高校生スポーツでありながらチケット入手すら困難なHBL!日本との違いも絡めつつ、HBLの魅力に迫ってみます♪
こんにちは、台北ナビです。
今回は、年々注目を集め、視聴率は過去最高を更新、対戦カードによっては入場規制も敷かれるほどの人気がある高校バスケのHBLに昨年の予選から密着しました。
HBL「基本のき」!
HBLには、上位クラスの甲級と「クラブ活動」という位置付けの乙級の2つのクラスあり、注目を集めているのは、甲級の方です。
甲級は男子16チーム、女子12チーム以上のエントリーがあった場合は、「資格賽」と呼ばれる予備予選が10〜11月に開催されます。前季のHBLで準決勝リーグまで勝ち上がった8チームは「資格賽」が免除になるので、その残りの予選出場の枠をかけた戦いが「資格賽」となります。
予選のやり方は、男女によって違います。 男子は、16チームを4つの組に分けて行う一次予選のリーグ戦を11〜12月行い、各組の上位3チームが二次予選に進みます。12〜1月に開催される二次予選のやり方は、後で紹介する女子の予選のやり方と同じです。
11〜12月に開催される女子の予選は12チームを2つの組に分け、各組上位3チームが準決勝リーグ進出します。
4〜6位のチームは最終日の敗者復活戦に回ります。敗者復活戦は、先にA組の5位とB組の6位(以後、C)、A組の6位とB組の5位(以後、D)が対戦し、休憩時間を挟んでCの勝者がB組の4位と、Dの勝者がA組の4位と対戦し、その勝者が準決勝リーグに進出します。
1〜2月に開催される準決勝リーグは、男女8チームの総当たりのリーグ戦で開催され、上位4チームが3月の決勝トーナメントに進出し、優勝を争います。
最大の魅力はコートでのアツい全力プレーとアツい涙
2017年12月20日の女子予選の敗者復活戦に敗れた台北市立第一女子高級中學の3年生の選手と駱燕萍ヘッドコーチ(右から3人目)
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決勝戦で勝利し、感涙を抑えきれない普門高級中學(高雄市)のキャプテン・陳孟欣
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HBLの最大の魅力は、何と言ってもコートでアツい戦いを見せる選手たち。技術的、精神的に未熟で、コーチたちの厳しい声が飛ぶこともありますが、一心不乱にボールを追いかけコートで躍動する選手の姿が人々をひきつけているようで、その辺りは日本の高校生スポーツと相通ずるところがあるように思います。
ナビが一番印象に残っているのは、昨年2017年12月20日に高雄で開催された女子の予選で、台北市立第一女子高級中學の選手たちが見せた涙。敗退が決まった瞬間に3年生の選手たちを中心に全員が涙を流し、泣き崩れる3年生の選手を集めた最後のミーティングでは、駱燕萍ヘッドコーチも涙ぐんで声が出なくなるほどでした。6季前に優勝を決めた際にはチームだけでなく、応援に駆けつけた先輩も一緒に歓喜の涙を流していましたが、その対照的な姿に胸が痛みました。
男子の試合では、豪快なダンクも見られることもありますが、失敗して失笑が漏れることもありますが、そこも魅力の一つのよう!
