2025年の金鐘賞で話題となった台湾ドラマを、この機会に振り返ろう!まだ未視聴の方は、お正月休みにぜひ台湾ドラマの奥深い世界に浸ってみてください♪日本から視聴できるリスト付き!
こんにちは、台北ナビです。
2025年もいよいよ終わりが近づいてきました。今回は、台湾のテレビドラマをはじめ、バラエティ番組、ドキュメンタリー、ラジオ番組など、幅広い映像・音声作品を対象に優れた作品や制作者、俳優を表彰する「金鐘賞」を通して、台湾の映像界を振り返ってみたいと思います。
今年で記念すべき第60回を迎えた「金鐘賞」は、日本の「ザテレビジョンドラマアカデミー賞」、アメリカの「エミー賞」のような、台湾を代表する放送・映像アワードです。
表彰は「戲劇類(ドラマ部門)」、「節目類(バラエティ・情報番組部門)」、「廣播(ラジオ部門)」の大きく3つに分かれており、近年はNetflixなど海外の動画配信プラットフォームの作品も対象に含まれるなど、テレビ局の枠を超えた評価が行われているのも大きな特徴です。
今回はその中でも、特に注目度の高いドラマ部門を中心に振り返っていきます。
まずは、レッドカーペット・ルックをのぞいてみましょう
芸能人たちの「レッドカーペット・ルック」はいつも、授賞式本番を前にして最も期待が高まる瞬間ですよね。今年も、台湾の人気俳優や司会者など多彩なゲストがレッドカーペットに集結。華やかなファッションや個性あふれる装いで会場を彩ってくれました。
☆10/17に開催された「バラエティ・情報番組部門」授賞式に出席の面々
「バラエティ番組賞」をはじめ、計5タイトルにノミネートの『夜市王』チーム。両端のインパクト強すぎファッションに目を奪われました(笑)
|
|
元気そうな江宏傑。『廚師的迫降:客家廚房』で共演したJudy、温昇豪と共に「バラエティ番組司会者賞」にノミネートです
|
「クイズ・リアリティ番組賞」はじめ計3タイトルにノミネートされた『老少女奇遇記2』に出演の楊貴媚、鐘欣凌、嚴藝文の3人
|
|
注目はなんといっても、9月に結婚を電撃発表した陳漢典とLuluですね♡陳漢典は、「この12年間の司会人生で手にした1番大きな賞は「黄路梓茵」だ」とのろけてくれました。もう、ごちそうさまー♡
|
「バラエティ番組司会者賞」ノミネートの吳宗憲、陳漢典、Lulu(黄路梓茵)。どうしてもLuluのお父さんに見えてしまう吳宗憲がかわいかったです (笑)
☆10/18に開催された「ドラマ部門」授賞式に出席の面々
画像提供:金鐘獎
|
|
|
『影后』で自身初となる「主演女優賞」ノミネートを果たした林廷憶(スリ・リン)。本作では、オーディションを何度も受け続ける女優「史艾瑪」を演じていますが、実は廷憶自身も過去に50回以上オーディションに挑戦し、なかなか結果が出なかった経験があるそう。レッドカーペットでは、「今こうしてここに立てて本当に感慨深いです」と、率直な思いを語ってくれました。そんな林廷憶は、現在NHKで12月13日から放送中のSFドラマ『火星の女王』に主演として出演中。台湾ドラマとはまた違った新たな表情を見せてくれる彼女の活躍にも、ぜひ注目してみてください♪ |
『聽海湧』で新海三兄弟役を務めた3人は、それぞれ単発ドラマ部門でノミネートされています。右が「主演男優賞」ノミネートの黃冠智(アキラ・ホアン)、左が吳翰林(ハン・ウー)、中央にいるのが助演男優賞ノミネートの朱宥丞(エドワード・ジュ―)。こんなイケメンが三兄弟なんてサイコー(笑)!!
