始まりだけで、まさにファンタジーの世界!こうやって周杰倫(ジェイ・チョウ)のカーニバルの幕が上がったのです。
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ステージをよく見れば、スクリーンに映る緻密でゴージャスな映像とたたみかける縦横無尽なライティングと美しい色彩。圧倒的に魅せるステージが作り上げられています。
1曲目は中華テイストの『黄金甲』。赤いライティングに、キラキラと輝く真っ赤な中華風建造物などが映しだされると……、彼らしいメタリックの時代劇風衣装に身を包み、周杰倫(ジェイ・チョウ)がせりあがってきました!スタイルの良さが際立っています。
そこからの数曲は、時に1コーラスだけでどんどんテンポよく進みました。と同時に映像、ライティング、音楽がこれでもかと畳みかけてきます。観ている方は、次々と出てくる趣向を凝らした光と映像のマジックにただただ引き込まれてゆくというわけなんです。
こういった観客を飽きさせない演出が続いていきます。
古箏で美しいメロディを奏でる周杰倫(ジェイ・チョウ)
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たとえば、黒に赤色のアクセントがあるお洒落なコスチュームのダンサーの肘から先だけが蛍光色に輝きその手の動きだけで色々な形を作ったり、ゲームに出てくるような戦士のような大男が出て来たり、全身銀色、シルクハットも顔も銀色の宝石が光るダンサーが出たり……。
そうかと思うと、彼自身もアメリカのカントリー&ウェスタン的スーツでセミアコ・ギターを手に『牛仔很忙(カウボーイは忙しい)』を歌ったかと思うと、キューバ音楽をとても上手に再現している『Mojito』のサルサ風ダンス、特注のデニムのスポーティな衣装でダンサーと共にバスケット・ボールを操りながらのダンス、煌びやかな舞踏と変化に富んだ映像は、ファンたちが目を離すことなく見入ってしまいます。
『簡単愛』ほか2曲では、周杰倫(ジェイ・チョウ)がステージから降りて、上手から下手まで最前列にいるオーディエンスの手にタッチ!(最高か!)
豪華ゲストにも大興奮!
初日のゲストとして歌ったのは、柯有倫(アラン・コー)。日本の台湾ファンの中では、台湾ドラマ『戦神~MARS~』オープニング楽曲『零』を歌っているシンガーとして覚えてらっしゃる方が多いのでは?はたまた、槇村さとる『おいしい関係』原作の台湾ドラマ『美味關係(美味関係〜おいしい関係〜)』の木村大地(何馬揚)役として俳優のイメージがある方もいるかもしれません。
関谷的にはちょっとワイルドで女心をくすぐるポップ・ロックの印象があります。
曹楊
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派偉俊(Patrick Brasca)
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画像提供:JVR Music |
また、周杰倫(ジェイ・チョウ)の事務所JVRのアーティストも登場しました。
上海出身で『不能說的秘密(言えない秘密)』のミュージカル版で主演を演じた曹楊と、派偉俊、楊瑞代も素晴らしいパフォーマンスを披露。彼ら後輩と話す周杰倫(ジェイ・チョウ)は、会話を仕切るアニキと言った風で、普段着の周杰倫(ジェイ・チョウ)を見られた感じがし、そのやり取りは見ていてほほえましかったです。
16年ぶりの日本公演は日本への思いを込めた特別感があるものに♡
日本だけのスペシャルな演出もありました。
「日本の皆さんこんにちは。僕を覚えていてくれた?日本のライブは16年ぶりだよ。前回の武道館に来た人いる?16年、本当に長かったね。だからたくさん歌おう!」と日本語を混ぜながら話してくれました。
「実際、日本で『忍者』などのミュージック・ビデオをたくさん撮影したんだよ。五月天(MAYDAY)の阿信とのデュエット『説好不哭』も『等你下課』も。で、この『等你下課』が撮影された場所を知っていますか?代々木公園なんだ。この曲を聞きたい?」というと客席のファンは熱い拍手を送り、周杰倫(ジェイ・チョウ)は歌ってくれました。
そしてなんといってもスペシャルな演出というと、「周大挟」で三味線奏者を6人従え周杰倫(ジェイ・チョウ)自身も演奏したことでしょう。そしてこの曲の後半になるとラップになり、曲は一気に周杰倫(ジェイ・チョウ)のヒップホップへ。
周杰倫(ジェイ・チョウ)の音楽の新しさは、ヒップホップやR&Bを中華の伝統音楽と見事に融合させたとよく言われますが、今回は日本の伝統音楽との融合を目の当たりにすることができました。伝統音楽を彼の音楽に落とし込む、その思いっきりの良さに感心!非常に面白い。プロデューサー、周杰倫(ジェイ・チョウ)の力が見えました。
台湾アーティストのライブ恒例のリクエストコーナーで感じるファンの愛情の深さ!
