台南のご当地食材を使った秋の味覚に舌鼓~!

食べるだけじゃない!台南ならではの食文化を知る旅に行ってきました!

こんにちは、台北ナビです。

日本人の台湾リピーターの中でじわじわと人気を呼んでいる台南。独特の歴史や文化があるだけでなく、豊富なご当地グルメがあることで有名です。また、肥沃な大地と熱帯の太陽に恵まれたこの土地では、農業も盛ん。台北ではなかなか食べられない新鮮食材もたくさんあるんです。

そんな台南で9月中旬、台南の秋のご当地食材を使ったグルメを味わうツアーが台南市政府観光旅遊局の主催で行われました!食いしん坊ナビも喜び勇んで参加してきました!

今回の目的地は東山区

東山区の東側、仙湖農場から西側を眺めると、天気がよければ東山や新営、塩水、北門の市街地と台湾海峡が見渡せます

東山区の東側、仙湖農場から西側を眺めると、天気がよければ東山や新営、塩水、北門の市街地と台湾海峡が見渡せます

さて、実はこのツアーはこの秋で今年3回目。季節ごとに実施して、その時期にいちばん旬の味を楽しもうというのが目的です。そして、今回の秋のツアーで目的地として選ばれたのは台南市の北東部にある東山区。台南駅からは車で約1時間強の距離にある場所で、コーヒー豆やリュウガンの一大生産地としてご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。肥沃な土地と南国の太陽の恵みを受けて育った食材に合えると思うとわくわくします。

ハチミツ工場でフルーティーな極上ハチミツを味わう

南台湾で初めてのハチミツをテーマにした観光工場です 南台湾で初めてのハチミツをテーマにした観光工場です 南台湾で初めてのハチミツをテーマにした観光工場です

南台湾で初めてのハチミツをテーマにした観光工場です


まず最初にやってきたのは「東和蜂文化観光工廠」。東山が誇る大規模ハチミツ工場です。

先ほどもお伝えしたように、東山では農業が盛ん。その理由は東山区内の土壌には石灰の成分が多く含まれているほか泥状になっていて、農業に適しているからなんだとか。特に東山で栽培される果物はほかの産地のものに比べて甘みが強いそう。そんな東山の果物の花の蜜を吸ったハチから作られるハチミツを製造しているのが、この「東和蜂文化観光工廠」なんです。

ハチの生態やハチミツの製造過程などを簡単に理解できます。イラストが可愛いので子供にも分かりやすく、中国語がわからない人でも理解できるのが嬉しいですね。
ハチミツが作られるまでのステップが書かれています

ハチミツが作られるまでのステップが書かれています

働きバチには内勤と外勤の2種類がいるんですね

働きバチには内勤と外勤の2種類がいるんですね

ハチミツ製造に必要な道具類

ハチミツ製造に必要な道具類

リュウガンのハチミツのほか、ライチや柑橘系などのハチミツもあるんですね

リュウガンのハチミツのほか、ライチや柑橘系などのハチミツもあるんですね

工場のすぐお隣には、養蜂場になっていました。実際にリュウガンの木やキンモクセイの木が植えられていて、ハチがブンブンと元気よく飛び回っています。
こちらはリュウガンの木

こちらはリュウガンの木

こちらがキンモクセイ

こちらがキンモクセイ

怖がりなナビはビビッてブレブレの写真ですがハチが巣箱の入口にたまっているのが分かりますでしょうか。。。

怖がりなナビはビビッてブレブレの写真ですがハチが巣箱の入口にたまっているのが分かりますでしょうか。。。

実際に皆さんの舌で味や香りの違いを感じてください

実際に皆さんの舌で味や香りの違いを感じてください


観光工場内にはカフェとお土産店が併設されています。ちなみにこの「東和蜂文化観光工廠」で生産されるハチミツは、実は台北でもカルフールや全聯などでも購入でき、「台湾心養蜂情」というブランドで商品展開をしているのですが、この工場ではさらにハイクオリティな「H」ブランド商品を販売しています。

