蘭陽博物館(宜蘭県)

LANYANG MUSEUM

閉店・移転、情報の修正などの報告

宜蘭を知るに一番の場所はここ「蘭陽博物館」!最新の建築技術にも圧倒されます!



こんにちは、台北ナビです。台湾の北東部に位置する宜蘭県は、豊かな自然に育まれた温泉あり、美食ありの風光明媚な土地。伝統文化にも秀でた県で、この宜蘭県を凝縮して紹介したところが、「蘭陽博物館」。ここに来れば宜蘭県の歴史だけではなく、そのすべてがわかります。 ナビはここに来て驚いたのは、まずその外観、実は着工してから7年目にやっと完成という建物だったため、台北と宜蘭をつなぐ濱海交路を通った人たちは、口々にあれは何?とウワサしていたそうな。低いピラミッドが何層にも重なった風でもある「奇怪」な形は、博物館というより倉庫のようでもあり。しかし、じっと目を凝らせばわかる何種類もの石を組み合せた壁は、かなり普通じゃない凝ったアート建築物なのです。

亀山島に行く烏石港にあります

石の名前が烏石

石の名前が烏石

博物館が位置する場所は烏石港と言います。清朝の時代には、もうすでにこの名前で呼ばれていました。しかし、なぜ烏石?というと、ここには3つの石があるのですが、この3つの石の名前が烏石。烏石がある港だったので、烏石港。かつては、貨物が運ばれてくる大きな港で、宜蘭八景の一つとされてきました。今では、本当の港はもっと海側に移り、石周辺は自然生態が観察できる大きな池と化しています。
常にシラサギが飛んでいます

常にシラサギが飛んでいます

亀山島への船乗り場が見えます

亀山島への船乗り場が見えます

中に入ってみました

1Fのロビーに入ると、陽光が前面から差し込んできて、そのまぶしさと天井の高さと窓の多さにビックリ。この建物は、台湾人建築家姚仁喜氏の指揮の元、長い年月をかけて創られてきました。まず外側を完璧に固めてから、内部に取り掛かったそうなのですが、考えながら進めるという台湾的なやり方だったそうです。内部の照明もかなり凝っていますが、照明アートは、やはり台湾では有名な照明芸術家である姚氏の弟が担当しました。
この日はまだ工事中(正式オープンは2010年8月で、行ったのは5月)で、ロビーにはなんと足場のようなものがまだ
組まれていたのですが、その高さには本当に圧倒されました。
また、24種類の石を組み合わせたという内部の壁には、すべてのものが斜めに傾いて見えるという視覚効果が大いに活用されていて、ドアや空中通路などには、自分の目がおかしいのか本当に傾いているのか、不思議な斜めの世界に入り込んだような錯覚に陥りました。
1Fのロビー 眩しい!

1Fのロビー 眩しい!

左のエスカレーターは、2階から一挙に4階へ行けます

左のエスカレーターは、2階から一挙に4階へ行けます

ドア、傾いてません?いえ、ちゃんと長方形なんです

ドア、傾いてません?いえ、ちゃんと長方形なんです

エレベーターは透明

エレベーターは透明

(2Fのロビーにて)前方左右にかかる通路、傾いて見えません?

(2Fのロビーにて)前方左右にかかる通路、傾いて見えません?

4Fから入ってみました

4Fの窓からは、亀山島が望めました

4Fの窓からは、亀山島が望めました

4Fは宜蘭の自然を紹介しているのですが、ここにある草木はほとんどが「本物」。この植物を館内で生育させるのにかなりの失敗を経てきたそうです。中にはまだ実験中というところもあり、茶色に変色している葉っぱにはどうか枯れないでと祈りたくなりました。そもそも博物館というのは、大体写真や絵などに字を添えて、植物紹介をしているのがフツーの博物館のやり方なんですが、ここは「実物にこだわる」、しかもできればその種から知ってほしいと、主なる宜蘭の植物の種や球根は、きちんと本物が植物用の引き出しに納められていました。
宜蘭の山々に潜む湖は5つあるそうで、湖の紹介エリアには大きな画像があり、立つ場所によってその湖の風景が変わり、なんとも神秘的。ナビは切に本物を見に行ってみたくなりました。
宜蘭の森林区が開墾されたのは、日本統治時代ですが、その歴史や当時の伐採の模型も展示されていました。森の中を走るトロッコなどのミニチュア模型も、かなり試行錯誤を繰り返しながら長い年月をかけて造り上げたそうで、リアルで精巧、しかもかなりかわいいので、好きな人はここで数分立ち止まってしまうことでしょう。
本当の樹木です