コンサート終盤の30分ほどは後輩たちと共に、リクエスト・コーナーを行ないました。リクエスト・コーナー行くよ~と言った後、まずは、この日観に来ていた台湾の俳優の張震(チャン・チェン)にリクエストを募るサプライズ。彼がリクエストしたのは『龍捲風』で、バンドも周杰倫(ジェイ・チョウ)も歌います。
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その後は、ステージ上手に行ったり下手に行ったりして7人ほどの観客からリクエストを受けそれをすぐにバンドと歌い出します。周杰倫(ジェイ・チョウ)たちに指をされてリクエストしたファンたちは皆大興奮。「落ち着いて、ゆっくりね」と優しく声をかける周杰倫(ジェイ・チョウ)。彼らがいかに周杰倫(ジェイ・チョウ)の曲を愛しているのかが伝わるような会話があり、周杰倫(ジェイ・チョウ)の音楽が多くの中華圏の人たちの人生に深く関わっていることがよくわかりました。
それにしてもすべての曲を観客が皆一緒に歌っていたのにはびっくり!台湾のコンサートあるあるを日本でも感じられました!
周杰倫(ジェイ・チョウ)が積み上げてきた魅力を思う存分感じられたカーニバル!
周杰倫(ジェイ・チョウ)のカーニバル、もちろん作りこまれた美しさを持つこだわりぬいた映像とライティングが感動的だったことは間違いありません。
が、それに加え、周杰倫(ジェイ・チョウ)というアーティストが本当に美しいメロディを書き続けてきたということ、そしてそれを歌う彼の声の甘さと切なさとセクシーさを強く感じることができたことも心震えたことでした。まさに周杰倫(ジェイ・チョウ)だけが歌える周杰倫(ジェイ・チョウ)の歌を堪能したライブでもあったと思います。
画像提供:JVR Music
周杰倫はデビュー以来15枚のアルバムをリリースし、どのアルバムも高いセールスを記録してきました。日本では、来日記念盤として今回のライブの曲を多く収録した2枚組CD、その名も『CARNIVAL』がリリースされました。周杰倫(ジェイ・チョウ)のファンはどんなにこの日を待っていたのでしょう。来てくれただけで嬉しい、といった声も聞こえましたよ。
ライブを日本で行なったのは今回が3度目になりますが、最高のビジュアルと最高の音楽で、スーパースター、周杰倫(ジェイ・チョウ)の<カーニバル>を体験することができて、大満足の3時間強でした!
以上、関谷元子がお届けしました!
JAY 嘉年華 世界巡迴演唱會 4/6セットリスト
1. 黃金甲
2. 本草綱目
3. 我不配
4. 我落淚 情緒零碎
5. 青花瓷
6. 簡單愛
7. 夜的第七章
8. 威廉古堡
9. 哭笑不得+最後的戰役
10. 花海
11. 最長的電影
12. 不能說的秘密
13. 微光
14. 3AM
15. 紅塵客棧
16. 東風破
17. 紅顏如霜
18. 可愛女人
19. 園遊會+倒影
20. 晴天
21. 牛仔很忙
22. 軌跡
23. 夜曲+退後
24. 稻香+熱帶雨林
25. Mojito
26. 前世情人+雙截棍
27. 鬥牛
28. 告白氣球
29. 周大俠
30. 等你下課
31. 陽光宅男
32. 七里香
JAY嘉年華世界巡迴演唱會 4/7セットリスト
1. 黃金甲
2. 本草綱目
3. 說好不哭
4. 我落淚 情緒零碎
5. 青花瓷
6. 簡單愛
7. 夜的第七章
8. 威廉古堡
9. 哭笑不得+最後的戰役
10. 花海
11. 最長的電影
12. 不能說的秘密
13. 微光
14. 紅塵客棧
15. 東風破
16. 紅顏如霜
17. 可愛女人
18. 園遊會+倒影
19. 晴天
20. 牛仔很忙
21. 軌跡
22. 明明就+擱淺
23. 稻香+熱帶雨林
24. Mojito
25. 前世情人+雙截棍
26. 鬥牛
27. 告白氣球
28. 周大俠
29. 等你下課
30. 3AM
31. 陽光宅男
32. 七里香
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2024-05-20