激戦の地「古寧頭」も訪れました
こんにちは、台北ナビです。
前編では「柳営業歩兵軍事體驗園区」「光華園」「金東戲院」をご紹介しましたが、後編ではスタンプラリーポイントの「擎天水廠」「老兵故事館」、そして時間があれば足を伸ばしていただきたい古寧頭へも行ってきました!まだまだ知らないことがいっぱいの金門の魅力を少しでもお伝えできればと思います!
④⑤金門の中心地にある金門植物園は元軍事基地
園内地図
金門で日の出を見るなら「太武山」と言われていますが、その近くにあるのが「金門植物園」です。ここには「擎天水廠」「老兵故事館」という2つのスタンプラリーポイントがあります。
「金門植物園」は426ヘクタールにも及び、自然と軍事景観が共存する場所で、ナビはこのスタンプラリーポイントの中で一番興味をそそられる場所でした。何と言っても原生林の奥に軍事用に使用されていた爆薬庫などが点在しているのが新鮮。少し歩けば「あっ!」と色んな物が発見できてしまいます。
ひとつひとつに番号が振られています
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軍事建築がたくさん!
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金門は手つかずの自然が残る場所として台湾本土から注目されていますが、その自然を守り育てようと作られたのがこの「金門植物園」です。園内には131科372属564種の植物が植えられ、内265種は金門原生種となっています。植物が豊富だということは、そこに集う生き物も豊富!ナビが歩いている時にはかわいらしい蝶々が楽しげに飛び回っていました。また、細~い松ぼっくりが地面に落ちているのが気になったナビ。どうしてかな?と思ったら、これはこちらに生息するリスが歯を磨いてこうなってしまうらしいのです。残念ながらリスちゃんが歯を磨く姿は見られなかったのですが、想像するだけでかわいらしいですよね。そして、こちらの竹やぶで結婚写真を撮影するのが地元金門人に大人気なんだとか!戦地としての金門だけじゃなく自然にも触れられる貴重な場所ですので、自然に興味がある方も是非訪れて欲しい場所です。
彼岸花
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金門の若者達の甘~い思い出の場ともなるロケ地
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霧が出ていない時にはここからの眺めもいいのだとか
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リスちゃんの仕業です
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花崗岩の中にコンクリートで水庫を作りました!
さて、今回は残念ながら「擎天水廠」は見る時間はなかったのですが、特別に「擎天水庫」を見せていただきました。大武山を切り開き、坑道を作り送管線を通し、「擎天水庫」で貯水。「擎天水廠」で処理をした後、再び各坑道内の貯水池へ水を送るというシステムをとっていた「擎天水庫」と「擎天水廠」。600トンの貯水量を誇り、当時金門で最大の貯水場となっていました。
実際「擎天水庫」の中へ入ってみると花崗岩を削って作られた内部は広く真っ暗!懐中電灯がなければ中を見ることができないほどでした。軍にとって水は相当重要であり、出入口には防爆のための鉄門が設置されてあります。そして「擎天水庫」の左手奥の壁には頼名湯さんが書いた「飲水思源(水を飲む時はその水源のことを思え、転じて他人から受けた恩を忘れてはいけない)」という文字が大きく掲げられていました。
みんな必ずと言っていいほどここで記念写真を撮るのだとか。ちなみにワンちゃんのあだ名はチョコレート♪
植物園内にもうひとつあるスタンプラリーポイントが「老兵故事館」。ここは退役した方々が金門へ資料や意見を提出して作られた建物で、中に展示されているものはほとんどが金門で兵役についたことのある方々が無償で提供したものなのです。提供されたものは、当時着ていた服や使っていた雑貨、写真などなど・・・。特に展示されてある写真からは大変な生活だったにも関わらず日々を楽しく過ごそうとしていた様子がひしひしと伝わってきて必見です。またメッセージボトルも用意されていて、軍隊ごとにボトルが区別されていました。恥ずかしがって、メッセージを残していく方は少ないそうですが、昔の仲間に会って昔話に花を咲かせることができれば嬉しいと願って作られたこのシステム。是非、メッセージを入れて再会を喜んで欲しいなとナビは思います。そして、なんちゃって合成写真を撮影できる部屋もあり、なかなか楽しい施設でした。さすが、金門に里帰りしている気分になって欲しい、そしてより多くの方に当時の様子を知って欲しいという思いから、兵役経験のある方々が考え作り出されたものだけあって、毎年のようにこちらを訪れにやってくる方もいるそうです。
ひとりひとりに様々なストーリー…
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兵役中も楽しみを見つけていたみたいですね
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海軍
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陸軍
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空軍
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写真撮影のコツは周りに空白をつくらないことだそうです |
時間の関係で園内すべては回ることができなかったのですが、時間に余裕がある方は色々と見て回っていただきたいと思います!
