迪化街ぶらり・・・北街と大橋頭散策(中日文ガイドつき)

日本語ガイド付き迪化街散策ツアーは故郷を想う愛情に溢れています

こんにちは。台北ナビです。
その土地で生まれ育った青年が、愛する地元を自らご紹介。毎月第四土曜日に、ご夫婦で奏でる中日2ヶ国語でのガイドで、日台両方の参加者を同時に案内してくれます。台湾人参加者の方々と共に、たっぷりどっぷり古きよき台湾と触れ合えます。最近、老台北といわれる大橋頭、大稲埕、そして迪化街が元気です。古い町並みが、若い人々の手によって徐々に息を吹き返し、今日の台北発展の始まりの地としての活気を取り戻しつつあります。本日は、老台北で生まれ育った邱さんご夫妻による、ちょっと個性的な地元のツアーに参加してきました。

毎月第四土曜日の定期開催


このツアー、申込み方法はインターネットで。制限人数に達したら締め切られるそうです。今回が第3回目だそうで、このツアーの参加者は25人に、日本からの観光客の方が数名といったメンバーでした。

MRT「大頭橋」1番出口に集合

このツアーの集合場所は、MRT「大頭橋」の1番出口。8月末ですが、まだまだ暑い台北ですから、集合場所が屋外と聞いて、暑いのを覚悟していたのですが、集合場所となった場所は風もあるし日陰だし、わかりやすいしで、さすが地元っ子によるツアーだな、と思いました。

集合場所に着いたら、参加者リストで自分の名前を探してサインし、説明を聞くためのレシーバーとイヤフォンを受け取ります。レシーバーの電池が元気かどうか、まずは確かめましょう。この日は、殆どのレシーバーが電池切れ状態でした(笑)。ナビの借りたレシーバーも、最初は元気でしたが、途中で電池が切れて聞こえなくなりました。予備の電池は、主催者のほうで用意してくださっていましたので、事なきを得ました。ご主人邱さんによる中国語解説用と、奥さん呉さんによる日本語解説用の2つのチャンネルがあり、自分の聞きたいチャンネルに合わせればOKです。チャンネル合せに関しても、丁寧な説明があります。

台北橋へ向かっていざ出発!


何気ない建物も以前は重要な役割をはたしていたりするそうです

何気ない建物も以前は重要な役割をはたしていたりするそうです

全員集合したら、いよいよ出発!このツアーの特徴は、行程すべてが徒歩であることと。暑い夏は、夕方4時の集合はありがたかったです。写真をきれいに取れる明るさがあり、しかも夕方の涼しさと両方がかかっている時間帯ですから。それでも西日はまだ強めなので、サングラスや日傘、帽子は必須かと思います。
 民権西路と迪化街口ちかくの交差点で足を止め、台北橋の説明がはじまります。車でしか通ったことがない台北橋、そして、先日の花火大会では、沢山の人々がここから花火を見物しました。そんな身近な台北橋にも、じつは、長い歴史があったのです。台北橋は、過去5回ほど改築されているそうで、ずーーっと昔は木造の端だったそうです。台風が来ては一部が壊れて修理して、大切に使われてきました。以前、この辺りは船着場からの荷が集められ、各地に送り出される基地だったそうで、物流や人の流れの中心となっていたそうです。なんと、鉄道も敷かれていて、その出発地点がここにあり、大稲埕站という駅名だったそうです。
立ち止まって暫し解説

立ち止まって暫し解説

台北橋の下も有効活用は台湾風

台北橋の下も有効活用は台湾風

橋の脇は、地元住民の暮らしに欠かせない道路です

橋の脇は、地元住民の暮らしに欠かせない道路です

ガードしたならぬ、橋の下。

ガードしたならぬ、橋の下。

また、当時は発展を続けるエリアだったので、日雇いの工人を拾って現場へ向かう車もあったそうです。いまではすっかり、交通インフラの一部分となっていますが、昔は唯一無二の頼れる存在だった「台北橋」でした。
利便性向上?公の標示に手描きのつけたし

