台湾では、旧暦7月は「鬼月」とされ、あの世から亡者がこの世に戻ってくる月と言われています。
旧暦7月1日の前日23時、陰界と陽界を隔てる「鬼門(グェイメン)」が開くとされ、2025年は8月22日23時に開きました。ちなみに閉まるのは9月21日の23時です。
あの世の門こと「鬼門」ですが、別名「龕門」ともいうと聞いたことありませんか?そして、基隆の「老大公廟」の「龕門」を開く儀式を以って、「中元祭」がスタートします。
ここで疑問が出てきました。「鬼門」は「龕門」とは違うの?別名みたいに言われているんだけど……。と、「老大公廟」にいる関係者に聞いてみるものの、みんなはっきりとは教えてくれません。
というわけで、調べました!すると、色んな説がある……。まず、「鬼門」は陰界と陽界を隔てる門で時間的・抽象的な概念が強いということ。陰界から霊が現世に戻る期間を表しています。「龕門」は神仏や祖先の霊位(位牌)を安置するための小さな祭壇や棚である「神龕」や納骨塔などの扉を指し、霊的な存在が出入りする象徴的な「門」です。儀式で物理的に開閉し、亡者を迎えるための儀式の期間を表します。
さらに興味深い説もありました。いわゆる「好兄弟」や無縁仏など亡者をまつっている廟を一般的に「陰廟」、いわゆる神様がまつられているのが「陽廟」と、考えています。「龕門」は神仏に使われる用語なので、「陽廟」にあるとみなされ、逆に「陰廟」には「鬼門」があります。
基隆の「老大公廟」は、その昔基隆で起こった武装衝突で犠牲になった霊「好兄弟」をまつっています。つまり「陰廟」です。ですが、現在では武装衝突で犠牲なった方々は「義士」であり、神様のような存在だということで、「陽廟」に昇格したので、「龕門」という名前を使っています。
と、長々と説明しましたが、「鬼門」は抽象的なものであるため、実際に見ることはかないません。ただ、「龕門」は儀式で開かれるので、誰でも見ることが叶います!
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記事登録日:2025-08-25