新竹の山奥にある大邸宅をホテルとして使用!宿泊者以外も庭園を見学することができます♪
こんにちは、台北ナビです。
台北のリージェント前にあるおしゃれカフェというイメージのあった「The One」。実は新竹にすんごいホテルを経営していました。
平日なのにお客さんでいっぱいという隠れた人気スポットなのですが、宿泊者以外にもお庭を有料で開放しているということで、ナビも早速行ってみました。
聯合報の創始者「王惕吾」氏の隠居場所
台湾建築の父「漢寶德」氏がデザインして作り上げた「南園」。1985年に台湾の伝統ある有力紙「聯合報」の創始者「王惕吾」氏の隠居生活の場として作られました。
風水を元に、「江南庭園」「閩南式建築」「洋館」のスタイルを融合させ、100名にも及ぶ木工師や各方面の技師による細やかな手技を施し、台湾でもっとも貴重なヒノキ建築群だと言われています。27ヘクタールにも及び、四方を山に囲まれている南園。
台湾の重鎮方はもちろん、サッチャー元首相、ゴルバチョフ元大統領など世界的な大物も迎えたことがあるそうですよ!
お庭見学には事前予約が必要です!
園内をゆっくり見て回るには1日あっても足りないと言われ、宿泊がオススメだそうですが、面白いところだけをかいつまんで楽しみたい!と言う方はHPより、お庭体験コースをご予約ください。(平日200名、休日400名のみの限定開放となります)
※7歳未満のお子様は入場できません。
「雅敘南園 園林一日」
1280元+10%
ガイドスタート(出発)時間:10:00もしくは11:15
大地南園創意午宴(ランチ付き!)
ランチスタート時間:11:15もしくは13:00
一番のオススメである1日コース。専門のガイドさんが中国語で丁寧に教えてくださいます。
「逍遙遊 茶點時光」980元+10%
湖畔茶點套餐(お茶タイム)付き!(時間指定制)
お茶タイム:15:00~
ティータイム付きのお庭散歩コースです。ガイドはつきません。予約した時間に間に合うように入場してくださいね。
※平日のみのコースとなります
※お料理内容は季節により異なります。
いつかは宿泊したい!
宿泊の方はこの竹藪をズンズン進み
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ウェルカムエリアへ
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宿泊施設のある「同心樓」
ナビが訪れた日は平日にも関わらず満室。そのため、残念ながらお部屋を見ることはできませんでした。宿泊料金には、1泊2食3軽食の料金も含まれます。つまり、朝、晩のごはんにプラスし、アフタヌーンティー、夜食、もう一食つくという至れり尽くせりコース!もちろん、園内ガイドもついていますよ。
台北ナビでも予約を受け付けることになりました!宿泊の詳しい情報は下記リンクをご覧ください。
どこを切り取っても絵になる南園ですが、王氏が1986年~1996年3月1日の間過ごしたという「南樓」はメインとなる建物で、敷地内で最も高い位置にあります。王氏の父「王芾南」さんの名前から名づけられました。
江南建築といえば灰色の瓦、白色の壁が特徴ですが、こちらは閩南式建築の要素を取り入れ、赤レンガ、赤瓦で作られています。そして標準的な閩南式建築である「三合院」になっています。三合院とは北側に「正房」、その両側に両脇にある西廂房と東廂房が設けられているというもので、南園の東西廂房ではThe Oneのオリジナルグッズが売られています。
お茶や苦茶油などの食料品や…
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干支が描かれたコップなどが置かれていました。このコップは光を通すので、蠟燭を入れるといい感じ~♪
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正房の1階(三才圖會)はお客様をもてなす場所として使われ、先述しましたが、サッチャー元首相、ゴルバチョフ元大統領など世界的な大物を迎え、お食事などをしたといわれています。食事後は內廳でお茶などを飲みながらゆっくり過ごしたそうですよ!
正房の1階。ガイド付きのツアーを申し込んだ方はこちらで集合です!
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內廳
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ここに立ち、風水を感じてくださいね!
2階はリビング、書斎として利用されていました。この2階では、南園が風水を重んじて作られたというのが感じられます。
2階の亭臺に立ち戲台の方を見ると、この南樓がひじかけ椅子のようになっています。正房の2、3階部分が椅子と背もたれ、東西廂房が肘掛に見立てています。椅子があれば、机がないと…。実はあるんです!目の前に見える「飛龍山」。つまりこれが机だというのですね。
ついでにお伝えすると、その後ろに8つの山が連なっており、天気がいい時には山が9つ見られます。雪霸などの9つの山は合わせて九重山と呼ばれていますよ。
東西廂房の2階部分をひじかけに見立てています
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前方に9つの山が見えますか??
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南園唯一の弱点も克服!
