part1に引き続き、阿里山の魅力の後半をお伝えします!
こんにちは、台北ナビです。
「嘉義でお茶を楽しむ」旅のレポート前半をお楽しみいただけまししたか?今回はその2日目、後半戦の様子をお届けします。
【Day2 】御来光を求めて「海鼠山1314觀景台」へ
朝日とともに、かかっていた雲が一斉に晴れ始めます
早朝4時に起きたナビ一行。まだ真っ暗闇のなか、バンに乗ってご来光を拝むべく「海鼠山1314觀景台」に向かいました。ここは、梅山郷瑞里村のなかの標高1314mにある展望台です。茶畑の真っ只中に立てられている展望台からは、付近の茶畑はもちろん、向こうの山の茶畑や、遠く遠くの山から昇る朝日が、何も邪魔するものなくまっすぐに見える、素晴らしいビューポイントです。
海鼠山、またの名を海角山。山並みが脈々と遠くまで続いて見えて、実に、阿里山山脈、草峯村、龍眼村、碧湖村、瑞峰村全景、嘉義市の夜景、雲林六斗が見渡せるそうです。すごいカバー力です。
「1314多國愛情塔」
展望台の近くに、モニュメントが建てられています。ここの海抜1314mにちなんで、発音が似ている「一生一世」(あなたを一生愛します)の言葉を、世界のさまざまな言語で書いて貼った「多國愛情塔」が茶畑に彩りを添えています。
あたりがうっすらと明るくなるも、霞がかかっていて茶畑の全貌は見えません。が、次第に太陽が昇ってくると、霞が一斉に晴れ、とても美しい茶畑が姿を現しました。こんな素晴らしい光景は、なかなか見ることができません。ナビ、この日ここに来ることができてよかった。まさに、感無量な美しさでした。
朝食は「賴 坤陽的家」で!
そういえば、4時起きしたのでした。御来光を眺め終わると、一気にお腹が空いているのに気がつきました。名残惜しいけれども、前に進まなければなりません。「また絶対に来る!」と決意し、美しい朝の茶畑を後にしました。
この後、朝食を食べに、民宿「賴 坤陽的家」に立ち寄りました。「海鼠山1314觀景台」でみんなに温かいお茶を振る舞い、説明をしてくださった賴さんの経営する民宿で、客室のほとんどがツリーハウスです。朝食の前に、幾つかのお部屋を見せてくださいました。
ツリーハウスの中を拝見。この辺りは山なので、地面に直接建物を建てると湿気が強いそうで、高床式のツリーハウスが良いのだそうです。中は、なんと以外にも(笑)普通でした。外見がものすごいので、内装もどんなかと思っていたら、ロフトが付いていて、普通に素敵でしたよ。そして、阿里山お決まりの、どのツリーハウスにも、お茶を楽しむスペースが。阿里山の民宿は、昨日紹介された数件のみならず、本当にどこもお茶設備を備えているのですね。何時でも何処でも誰とでも、お茶は人と人とを結ぶ飲み物ですから。
各ツリーハウスにも、お茶を淹れて飲む場所が
|
|
中はロフトタイプ。木のぬくもりがいっぱいです。
|
パラソルのように広がるシダ
事務所に使っているツリーハウスの一角で朝食をとりました。屋根付きバルコニーには、大きめのテーブルとベンチがあり、お茶を淹れて飲めるようになっています。壁も手すりも階段も、テーブルもベンチも全て木製です。メニューは、手作りのちまきと地瓜餅、それから、珍しい樹番茄という果物とドラゴンフルーツがデザートに付いてきます。樹番茄は、皮の外から中身をよく揉んで、ヘタの部分に穴を開けて中身を吸います。種はトマトの種と同じお味で、果肉は琵琶のお味。ナビ、初めていただきました。癖になる美味しさです。あまりにトマトと琵琶に似ているので、誰かがいたずらで二つのフルーツをうまく仕込んだのではないかと思ってしまうほどでした。
賴 坤陽的家嘉義縣梅山鄉新興寮22之1號
0937-103-119
タロイモやあずきの入った健康的な粽とお肉の入った粽
|
|
色鮮やかなドラゴンフルーツ
|
ほんの小さな里山で垣間見る梅山の素晴らしさ
すぐそばにも、茶畑がありました
朝食が終わり、次のポイントに向けて出発です。この日はこれから「竹坑溪歩道」にお連れいただく予定でしたが、途中で茶摘みをしている茶園に見学に寄ることになったようです。車道からあるいて、小道を入って行きました。それにしても、梅山という土地は、とても豊かな場所だということが、よーーーくわかりました。茶園に向かう道すがら、実にいろいろな植物、フルーツが生えていました。