「はて、ハチミツのハイクオリティ商品とはなんぞや」と思い、スタッフさんに尋ねると、リュウガンのハチミツを例に挙げて答えてくれました。実はリュウガンの花が咲くのは一年にわずか15日間。ただ、その花のシーズンの前半と後半に採れたハチミツは、リュウガン以外の花の蜜が含まれている可能性があり、風味が少しだけ劣るんだとか。それに対して「H」ブランドの商品は中間の5日間だけに採れたハチミツだけを厳選して使用しているので、香り高いんだそう。わざわざ台南に来て買うだけの理由はありそうですよ。
東和蜂文化觀光工廠
住所:台南市東山區東正里東勢1-18號
電話:06-6800773
開放時間:10:00~18:00(毎週水曜定休)
簡単に試飲もできます

簡単に試飲もできます

ハニービネガーもありました。水で割って入れるとスッキリ爽快で、夏の水分補給にピッタリです

ハニービネガーもありました。水で割って入れるとスッキリ爽快で、夏の水分補給にピッタリです

台湾の産業発展の片鱗を垣間見られる東原老街

続いてやってきたのは、東山区の市街地からさらに山のほうへ進んだ東原という地区。町興しに取り組む成功大学の学生らの案内で散策します。

批判を恐れず正直申し上げますと、道を歩く人は少なく、古めかしく、ボロボロになって誰も住んでいなさそうな寂れきってしまった集落といった印象。ですが、この場所こそが東山区の発展に大きな影響を与え、果ては近代台湾の産業の発展の歴史を垣間見られる歴史スポットだったのです。
無理やりレトロな雰囲気を作っていないありのままの老街が残っています

無理やりレトロな雰囲気を作っていないありのままの老街が残っています


実は東原は日本統治時代よりさらに前の清朝の時代、約200~300年前に客家人が住み着いて発展した町なんだそう。地名が現すように、東山区の東側は山がちな地形なのですが、ここ東原は比較的平坦な土地で、当時は稲作や林業で生計を立てていたんだとか。

そして後になって栽培が拡大したのがサトウキビ。「糖廍」と呼ばれる比較的原始的な製糖工場が作られ、都市が発展。人口が増えていきました。

以前は東原に限らず台湾各地にあった「糖廍」ですが、日本統治時代に国策として糖業に力が注がれ、大きな企業が近代的な製糖工場を台湾各地に建設しだすと、品質や生産量で劣った「糖廍」は改良を図るものの、衰退。砂糖の原料となるサトウキビが大企業に買い占められたこともその衰退に追い討ちをかけました。
日本統治時代の影響を感じる和風建築のほか、洋館、戦後の台湾らしい建物など、さまざまな様式が入り混じる街並みです 日本統治時代の影響を感じる和風建築のほか、洋館、戦後の台湾らしい建物など、さまざまな様式が入り混じる街並みです 日本統治時代の影響を感じる和風建築のほか、洋館、戦後の台湾らしい建物など、さまざまな様式が入り混じる街並みです

日本統治時代の影響を感じる和風建築のほか、洋館、戦後の台湾らしい建物など、さまざまな様式が入り混じる街並みです


ただ、東原は奥まった場所にあり、近くに大企業の製糖工場がなかったことから、安定したサトウキビの確保が維持できたため、なんと戦後の1983年まで操業されていました。

サトウキビ栽培に携わる人、製糖工場で働く人、砂糖を運送する人などが行き来する東原は黄金期を迎えます。砂糖だけでなく、そのほかの東山産農作物の集散地となり、最も栄えていたとされる1960年代には、わずか700メートルのメインストリート周辺に4000~5000人の人々が暮らしていました。大きな商店や映画館などが軒を連ね、東山区の現在の中心部より栄えていて、小学校には1600人の児童が通っていたんだとか。
しかしながら、時代の変化で製糖工場が閉鎖されると、人口は瞬く間に流出。現在の小学校の児童数は100~150人規模にまで減っています。

それでも、長い歴史を持つ東原が醸し出す独特な雰囲気は健在。その魅力を多くの人に伝えたいと、成功大学の学生グループが東原に拠点を設けて、歴史の説明や地域ガイドを行って、町興しにつなげています。
細い路地や、民家の入口にまで入っていけるのは、学生が地元の人たちと良好な関係を築けているから。こんな体験はなかなか味わえません 細い路地や、民家の入口にまで入っていけるのは、学生が地元の人たちと良好な関係を築けているから。こんな体験はなかなか味わえません 細い路地や、民家の入口にまで入っていけるのは、学生が地元の人たちと良好な関係を築けているから。こんな体験はなかなか味わえません

細い路地や、民家の入口にまで入っていけるのは、学生が地元の人たちと良好な関係を築けているから。こんな体験はなかなか味わえません

昼食は知る人ぞ知る台南ローカルフード

豆菜麺 ナビお薦めの一品です!