南園は山に囲まれ、前方の景色が広がる風水的にもまたとない場所ですが、実は一カ所だけ、風水があまり良くないところがありました。それは白虎にあたる西側(右側)に大きな山があったこと。そのため生長のはやい南洋杉を植えて「青龍」にあたる東側(左側)に仮想の山をつくりあげ、バランスを改善したのです!
なんでも「白虎」は争い、「青龍」は平和や財を表しているため、西に高いものがあると争いが多くなるそうなのです。南洋杉を植えたての頃には人の背くらいしかありませんでしたが、現在は40mほどの高さになっており、まだ高く伸びているのだとか。いつかは西の山をも越える高さになってくれるのでしょうか。
西側に見える山!これが白虎にあたります
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この南洋杉はどこまでも高くなりそう
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そして、もうひとつの対策が南亭です。南亭自体が八角形をしているだけでなく、柱、タイルまでもが八角形をしています。台湾において八角形は八卦、つまり魔よけの役割を果たしています。そんな八卦だらけの南亭が虎の勢いを押さえつけているんですね!そして、この南亭こそが南園で最も運気がいい場所。運をアップさせるべく、ここでぼぉ~っとするのも良さそうです。
南樓2Fにあるこの涼亭が最も運気がいいそうです!
縁起のいいもののオンパレード!
それでは、リビングに入っていきましょう。ここは王氏が過ごしたそのままの様子が残されています。
四隅に頭は龍、身体は魚の「龍頭魚身」、天井には鶴の回りに4匹の蝙蝠を施した「天官賜福」、欄間部分には「福祿壽囍」ととにかく縁起のいいもののオンパレード!ここにいると何だかいいことが起こりそうですね。細かいところまでこだわりまくっていますので、ゆっくり眺めてみてくださいね。
※3階は寝室となっており、こちらは開放されていません。
蝙蝠は「福」をあらわし、5匹いるので、「五福臨門(すべての福がやってくる)」の意味
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鹿は「祿(財産)」をあらわし、老鷹(鷹)、鹿、蓮花(蓮の花)で「一路發(万事順調、商売繁盛)」の意味も
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松樹(松の木)は「長壽(健康で長生きする)」をあらわしています
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喜鵲(カササギ)は「囍」をあわらしています
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南樓ではこの3つの宝を見逃すな!
南樓には3つの宝が存在しています。これは必見だというので、是非注意深く見てくださいね!
園内800本強の台湾ひのきが使われているのですが、そのひのきの香りを一番感じられるのがここ。と、心配になるのが地震対策ですがご心配なく。地震が発生し、揺れれば揺れるほど木と木の結合部分がきつくなります。しかし、柱の下側に丸い石(柱礎)があり、これがダンパーの役割を果たしているのだといいます。
この「柱礎」が三番目に重要な宝なんだそう。
この大きさ!この精巧さ!!
內廳には、大きな屏風が飾られています。これが2つ目のお宝。王惕吾の故郷である浙江の東陽縣にある江南建築をここ南園で再現しましたが、王惕吾氏は台湾で成功をした後、故郷の東陽縣に病院や学校などを建てました。現在でも使われているそうですよ。
東陽縣の方々は王氏へ何か恩返しを!と2名の有名な彫刻家にお願いし、1年という時間をかけて黃陽木雕を製作しプレゼントしたそうです。こんなに大きな黃陽木の一枚板が使われていること、何層にも施され今にも飛び出してきそうな彫刻技法を採用していることなど精巧さやその豪華さに感嘆せずにはいられませんが、実はこの彫刻は中国の彫刻師が南園はこういうところかなと想像して彫ったと言われています。
お互いのことを思いやって作り上げられたものだというのが、もっとも貴重なのかなとナビは思います。
そして最後のお宝にして最も貴重だといわれているのは…床!
赤いタイルを囲むようにしてある黒色が見えますか?これはただの溝ではなく、海南島の黃花梨木なのです。黃花梨木はとても価値が高く、骨董屋さんに行くと黃花梨木の彫刻は高値で取引されるほど。そんな木材を床に使用するとは…。
目立たないところにまで気をかけお金を使う王氏の人柄がうかがえますね。
「琴音閣」鮮やかな色が特徴!
