ゆっくり時間の流れる文学の世界で、頭に栄養補給!
こんにちは!台北ナビです。
おいしいものと歴史の香りただよう台南。旧台南警察署や旧台南合同庁舎など歴史ある建物がたち並ぶ民生緑園のロータリーにやってきました。なかでもひときわ目を引くたたずまいの国立台湾文学館!いつも食べてばかりのナビですが、今日は歴史の香り漂う洋館で、文学散歩を楽しんじゃいます。
文学に歴史あり…建物にも歴史あり
広々とした館内…
もともとは台南州庁(現在の台南市政府)としてお役目を果たしていた重厚感ある建物。ここちよい静けさの館内には穏やかな日差しが差し込み、本に向かう学生さんたちや、おしゃべりを楽しむ観光客が、それぞれ思い思いの台南タイムを楽しんでいました。
建物の基礎部分
日本統治時代にレンガとコンクリートを主に建設された古~い建物は、日本人建築家森山松之助さんによってデザインされました。なんだか誇らしくなってしまったナビ。
当時流行した西洋の建築スタイルを残そうと、現在も正門部分の修復工事が行われています。「舊建築 新生命」の常設展示室では、当時の特徴であるアーチ型に積まれたレンガの基礎部分と通気口がそのまま保存展示されています。
文学の世界へいざなう展示の数々…
台灣文學的內在世界常設展展示期間:~2016年8月7日
日本を含めオランダやスペインによる植民地時代の歴史をもち、多言語、多民族の島である台湾。それゆえ、その時代により、またその土地土地により文学の形式が様々なのが台湾文学の特徴です。難しそうな話はちょっと…というナビでしたが、綺麗な挿絵や日本語の文献には特に親しみを感じました。
気になって、思わず立ち止まってしまったのは「フォルモサ」という雑誌。
文学や哲学、それに美術を学ぶ台湾人留学生により、東京で創刊されたそうです。わずか3号で打ち切りになってしまったそうなのですが、内容が気になります。
世界一舞台 莎士比亞在臺灣 特展展示期間:~2016年1月3日
ハムレットやロミオとジュリエットでおなじみの劇作家、シェイクスピアの展示。来年はちょうど没後400年にあたるそうです。入り口近くは、かつてロンドンにあった劇場、グローブ座が表現されています。彼の生い立ちや家族構成などの展示スペースになっています。
先へすすむと彼の功績の数々が展示されています。
こんなにたくさんの作品が出版されていたなんて、ナビは知りませんでした。お恥ずかしい~。作品数もさることながら、いかに世界中でたくさんの人々を魅了してきたか、驚きの連続です。
中には、1709年に発行されたお宝本も…!
上演のニュースを伝える当時の新聞
シェイクスピアは、生涯イングランドを離れたことはなかったそうですが、彼の作品は海を超えたくさんの国に渡りました。日本で上演されたことも、当時の新聞にも残されています。役者さんたちの衣装も展示されているのですが、面白いのは上映される国のテイストがミックスされていること。
シェイクスピアの顔も描かれた国や、アーティストによって違った雰囲気です。
シェイクスピアがアヒルに!
展示の出口には、シェイクスピア関連のグッズが販売されていました。
本格的なフェザーペンから、茶目っ気たっぷりのグッズまで…。世界中引っ張りだこの人気のある展示の為、期間の短いシェイクスピア展。どうぞお見逃しなく!
「講咱ê故事:白話字文學」特展 展示期間:~2016年1月6日
文字のない言語、台湾語(閩南語)の発音にローマ字を当てて表現する方法の白話字(はくわじ)にまつわる展示。オランダ統治時代に宣教活動のために、作られた方法だそうです。ちなみに白話字は「Pe̍h-ōe-jī」。まるで呪文のよう…。台湾語の歌が流れる展示スペースでは、白話字とはいったいなんなのか?起源やどうやって発展していったかが展示されています。
再見天人菊──澎湖文學特展展示期間:~2016年2月17日
中国大陸と台湾の間にある澎湖諸島の歴史や文化に触れる展示。澎湖というとリゾート地というイメージがありますが、かつては海賊たちの巣窟と化していた時代もあったそうです。澎湖県の県花である色鮮やかな天人菊と、どんな劣悪な環境下であっても、不屈の精神で生きる澎湖の人たちとを照らし合わせています。
澎湖といえば…おいしい海の幸ですよね。積み上げられた石は、潮の満ち引きを利用し魚を追い込む石滬という仕掛けです。
円卓の上には、サボテンやナツメなどを使ったちょっと変わった料理が…。海の幸だけではなくここならではの味に出会えるんですね。
澎湖日報という新聞を発見しました!澎湖は台湾本土にわたる中国大陸からの移民が通過する場所に位置し、台湾で最も早く発展した場所ゆえ、ずいぶん早くから地方紙が生まれていたんだそうです。
澎湖のことわざが並ぶ展示スペースもあり、澎湖は台湾本土にはない、特有の文化や風習、それに思想が交錯する特別な島なんだな~と改めて思いました。
不為人知的幸福──龍瑛宗捐贈展展示期間:~2015年12月13日
新竹生まれの作家、龍瑛宗(本名:劉榮宗)にまつわる展示。こちらは正面入り口入ってすぐの階段を上がって、2階の展示室です。1999年のこの世を去った龍瑛宗の処女作「植有木瓜樹的小鎮(パパイヤのある街)」は、雑誌「改造」で佳作推薦賞に選ばれました。
入り口には、「杜南遠の知識探索之旅」と題したすごろくが…。杜南遠とは自伝小説に登場する主人公の名前です。
ゆっくりできるよう計算された館内
天井高く広々とした館内は、たくさんの人がのんびり鑑賞できるよう工夫された設備がいっぱい。
広くとられた通路に、スローブ、点字の記されたエレベーター。小さいお子さん連れのママにはうれしい授乳室と給水機も発見しました。
ロビーの階段から地下に下りると、そこには図書館が。
13歳以上であれば、身分証かパスポートを提示すれば、中に入って本を閲覧することができます。ほとんどが中国語の本ですが、雑誌やマルチメディアのコーナーもあるので十分楽しめます。
子供も文学に触れることができる、児童図書室もあり。絵本や漫画び、靴を脱いで上がる読書スペースもあるので、これはついつい長居してしまいそうです。
Cheffresh cafe
営業時間:月曜8:30~17:00、火曜~日曜8:30~21:00
文学館に連結したカフェ。文学館から繋がっていますが、外の南門路からもはいることができます。本格的なコーヒーや、サンドイッチなどが楽しめるので、文学鑑賞に疲れたら、ここでひと息入れてみては?
いかがでしたでしょうか?
文学ってあんまりよくわからないし、難しそう…なんて勝手に思っていたナビですが、ここ文学館は、知らないからこそ文学を身近にしてくれるきっかけを作ってくれる場所なんだと思いました。食べ歩きに疲れたら…とか今日は雨だから…なんて理由で行くもよし!それが文学への道を開いてくれるきっかけになるかもしれませんよ。
以上、文学人台北ナビ(岩田優子)でした。