利便性向上?公の標示に手描きのつけたし

橋の下を通って迪化街に到着

橋の下を通って迪化街に到着

リフォームが続く迪化街一段

台北橋から徒歩で迪化街一段に向かいながら、今日ご案内いただくエリアは「北街」と呼ばれたそうで、日用品や食べ物、油などを扱う小規模商店が並んでいたそうです。台北橋から徒歩5分くらいで、迪化街一段に到着しました。殆どのお店は閉まっていましたが、きれいにリフォームされて、新しい木製の雨戸が整然とならんでいます。この界隈は、古くからの建物がまだ残っているので、市の古跡保護政策で、いまでは自由な外観の高層ビルを建てることができなくなっているそうです。
何となく洋風な閩南建築

何となく洋風な閩南建築

回廊はこんな

回廊はこんな

おなじみの布市場や乾物が山盛りにならんでいるのは迪化街二段です。ナビはいつも直接二段に行くので、一段から迪化街に入るのは初めてですが、あまり人通りはなく、お店は問屋さんのような店舗がたまに開いているといった風情です。赤レンガとコンクリートグレーの色を基調に、伝統建築を意識してリフォームされた町並みは、よく整っていてきれいです。そして、商店の前に軒先が大きく張り出していて屋根になり、それを支える柱がちょっと洋風な感じに見えます。

台湾建築デザインはオランダ風

間口に対してスゴイ奥行き

間口に対してスゴイ奥行き


邱さんの解説に耳を傾けます。今では台北が首都ですが、もとの台湾の発展は台南から始まりました。台南は以前、外国人が上陸し統治を始めた場所で、現代風の建築物はオランダの影響を受けており、窓の形や柱などに西洋風装飾が施されるようになったのです。ですので、よくみてみると、神殿の柱のような感じのものや、屋根が凝った細工の冠を被せてあるようにみえます。バロック様式の影響を受けているのだそうです。各間口は狭めですが、じつはもの凄い奥行きがあるのが、この附近の古跡級建物の特徴です。この特徴的な景観を生かすため、今では、建てかえの時は役所から登録・許可をうけ、道路に面したところにはやたらと高いビルを建ててはいけないことになっているそうで、迪化街一段のこの辺りは、通りに面している部分だけを2階建てにして景観をととのえてあります。鰻の寝床のような、ビックリするような奥行きがあるので、奥まった部分に上階をつくるという方法をとっています。
当時の壁をそのまま残してある場所もあります。邱さんの解説がなければ、そのまま流してしまいそうなポイントです。いまでも使用可能なほど、なかなかの高技術で石が積まれているので、今もそのまま使用できるほどだそうです。百年以上経っているのに、大したものですよね。足をすすめてゆくと、ポツリポツリと開いているお店が見えてきました。ポークジャーキーで有名な江記華隆はいつも人がいっぱい。そのすぐ傍に、静かに来客を待つ提燈やさん老綿成が。対比が興味深いところです。
綺麗に改装が済んだお店、改装中のお店、そして、まったく昔のままのお店と、入り混じっていて、比較ができて面白いところです。お米屋さんが、盛んにお米の入荷を行っていたりするそばに、ゆったりとお客さんの来店を待つ、拝拝に欠かせない金紙のお店、木の桶やざるを売っているお店などがあります。外来者の感覚かもしれませんが、新しくきれいになってほしいような、このままの状態で昔を垣間見ていたいような、ちょっと複雑な気持ちになります。

店の屋号が入っていてすてき


大体のお店は閉まっていて、実際に営業をしているのかどうかは解らない状態ですが、お店の屋号が前面に入っているので、それを拝見するのも楽しいものです。看板をかけているところもあれば、石やセメントで屋号を入れているところもあります。

屋根の上の細工で個性を発揮


オランダなどのヨーロッパから伝わったデザインが元になった屋根のうえの細工は、時代とともに職人さんが少なくなってしまい、昔のような美しさはなかなか出せなくなっているそうです。それらしく造っても、なんとなくディズニー調になっていたり(笑)。建物の細工の話しを聞いてから、いろいろな建物の細工が気になってしまい、沢山写真を撮ってしまいました。この細工に関しては、専門書がでていたり、論文を書く人がいたりと、実は意外と深い研究がなされているのを後で知りました。興味のある方は、調べてみるのも楽しいかもしれませんね。
消防署も閩南建築