1階「琴德堂」2階「琴音閣」は母の名前「夏琴」から名づけられ、母の美しさを記念し作られたといわれています。落ち着いた色を多く使っている建物が多い中、あざやかな色が使われているのが特徴です。
1階「琴德堂」では主に展覧場所として使われ、2階「琴音閣」では会議室として利用されています。また外には長寿の象徴である亀ちゃんがたくさんいますよ~。
一見すると他の建物と同じですが…
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たくさんの色が使われています
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「桂苑」で遊び心を感じる
ここでは閩南式建築の特徴が見られます。
元も顕著なのが「馬背」と呼ばれる、屋根がちょこんと盛り上がった部分です。馬背には「金木水火土」の5種類の形があり、自分の命格に足りないものを家の屋根で補うそうなんです。命格とは生まれながらにしてもっている自分の運命ともいえるもの。台湾で占いを見てもらった経験がある方なら聞いたことがあるのではないでしょうか?この「馬背」ですが、ナビの目には金の形に見えるのですが、水の形をしているそう。うぅ~ん、難しいです。
馬背の下には弥勒佛の顔、ロブスターの身体の彫刻があります。
火事が最も怖かった時代、火事避けとして、水の中に住む魚が描かれていたといいます。これは「懸魚」と呼ばれるのですが、元、明、清と時代が流れ、現在では家の持ち主が好きなものを描くようになったのだとか。
さて、ここの主人はどうして、このような懸魚にしたのでしょうか?彫刻家が主人に尋ねたところ…「以前みたいに魚に近いもので、それに自分の顔をつけて欲しい!」と言ったのだとか。そして主人の顔を再現すると、弥勒佛のようになったというわけなんです。きっと笑顔が素敵な主人だったのでしょうね!ロブスターを選んだのも、ロブスターを食べるのが好きだったのかかな?とも推測してしまいます。
壁から少し出っ張った「鳥踏」は鳥が休憩するところ。ここで鳥が休憩し、トイレすると、お尻を外に向けて用を足すため、壁が汚れないのだとか
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三角形の瓦は「水滴」と呼ばれ、雨が降った際に縦樋のような働きをしています
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ちなみに王氏が住んでいた南樓の馬背は…筆とゴルフクラブ!ゴルフ好きの文人という王惕吾氏をあらわしているそうですよ!
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これは桃かな?不老長寿を願っているのでしょうね!
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戸外なのに抜群の音声環境「戲台」
南樓の前方にある「戲台」。この真ん中で蝶の窓(蝴蝶窗)に向かって話すと…小さな声で話しているのに、どこにいてもまるで自分の横で話しているかのように聞こえるんです。この半ドームの形は以前マイクなどがない時代に使われていたそうです。
先ほど出てきた蝶ですが、蝶(蝴蝶)の中国語の発音が福疊、つまり幸運がたくさん訪れるという意味が込められています。蝶の横には雲の窓(祥雲窗)があり、よい兆候が現れるという意味があります。そして、蝴蝶窗は南樓のど真ん中から一本線で結ばれている場所であり、園内で最も磁場が良い場所とも言われています。
絵のフレームのようになっています!これは亀の甲羅の形になっていて、長寿の願いが込められているそうです
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甕で窓の格子を作っています。南園ではコンクリートで封をしていますが、客家などの家ではただ置かれているだけです。ここに風が吹き付けると、何ともいえない美しい音色が聞かせてくれるそうですよ!
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この美しい庭園をカメラに収めたいという方にぴったりなのが「快覽亭」です。
ここは一度に色々な建物が見られる場所。それだけなく、やっぱり縁起物があります。それは…屋根!中にいるとわかりにくいのですが、屋根が扇子の形をしています。扇子は「開枝散葉」、つまり子孫繁栄の象徴と言われているんですよ~!
微熱山丘の南青山店の建築も手掛けた世界的建築家である「隈研吾」氏。彼自身もThe One南園に宿泊した経験があるそうです。
庭に建てられた多目的パビリオン「風檐」は新竹に吹く風「九降風」と南園の土地との対話を表現しています。
30年前に漢寶德氏によって造られた南園のヒノキ建築群とヒノキで造られた新たなパビリオン「風檐」もまたヒノキの新旧対話のようですよね!
738本のヒノキはすべて異なる角度でつなぎ合わせられており、17層にもなります。2mの高さの入口からゆっくりと6mの高さにまでなる流動的な建築物。ここでは夜に演奏会などが開催されおり、周りには水の浮力で身体を支えるウォーターソファーが置かれています。水滴のようなウォーターソファーに座りながら風檐を見ていると気付かずに時間が経っていましたよ~。
微妙に異なる角度
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こんな風にぐにゃっとなっています!
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これが本当にひとり分?という量です
ナビは湖畔にある「蘭苑普圃」で「茶點時光」でいただけるアフタヌーンティセットをいただきました!
地元のお店と提供しているスイーツや新竹の伝統食などバラエティに富んでいました。
ひとつずつのお味は上品でおいしいのですが、すべて甘いもので、量も多かったので、ここに塩みのあるものをプラスしたらもっとおいしいですよ!と伝えてみました。改善されたら嬉しいなぁ…。
※メニューは季節により異なります。
The Oneが経営を受け継ぎ、修復を施しました。
その際、建築に携わった技師達を呼び戻し、再現してもらったそうですよ!だからこそ、1985年当時の様子をより正確に再現できたのだそう。また、ここにThe Oneらしい、シンプルでいて機能的なデザインが加わり、昔の良さと現代をドッキングした赴きある場所になっています。
以上、今度は絶対こちらに宿泊して、SPAも体験したいナビがお届けしました。