画像提供:金鐘獎
|
|
|
張鈞甯(チャン・チュンニン)は、ちょっと意外ですが今回が初めてだという「主演女優賞」にノミネートされています。この美貌に加え、国立の大学で修士号を取得している高学歴の持ち主で、まさに才色兼備を体現する女優さん!今回出演した『The Outlaw Doctor 化外之醫』では主人公となる医師役を演じており、知性派女優としての存在感を見せつけました! |
「迷你劇集(単発ドラマ)部門」の受賞作品&受賞者
単発ドラマ部門では、14部門にノミネートされた『聽海湧』が、最終的に「ドラマ賞」、「助演男優賞」、「脚本賞」、「監督賞」、「番組編集賞」の5冠を獲得しました。
授賞式でステージに登壇した関係者の様子からはチームの仲の良さが伝わり、ほっこりさせられる場面も♡このチーム力の強さが今回の受賞結果に繋がったのでは?と感じます。
計5冠獲得の『聽海湧』チーム
◇『聽海湧』(配信:Netflix)第二次世界大戦中、日本に徴集されボルネオへ送られた台湾出身の3人の青年が、日本軍のために連合軍捕虜の監視を担当する中で虐殺事件に巻き込まれ、戦後捕虜虐待の罪で告発されていく姿を描いた作品です。台湾で初めて、台湾人の「戦争捕虜監視員」を主人公に据えたドラマとしても注目されています。
画像提供:金鐘獎
|
|
「監督賞」受賞の孫介珩(写真中央)
|
「台湾という特別な場所だからこそ、『聽海湧』という特別な物語が作られた」と語った孫介珩監督 |
孫介珩監督は受賞スピーチで、80年前、日本や中国、オーストラリア、そして当時植民地だった台湾など、さまざまな場所から人々が戦場に集められ、過酷な状況の中で「自分は何者なのか」と問い続けていた人々について触れました。
そして、「その問いは過去の話ではなく、いまを生きる私たちもまだ抱えているもの。『聽海湧』を観て、自分の家族の物語を重ねて心を動かされる人もいれば、違う歴史や視点に戸惑ったり、時には批判的に感じる人もいるかもしれない。それらも含めて、私たちが一緒に答えを探していく過程なのだ」と語ります。
最後には、「今回の受賞は、『自分とは何か』という問いに向き合う旅が少し前進した証。これからも困難な道を切り拓く気持ちで挑戦を続けていきたい」と締めくくりました。
監督の言葉に心を打たれたナビは、早く『聽海湧』を観ねば!という衝動に駆られています。
単発ドラマ部門「助演男優賞」:朱宥丞(エドワード・ジュ―)
5歳で子役としてデビューし、12年の芸歴を持つ若手俳優の
朱宥丞が、若干16歳という若さで「助演男優賞」を手にしました。
朱宥丞は『聽海湧』で、戦争中にボルネオへ従軍した新海三兄弟の三男「新海木德」を演じています。家族を支えるため、若くして戦場に赴く少年「木德」の無邪気さが絶望感へと変化する心理描写を丁寧に表現し、高く評価されています。
受賞の喜びがあふれだす朱宥丞
授賞式では、名前を呼ばれた瞬間こぶしを振り上げ、うれしさと興奮を大爆発させていた朱宥丞。大きな瞳から涙がこぼれ落ちそうになりながらも、審査員や『聽海湧』の演者、スタッフ、そして家族・仲間への感謝を述べていました。
「助演女優賞」はというと、『誰是被害者:第二季』で「江曉孟」役を演じた李沐が受賞!実は5年前の金鐘賞で、同シリーズのシーズン1で「新人賞」を受賞しているのですが、シーズン2では、犯した過ちと向き合う人間の弱さや複雑さを丁寧に表現している点が、審査員や視聴者から高く評価されていました。
画像提供:金鐘獎
|
|
流れる涙も美しい!