生えているローゼルフラワーを初めて見ました。成っている状態のドラゴンフルーツも初めて見ました。切り花でないヘリコニアも、生えているさとうきびも、本当にいろんな植物が息づいていました。本当に豊かな土地なのです。
見た目里山みたいな山の間のそれほど大きくない茶園で、秋茶の収穫の真っ最中でした。昨日行った高台の茶園とは違って、土地は比較的平ら。ですので、おばちゃんたちが働いているので、よーーく見えます。メディアツアーのカメラマンたちの動きが活発に。みなさん、シャッターを切りまくりです。
摘み頃のお茶葉がたわわに
茶摘みは、きつい労働です。烏龍茶は、朝露がついていてはならないので、日が高くなる午前10時から午後2時くらいまでの間で行わなければならない作業なのです。そして、茶摘みの担い手はほとんどが女性で、しかも高齢化が進んでいます。本当に頭の下がる重労働なんですね。そして、茶作りも。高山茶は製茶にほぼまる二日間かかります。摘み取られた茶葉をプロセスして行くのには、ノンストップな作業が必須で、寝ずに作業を行います。仮眠は取れても、一時間に一回は起きなければなりませんから、本当にきつい作業です。
これを知ってしまったら、お茶葉を無駄にすることはできません。台湾のお茶は、思ったより高い!という声をよく聞きますが、この重労働を知ったら、フェアなお値段かと思うのです。台湾の烏龍茶は、水溶性成分が豊富でたっぷりお茶がとれますので、いいお茶を手に入れたら、無駄にしないように工夫して、もう出なくなるくらいまで淹れていただくようにしたいものですね。
このほんの短い時間で、ほんの小さい区画を訪れたことで感じた広い阿里山梅山郷の豊かさをがっつりと体感できました。さすが、経験豊かな賴さんです。
マイナスイオンのシャワーを浴びに……「龍宮瀑布(滝)」
大きなイモの葉っぱを説明する賴さん
賴さんは、付近の見どころのガイドをしてくださいます。この日はこれから、「竹坑溪歩道」というハイキングコースをご案内頂きます。この竹坑溪歩道は、ハイキングコースのファイブスターと言われていて、終着点の龍宮瀑布までに、なんと4つの滝と12の吊り橋があります。マイナスイオンの多さでも、台湾屈指のハイキングコースなのです。
早起きして疲れ気味ですが、そんなに美しい場所なら、ぜひこの足で到達したいものです。
歩きながら、大きな美しい滝を、なんと眼下に見ることができます。山歩きの好きなナビですが、こんなコースは見たことがありません。ナビたちが歩いているコースの標高が既に高いので、見える滝のほとんどは同じ目線か、見下ろすことになるのです。実際、終着点までの道のりは急な登りではなく、ほぼ水平に歩いて山の中に入ってゆく感じです。
一時間ほどで、コース最終地点「龍宮の滝」に到着です。まるでYの字のように、二つの滝が一つになって落ちてゆく、まさにその裏を歩いて通ることができるなんて、すごい経験です。水の侵食により岩がえぐれていて、滝の後ろを通ることができるようになっています。多少服は濡れますが、迫力満点です。
そして、ついにあの滝の裏側に到着!
往復2時間ほどの距離ですが、見える景色が雄大なだけでなく、コースは意外にも結構ワイルド。途中、沢を渡ったりもしますし、この前の台風で崩れてしまい、遊歩道がなくなってしまったところもありました。ですので、大雨の最中はもちろんのこと、大雨の直後も行くのは避けたほうがいいし、晴れていても、できれば賴さんのような地元のガイドさんに付き添ってもらったほうが良いと思います。ここでは、茶園で見た阿里山とは違った、荒々しい本来の自然の阿里山を見ることができました。
元来た道を歩いて戻りました。途中少人数で、壊れた歩道を修繕している原住民の方がありました。私たちよそ者が安心して歩けるように、崩れている土の上に、手慣れた様子で石を並べてくださっていました。ありがたや。原住民の方々にとって、聖なる土地に観光をさせていただいているということを忘れずに、ゴミなんか捨てずにきちんとした態度でその土地に淹れていただくべきと思いました。
がけ崩れの箇所を修理する原住民の方々
|
|
滝の真裏をくぐって元きた道へ
|
愛玉。レモンとシロップで疲れも吹っ飛びます!
