和洋折衷の建造物が美しいミュージアムで温泉の歴史&魅惑の奇石ホクトライト(北投石)に触れよう!
こんにちは、台北ナビです。
北投温泉はMRTで楽々アクセスできる台北郊外の温泉地。台北市民も週末の行楽に、気軽に訪れる観光スポットです。そんな北投温泉は自然に囲まれ、また日本統治時代に温泉地として開拓されたこともあってか、初めてこの地を訪れる日本人にとってもどこかホッとするような場所。本日ナビは、そんな新北投へ温泉列車に揺られ行ってみましたヨ!目的地は「温泉博物館」。温泉の博物館って何とも珍しいですよね。何があるのか楽しみです♪
北投公園内に建つ「温泉博物館」。レンガと木造で構築された大きな建造物は緑の中で一段と際立ちます。「博物館らしい建物・・・」といえばそう見えなくもありませんが、実は始めから博物館として建設された建物ではないのです。それでは、以前は一体何に使用されていたのでしょうか?
今回ナビを案内してくれた簡零玉さんはこういいます。「ここは元々公共浴場として建てられたのです」 北投温泉は1894年ドイツ人によって発見されました。
その後、大阪商人・平田源吾が北投温泉初の温泉旅館「天狗庵」(現在北投渓脇)を開業。のちに日本統治下にあった1913年6月、台北州庁により静岡の伊豆山温泉をモデルとした北投温泉公共浴場を建設。これが温泉博物館の前身です。
ここはかつて、東南アジアで最大の公共温泉施設でした。しかし、時代の流れと共に活気を失い、次第に廃れていきました。誰もが省みなくなった施設・・・この廃墟と化した建物を発見したのは、1994年、郷土学習を行なっていた地元小学校の教師と生徒たちでした。その後、地元の人たちを中心に建物の救済活動が始まり、1997年、内政部により第三級古跡に指定されました。その後、台北市政府が1億1000万円(!!)もの大金をつぎこんで大改修。ついに「温泉博物館」として生まれ変わったのです。
温泉博物館の姿
「温泉博物館」が建つ北投の温泉街は、ゆるやかな山の坂道沿いに形成されています。そのため、入り口を入ると2F(!)というユニークな造りになっています。なんだかシャレていますね。洒落具合は入り口の構造だけではありません。当時の時代の流れでしょうか、1Fはイギリスビクトリア様式の洋風、2Fは日本の伝統建築要素を取り入れた和風という和洋折衷な造りとなっています。
畳ホールと大浴場と10の展示室
それでは、早速中を案内していただきましょう。入館が2Fからなので、見学も2Fから1Fへと進むことに。
温泉博物館:2F
A1:温泉街の風情再び北投の発展の歴史が垣間見れます。また、こちらに置かれているモニターでは1937年当時の日本語によるVTRを見ることができます。新北投を含む台北市内の当時の様子は、日本人にとってもとても興味深い映像です。
また、別の一角にはバイク便の紹介もあり。このバイク便は荷物を運ぶメッセンジャー・・・より更に進化していて、かつては芸子さんを乗せ旅館から旅館へ走り回ったそう。現在ではその姿を替え、地元民の足として人を運ぶだけでなく(タクシー代わり)、お弁当の買い出しから、請求書の支払い代行、市場で買い出し後の荷物運び・・・とあらゆる面で活躍しているそう。もちろん、観光客でも利用は可能。観光スポットまで運んでもらう・・・!?なんて使い方もOKです。
A2:展望フロア
裏手を流れる北投渓が一望できます。地熱谷からの温泉水が流れているため、冬場には湯気が立ち昇ることも。しかし、近隣ホテルからの排水も一緒に流れ込んでいます。そのため原則的に入水禁止。多くの方が足湯を楽しんでいる姿を目にすることができますが・・・ また、景観台からは中山路沿いにある小さな池が見えます。その形はハート型とも「心」という字を模しているともいわれているそう。ナビはどちらにも見えなかったのですが・・・確かめてみては?
展望台からの眺め・・・裏手の北投渓。小さな滝があります。
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広めのテラス風、展望台。
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展望フロアを囲う雨戸は何と12枚!
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展望フロアの造りだけでも和洋折衷がうかがえます
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A3:台湾語映画のハリウッドかつて台湾映画の多くは絵になる風景が数多くある新北投で撮影されたそう。そんな映画のダイジェスト版が見られるのがココ。どれも台湾語で語られ、字幕は右から左へと流れます。映画を見た後、撮影場所を探してみるのも楽しそう。見つけられるかな??
A4:新北投の契機
ここは外部に開放しているオープン展示スペースです。したがって、催し物があるときだけ入れます。ナビが見学した日は開放していませんでした・・・ザンネン!
