開通直前!早く会いたい!台湾新幹線(2006年)

台湾で日本の新幹線初海外デビューの日が待たれています。開通日はまだはっきりと発表されていませんが、それを前に、ナビでは先取りレポートを敢行!

こんにちは!台北ナビです。台湾で日本の新幹線初海外デビューの日が待たれています。開通は2006年10月31日予定。当初の2005年末の開通予定はすでにオーバーしていて、2006年中の開通も危ういのでは?見られていましたが、最近はメディアに登場する機会が多くなっていて、開通を目指して秒読み状態。日本より導入された車両の性能や、停車駅の情報などをお届けしたいと思います。

欧州チームを押さえ、逆転落札した日本チーム

さて、ここで新幹線の概要についておさらいしておきましょう。1996年に入札が始まった台湾の新幹線事業は、入札当初、ヨーロッパのシステムが優勢と思われていたのですが、その後、日本側が有利な条件を提出して逆転。日本の新幹線システムが海外で初めて採用されるという悲願が現実となりました。こうして、始発の台北から終点の高雄までの台湾の西側を縦断する全長345km、在来路線である縦貫鉄道を縫うように新幹線の路線の建設が始まったのです。
 
駅は北から南港駅、台北駅、板橋駅、桃園駅、新竹駅、苗栗駅、台中駅、彰化駅、雲林駅、嘉義駅、台南駅、左営駅(高雄)の12か所となっていて、全線の70%が高架区間となり、トンネルは47という、7年あまりにわたる大工事でした。
車両はJR東海とJR西日本より開発された700T型が輸入され。12両編成で、一度に約1000人の乗客を乗せることが可能。この6月には高速運転テストが頻繁に行われ、6/13には最高速度300km/hを記録しました。

開通当初はダイヤもゆるめ

「台湾高速鉄道」(略称は高鉄-カオティエ)が開通になると、台北-高雄間を最短で90分と時間が短縮され、飛行機利用に匹敵する交通機関となります。価格も飛行機よりも多少低めに設定される予定。運行計画は1日で88本、往復176本というのが当初の計画ですが、当初は安全性も考えてか、過密ダイヤにはせず、運行本数を限定しての試験的開業なりそうで、運転時間帯も多少限定されるようです。

この台湾新幹線の開通で、停車駅周辺の開発も急ピッチで進むことが予想されますが、台北駅と高雄(左営駅)以外の桃園から台南まで、駅は在来線とは離れた場所に建設されています。それも郊外の農地のど真ん中、といったような空地に忽然と駅ができていたりしていて、街として機能するには数年間はかかりそうなロケーション。しかも、駅から人口の密集する繁華街へのアクセスも便利とはいえないようです。差し当たってはタクシーや限られた路線バスでの移動になりそうなので、観光利用する人にとってはいまひとつ心細いかも。新幹線関連の開発はまだまだ続くので、まずは開通の日を楽しみにしたいですね。
新幹線の勇士が眺められるレストランなどにも人気が集まっています。 新幹線の勇士が眺められるレストランなどにも人気が集まっています。

新幹線の勇士が眺められるレストランなどにも人気が集まっています。

700T型台湾新幹線の特徴

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台湾を走る700T系は、JR東海とJR西日本の共同開発よって作られた新幹線700系がデザインの基準となってます。「T」は台湾の略称、というわけで、台湾の地理、気候なども考慮して設計されました。ハイテクコントロールシステムによる正確性を追求するほか、「自動安全ブレーキシステム」や「運転誤差防止保護システム」が導入され、より安全な運行を目指します。
自由席の車両。シートは人体工学に根ざしデザインされ、車内を快適な温度に調節する空調設備も備えています。

自由席の車両。シートは人体工学に根ざしデザインされ、車内を快適な温度に調節する空調設備も備えています。

バリアフリーの車両。ロッカーやメイクルームも設置しているのだそうです。

バリアフリーの車両。ロッカーやメイクルームも設置しているのだそうです。

グリーン車の車内。省エネ設計であることに加え、振動や騒音も少ない特殊な設計も施しています。

グリーン車の車内。省エネ設計であることに加え、振動や騒音も少ない特殊な設計も施しています。

バリアフリーのトイレ。

バリアフリーのトイレ。

「数字で見る」台湾高速鉄道

■路線全長: 345km
■台北~高雄間最短到達時間: 90分
■最高時速: 300km/h
■1日のダイヤ:88本(往復176本)運行予定 (*開通当初はダイヤなど上記のものと違うソフトダイヤとなることが予想されています)
■駅の数:12(南港、台北、板橋、桃園、新竹、苗栗、台中、彰化、雲林、嘉義、台南、高雄)
■座席数:1編成車両計989人
■車両編成:9動力車、3無動力車の12両編成
■車両の長さ:先頭車全長27m、中間車全長25m、12両総計304m
■車体幅・高さ:車体幅3.38m、車体高3.65m

停車駅と周辺情報をご案内!