豆菜麺 ナビお薦めの一品です!


さて、町歩きをしていたらお腹がすいてきました。そろそろ昼食の時間です。

この日準備されたのは、知る人ぞ知る台南のローカルフード「豆菜麺」。

豆菜麺とは、小麦粉で作った麺ともやしを一緒にゆでただけのごくごくシンプルな麺料理で、なんとニンニク醤油をかけていただきます。

麺自体は素麺のような味なのですが、平べったくて、きしめんのような歯ごたえがあり、もやしのシャキシャキ感がベストマッチ。ニンニク醤油の香ばしさも合いまり、するするといただけます。

かつては台南市内でも東山や白河、新営など嘉義県との県境に近い場所でしか食べられていなかった料理です。シンプルだけど美味しい、台湾らしい素朴さが感じられるグルメです。
台湾のタケノコは日本のより甘くて柔らかい!

台湾のタケノコは日本のより甘くて柔らかい!

ワラビの一種である過貓の水煮。甘い台湾マヨネーズをかけていただきます。えぐみや苦味などがなく、さっぱり味。

ワラビの一種である過貓の水煮。甘い台湾マヨネーズをかけていただきます。えぐみや苦味などがなく、さっぱり味。

豚肉とダイコン、アサリのエキスたっぷりスープ

豚肉とダイコン、アサリのエキスたっぷりスープ

ドライリュウガンの製作現場を見学


続いてやってきたのは東原から20分ほどの距離にある沢。東山名物のドライリュウガンの製作現場を見学します。

実はリュウガンは生だとあまり日持ちがしないフルーツ。台湾では古くからドライリュウガンに加工して流通していました。滋養強壮に効果があるため漢方薬としてご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、皆さん、このドライリュウガンがどうやって作られるかご存知ですか?生のままだとライチのようにとってもみずみずしいリュウガンですが、実は加工には非常に手間のかかるフルーツだったんです。
ここでドライリュウガンの製作に携わる阿峻さんの話によると、リュウガンは殻の付いた状態で、リュウガンの薪を使い、約6日間燻製し続けるそう。もちろん、夜も火はつけた状態にしなければいけないので、仮眠をしながらもほぼ付きっ切りで出来上がりを待つんだそう。品質にムラがでないように毎日重いリュウガンをかき混ぜることも忘れません。

木を燃やすため煙を絶えず吸い込むほか、高温での作業に加え、体をかがませてリュウガンをかき混ぜるので体には確実に悪いのですが、電気やガスなどのオーブンでドライにするよりも風味が全く違うんだそう。しかも、6日間燻製した後にはさらに殺菌のために天日干しをして、さらに日持ちができるようにするんだとか。

阿峻さんは「台中や南投産のものとは味が違うよ!」と自信たっぷり。実際に東山産の方が美味しいかどうかは、皆さんの舌で味わってくださいね。
手を入れるとほんのり温かい

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リュウガンが入れられている容器の底はこんな風になっています

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超重労働です

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お待ちかね 台南食材を使ったフルコース

台南のご当地食材を使った秋の味覚に舌鼓~! 台南グルメ イベント東山 台南のご当地食材を使った秋の味覚に舌鼓~! 台南グルメ イベント東山
鄭安宏シェフ 豪快な笑顔が素敵でしたが、料理はまさに繊細でした

鄭安宏シェフ 豪快な笑顔が素敵でしたが、料理はまさに繊細でした


さて、最後にやってきたのは海抜270メートルの高台にある仙湖農場。冬に寒波が押し寄せると、雲海が見え、東山地区の一体が湖のように見えることからその名が付けられました。 

