台北の観光地としても名高く、台湾人の心のよりどころでもある「艋舺龍山寺」へ、久しぶりに足を運びました。蒸し暑い6月の台湾も、跡切れを知らない参拝客。ローカルと観光客が入り交じる光景は健在でした。
台湾でも歴史の古い艋舺龍山寺(読み方:モンジャーロンサンスー)は1738年建立。寺全体が「回」の字のような設計となっているのが特徴です。手前の本殿には仏教の神様が6体、奥にある後殿には主に道教の神様が19体祀られています。仏教と道教の神様が一緒に祀られているスタイルは、台湾らしいですよね。
【参拝Point-2】
まず、本殿の手前に置かれた香炉に注目してみてください。よくみると4人の欧米人が、香炉の蓋を支えています。このデザインには、オランダ統治時代に抑圧された民衆の怒りが反映されており、罰として重い香炉の蓋を持たせているそう。
台湾の廟で目にする、こうした屋根などを支える人型の装飾を「憨番(ゴンファン)」と呼びます。「番」はオランダ人を指すという説もあるようですが、嘉義や雲林の廟では、スーツを着用した日本人らしき「憨番」がみられることから、一般的に「憨番」には、外来統治者への怒りの気持ちが込められているようです。
【参拝Point-3】
本殿の前方に置かれた対の龍柱「銅雕龍柱」もお見逃しなく。迫力と精妙さを感じるこの柱は、台湾で唯一の鋳造加工の龍柱です。ぜひ間近で鑑賞してみてください。
【参拝Point-4】
第二次世界大戦や大災害から、台湾の人々を守ったとされる「観世音菩薩」が真ん中に凛とそびえる本殿。天井に施された、仏教の「人生輪廻」を意味する彫刻も必見です。龍が螺旋を描いて天に昇っていく様が表現されています。そうそう、神様を正面から撮影すると失礼にあたるので、撮影する際は斜めから撮るとよいそうですよ。
【参拝Point-5】
台湾ツウならご存じの方も多い参拝方法を、簡単におさらいしておきます。
「拜拜(バイバイ)」の3ステップ
①神殿の前で合掌し神様へ一礼したら、自己紹介。神様に個人を特定してもらうためには、自己紹介は詳しいほどよいそうで、名前、生年月日、住所に加えて、Eメールアドレスやインスタのアカウントを伝えても◎。
②神様へのお願いごとを詳しく伝える。特に願いがない場合は、「はじめまして」や「お久しぶりです」といった挨拶を交わすだけでもOKです。
③最後に合掌し、三礼して終了。
【参拝Point-6】
本殿も後殿も同様に、中心にいる神様→右側の神様→左側の神様の順番で参拝しましょう。
【参拝Point-7】
治療成功や病気平癒を願う方はぜひ、後殿の右側にいらっしゃる「華佗仙師」に祈願を。華佗は、三国時代に実在したとされる名医で、麻酔薬を編み出し数々の手術を成功させたため、のちに道教の神としてたたえられるように。
【参拝Point-8】
学業成就や試験・受験合格を祈願する場合は、そのお隣の「文昌帝君」へ。
特に受験生は、賽銭箱の後ろに特別に設置された「准考證影本放置處」と書かれたピンクの箱に、受験票のコピーを投函するのを忘れずに!神様に受験番号をお知らせすることで、願いが届きやすくなるのだとか!
【参拝Point-9】
良縁や夫婦円満ならば、「月下老人」こと「月老神君」に祈りを捧げましょう。心なしか、このエリアは参拝者が多め…?
ナビが驚いたのは、龍山寺の「月老」が昨今、推し活を後押ししてくれる神様としても人気が高いということ!推しの写真とコンサートの詳細をプリントアウトして、お供えしている人がたくさんいました。なるほど~!ナビも推し活のために、改めてお願いしに来よう!
【参拝Point-10】
赤い三日月形の「ポエ」もトライしてみましょう。ポエは、私たちの願いごとや質問に対する神様からの答えを「Yes/No」で知らせてくれる道具です。例えば、良縁を祈願する「赤い糸」を持ち帰りたい場合。先ほどの3ステップの通りに自己紹介をすませたら、「赤い糸を持ち帰ってもよいでしょうか?」と神様にお尋ねします。そして2つのポエを手に取り、平な部分(裏面)を合わせて地面へ放り投げましょう。
ポエが、裏×裏なら神様の答えは「Maybe」。この場合は、自己紹介が足りなかったり、お願いの仕方が悪かったりで、神様にしっかり伝わっていないことを意味するので、もう一度「Yes/No」が出るまでトライしてみましょう。
おみくじの番号の下には、「大吉」や「小吉」など運勢が書かれていますが、もし何も書かれていない場合……それは神様にも手に負えない状況を意味しているそう。いずれにせよ、おみくじには、それぞれの運勢におけるアドバイスとなる詩「關聖帝君籤詩」が記されているので、参考にしてみてください!日本語訳は、インターネットで検索できますよ。
せっかくなら「おみくじ」を引いて、神様からのアドバイスをいただいて帰りましょう。
拜拜を終えて出口となる「虎門」をでる頃には、心が洗われてスッキリしているはず!久しぶりに「艋舺龍山寺」でパワーチャージができた、ナビがお届けしました。