もとの駐車場まで戻ると、冷たい愛玉ゼリーが用意されていました。冷えた愛玉ゼリーをレモンと砂糖水でつるりといただくと、疲れていた体に元気が戻ってきました。
最後まで、阿里山の自然を堪能し、畏敬の念を覚えながら、山を後にしたナビでした。
素朴な魅力が残る「太平老街」
かわいい番地プレート
昼食のため、梅山郷太平の地元商店街「太平老街」に寄りました。平日だということで、開いていないお店もあったり、人もそれほど多くはなかったのですが、飾らぬ素朴な街並みがとても魅力的でした。
老街を歩いていると、住所の表示がとても可愛いことを発見。さすが茶所です。茶壺(急須)のモチーフがナイスです。売っているスナック類も、台北のものとは違い、昔ながらの素朴なものがほとんど。ナビたちも、興味のあるものを思い思いに味見をしたり、購入したりしながら進みます。
モダンな外観の店構え
お昼ごはんは「八玥文創」でいただきました。ランチプレート風の盛り付けになっていて、老街ご近所のメニューとはちょっと違った感じです。
メディアにもよく登場するこのお店は、文創設計公司というデザイン会社のオーナーが、嘉義梅山の自然や食べ物が好きで、この地に自ら飲食店兼ショップをだしたもの。店内では地元食材を使った美味しいお食事とともに、特色商品を紹介・販売するコーナーがあります。
また、嘉義梅山四村(太平、碧湖、龍眼、太興)を紹介するマガジンを発行して、外部への紹介に勤めています。
決して大きくないお店ですが、お客様がひっきりなしに訪れます。安全食材で作られるメニューは、さっぱりとして脂っぽさが気にならず、美味しくいただきました。
八玥文創嘉義縣梅山鄉大坪段39號之7
(05)257-1965
11:00~16:30
太平老街から、嘉義梅山名物の「太平雲梯」に移動します。徒歩で、車の往来が激しい道路脇を歩き、雲梯入り口に到着です。
緑の(というか緑しかない)山と山を、真っ白な吊橋でつないである、という感じです。距離が離れているとそういう風に見えます。マンガ「エヴァンゲリオン」の「使徒」を連想させる形と配色。大きさもちょうどそんな感じでしょう。実際に近づいてみると、吊橋の大きいこと。吊橋ですから吊ってあるわけで、根元には橋を支えるものすごいケーブルが。
歩いて行くと、下が透けているではありませんか。足の甲の向こうには、遥か下方の木々が真上から見下ろせます。脳がすうーっとすくむといいますか、なかなかの恐怖感です。そして、吊橋ですから、中央よりになると微妙に揺れます。
橋は一方通行ですから、対岸から来る人とはすれ違いません。橋に乗っていられる人数を把握するためでしょうか。実際、足元と景色を堪能するのに注意力MAXで、人とすれ違うための注意力はもう残っていないので、ちょうど助かります。
帰りは橋の横にある迂回スロープを歩いて山を下ってきます。途中、雲梯の全貌が見渡せるポイントが何箇所かあるので、退屈せずに下りてこられました。
阿里山コーヒーと茶を楽しめる「阿嬤咖啡(無隠山居)」
雲梯散歩を終えて小腹が空いたらアフタヌーンティーを。阿里山は世界的に有名な高山茶とコーヒーの産地です。この両方が味わえるちょっと素敵なティーハウスに立ち寄りました。
ナビたちが連れて行ってもらったのは「阿嬤咖啡」というコーヒーショップ。阿里山梅山を街に向かって下る坂の途中の斜面に建つ建物は、昭和の高原山荘みたいな味わいで、ナビはちょっとノスタルジックな感覚に包まれました。
この場所は、もとは岩肌の斜面で何も開発がなされていなかった土地。30年前にこの土地を気に入ったオーナー夫妻は、家族4人で少しずつ整備し、建物を建て、樹木を植えてコーヒーショップを作ってしまったそうです。今では、当時小さかった桂花(金木犀の木)の幹は太く高くなり、春が来れば桜も咲きこぼれる美しい場所になりました。
産地のコーヒーは香り高く、雑味ない澄んだお味。チェーン店では決して味わえない香りと味わいです。いつもはお茶党なナビも、この日ばかりは阿里山コーヒーを美味しくいただきました。コーヒーやケーキはもちろん手作り。甘すぎず、優しく美味しいスイーツは、程よくドリップされたコーヒーによく合います。