今回、腕を振るってくださるのは、台南シルクスプレイス(台南晶英酒店)のRobin’s鉄板焼きのメインシェフ、鄭安宏さん。日本料理に精通し、食材の味を活かした創作料理を楽しむことになりましたよ。

まず、前菜として出されたのはタケノコ、葉野菜、レンコンなど東山特産の野菜に梅、ゴーヤ、赤いドラゴンフルーツにオリーブオイルを混ぜた特製ドレッシングをかけたサラダ「東山農產野蔬沙拉」。

ドラゴンフルーツのドレッシングと聞いてどんな味になるのか想像が付かなかったのですが、実際は甘じょっぱさが野菜に絡んでとっても美味。さっぱりとしているのも◎。


お次はスクランブルエッグに大根の漬物である「菜脯」、「破布子」と呼ばれる木の実と東山産のエリンギなどをバターで炒めた後、トリュフを追加したソースをかけ、さらにケチャップとドラゴンフルーツで味を調えた[破布子菜脯奶油野菇炒蛋或龍果番茄汁」。

トロトロのスクランブルエッグの美味しさもさることながら、香ばしいトリュフソースが食欲をそそる一品。ゴロゴロのエリンギはボリューム満点で食べ応えがありました。


東山産のタケノコに信州味噌と卵黄を混ぜたソースに、コーヒーとキンモクセイソースを合わせて焼き上げた「東山雙寶味曾醬起司焗烤山筍」。

「ソースにコーヒー!?」と思いましたが、意外や意外、ビターでさらに味噌の甘みがベストマッチ!タケノコはお昼にも食べましたが、全く違う料理に仕立て上げ、タケノコの新たな可能性に驚きました!


続いては、レンコン、タケノコ、ジャガイモ、カボチャ、ニンジン、パプリカに豚バラ肉を入れた肉じゃが「竹筍蓮藕燉肉」。

タケノコやパプリカ、カボチャが肉じゃがに入るのはなかなか珍しい気がしますが、とってもじっくりと煮込まれていて、どの食材もトロトロ。薄味ですが、それを上回る旨みが出ていて、次から次へと箸が進みました。


こちらは台南特産のサバヒーの一夜干しにカレーとコーヒーのソースをかけた「無刺虱目魚一夜干咖啡咖哩醬汁」。

さっぱり味の肉厚サバヒーにコーヒーとカレーのソースが絡み合うことでコクが生まれ、白いご飯が進みそうなお味。上には素揚げした肝が載っていて、さらに風味が増してグッド。


鶏を1匹まるごとをリュウガンやナガイモなどの漢方に使われる食材と老酒でグツグツ煮込んだスープ「血藤桂圓要燉老酒土雞」。

涼しくなってきた秋にピッタリのホカホカスープで、ホロホロになった鶏肉が口の中でとろける食感に感動。栄養たっぷりで飲むだけで健康になれてしまいそう!


タケノコ、豚肉、キノコが入った具だくさんの炊き込みご飯「樹梢饗宴竹筍飯」。

ちょうどいいふっくら加減のご飯もさることながら、大量のガーリックチップとネギが風味を豊かにして、食べ応え抜群。食いしん坊のナビ友が今回の料理の中で一番美味しかったと唸る一品でした。


最後は半生のリュウガンがまるまる1つ入ったリュウガンスポンジケーキ「龍眼蛋糕」。

ジューシーなのにふわふわ。リュウガンの蜜の優しい甘さが非常に上品で、自然と笑顔になる美味しさでした。
グルメの都・台南。それが成り立つのは、台南自体がそれを支える食材の宝庫であったということが分かる旅でした。古い歴史があるからこそ独自の文化が育まれ、ここに生きる人々によって、その土地ならではの美味しさが生まれたのかなと思うと、台南という土地に愛着すら湧いてきました。

台南市政府では冬にも台南の食材を使ったグルメ旅を企画しているそうで、もっともっと多くの人に、台南グルメの美味しさが伝わればいいなとナビは思います。

以上、台南に行って太って帰ってきたナビがお伝えしました!
関連タグ:台南グルメイベント東山

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2018-10-08

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