消防署も閩南建築

閩南建築を模した?ディスニー風?でもかわいい。

閩南建築を模した?ディスニー風?でもかわいい。

ただ、研究者にとっては宝物でも、実際に住まいとして使っている人にとっては、余りに身近なのか、トタンで覆ったり、使いやすいようにアレンジしてしまっていたりするのが、勿体無いやらほほえましいやら、おおらかな台湾らしい気がしました。
日常使い?トタンでアレンジ

日常使い?トタンでアレンジ

更に上にもう一部屋継ぎ足してあります

更に上にもう一部屋継ぎ足してあります

仁安醫院見学


迪化街一段を歩き終わり、涼州街を左に曲がって少し行くと、延平北路の角に背の高いビルに囲まれた2階建ての住居が見えます。ここが、次の目的地仁安病院です。ちなみに、邱さんのご実家はすぐ傍だそうで、解説にも力が入ります。仁安醫院は、1924年(大正13年)に柯謙諒医師により設立され、今では、台北市大稲埕歴史風貌特定専用区にある、台湾で初めて全棟そのものが、そのまま保存されることとなった病院です。2階建ての建物は、造りがとてもしっかりしていて、今でも問題なく使用可能なことからも、市の重要な古跡に指定されるとともに、地域活動の中心として、会議室、展覧会場、講演会場として使用されています。
仁安醫院は、この当時の総合病院のような役割を果たしていたようで、小児科や外科(腹腔・胸部・泌尿器)、内科、骨科、避妊など。様々な病気の患者さん達をみていたことがわかります。当時なかなかなかったという、手術用ライトを備えた手術台や当時の薬棚や瓶、ステインレスの道具などがディスプレイされています。また、柯謙諒医師は、病気をなおすだけでなく、予防医療にも目を向けて、野菜を多く食べるように指導したそうです。その証拠に、天井のランプの周りの装飾が、お野菜です。ちょっと変わった宣伝ですが、確かにお野菜をプッシュしていますね。ちなみに、病院の外のランプにも、葉野菜の装飾が。
いろいろな薬の瓶

いろいろな薬の瓶

手術台!!

手術台!!

ランプ周りの葉野菜は白菜?

ランプ周りの葉野菜は白菜?

柯謙諒医師ご夫妻は、犬好きだったようで、飼い犬との写真が多く飾られていました。秋田犬のような大きなワンコを洗ってあげたり、お散歩したり、一緒の屋根に乗っている写真はとてもほほえましく、犬好きのナビはグッときてしまいました。

馬祖をお祭りする慈聖宮


屋台が30件ほど

屋台が30件ほど

こんどきてみようっと

こんどきてみようっと

船着場として栄えた大稲埕で、海の安全をお参りするのはここでもやはり馬祖でした。迪化街の北側に位置するこのお宮、150年前ほど前に建てられたものを、日本統治時代にここに移築したものだそうです。附近には、30軒ほどの屋台がならんでいます。ナビでも紹介したことがあるこの屋台群は、なんと朝4時くらいから開けている店もあり、基本的には昼間の営業で、夕方には閉まってしまいます。台湾にしては珍しい「朝方」な屋台街です。お昼に来ると、このお宮の境内にテーブルが並び、屋台で注文したお料理をそこで食べるようになっているのだそうです。お宮も屋台の商売繁盛に一役買っているのですね。

大稲埕教会


この教会は、約130年前に建てられ、この界隈の信仰の中心の一つになっているのだそうです。この附近の古きよき建物は、途中で改築されているものが多いのですが、この教会も老朽化を理由に最近建て直されています。ここも、前面を昔ながらの教会に、後方をビルディングにして、以前の外観を残しながら、土地の有効活用を図っています。この教会は、迪化街で成功を収めた茶商、李春生氏が建築したものです。
教会の横のこの建物が、、この李氏の住んでいた場所であり、ここも、以前の建物を1,2階部分の雰囲気を残すように改築されているそうです。曲線を描いた壁と特徴のある窓が素敵ですね。
すこしいくと、ナビでも紹介されている呷二嘴がありました。暑かったので、とび込んで冷たいものをガーっと行きたい衝動に駆られましたが、団体行動なのでまたこんどにします。