|
単発ドラマ部門「助演女優賞」:李沐(ムーン・リー) |
実際、受賞スピーチでは「撮影期間を通して『過ちを犯した人は、果たして許される存在なのか?』という問いをずっと自分自身に投げかけ続けていた」と語り、この作品が人間の内面に潜む闇や葛藤を深く見つめ直すきっかけになったことを明かしました。その言葉からは、役柄の難しさと向き合い続けた日々が自然と伝わってきます。
そして最後に、「恐れること自体は当然。でも、その恐れを理由に、安易で楽な道を選んではいけない」というメッセージを自らに送り、スピーチを締めくくりました。
画像提供:金鐘獎
◇『誰是被害者:第二季(次の被害者2)』(配信:Netflix)犯罪・社会派サスペンスで、台湾ドラマの完成度の高さを象徴する人気シリーズ。張孝全演じる法医学者「方毅任」を主人公に、連続事件の真相と「加害者・被害者」という単純では割り切れない人間関係を描く物語です。
単発ドラマ部門「主演男優賞」:鳳小岳(リディアン・ヴォーン)
単発ドラマ部門の栄えある「主演男優賞」に輝いたのは、『人生清理員』の
鳳小岳でした。意外にも、金鐘賞での受賞は今回が初めてという鳳小岳。
受賞スピーチでは、作品に関わった全ての人々、そして撮影中に急性脳卒中で入院してしまったお父さんを献身的に支えてくれた妻への感謝を真摯に語っていました。また、「受賞して足が震える体験を、初めて経験できた」と率直に笑顔を見せる場面も。
最後にこの受賞を、名声や利益を求めずに日々努力を続ける「社会の英雄たち」、つまり目立たない仕事や役割を担う人々への敬意として捧げたいと締めくくりました。外見だけでなく、考え方までイケメンな鳳小岳。ちなみに彼は、イギリス人の父と台湾人の母を持つハーフです。
◇『人生清理員』(配信:Netflix)
特殊な死後の現場清掃員として働く人々を描いたドラマ。清掃という職業を題材にしつつ、 人間の痛みや癒し、関係の再構築をテーマにしている点が高く評価されています。
単発ドラマ部門「主演女優賞」:楊小黎
単発ドラマ部門の「主演女優賞」に輝いたのは、『台語有影—啥人顧性命』の
楊小黎。5歳から演技の道を歩んできた彼女は「演技することが苦しくなった時には、主演女優賞を受賞する自分の姿を思い描きながら踏ん張ってきました。30年を経て、ようやくその夢が現実になりました」と、万感の思いを込めて語りました。
さらにスピーチでは、「演技が本当に大好き。これからもたくさんの作品に出演したいので、ぜひ私を使ってください」とユーモアを交えつつ堂々とアピール。その前向きさと芯の強さに、楊小黎らしさがにじみ出ていました。
なお楊小黎は、第53回金鐘賞の長編ドラマ部門『台北歌手』で「助演女優賞」を受賞している実力派。今回の受賞は、長年積み重ねてきたキャリアと確かな演技力が改めて評価された結果と言えるのでは?
◇『台語有影—啥人顧性命』(公視・台湾語チャンネル)台湾語による短編ドラマで、長期介護の問題をテーマに、植物状態となった家族を抱える一家の日常と葛藤が描かれています。経済的困窮、制度の矛盾、介護する側の精神的負担といった重い現実を、実力派俳優たちが、ブラックユーモアと鋭い社会的視点を交えて表現している作品。
単発ドラマ部門「新人賞」:黃可欣(エミリー・ホアン)
「新人賞」を手にしたのは、タイ出身の
黃可欣。F4がきっかけで台湾の映像界に魅了され、7年前に夢を追って台湾へ渡った彼女は、学校で中国語を学びながら台湾で芸能活動を行っている若手女優です。
受賞スピーチでは、まずタイ語で「コップンカー」と挨拶し、会場を和ませました。そのうえで、「台湾で演技をする機会を与えてくれてありがとうございます」と感謝の気持ちを伝え、特に監督への謝意を強調。「私ならできると信じてくれたことに、心から感謝しています」と語りました。さらに、共演者やスタッフ、家族や友人、関係者の支えにも触れ、「チームの存在があったからこそ、この夢をかなえることができました」と振り返りました。
台湾での初めてのドラマ出演となった本作では、マッサージ店で働くタイ人女性「在在」役を演じ、本格的な演技に初挑戦。ここでの存在感ある演技が高く評価され、「新人賞」の受賞に加え、「助演女優賞」にもノミネートされるなど、一躍大きな注目を集めています。
◇『樹冠羞避』(公視・台湾語チャンネル)母の死をきっかけに浮かび上がる家族関係のズレや再接近、世代間の溝、そして国籍や文化の異なる恋人との関係を、静かで繊細なタッチで描いた人間ドラマ。今回の金鐘賞では「テレビ映画賞」を受賞しています。
今回の短編ドラマにノミネートされた作品を見てみると、社会課題を扱う作品が目立ちます。どれも身近なテーマで、ナビ的には興味をそそるドラマが多かったです。
受賞者は、長年努力を重ねてきた俳優と、新しい才能の両方が強く評価された回となった印象を受けました。
「戲劇節目(長編ドラマ)」の受賞作品&受賞者
金鐘賞60を象徴する作品『影后』を牽引した女優たちが集結!