急斜面を利用した山水式庭園
|
|
今は平らに整えられている小道
|
この場所は、正確には「無隠山居」といい、號を持たない壺藝大師(茶壺作家)が住まうところ、という意味だそうです。オーナーの謝宗興さんは文化局捏杯講師の茶壺作家で、初めの頃は内輪で楽しんでいましたが、すぐに有名になり来訪者が後を絶たなかったので、コーヒーショップというかたちで、来訪者を受け入れる様になったのだそうです。つまり、「阿嬤咖啡」は「無隠山居」が、来訪者に一杯の美味しいコーヒーをお出しする場所なんですね。
阿嬤咖啡(無隠山居)嘉義縣梅山鄉太平村坪路3附1號
(05)257-1638
日本統治時代からある「梅樹碑」
老舗なのに飾り気のない昔ながらの間口が魅力的でした
旅の最後は、創立1968年という老舗「梅樹碑」に立ち寄りました。もう山を降りて街の中にあるこのお店の歴史は、日本統治時代にさかのぼります。家族を養うため日本式のしそ梅のつけ方を研究し、痛み防止にお弁当の中に入れたり、消化に良かったりということで、当時梅製品は大変な人気を集めました。その後、科学の発達とともに、梅の持つ、人間の体に良いとされる成分が明らかになり、消費量もさらに伸びたそうで1968年に、加工工場を作りブランド設立と相成ったそうです。今の経営は三代目。扱う商品の種類は100種を超えるまでになりました。
いろいろな種類の梅がよりどりみどり
|
|
甘いのもしょっぱいのもよりどりみどり
|
甘い梅、酸っぱい梅、塩っぱい梅、他の食材とあわせてある梅、考えうるありとあらゆる食べ物と梅とのコンビネーションが商品になっています。でも、基本的には台湾の梅製品は甘いおやつといった感じです。
梅樹碑
嘉義縣梅山鄉中山路147號
(05)262−7429
是非行ってみて欲しい、嘉義阿里山
この旅では、今まで見たことのない阿里山の顔をたくさん見ることができました。茶畑、植物、コーヒー、お料理、荒々しい自然など、日本人が普通にする観光では行けない、見られないものを体験することができました。結果、阿里山は都会から比較的行きやすいので、積極的に行ってみると良いと思いました。
問題は交通ですが、新幹線で嘉義駅まで行ったら、そこからタクシーで民宿まで行くのが手っ取り早くて便利と思います。國光號などの長距離バスを駆使する上級者なら、宿に最寄りのバス停まで、宿の人に迎えに来てもらえるようにお願いするのも手かと思います。
たまたま同じ宿だった別の旅行客に話しかけてみたら、台北から親子で遊びに来たそうで、やはり嘉義からタクシーで民宿にきて、そこから民宿のバンツアーで付近を回ると言っていました。山道が不安だから、車で来るのはやめたそうです。さすが地元っ子。懸命な判断です。
中国語が話せるなら、長距離バスで最寄まで行って、民宿の人に車で迎えに来てもらうということも可能かもしれませんが、長距離バスは時間が読めなかったり、万一乗り過ごしたり乗り遅れたりしたら、潰しが効かない場合もありますね。
また、部屋の様子やサービスの形態から、8人くらいの人数で行くのがベスト。4人でタクシーに分乗し、民宿に着いたら、大体の民宿が提供するツアーは、8人で一台のバンに乗って移動するというもので、中には8人のお得なプランを提供している宿もあります。お部屋も思いの外広いし、グループでワイワイ行っても楽しいと思いますよ。
宿に着いたら、その宿が提供する車付きの付近案内ツアーを申し込んで、車で連れて回ってもらうのが一番と思いました。大抵どこの民宿でも、ツアーを行っているようでした。付近の見どころとしては、滝の裏側を通ることのできる「竹坑溪歩道」や夏には「螢火虫(ホタル)を見るツアー」などがあるそうですので、昼も夜も楽しめそうです。
台湾、奥深し。まだまだ隠れた綺麗なところ、楽しいところがあるはず。交通の不便さが玉に瑕の地方都市の郊外ですが、行く価値大有りだということが、今回のメディアツアーに参加してわかりました。ナビもこれからもっと、積極的に郊外に遊びに行こうと思いました。
以上、台北ナビがお伝えしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2018-10-31