◆台北駅(台北市・忠孝西路)構内乗入は2007年初頭予定!
台北市の東側にある南港にも新幹線発着駅が建設されていますが、こちらのほうは車両庫につながる引きこみ路線、と考えた方がよさそうで、実質的な始発駅はこの台北駅。MRTや在来線が停車する同じ構内に新幹線のホームの建設が続いています。「続いています」といったのは、どうやら10月末の開通時にはまだ台北駅が始発駅とはならず、板橋駅発車となりそうで、台北駅発車となるのは2007年の旧正月前、というのが巷の予測となっているからです。それはともかく、1989年に完成した台北駅では、まだ新幹線導入が決まっていなかったにもかかわらず、新幹線の通るスペースをあらかじめ空けておいた、というのですから、その先見性は敬服に価します。新幹線が乗り入れた後、駅周辺がどのように賑わうか、今から楽しみです。

◆板橋駅(台北県・板橋市)新幹線開通で台北の副都心に躍進!
政府の主導によって建設された25階の高さを持つ板橋のシンボル・板橋新站は、台北駅と同様、在来線が同構内に停車する、地下にプラットホームを持つ巨大駅。MRTも乗入れをしているので乗換もスムーズになるほか、長短距離のバスが発着する総合ターミナルも完成したため、新幹線の開通で名実ともに台北市の副都心の役割を果たすことになりそうです。板橋新站の構内は1Fがチケット売場、B1がMRTと在来鉄道の連絡通路、B2が下り線ホーム、B3が上り線ホームとなります。

◆桃園駅(桃園県・青埔)空の玄関との連絡口に
この駅の特徴は、中正国際空港が至近距離であるということ。高速道路のICまでは車で約10分、空港まで15分で到着できるということで、海外旅行客にも大いに利用のチャンスがある駅です。台北ナビが7月の時点で駅を訪れた時は、地下駅、ということもあり、駅のフォルムが地味なのに加え、周囲は「大草原」。まだ開発には程遠いという印象でした。が、将来的にはショッピングモール、映画館などエンタテイメント施設や、ホテル、オフィスビルなどが建設される予定で、国際空港都市としての役割を担うエリアとなります。

◆新竹駅開発区(新竹県・竹北市)ビジネスマンのもうひとつの拠点
この駅の近くに「新幹線探索館」があるので、この駅の形を見たことがある方も多いかもしれません。流線型の美しいフォルムをもった駅の建物は、まさに現代建築風で、台湾新幹線を代表する美しい駅のひとつといえるでしょう。新竹駅から南は高架型駅となり、ひとつひとつの駅に特徴が出てきます。さて、この新竹駅はアジアのシリコンバレーを擁する新竹サイエンスパークのお膝元にあるため、ビジネス向けの施設が多く作られることが予想され、ビジネス都市として発展してゆくことが期待されています。さらに、内陸部の「北埔」「内湾」などには客家文化を伝える街が点在しており、観光地としても楽しめそうです。

◆台中駅(台中県・烏日)日月潭&ウーロン茶の里へひとっ飛び!
台湾中部最大の都市である台中にある新幹線駅は、地図で見る限りでは、中心部から離れた場所にある、という印象。在来線の台中駅と彰化駅のちょうど中間の烏日という街にできました。この駅の利点は、高速道路との連絡が便利なこと。烏日は第一高速道路と第二高速道路が交差する交通の要所でもあり、ここから台中市内や中部サイエンスパークへつながるのはもちろん、湖畔が美しい日月潭国立公園や、ウーロン茶で有名な鹿谷・杉林渓などの森林エリアへのアプローチ駅となります。計画ではコンベンションセンターなどのほかカジノつき観光ホテル(!)がリストアップされている、ということですが、どんな駅開発が進むか、期待したいところです。


◆嘉義駅(嘉義県・太保市)国立故宮博物院がやってくる駅

この駅の目玉は、なんといっても付近に建設中の国立故宮博物院南部分院。2008年のオープンとなった際には新幹線で直行!ということもできそうで楽しみ。また、嘉義県の県庁所在地でもある太保市は、新幹線駅を誘致したことを機に、駅周辺エリアの大規模開発をすでに進んでいて、野球のスタジアム、交通大学、体育学院などの教育施設や大病院などが次々に完成しています。玉山、阿里山鉄道など、自然あふれる見所も多い南部の観光拠点だけに、滞在型の開発が期待されています。


◆台南駅(台南県・帰仁)フルーツと美食の都を満喫!
嘉南平野を一直線に突き抜け、台南の南端に位置する新幹線駅は、台南市の南東方向、空港の東側にあたるエリアに完成。駅周辺には、ゴルフコース、プール、映画館、ホテル、ショッピングもできる大型リゾート建設が計画されています。道教のお寺が市内に点在する台湾の小京都の異名を持つ台南は「グルメの都」でもあるため、市内に出たら食べ歩きをおすすめ。また、肥沃なこの土地はマンゴー、ライチ、パインなどの畑のたっぷり採れるフルーツランド。収穫の季節には、この駅で下車して直接産地で新鮮なマンゴーをほおばる、なんて想像しただけでも嬉しくなります!

◆高雄駅(高雄県・左営)「港町」を象徴する新たなランドマーク
そして、南の終着駅がこの左営。屋根部分が波打つモダンな建物は、「港町」を象徴する新しい高雄のランドマークとなることでしょう。この台湾新幹線の終着駅から、高雄駅までは、在来線で連結しています。駅舎は違いますが、歩いてすぐの場所で乗換え、高雄の中心部までは10分前後で到着。さらに、MRT(2010年完成予定)が開通すれば、ここから小港空港までが一本でつながり、高雄から海外に飛び立つことも可能となります。ここ高雄は運河や貿易港が連なり、台北とは違う旅情漂う台湾第二の都市。しかも、都会の割には物価が安い!ここで豪勢にグルメ、クルーズ遊び、というのもいいですね。


※そのほか、各駅停車駅として苗栗駅(苗栗市・豊富)、彰化駅(彰化県・田中)、雲林駅(雲林県・虎尾)などもありますが、どちらかというとマイナーな駅になるという性格上、まだ詳しい情報が入りませんでしたので今回は割愛いたしました。開通後、機会があればご紹介してゆきたいと思います!

以上、台北ナビでした。

参考資料&一部映像 台灣高速鐡路(股)有限公司提供
関連タグ:新幹線台湾新幹線開通

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2006-09-05

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