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涙も喜びも一緒に(右は女子MVPの羅培儀)
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積極果敢に攻めていきます
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応援してくれた父兄への一礼も忘れません
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HBLだけでなく、中華圏のバスケ界を彩るスーパーDJ
オフィシャルズテーブルでの様子
クウォーター間の休憩時間に、観客へ向けキャンペーンのボールを投げ込む謝明宏さん
各チームの選手たちの全力プレーとコーチの情熱を支えている存在も忘れてはいけません。中でも大きな貢献を果たしているのは、DJの謝明宏さん。オフィシャルズテーブルで、試合の進行だけでなく、ハーフタイム時の広告主が主催するゲームの進行、場内案内など期間中は多方面にわたる仕事をこなします。
中でもゲームの雰囲気を壊さないBGMのセレクト、場内の盛り上げ方、入場する選手のコールはHBLの舞台に花を添えます。
ナビはいつも謝明宏さんの喉の状態を心配して声をかけていますが、1度「まぁ、見てな。オレはスーパーマンだからさ!」としびれるようなセリフが返ってきて、ビシッとDJをこなしたこともあるダンディぶりも魅力の一つです。
謝明宏さんは、HBLだけでなく、ジョーンズカップなどの国際大会、中国のバスケットボールリーグのCBA、2010年の広州アジア大会でもDJを担当したことがあり、活躍の幅を広げています。
決勝前にコートに敷かれる白い布
HBLも盛り上がりと注目度の高さを受け、決勝トーナメントの会場が4季前から台北アリーナになりました。10年くらい前にも台北アリーナを使用し、その後は台湾大學総合體育館、新莊體育館を使用していましたが、場内管理や来場者が多く訪れ、通路にまで人があふれるなど、限界が生じてきたため、また台北アリーナに帰ってきました。
台北アリーナに帰ってきたHBLは、さらにパワーアップ。
ハーフタイムや試合の合間には出場校のダンスなどが中心に行われていますが、今年は準決勝の最終試合前に音楽配信会社の運動大使のKimberley Chen(陳芳語)、男子決勝のハーフタイムは台湾を代表するアーチストの張惠妹の姪で、2017年張惠妹のコンサートで共演を果たした安那が歌を披露しました。
家族と記念撮影を行う松山高級中學(台北市)の選手たち
2季前からは、決勝と3位決定戦の前の選手入場時には、家族一人と同伴で入場することになりましたが、選手と一緒に入場する家族の表情を見ていると、うれしいやら恥ずかしいやら、いろいろな表情が場内のモニターから伺えます。入場後は記念撮影も行われ、親孝行的な雰囲気も漂うようになってきました。
また、昨季からは、男女の決勝の前には、コート全体に白い布を敷き、そこを場内スクリーンにし、選手の紹介動画を映し出す演出をするようになり、ライトアップとともに、高揚感を高める効果も出てきました。
2年続けて「日本式」が勝利の鍵に
普門高級中學(高雄市)が優勝を決めた瞬間
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胴上げも行われました
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今季優勝した男子の松山高級中學(台北市)と女子の普門高級中學(高雄市)は昨年の2017年に続き、2連覇を達成しましたが、この2チームには共通していることがあります。それは「日本式」の影響を強く受けていること。
表彰式後、ゴールネットをカットした松山高級中學の黄萬隆ヘッドコーチ
松山高級中學の黄萬隆ヘッドコーチは、数年前から日本の強豪校との交流を活発に行ってきていて、過去には2017年のウィンターカップで優勝した明成高校(宮城)へ赴き、練習と強化試合を行い、2017年7月に「松山カップ」を開催した際には、2016年のインターハイ、ウィンターカップ優勝の福岡第一高校を招待し、交流を深め、日本のやり方を貪欲に学んでいきました。
過去5回の優勝は、突出したスター選手の存在が注目を集めていましたが、今年2018年は地道にチーム全体の力を向上させ、準決勝では最大14点差を逆転、決勝では第4クォーター序盤で5点差に迫られましたが、どうにか逃げ切り優勝を決めました。
中継局のインタビューに答える陽岱鋼(読売ジャイアンツ)の妹の陽詩慧(左)
普門高級中學は、陽岱鋼(読売ジャイアンツ)の妹・陽詩慧の母校。彼女は第1期生の選手として活躍しましたが、今の普門高級中學はその頃の面影は完全になくなりました。
ゴールネットカットを行う普門高級中學の廖哲億ヘッドコーチ(左)と大神訓章さん(右)
その要因は、系列校の佛光大學で一時ヘッドコーチを務めた元山形大学バスケットボール部監督の大神訓章さんの存在。大神さんの勧めで4年前から毎年1月に山形で合宿を行うようになりました。山形合宿は技術の向上よりも基本の反復練習、精神面の強化を優先的に行っただけでなく、就任して日が浅かった廖哲億ヘッドコーチの視野を広げるきっかけにもなったようで、2連覇の大きな原動力になりました。
優勝した男女の2チーム以外にも、日本のチームと交流を行っているところが増えてきています。 人気のHBLから日本の息吹を感じとるのもいいのかもしれません。
以上、台北ナビでした。
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記事登録日:2018-03-20