長編ドラマ部門では、『影后』が「作品賞」、「監督賞」、「人気作品賞」、「主演女優賞」、「助演女優賞」と主要タイトルを総なめにし、まさに圧巻の結果となりました。
豪華キャスト陣の存在感に頼ることなく、作品そのものの完成度と演技力が高く評価され、名実ともに今年を代表するドラマと呼ぶにふさわしい快挙といえます‼
◇『影后(女優: ボーン・トゥ・シャイン)』(配信:Netflix)
台湾の芸能界を舞台にしたヒューマンドラマ。女優という職業の光と影、名声の裏側にある孤独や葛藤をリアルに描いた作品です。
長編ドラマ部門「監督賞」:嚴藝文
「監督賞」表彰のプレゼンターを務めたのは柯佳嬿(アリス・クー)と、『影后』で主演を務めた楊謹華(シェリル・ヤン)。受賞発表の瞬間、思わず喜びの声をあげた楊謹華の姿が、とても印象的でした。
受賞した
嚴藝文は、「実は今回、私が一番欲しかった賞です」と率直な思いを明かし、『影后』チームへの深い愛情を語りました。
さらに、「演技とは、役と自分の身体や心を交換するような仕事」という言葉で、演者が抱える孤独や繊細さに寄り添いながら、監督として全力で支えたいという信念を吐露。さすがは俳優出身の監督!説得力があります。その言葉に涙を浮かべる俳優たちの姿からは、監督と俳優だからこそ通じ合える特別な関係性が伝わってきました。
また、生前の父から贈られた「居心地のいい場所から一歩踏み出し、本当にやりたいことに挑戦しなさい」という言葉を胸に歩んできたことを明かし、この受賞を天国の父に捧げたいと語りました。
長編ドラマ部門「主演女優賞」:楊謹華(シェリル・ヤン)
長編ドラマ部門「主演女優賞」は、
楊謹華が見事受賞。スピーチでは「ありがとう、金鐘賞。審査員の皆さんの審美眼は本当に素晴らしいです‼」とユーモアたっぷりに語り、会場の笑いを誘いました。
『影后』で楊謹華が演じたのは、実力を持ちながらも結果に恵まれないベテラン女優「周凡」。現実の彼女自身も、主演女優賞に6度ノミネートされながら受賞には届かなかった経験を重ねてきました。
「役を演じた女優ではなく、女優の人生そのものが役になった」と評された今回の受賞は、楊謹華の歩みと物語が重なり合って結実した瞬間だったと言えるかもしれません。
スピーチの際、涙をこらえながらも喜びを抑えられない楊謹華の姿が、ほんとうに眩しかったです。ナビも個人的に好きな女優さんなので、今回の受賞はとってもうれしい‼おめでとうございます‼
楊謹華と謝盈萱の抱擁シーン。『影后』から「主演女優賞」にノミネートされていた謝盈萱について、「盈萱は私の心の女神です。あなたがいなければ、この賞は受賞できなかった。あなたが演じるシーンは、毎回こっそりチェックしていたわ」と、尊敬の念を語っていました。受賞後のインタビューの場では、そんな二人が抱擁する場面もあり、切磋琢磨してきた女優同士の絆を感じました。
長編ドラマ部門「助演女優賞」:曾莞婷(ヴィッキー・ツェン)
「助演女優賞」には、同じく『影后』から謝瓊煖、鍾欣凌、曾莞婷の3名がそろってノミネート。実力派が顔を並べる中、栄冠を手にしたのは
曾莞婷でした。