A5:マルチメディア視聴室
温泉博物館に関すること、北投にゆかりのある映像が楽しめます。日本語放映もありますが、特に決まった時間に行なっているわけではないので、興味がある方は入り口付近のボランティアの方に尋ねてみてください。
放映時間はおよそ15~20分です。
畳ホール2Fのメインスペースにどどーんと広がるのは畳の大広間。その数なんと48畳。かつて、ここで飲食を楽しんだり、将棋をさしたり・・・と風呂上りのひと時を楽しんだそう。現在は、イベントホールとして使用されるとのこと。イベントのない日はスリッパを脱いで上がることができます(平日のみ)。
温泉博物館:1F
B1:北投温泉ここは女性用の風呂。自由に湯船の中にも浸かれるので(当然ながらお湯入っていませんが)ぜひ入ってみてください!また、当時人気だった音楽を聞くこともできます。3つのヘッドホーンからは心地よい(愉快な!?)音楽が・・・♪
また、北投温泉はトリコロール温泉!青・白・赤の3つの湯が楽しめるんです。さてさて、それは・・・???
青:青磺 代表の場所>地熱谷 泉質>酸性硫酸塩気化物泉
白:白磺 代表の場所>硫磺谷 泉質>酸性硫酸塩泉
赤:鉄磺 代表の場所>龍鳳谷 泉質>中性硫酸塩泉
それぞれの湯にほのかに現れる色により表現されています。各々が異なる効能を持っており、北投温泉の各旅館では、我が宿の湯を青・白・赤(鉄)の色で表現しているはずです。お気に入りの湯を探してみては?もしくは、湯めぐり・・なんてのもイイですね!
B2:北投石の故郷1905年、岡本要八郎氏(当時台北博物館に勤務)により北投渓の川底で発見された石、それが北投石(ホクトライト)です。この石はとても珍しく、世界でもここ北投と秋田の玉川温泉でしか産出されないそう。・・・ここで勘のよい方ならピーンときたのでは?玉川温泉というと、その石による岩盤浴が近年人気ですよね?ラジウムを放つ、という鉱石です。北投石は5種類の放射線やマイナスイオンを放ち、それらは深く体内に浸透、強い解毒作用を持って体内に働きかけるといわれており、現在では病気療養にも使用されています。放射能と聞いて、マイナスイメージばかりが頭に浮かんだナビですが、北投石はプラスに働く放射能でした。
B3:温泉回廊
温泉博物館はその名にふさわしく、北投温泉の紹介だけにとどまらず、世界各地の温泉の様子も写真展示しています。また、回廊から外へ目を向けると、窓にはステンドグラスが埋め込まれています。当時の人は、このグラスを通し入ってきた光が湯船に反射してキラキラと揺れていた・・・中、お風呂に入ったのだとか。ちなみに、グラスで描かれた絵が1つ1つが細かいのは当時高級だったためガラスが壊れても修理しやすいように・・・との配慮だそう。そして、このステンドグラス、修復中の1997年に1度盗まれてしまったという過去を持ちます。そのため、現在見られるのは写真を見ながら再現したもの。
B4:特別展示エリア当時の様々な資料等が置かれています。ただ、残念なことにこちらのエリアのみ撮影は不可。ご注意ください。
B5:浴場風景ローマ式浴場の建築の特徴を実物を前にパネルで解説。温泉博物館のミニチュア模型も。
大浴場
こちらが、男性浴場です。面積はざっと見たところ小学校の25mプールくらいありそうですが、実際は縦9m×横6m。ただ深さはかなりあり、1番深いところで130cm。入り口にあたるところには2段の階段があり、そこを降りると40cmの深さの湯船が奥に行くにしたがって段々と深くなっていく構造です。・・・ということは、立ち湯!?何とも落ち着けないお風呂のような気がするのはナビだけでしょうか?当時は50~60人もの人たちが一度に湯に浸かったそうです・・・
近隣の施設と合わせてどうぞ
入り口前で尺八を吹いていたオジサン。演歌が流れてきました・・・
駅前から続く「北投公園」は先ごろリニューアルしたばかり。音楽に合わせて飛び出す噴水は毎時間ごとに約20分間見ることができます。中山路沿いには原住民文化に触れられる「ケタガラン文化館」が、また公園内にはグリーン建築で名高い「台北市立図書館北投分館」(日本の新聞や雑誌あり)や書道家・于右任(「鼎泰豊」の看板は彼の作品)が避暑地として利用していた「梅庭」があります。さらに、水着で入る「北投露天風呂浴池」、さらに奥には地熱谷、温泉街からは少しはずれますが、泉源路沿いの48号公園内には「足湯区」も。「北投露天風呂浴池」以外はどこも無料開放されているので、博物館見学とともに、北投温泉街を散策してみてはいかがでしょうか?
以上、台北ナビでした。