本当の樹木です

宜蘭には秘境の里があるんです

宜蘭には秘境の里があるんです

引き出しには、本物の植物が入っています

引き出しには、本物の植物が入っています

おサルさんは剥製なので、かなりリアル

おサルさんは剥製なので、かなりリアル

博物館内なのに、大自然の中にいるみたい

博物館内なのに、大自然の中にいるみたい

この模型にも、多くの時間が費やされたそうです

この模型にも、多くの時間が費やされたそうです

そまびとは木こり

そまびとは木こり

3Fと2Fの展示も上からよく見えるのですが、横から見るのとはまた違った効果です 3Fと2Fの展示も上からよく見えるのですが、横から見るのとはまた違った効果です

3Fと2Fの展示も上からよく見えるのですが、横から見るのとはまた違った効果です

3Fに降りました

3Fは、宜蘭の農産業や風習を紹介するフロアです。館内の照明は、各コーナーが時間ごとに7色に変化していきます。3Fの吹き抜けにぶら下がっている船に乗った漁師たちも、観る角度と時間でいろんな表情が楽しめます。階段付近では、宜蘭の温泉がガラスの向こうで泡を出していました。手を当てると温かくはないですが、館のポリシーにのっとり、「本物」の水がうごめいているのです。宜蘭と言えば、世界的にも数少ない「冷泉」があります。冷泉の名地は宜蘭の南部、台鉄蘇澳駅から徒歩2分の蘇澳冷泉。ナビも行ったことがあるのですが、個人風呂なら冬場は冷泉をあっためた「温泉」もあるので、1年中楽しめます。冷泉浴場には冷泉の歴史が日本語で礎に彫られています。というのは、なんと、ここの冷泉を発見した人は日本人だったのです。冷泉は天然の炭酸泉で、1895年、仙台丸の輸送指揮官であった竹中信景一行がのどの渇きをこの泉で癒したのが最初で、その後15歳で引き揚げた孫娘の信子が女流作家となって、1979年に来台。その後もたびたび訪れ、2002年に現在の冷泉浴場の形が出来上がったそうです。
照明がきれい

照明がきれい

ガラスの向こうは水

ガラスの向こうは水

昔のTVで紹介します

昔のTVで紹介します

7色変化がきれい

7色変化がきれい

奥州屋は東北出身の日本人の店

奥州屋は東北出身の日本人の店

昔の地図を発見!

昔の地図を発見!

昔いろんな職業をしていた人たちの人形

昔いろんな職業をしていた人たちの人形

3Fは見応えがあります

きれいな情景だと思いませんか?

きれいな情景だと思いませんか?

さすがに農産業が栄えてきた宜蘭だけあって、3Fはかなり楽しめます。模型も立派なのですが、その照明効果がすばらしい!とてもリアルに観る者の側に迫ってきます。工事費ン億というのも小耳に挟みましたが、時間とお金をかけただけのものが、ここでは十二分に表現されていると思いました。たとえば、かつて使用していた農機具をただ並べているだけの博物館と違い、ここではその農機具が、芸術品のように見えてくるのです。こんな博物館初めて!ナビはホオー!ハアー!と喊声とため息を交互にもらしながら、キョロキョロするばかりでした。
稲は本物なんです

稲は本物なんです

研究員の林さんが稲刈りの実演

研究員の林さんが稲刈りの実演

照明で本当に水が流れているように見えます

照明で本当に水が流れているように見えます

床もただの床じゃないんです

床もただの床じゃないんです

宜蘭は鴨肉が有名、足元には鴨がいます

宜蘭は鴨肉が有名、足元には鴨がいます

鴨の燻製はこうやって作っていました

鴨の燻製はこうやって作っていました

視聴覚エリアでは、座ると宜蘭の民謡が聞こえてきます

視聴覚エリアでは、座ると宜蘭の民謡が聞こえてきます

この風景を見ながら音楽を楽しむ

この風景を見ながら音楽を楽しむ

では、2Fへ降りましょう


またしても色が変わりました

またしても色が変わりました

2Fから見た宜蘭、これ南北逆さまですが

2Fから見た宜蘭、これ南北逆さまですが

宜蘭の蘇澳には、「南天宮」という媽祖のお父さんとお母さんが祭られた宮があります。港町には必ずいらっしゃる海の女神である媽祖。近くには活気ある魚市場があります。魚市場の外側はどんどん船が着けられ、魚が引き上げられています。毎日午後1時半にセリがあって、一般の人も買えるので、遠く台北からも買いに来る人が多いと聞きました。2Fは、その宜蘭で盛んな漁業を主に紹介しています。天井には宜蘭で収穫できる魚のオブジェがぶら下がっていますが、このオブジェはその魚の等身大で作ってあるんです。で~んと構えている船は、もちろん、「本物」を館内に運びこんできたもので、船の中にも入ることができました。横幅はそれほどでもないですが、船底の冷凍庫は巨大で、大漁にも十分対処できたことがうかがえます。
3Fからみるとよくわかります

