朝市は庶民の台所!グルメの都「台南」の伝統市場を歩く
こんにちは、台北ナビです。
旅先で出会う「朝市」には、見たこともない食材が並んでいたり、威勢のいい掛け声が飛び交うも何を言っているのかわからなかったり…何もかもが新鮮でワクワクさせられてしまいますね。その土地土地の食文化をかいま見るなら、何といっても「朝市」はおすすめのスポットです。
今回は、いろいろな小吃の発祥の地としても知られるグルメの街「台南」にある伝統市場の「水仙宮市場」にやってきました。人が集う所にはおいしいものあり!という目線で、いろいろ食べ歩いてきました~。
ふたつの顔を持つ大きな市場
台南で最も有名な市場のひとつである「水仙宮市場」は、50年以上の歴史を持つ伝統的な市場です。「水仙宮」という名前は、市場の中にある海の神様「水仙尊王」をまつる廟の名前に由来しています。(2018年1月現在は修復中。)昔この近くには運河が通っていた為、海の安全や、商売繁盛を祈願する商人たちから深く信仰され、この廟を中心に人々の暮らしは広がっていったんだそう。
それにしてもこの市場、海安路側から見ると「水仙宮市場」となっていますが、國華街と民族路の交差点から見ると「永樂市場」と書かれています。「永樂市場」は昔、盗品を販売していた場所だったため「賊仔市(泥棒市)」の異名を持つ市場で、この市場が面する國華街沿いには、台南を代表する小吃店が立ち並ぶ、言わずと知れたB級グルメ激戦区となっています。そんなふたつの大きな市場が合体しているのですが、地元の人はこの場所をまとめて「水仙宮市場」とも「永樂市場」とも呼んでいます。
市場の中は、お店が列をつくって規則正しく並んではいるものの、あまりの数の多さに迷子になってしまいそうな広さです。新鮮な野菜やお肉が、威勢のいい掛け声とともに売られていきます。日本では見かけないような、謎な魚やフルーツなどもたくさんあり、ひとつ単位で売っているものもあれば、1斤いくらという量り売りもあります。ちなみに1斤は600gで、大きなリンゴひとつがだいたい500gくらいなのでご参考までに。
おいしそうなもの探しへいざ出陣!
お肉や野菜はもちろんのこと、お惣菜や雑貨店、それに食べ物屋さんまでもが、軒を連ねる朝市は、料理をする主婦たちだけでなく、朝ごはんやお昼ごはんを食べにやってくる地元民にとっても、大切な台所。とくにグルメの都である台南の市場ともなれば、味のレベルも高いはず…!それでは早速、おいしいものを探しに出陣です。
※住所はわかりづらいので割愛します。臭覚で探してみてくださいね。
麵條王海産麵年季の入った看板が目印の「麵條王海産麵」には、たくさんの人だかりができていて、ひと際目を引いています。朝食でも昼食でもない、平日の中途半端な時間にもかかわらず、番号札を渡され30分ほど待ち、やっとありつけました。
看板メニューの「海産麵(湯麵/汁あり)」は、豚肉にレバー、イカやつみれ、煮タマゴなど、具がどっさりと入って、55元という安さ!あっさりとしたスープと麺がよく合います。ペロリと完食しました。
注文してから番号札をもらうシステム
|
|
ボリュームたっぷりです
|
寶來香餅舖
「麵條王海産麵」のお隣にある、伝統菓子を売るお店も気になりました。なんでもこの市場で60年ほど営業している老舗だそう。店頭には、パイナップルケーキや月餅など縁起のよさそうな円い形をしたお菓子がずらり。
このお店の看板商品である「香餅(シャンピン/5個入り75元)」は、パンのようにふっくらとした見ためで、中が空洞になっている台南ならではの伝統菓子です。この「香餅」の中に栄養たっぷりのたまごを入れて焼いたものは、昔、産後食としてよく食べられていたそうです。白糖か黒糖が内側にぬられていて、今ではおやつとしてすっかり定着しています。
韓氏古早味油飯
「油飯」とは、モチモチとした醤油味の炊き込みご飯のことです。豚肉やシイタケがゴロゴロ入ったこの油飯がナビは大好きで、ひとパック(小50元)をお持ち帰りしました。パクチーがのっかっているのが、台湾っぽいですが、これがまた油飯によく合います。
台湾では、赤ちゃんが生まれ満月(1ヶ月)の時に、親戚やご近所にこの「油飯」を配る風習があります。昔から親しまれているたべ物で、この「韓氏古早味油飯」も50年以上の歴史を持つ老舗です。
吉慶行
シュークリームやマカロン、それにクッキーなど、ちょっと台湾テイストが加わった洋菓子を売っているお店を発見!よく見ると、それだけではありません。奥行きのある店内には、肉まんや水晶餃(プニプニとした皮にトロトロの餡を包んだ餃子)、それに月餅など中華風のおやつもずらりと並び、お客さんが絶え間なくやってきます。
種類豊富な商品の中でも、特においしいと評判なのが、この「鮮奶焦糖烤布丁(ミルクキャラメル焼プリン/6個入り125元)」。お味は、素朴な甘さのプリンが口の中でとろけ、ほろ苦いキャラメルソースとの相性もバッチリでした。どこか懐かしさを感じるレトロなプリンです。
福味珍手作魚丸民権路に面してお店を構える「福味珍手作魚丸」は、1957年創業という手作りのつみれのお店。あたり一帯に漂うおいしい香りにつられて、思わず買ってしまいました。
肉や魚のお団子や、エビ巻き、それに野菜のかき揚げなどなど、品ぞろえは、その時々で若干異なり、出来たてがどんどんショーケースに並びます。ばら売りのものと量り売りのものがあり、すきなものを自由に組み合わせることができます。その場ですぐ食べることもできますが、お持ち帰りの場合は食べる前にオーブンで少し焼くのがおすすめです。素材がゴロゴロと入って、食べごたえありです。
食べて食べて……すっかりお腹いっぱいになってしまったナビ。これでもまだまだ水仙宮市場の魅力は語りつくせませんが、かなり地元民の台所を垣間見ることができたような気がします。台南の食べ物は、北部より甘く味付けされたものが多いと聞きます。他の市場の味と食べ比べてみるのも楽しいかもしれませんね。でも、くれぐれも食べすぎにはお気をつけて~。
以上、台北ナビ(岩田優子)がお伝えしました。