のんびり楽しむ台湾茶芸VS.伝統精神美の日本茶道!!台湾と日本の交流イベントは期待通りの盛り上がりでお客さんも大満足!
こんにちは。台中ナビの仙桃です。もーしわけないですが、じつは日本にいたころ、茶道なんてぜんぜん興味のなかったナビ。でも台湾に来て台湾茶の魅力にはまり、ちょこっと習ったりしてます。今回、台湾と日本の合同茶会イベントがあると聞いて、興味シンシン、朝早くからやってきました。時は08年3月9日(日)、場所は台中市から車で約50分、台湾中部の台中県清水鎮にある台中縣立港区藝術中心です。うーん、天気もよく、絶好のお茶会びよりー。
最初にプレス公開の開会式。場所が郊外ということもあってか、ローカルメディアが中心。
このイベントは、地元の日本煎茶道方圓流台湾支部の主催で、2004年から台日の茶人交流として行われているそうです。今回は特に、日本煎茶道連盟38流派の中から方圓流、黄檗売茶流、小笠原流、美風流、二条流、一茶庵流などの流派も参加して、日本側総勢100人近くという、今までで一番の規模だとか。
ナビも長く台中に住んでいますが、これほど多くの和服姿を見るのは初めて。
和服をきりっと着こなした、師範方の優雅な姿には、ユカタしか着れないナビも、同じ日本人として妙に鼻が高かったり。夏じゃなくてよかったと人事ながら安心したり。
お茶会が行われる雅書廊は、藝術中心のゲートを入った中央にある小高い丘の左手の建物。きれいな庭を見ながら上っていきます。たどりつくと回廊の入り口に、どうやら小さく受付があるようですが、お客さんや関係者でいっぱい。コレはおとなしく並んでいてはイカンと、人ごみにもぐりこんで茶券(300元)を購入。これで日本茶1席、台湾茶2席に入れるそう。日本茶席は登録制、人気があって、ナビは午後の席になりました。台湾茶用にちっちゃいマイ茶碗をくれます。
中庭をかこむ両側に研修教室があって、日本側は右の3教室、台湾側は左の2教室が茶席だそうです。
並んで待つ台湾の人たち。午前3回、午後4回の予定で1回の茶席は約40分ぐらい。3教室に、それぞれ玉露、煎茶、番茶の席がしつらえてありました。
第一回の家元席(玉露席)のようす。中に入れなかったナビは窓にへばりついて撮影。
室内では台湾の音楽家による、国楽の二胡と古箏(こと)の生演奏。途中で日本の『桜』などの曲も流れ、お家元もにっこりだったとか。30人くらいのお客さんが、教室いっぱいに広がった『コ』の字型のテーブルについています。
番茶席をのぞいてみました。ここは方圓流台湾支部が担当。日本茶の精神を分かりやすく解説つきで伝えています。お茶を運ぶのは地元の梧棲国小の生徒さん。今回はイベントの規模も大きいので、ボランティアも多数。佛光山とかロータリークラブのほか、地元コミュニティカレッジの茶道教室受講者などが受付にあたってました。どうりで知ってる人を見かけると、つい話がはずんで混雑するはず。さすが台湾らしいですねー。日本人のための通訳は、台中の東海大学や台中技術学院の日本語学科の学生さんが担当。つきっきりで頑張ってました。
各自、マイ茶杯をもって入場、案内してくれるので適当な席に着きます。
お客さんは6人一組。 1教室内には6のブースがあり、台湾茶席は全部で12席。
今回、台湾側の茶人は、第一回金壺賞の現代陶芸作家の皆さん。それぞれのテーブルには自慢の陶芸茶器が。 どれもすごく個性的。各自のブースの横には陶芸家の経歴を示した看板も。
また茶葉の種類による席もあり、台湾特産の高山茶、ウーロン茶、包種茶、東方美人茶などが。
ナビがまだ飲んだことのない日月紅茶というのも。テーブルの上にはかならず小さな生け花。
指をたてて急須をもつ、背筋をのばした大師。日本の茶道にもおとらぬ無駄のない優美な動作。
お客さんも詳しい人が多く、いろいろ意見を交換してました。話しながら飲むのが台湾茶の最大の楽しみでもあります。まずは1杯目の香りを楽しみながら。
おじさん:「よくお茶には毒があるっていうけど・・・」
大師: 「老人茶で飲みすぎるとね」
おじさん:「そうそう、知らず知らず時間を忘れちゃって」
大師: 「いつのまにか、『茶酔』(お茶に酔う)、そして『茶毒』になってしまう。
