台湾にある「武德殿」の中で最も美しいと言われる「武德殿」!その木造部分は台湾ヒノキを使用していて、超貴重♡
こんにちは、私たちは日本が大好きで高雄にある国立中山大学で日本語を勉強している学生です。
大学の授業を通して地域活性化に貢献する教育プロジェクトの一環で、今回私たちは地元高雄の郊外にある旗山という町をみなさんに紹介します。前回の「旗山へのアクセス方法&旗山車站」の記事に続き、今回はその第2回目!
「
旗山武徳殿」をご紹介します。
【台北ナビ編集部より】
ちなみに高雄にはここ「旗山武徳殿」のほかに、鼓山区に「高雄市武德殿」があります。高雄の武德殿と聞けば、鼓山区のものを思いつく人が多いと思いますが、「旗山武徳殿」も是非訪れて欲しいです!
台湾にもある!「武徳殿」
「旗山武徳殿」があるのは「鼓山公園」の麓
「武徳殿」は1895年、財団法人大日本武徳会が東京に設立された後、剣道、柔道、弓道のような武道の文化的価値を広く知らせるため、日本各地に作られました。
第二次世界大戦中、日本は軍部、軍警や若者たちが柔道や剣道などの武道を練習するために台湾全国各地に道場を作りました。そうして、武道を普及させることで軍国主義を推進したと言われています。
ここ「旗山武德殿」は1934年に建てられ、伝統的な日本の寺院建築様式になっています。ただ、「唐代の建築様式」にも通ずるものがあるような……。調べてみると、日本の寺院建築には、唐の建築様式(唐様)の面影を感じられるんだそう。なるほど~!
1934年に建てられた「
旗山武德殿」は鉄筋コンクリート構造(RC造)を採用し、強度を確保。そこに木材を模した材質で木造建築感を見事に表現していました。外壁は当時流行っていた
洗石子(人造石洗出し)という手法を採用。黒瓦を使用した木造の入母屋屋根は耐震性が低いとも言われますが、強固な斗拱(組物)で屋根をしっかり支えていました。
また、武道の精神を広めるための建物だったということもあり、きらびやかな装飾などはされていません。
1994年の火事により木造部分が焼失。2000年に再建が開始されました。 最初の再建はガラスで屋根を作ったそうで、室内が蒸し暑くなってしまうし、デザイン的にもイマイチということで、再度日本統治時代の建物のように復元することになったそう。こうして2014年末までに2度の再建を経て、現在の「旗山武德殿」となりました。
また、木造部分はすべて台湾ヒノキを使用しているんですって!
排熱のために重要な排水口
そうそう、ガイドさんがすごい熱量で教えてくれたのが、熱帯に位置する高雄における暑さ対策でした。何でも、床下に大型水槽を入れ、外部から水道管を導入して放熱し、内部の熱気を屋外に排出する機能を果たしていたんだそう。クーラーがない時代の知恵ですね!
現在は、後ろにある鼓山公園と共に、綺麗な景色を見ることができます。
「旗山武徳殿」の前は運動場で地域の人たちの憩いの場になっています
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「旗山武徳殿」の横には大きなバナナが!さすがバナナの郷♪
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【台北ナビ編集部より】
一般社団法人 日本左官業組合連合会のホームページによると「洗石子(人造石洗出し)」とは、「種石を練り合わせたモルタルを上塗りし、それを洗い出して、自然な風合いを再現しようとするもの」だと説明されています。この手法は日本統治時代の建物でよく見かけるので、この用語を覚えておくのもいいかなと思います。
「旗山武德殿」内部はアートギャラリーに!これぞまさしく文武両道⁉
現在、「旗山武德殿」の中はアートギャラリーとして使われていて、月ごとに様々なアーティストの展覧会が行われます。私たちが訪問した時には地元旗山の水墨画家である梁美月さんの個展が開催されていました。水墨画というとモノクロのイメージでしたが、梁さんの作品は、色彩豊かな斬新な方法で描かれており、精細でリアルな躍動感が表現されています。
「旗山武徳殿」の隣には「文創商品館(文創館)」があります。当初は事務室として使われていました。ここも復元されており、美しい日本家屋になっています。
文創館には、工芸品、石彫芸術、陶芸、有名な画家による工筆画、文房具など、本殿の展示とまた違ったアートを楽しむことができます。休日は芸術家が駐在し、訪れる観光客と交流することもあります。台湾のアートだけでなく、地元の人たちとのふれ合いを通して、旗山の思い出を作ることができますよ。
文創館には多くのひょうたんアートが展示されていたのですが、それは旗山に隣接する杉林区がひょうたん(中国語で「葫蘆」)の産地で、食用以外で余ったひょうたんを新たなアートワークとして活用したひょうたんアートが有名だからです。中国語の「葫蘆」は「福祿」と発音が同じことから、縁起物とされていて、台湾人に好まれています。写真を見てもらえるとわかるのですが、ひょうたんの上には、非常に精巧な模様が刻まれています。この奇跡のような精細な作品を見た時、私たちはとても感動しました。
また、床下に巨大水槽を入れるなどの、エアコンがない当時の暑い地域ならではの工夫を知ることができ、改めて旗山の歴史と面白いスポットをたくさん知ることができました。日本のみなさんも、ぜひ旗山に遊びに来てくださいね。
次回に続きます。お楽しみに!