本作で曾莞婷が演じたのは、長年芸能界に身を置いてきた実力派の脇役女優「潘茵茵」。年齢を重ねるにつれ、世代交代の波にさらされるなかで、焦りや迷い、未練といった誰もが共感してしまう感情を抱える、きわめて人間味あふれる重要な役どころです。その繊細な内面を丁寧に表現し、助演でありながら強烈な存在感を放つ演技が高く評価されました。
受賞スピーチでは涙を浮かべながら、「この道は本当に長くて厳しかった」と、27年にわたる俳優人生を振り返り、支えてくれた人々への感謝を口に。なかでも、演技を信じ続けてくれた監督・嚴藝文の存在が、大きな支えになったことを語っていました。
長編ドラマ部門「主演男優賞」:連炳發(リエン・ビン・ファット)
栄えある「主演男優賞」に輝いたのは、『The Outlaw Doctor 化外之醫』で主人公の医師「Pham Van Ninh/ファム・ヴァン・ニン」を演じた、ベトナム出身の俳優、
連炳發。
彼が演じたのは、ベトナムで正式な医師資格を持ちながらも、病気の母を支えるために海を渡り、やむを得ず違法労働の世界に身を置くことになるという、非常に複雑な役どころ。次々と降りかかる困難の中で、医師としての正義感と、生き抜くための現実との間で揺れ動く内面を繊細に表現し、観る者の心を強く揺さぶる演技が高く評価されました。
受賞スピーチでは、壇上に立つやいなや「オーマイガー!」を何度も口にするほど、喜びと驚きを隠せない様子。「この瞬間は想像をはるかに超えている」と率直な思いを語り、会場を和ませました。
今回の受賞は、金鐘賞史上初となる、ベトナム出身俳優による「主演男優賞」という快挙。台湾のエンターテインメント界においても、ひとつの歴史的な節目として大きな注目を集めています。
台湾の印象について尋ねられると、「『不好意思(すみません)』という言葉を本当によく耳にする」と語り、台湾の人々の礼儀正しさと優しさに感銘を受けている様子。今後も台湾の作品で、連炳發のさらなる活躍に出会える日を楽しみにしたいところです。
長編ドラマ部門「助演男優賞」:楊一展
同じく『The Outlaw Doctor 化外之醫』から、
楊一展が「助演男優賞」を受賞しています。本作品では、人材派遣会社オーナーの「劉天誠」を演じており、ベトナム人医師を台湾での働き口へ導く役割を担いながら、グレーな世界で苦悩やジレンマを抱える人物として描かれています。
楊一展はこの役のために体重を増やし、英語の習得にも取り組むなど、細部にまでこだわった役作りを行ったそうです。
受賞スピーチでは、「自分がこの舞台に立てるなんて、本当に想像していなかった」と率直な驚きと喜びを吐露。
自身を「小さな歯車」にすぎないと謙遜しつつ、「この作品はとても難しく、みんなの支えがなければ完成しなかった」と語り、作品を支えたスタッフや共演者への深い感謝を強調しました。
◇『The Outlaw Doctor 化外之醫』(配信:中華電信Hami Video、Netflix)台湾社会の「見えにくい現実」に切り込みながら、人間の尊厳と選択を描いた社会派ヒューマンドラマ。単なる医療ものではなく、移民労働・違法就労・制度の狭間に生きる人々をテーマにしている点にも注目です。