おいしく飲むには 『品茶』(茶を味わう)にとどめるのが一番ね」
ほっほ~、勉強になります(ナビ)。
お菓子は途中でまわってきました。なぜかクッキー。合うのかな?茶梅とかの方が良かったかも・・・
(束ねた竹型)
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(どうみても倒木ですが、これも急須。)
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この大きさとデザイン!かなり人目を引いてます。
大型の急須は『冷泡』(冷茶)用だそう。半台斤の茶葉を使うとか。
冷茶だとタンニンがでないそうで、味も軽く飲みやすかったです。
大師いわく、
「高山ウーロンのように、クルッとまいた茶の時は丸い茶壷、
細長い形の茶には角っぽい茶壷を使う。」
「台湾茶もいろいろで、タイマーや温度計を使って厳格に入れる人もいるが、
ワシは『自在』が茶の精神だと思っとるから、そんなに細かいことはしない」
う~ん、さすが芸術家。
広い敷地内でゆっくり時間を過ごす地元の人たち。
藝術中心の周囲には全然飲食店などがないので、車とか交通手段のない皆さんは、とにかく中で過ごします。
ショップをのぞいたり、展示室をめぐったり。カフェはあったけど。お弁当もってくればよかったかな。
台湾の人にとって和服はとっても新鮮、あちこちで記念写真をとってました。言葉はわからなくても楽しくコミュニケーション。台湾のお年寄りにかこまれた日本人の師範も。日本語パワー全開のようです。
やっと体験、玉露のお味
待ちに待って、気がつくともうこんな時間。
時刻はお昼もすぎ、3時になってやっとナビの日本茶席の時間がまわってきました。
緊張しつつ静かに席につくナビ。会場の前方にしつらえられたお茶をいれる場所に皆の目が集まります。着物の女性はそこに正座し、びしっと背筋、腕、指先を伸ばし、優雅に流れるような動作で、茶碗や茶葉の入った入れ物をふききよめ、お湯を湯冷ましにうつし、そこから急須にそそぎます。美しい一連の動作には、台湾のお客さんも目を放せないようす。
先にお菓子がくばられました。桜の型に抜かれたゼリーのようなお菓子と、3色団子。日本から持ってきた和菓子でしょうか。そして5人分のお茶碗をのせたお盆を運ぶ人が前に立ち、一人一人にお茶をくばります。お互いに言葉は発しないけど、きちんとお辞儀してお茶をいただく。声に出さなくともこういう動作で、お互いへの敬意を表したり感じたりできる文化は、やはり日本人なんだなあーと実感。
中国の明の時代に始まったという、諸道具を鑑賞したり、詩画を楽しみながら飲む「文人茶」。それが江戸時代に隠元禅師によって日本に伝えられ、日本でも飲まれるようになったお茶。現在の煎茶道が、こうしてまた台湾の人々と交流しているのを見るのも、また不思議な気持ちです。
5時過ぎ、人気のため追加された最後の日本茶席も終わり、台湾の茶人も日本の茶人もみんな集まって、ハイ記念撮影。やわらかな風の流れる夕方、それぞれの参加者の表情も満足感いっぱいのよう。
台湾茶好きのナビですが、こうして比較してみると茶道と茶芸、それぞれに良さを実感。何事も、きわめた人の所作(しょさ)は美しく、相手に感動を与えます。もう少し本気でお茶をやろう!と小さく誓った台中ナビでした。
その他情報
住所:台中市清水区忠貞路21号
台中市立港区藝術中心TAICHUNG COUNTY SEAPORT ART CENTER
電話番号:(04)2627-4568
休業日:月曜
行き方:台中市内から聯營バス555線(台中―水南―沙鹿―清水)で清水国中下車。徒歩約5分。
鉄道の海線清水駅下車、中山路まで500m歩き、巨業バス(台中―梧棲―清水)で藝術中心下車。
台中清泉岡空港からタクシー20分。
国道3号線沙鹿インターから降り、西方向三民路から左折して忠貞路。
藝術中心付近地図:
http://www.tcsac.gov.tw/center_6.php
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2008-07-14