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台東・池上の「池上穀倉藝術館」は、地方創生に力を注ぐ台灣好基金會が運営している美術館です。台東の池上は台湾の米どころとして有名な小さな地方都市ですが、「池上穀倉藝術館」がこの土地に文化を根付かせてきました。
そんな「池上穀倉藝術館」で本日より始まる『歷史就是我們自己ᴡᴇ ᴀʀᴇ ʜɪsᴛᴏʀʏ ─ 席德進特展』。ナビは一足先に観覧してきましたので、簡単にご紹介します!
台湾の経済などを支える人々が文化に協賛しています。今回も記者会見に藝術家の蔣勳氏、和碩聯合科技の童子賢董事長、國立臺灣美術館館長も兼ねる席德進基金會の梁永斐董事長、池上穀倉藝術館の梁正賢氏、池上鄉の張堯城鄉長などこの展覧に力を注いだ人々が集結しました!
入口から入ると「席德進」の年表が写真とともに詳しく紹介されています。1923年四川に生まれ、1948年に台湾の嘉義へ渡ってきた「席德進」。
実は台湾へ来た理由のひとつが勧められた婚姻から逃げてきたというようなことも書かれていて、彼の人生が詳細すぎるほど書かれています。
「席德進」の展覧は前後半に分かれ、半年かけて開催されます。今期の展覧は、國立台灣美術館、 國立歷史博物館から借りたもの、次期は「傳奇(伝奇)」と名付けられ、個人が集めた作品を中心に展示します。
今回展示されている作品の多くが、「人」を描いたもので、自画像もあります。
「席德進」の作品は年代に沿って見てみると、手法がどんどん変わっていることが感じられます。それは様々な人の影響を受け、柔軟に自分の作品に取り入れていったことのあらわれです。
オススメはこの『翁祖亮像』から右手に見ていくこと!左の写真を見ながら描いた人物像は、写真以上に目に力が宿っているように感じます。
《翁祖亮像》1948, 油彩、畫布, 46.5x39cm 收藏單位 / 國立臺灣美術館
『抽菸女子』には衝撃を受けました!この絵がなければ1970年にこんな前衛的な女性が台湾にいたとは想像できないのでしょうか?
《抽菸女子》1970, 油彩、畫布, 91.7x73cm 收藏單位 / 國立臺灣美術館
人物画を見ていると絵に描かれた人が自分を見つめてきていると錯覚してしまうほどの目力に驚くはずです。
《菲律濱漁夫》1975, 油彩、畫布, 101.5x76cm 收藏單位 / 國立臺灣美術館
書道を学んでからは、絵の中にその要素もプラスしていきます。
(左)《木棉花》1975, 水彩、紙本, 99.7x68.5cm 收藏單位 / 國立臺灣美術館 (右)《君自故鄉來》, 水墨、紙本,69.3x128.2cm 收藏單位 / 國立臺灣美術館
抽象画にも挑戦していますよ!
《抽象畫(編號 29)》1957,油彩、畫布, 53x65cm 收藏單位 / 國立臺灣美術館
ヨーロッパで生活していた頃の作品も飾られています。「席德進」が描いたフランスのエッフェル塔はエレガントな中に温かみが感じられる気がします。この水彩画は表紙に使われました。
《巴黎鐵塔》1963, 水彩、紙本, 48x64cm 收藏單位 / 國立歷史博物館
見ると台湾の風景だなと感じるこれらの作品は、どれも台湾のじめっとした湿度を表現しているためか、すべて水墨画だと思われがちですが、イギリスの水彩紙とフランスの水彩顔料を使用して描かれたものもあるんですよ。画期的な作品が次々と生まれていったんですね!
個人的に見入ったのが、50歳になった時に描いたというこの作品。自分を、見ている人を抱きしめるような姿です。色使いの巧みさ、そして生命が目に宿っていると感じる目力に引き込まれます!
《自畫像》1971, 粉彩、紙本, 47x64cm 收藏單位 / 國立臺灣美術館
この小さなエリアには、「席德進」に関する資料などが飾られています。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2021-09-10
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