3Fからみるとよくわかります

紹介もくわしい

紹介もくわしい

漁師になった気分

漁師になった気分

船の工具ですね

船の工具ですね

絵一つとっても凝ってるんです

絵一つとっても凝ってるんです

天井から吊り下げられているんです

天井から吊り下げられているんです

2Fの入口はオープンで、傾いています

2Fの入口はオープンで、傾いています

2Fの傾いた入口の方から入ると、宜蘭の地形ができたところの紹介があります。宜蘭は毎年台風が来ると、台湾で一番被害を受けるところでもあります。昔から人々は水害に悩まされてきました。先ほども宜蘭では鴨肉の燻製が名産だと書きましたが、なぜ鴨なのかというと、鴨はスイスイ泳げるからだそうです。鶏クンは泳げないので、水害に遭うと全滅なんですね・・・。
宜蘭には、鴨肉の他にも「金柑」のジュースやジャム、果物を甘く漬け込んだ「蜜せん」。「ネギ」「空心菜」「温泉トマト」「牛舌餅」…とおいしい名産がたくさんあります。

1Fに降りました

宜蘭の歴史 ここに来ると視覚博物館なのだと認識。宜蘭は平埔族、カバラン族、タイヤル族と漢民族がうまく溶け合って文化を作ってきました。原住民の村は残っていますし、日本に多く輸出したヒノキ林もそうですが、天然の美しい景色がそのまま残っています。7色に光る宜蘭県を見ていると、色で豊かな自然も表現しているのだと感じました。

1Fから船を見上げると…

1Fから船を見上げると…

映画監督、黄春明の作品です。

映画監督、黄春明の作品です。

横から眺めてみました

横から眺めてみました

きれいです

きれいです

これが宜蘭の形です、亀山島が東北の方角にあります

これが宜蘭の形です、亀山島が東北の方角にあります

近づくと、一つ一つに画像がありました

近づくと、一つ一つに画像がありました

日本統治時代のことが書かれています

日本統治時代のことが書かれています

「サヨンの鐘」をご存知ですか?

「サヨンの鐘」をご存知ですか?

サヨンのお話:昭和13年(1938年)、日本統治下の台湾・台北州蘇澳郡蕃地大字リヨヘン社に駐在していた日本人の巡査に召集令状が届き、出征することとなった。その巡査は村の学校の教師も勤めるなど面倒見がよく、村人から慕われていたため、山から下りるときの荷物運びを村の青年たちが申し出た。17歳の少女サヨン・ハヨンもその一人だった。出発の日、折悪しく悪天候の中、一行は山を下ったが、途中の川に掛かった丸木橋を渡るとき、荷物を背負ったサヨンが足を滑らせて増水した川に落ち、命を落としてしまった。
この話は、出征する恩師を見送るために少女が命を犠牲にした、ということから、台湾先住民の愛国美談となって広まり、台湾総督によってサヨンを顕彰する鐘と碑が遭難現場付近に建てられた。これが「サヨンの鐘」と「愛國乙女サヨン遭難の碑」である。

宜蘭では日本人が残した文化も大切に残していて、特に羅東は、歴史的建造物も多いと言われます。西郷隆盛の息子菊次郎は、宜蘭の第一代廰長(当時の県長)を務め、記念碑も建てられています。
博物館では、くわしく触れていませんが、「台湾戯劇館」が宜蘭にはあり、ここでは1階から3階まで台湾伝統の「布袋戯」「歌仔戯」「傀儡戯」「北管」などの人形や衣装をはじめ、民芸芸能の歴史を深く知ることができます。週末なら実際に「布袋戯」を自分で動かしたり、「歌仔戯」を参観したりもできるので、好きな人なら最低2時間は必要でしょう。宜蘭の人形劇の人形は、台湾中部のものとは違う流れで、人形の頭はすべて大きめ、表情も豊かで派手な感じがします。
また、宜蘭には福隆という美しい海岸があり、サーフィンやヨットなど海のスポーツもさかん。台北からは1時間ちょっとあれば来られるので、近いですね。宜蘭の民宿は県内に460件。民宿数は、台湾全土で一番多い県でもあります。
さて、宜蘭への旅行、そろそろ計画してみませんか?「蘭陽博物館」は必見ですよ~。
台北ナビでした。  



記事登録日:2010-06-29

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2010-06-29

スポット更新日:2013-01-04

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