台北駅から程近い台北当代芸術館で「《査無此人》小花計畫展」という特別展が行われています。
音楽と映像などを組み合わせたインスタレーション作品が展示されていて、企画したのは、台湾音楽シーンで活躍する著名デザイナーの方序中さん。そして、音楽プロデューサーを務めたのは、人気バンド・メイデイ(五月天)のMASA(瑪莎)さん。台湾らしさが色濃く反映された作品を通じて「忘れたくない記憶」を表現しています。
1990年に地方から都会へ上京する人の決意を歌いヒットした台湾語曲「向前走」で知られる林強さんらが手がけた「台灣是好所在」は、いつまでも変わらない故郷を思わせる田園風景をたくさんのモニターで映し出し、「古きよき時代」の懐かしさを表現。
数々の不思議な発明品を産み出す明和電機は台湾バンドのメイデイとコラボ。文庫楽器という文庫本サイズの楽器で中孝介さんの「それぞれに」のカバー曲「陰性的紀念」を演奏。ボーカル・阿信さんの歌声と心地よい調和を奏でています。
プロジェクターの映像を映しているので解像度が低くて非常に申し訳ないのですが、メイデイボーカルの阿信さんが歌っている様子も見られます。
1997年にリリースされた順子さんの「回家」を歌う原住民歌手の家家さんの香港出身アーティストとコラボ。基隆や花蓮などの風景に合わせて望郷の思いを掻き立てます。ここには体にフィットする形のソファが置かれていて、自分の好きな姿勢で作品鑑賞ができます。
本来は亡くなった人があの世で幸せに暮らすように祈りながら燃やす紙製の建物「靈厝」も台湾らしい音楽に合わせて独特の世界を表現していました。
某人気アニメに出てくるピンク色のドアを表現した「我夢見了小叮噹」は今年の金曲奨でノミネートを果たした「茄子蛋」とのコラボ作品。後ろに映される映像は「ゆっくりとおぼろげになる記憶」をイメージしているんだとか。
日本でも活躍するバンド宇宙人とのコラボ作品「禁止觸摸」。10種類の物の映像が映し出されていますが、実はこれ、触ると映像が動いて音がする仕掛けが組み込まれています。
誰もがスマホを操る時代、視覚情報が増えていますが、触覚を刺激してくれる作品です。
若者に人気のHUSHは「幼い頃、家の玄関先にあった木」をイメージした作品「大樹小花」とコラボレーション。今はすでになくなってしまったけれど、冷蔵庫の中にかつての青々とした植物が保存されているというもの。
非日常な空間ですが、なぜだか懐かしさや切なさを感じる展示です。
机の側面と上面が劇場のセットのようになっていて、白色LEDが照らす場所だけ浮かび上がって見える作品。どの場所も台湾のどこかで見たことのありそうな空間で、見る人の記憶とリンクします。
まだまだたくさんの作品がある「《査無此人》小花計畫展」、7月7日までですので興味のある方はお早めにどうぞ~。
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記事登録日:2019-06-06
カフェもミュージアムショップも充実!歴史ある赤レンガの建物の中には現代の美術の世界が広がっていました。