長編ドラマ部門「新人賞」:杜蕾(ダフネ・レイ・ドゥ)
新人賞に輝いたのは、『在光裏的人』で天性重度脳性麻痺患者「陳吟淑」を演じた
杜蕾でした。劇中では、実際の母である名女優・柯淑勤と母娘役を演じ、その現実の関係性が演技に深みをもたらしたと高く評価されています。受賞の瞬間に母との抱擁を交わした後、壇上でもしっかりと感謝の気持ちを述べていました。
「演技をすることは、幼い頃からの夢でした。一度も諦めようと思ったことはありません」と、自身の夢と情熱を率直に語り、スピーチでは喜びと感謝が入り混じった言葉を、涙をこらえながらも丁寧に伝えました。
受賞後のインタビューでも、「演技は私の唯一の情熱です」と語り、その強い思いがひしひしと伝わる瞬間となりました。
妖精のような雰囲気で登場した杜蕾ですが、幼少期から女優としての母の姿に憧れ、その目標と夢をしっかり自分のものにしている彼女の芯の強さを感じました。
「節目類(バラエティ・情報番組部門)」のハイライト
『來吧!哪裡怕』で「リアリティ番組最優秀司会者賞」を受賞した男性アイドルグループ「棒棒堂(Lollipop)」と朵拉
『來吧!哪裡怕』で「リアリティ番組最優秀司会者賞」を受賞した男性アイドルグループ「棒棒堂(Lollipop)」の6人!デビュー20年にして初めて手にした栄光に、会場もファンも大いに沸きました。
授賞スピーチでは、メンバーそれぞれが思いを語り、笑いと感動にあふれる時間となりました♡
阿緯(劉峻緯)は、10年前に妻から芸能界を離れるよう言われ、10年後には逆に番組出演を勧められたエピソードを披露。「奥さんの言うことは、とりあえず聞いた方がいい!」と笑いを誘いながら感謝を伝えました。
敖犬(莊濠全)は、「この番組のおかげで15年ぶりに6人で再結成し、みんなで一緒にこの賞を獲得できた」と、番組と仲間への感謝を語りました。
王子(邱勝翊)は、「久しく会えなかった僕たちが、これまで言えなかった言葉を伝えられるようになった」と、番組がもたらした絆の変化に感謝を述べました。
小杰(廖允杰)は、支えてくれたすべての人に受賞を捧げ、「僕たちは完璧ではないけれど、これからより良い人間を目指して歩んでいく」と決意を示しました。
小煜(楊奇煜)は息子に向け、「これから困難や批判に直面することもあるかもしれないけれど、決して自分を諦めないで。お父さんも一緒に成長するからね」と涙ながらにメッセージを送りました。小煜はこの受賞式後、9月に離婚していたことを公表しています。
共演者の朵拉(Dora)は、「こんな素敵な6人と一緒に番組に出演できたことに感謝しています」とコメント。
最後に、威廉(廖亦崟)は「普段は子どもの世話でこの時間はバタバタしているので、金鐘賞には感謝しかありません」と会場を笑わせ、さらに「扱いにくいメンバーたちに感謝。彼らのおかげで、自分の感情を委ねられた」と、6人の絆に感謝の思いを述べました。
小煜(楊奇煜)は『不在我的世界當勇者』で「リアリティーショー番組賞」も受賞し、2冠に輝きました!