なつかしのレコードやさん


CDショップは数あれど、レコードやさんとなると、もうなかなか出会う事はできません。保安街の角には、まるで時間が止まってしまったかのような、昭和な感じのレコードやさんが。ガイド役のマニアにはたまらないかもしれません。ジャケットが本当に昭和っぽく、ナビが小学生のころは、本当にこんなだったなーなんてとても懐かしくおもいました。写真にはありませんが、なんと氷川清のポスターも!LPレコード、なんてかいてあります。ああ、懐かしい!!(歳バレバレですもう)
日本のものではないのだけれど、なんとなく重なってる?

日本のものではないのだけれど、なんとなく重なってる?

以前のアイドルちっく。

以前のアイドルちっく。

歩きながら建物拝見


向かいの道を延平北路に沿って歩きながら、向かいにある仏像・仏具店「廬山軒」をご紹介いただきました。5代も続いている由緒ある仏像やさんだそうです。仏具が必要な時に、是非来てみたいとおもいます。それから、パイナップルの商売で大成功した李さんという方のビル。装飾がパイナップルです。
パイナップルが可愛い!

パイナップルが可愛い!

ひっそり滋味ですが、有名店です。

ひっそり滋味ですが、有名店です。

臻味茶苑


迪化街二段へ戻り、今度は最近改装を済ませ、オープニング茶会を開いたばかりの「林五湖本館」「臻味茶苑」に到着しました。ここが、本日のこのツアーのゴールだそうです。到着後、お茶を一杯いただきました。迪化街に面した部分は、天井がたかく、ロフト的な中二階がある伝統的なつくりで、今ではお茶を販売しています。珍しい名前のお茶、大陸からの岩茶などもあり、特徴的だなと思いました。
こちらは元々、林さんというかたのご生家で、茶葉の卸を生業にしていたそうです。移民してから、何代ものご先祖様がここで過ごされ、子孫を残されたそうです。今日はツアーで行ったので、特別に更に奥の仏堂(仏間)も見せていただきました。
お線香で燻られた煉瓦がつやつや

お線香で燻られた煉瓦がつやつや

昔は隣に繋がる通路もありました。

昔は隣に繋がる通路もありました。

釘を一本も使っていない扉。

釘を一本も使っていない扉。

こちらの建物は、改築はしているものの、基礎の部分は160年以上前のものをそのまま使っているそうで、驚きです。基礎の石は、大陸からご先祖様がはこんできたものだそうです。お店の部分の壁を見ると、下の部分50センチくらいの石の色が違っています。オーナーの林さんによりますと、後に建て替えの時に、職人さんが、余りに出来がいいから勿体無いのでそのまま使うことをすすめてくれたのだそうで、改築費がだいぶ浮いたと笑っておられました。
林さんは、今はお茶の卸しの仕事からは引退して、月に数日、この佛堂で算命をしているそうで、この界隈の三大算命師として有名だそうです。悠々自適でちょっぴりうらやましいですね。

これにて、解散

本日のツアーは、たっぷり2時間強。ずっと歩きましたが、距離はそれほどでもなく、日暮れ時だったので、暑い中でも快適に回ることが出来ました。ご自分で、冷たい飲み物を用意しておけば、十分乗り切れる範囲かと思います。台北が発展を始めて間もない頃の様子を踏まえての説明に、思わずうなる同行の台湾人参加者。栄え始めて、どのような影響を受けながら近代的な発展を遂げたのか、とても興味深いとおもいました。日本に比べると、スモールサイズな台北ですが、却って発展の様子が手にとる様に良くわかって、ますます台北に興味が出てきました。皆さんも、台北を訪れる機会がありましたら、是非このツアーに参加してみてください。昔の事を、日本語で聞けるとてもいい機会だと思います。
夕暮れにきれいな木の扉

夕暮れにきれいな木の扉

最後には、皆仲良し

最後には、皆仲良し


まだ夜は始まったばかり。これから近くの寧夏夜市で食事でもしてかえろうかな。台北の夜はまだ始まったばかりですから。以上、台北ナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2012-09-21

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