|
|
大人の魅力あふれる棒棒堂の6人の登場に会場が湧きました♡
|
デビュー当初から追いかけ、陰ながらエールを送っていた「棒棒堂(Lollipop)」の受賞は、とても胸に響きました。当時のインタビューやファンミーティングの様子も、ぜひのぞいてみて下さい♪
『康熙來了』の名コンビとして歩んできた小Sと蔡康永(ケビン・ツァイ)
|
|
「最優秀バラエティ番組司会者賞」:小Sと派翠克
|
画像提供:金鐘獎 |
バラエティ・情報番組部門最大のハイライトは、なんといっても、姉を亡くし活動を休止していた「小S」こと徐熙娣(ディー・スー)の金鐘賞での復帰ではないでしょうか。涙なしには語れないひとときを振り返ります。
今年2月、日本への家族旅行中に、姉である「大S」こと徐熙媛(バービィー・スー)を突然失った小S。その訃報は、多くの人々の心に今なお深い痛みとして残っています。直接の面識がない私たちでさえ大きな悲しみに包まれたのですから、固い絆で結ばれていた小Sの喪失感は、計り知れないものだったはずです。しばらく芸能活動を休止していた彼女が、意を決して金鐘賞の舞台にプレゼンターとして立つということは、大きな一歩でした。
受賞スピーチ後のインタビューの際も、近くで見守っていた蔡康永
その背中をそっと支えたのが、長年バラエティ番組『康熙來了』で名コンビとして歩んできた蔡康永(ケビン・ツァイ)でした。
「今夜は、みんなで彼女に力を送れたら良いなぁと思っています。そして皆さんと一緒に、彼女の笑顔をもう一度取り戻せたら嬉しいです」と、声を震わせながら語るその言葉が、会場全体を温かな空気で包み込みました。
画像提供:金鐘獎
涙を浮かべて登場した小Sと蔡康永が、手を取り合い、額を寄せ合うその姿に、観客は自然と拍手を送り、熱いエールを送ります。
「なぜ今夜、金鐘賞に来ようと思ったのか」と問われた小Sは、「大Sと私は、世界でいちばん分かり合える存在でした。だから今夜、姉は私がここに立つことを望んでいると感じたのです。母に、まだ小Sがいるということを覚えておいてもらうために」と、涙をこらえながらも凛と語りました。
さらに、大Sが作詞した楽曲の一節を静かに口ずさみながら哀悼の意を表すと、蔡康永がそっと近づき「よくやったね」と声をかけ、手を握ってくれました。その一瞬に交わされた温かな友情は、深い余韻を残しました。
「バラエティ番組賞」:原子少年2 ATOM BOYZⅡ
そんな2人の進行のもと、数ある話題作を抑えて「バラエティ番組賞」に輝いたのが『原子少年2 ATOM BOYZⅡ』です。
本番組は、台湾発の男性アイドル育成型バラエティで、切磋琢磨しながらデビューを目指す若き候補生たちの姿が描かれています。今回の受賞にあたり、迫力あるステージ演出や洗練された舞台美術、映像表現の完成度が高く評価されました。
日本人の加藤琉士君、カメラを向けるとこの笑顔!
|
|
禾雁凱君だと思うんだけど、違ったらごめ~ん!
|
お偉い方のスピーチを聞きながらイケメン探しに余念のないナビ!控えめなこの二人がナビの推し~! |
どこまでも、姉と弟感全開の小Sと派翠克
そして最後を飾ったのは、率直で切れ味のあるトークと抜群のテンポ感が高く評価され、現代のバラエティを代表する存在となった『小姐不熙娣』の司会者、
小Sと
派翠克(柳柏丞)。この2人が「バラエティ番組司会者賞」を受賞し、金鐘賞の夜はフィナーレを迎えました。
派翠克はスピーチで、「この場所に立てたのは、すべて小Sのおかげです」と感謝を口に。番組では、いじられ役を担うことの多い自身の立場に触れながらも、それを受け止め、信頼して任せてくれた小Sへの深い敬意をにじませました。
一方、小Sはこの栄誉を母親に捧げ、「母の心には大きな穴が空いている。今日の受賞が、ほんの少しでもその穴を埋めることができたら」と涙ながらに語り、会場を感動で包みました。
さらに2人は、今回の受賞で得た賞金を花蓮の被災地へ寄付することを表明。笑いと涙、そして思いやりが交差する、忘れがたい締めくくりとなりました。
小Sの首元には、大Sの名前から一文字、「媛」が刻まれていました
|
|
ネックレスには大Sの一部が入っており、大事な場面で身に着けているのだそう
|
第60回という節目を迎えた今回の金鐘賞は、作品力、演技の深み、そして番組としての完成度までが総合的に評価され、ドラマ部門・番組部門ともに高い納得感のある結果となりました。
次の金鐘賞では、さらに進化した台湾映像業界の姿がきっと見えてくるはずです。そんな期待を胸に、まずは今回栄冠に輝いた作品の世界に、存分に浸ってみてはいかがでしょうか?
以上、台北ナビでした。
楊貴媚 林心如
|
|
許瑋甯 柯振東
|
豪華なプレゼンターが登場して盛り上がりました!画像提供:金鐘獎 |
関連タグ:
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2025-12-29