「金門植物園」
金門県金湖鎮山外里太武山10号
「擎天水廠」「老兵故事館」
開放:
10/4~11/30の火・木・日
14:00~17:00
電話:08-233-3280
スタンプラリーの場所とは関係ありませんが、戦地金門を語る上で訪れておきたいのが古寧頭。古寧頭と言えば1949年10月25日から3日間「古寧頭戦役」と呼ばれる戦闘が繰り広げられた場所。あまり知られていませんが、古寧頭にある「古寧頭戦役和平紀念広場」からガイド付きで古寧頭を巡るツアー(古寧頭巡禮電瓶車)があります。
時間の関係上、今回ナビは「古寧頭巡禮電瓶車」に乗り、「北山播音站(播音牆)」のみ見学させていただきました。ここは1967年に建設され、中には48個もの巨大スピーカーが設置され、はるか25キロメートル先のアモイや泉州などにむけてメッセージを送っていました。最近になってツアー参加者にのみ中を開放しています。つまり、このツアーに参加しないと中は見学できないということなんです。アナウンス台やテレサ・テンが中国大陸へ向けて話した内容等もこちらに展示していますが、もともと別の場所でアナウンスがされており、戦いの際にはスピーカーのみがこちらにありました。こんな風に一緒に展示してしまっているから誤解している方が多いそうなのですが、スピーカーとアナウンス室が一緒にあったら敵に居場所を教えているようなもの。そんな危ないことはできないよ!とガイドさんは語ってくれました。
いつもは鍵が閉められています
「北山播音站(播音牆)」のすぐ後ろには「北山海堤」があります。ここは「古寧頭戦役」の最後の決戦場所と言われている場所。左手に見える鉄分を含み錆のような色をした砂浜が1000人以上の中国人民解放軍(中国)が隠れていたのを、中華民国軍(台湾)が発見した場所。ここで、500人近くの中国人民解放軍を射殺し、残りを投降させたそうです。自分の目の前の場所でこんなことが起きていたなんて・・・この話を聞いた時ナビは鶏肌が立ち、怖さを感じました。
一面の高梁
残念ながら2つのスポットだけの見学となりましたが、高梁の畑の中を風に吹かれながらゆっくりと移動しながら古寧頭を巡るのは気持ちがいいだけでなく戦争の爪痕が残されているので色々考えさせられます。また、途中北山村を通った際、目に飛び込んできたのが「北山洋樓」です。無理を言って車を止めていただき、5分間だけ見せていただきました。「北山洋樓」は古寧頭の北山里にあり、「古寧頭戦役」の際に中国大陸から渡ってきた軍人と中華民国軍(台湾)が熾烈な銃撃戦を繰り広げられた場所です。壁にはその時の弾痕が残されていて、当時の銃撃戦の激しさを物語っています。
古寧頭巡禮電瓶車コース:
「和平公園→戦史館→播音牆→北山海堤→三眼井→自然湿地中心→雙鯉湖(通過のみ)→水尾塔(通過)⇒胡璉紀念館」
①08:30出発(電話での予約制)②14:30出発(金門観光バスB路線の時間帯に合わせて出発)
※当日空きがあればその場で申し込むこむことも可能です
※当日の気候などの条件でコース変更などもあります。
予約電話番号:08-232-1721
(乗車日の7~14日前に予約してください。予約受付可能時間は08:30~11:30、14:00~17:00)
費用:60元/人
北山洋樓
日本語OKな伝統建築民宿を発見!
金門には国家公園内に伝統建築を改築して作った民宿が数多くあり、金門の雰囲気を味わえるということで人気があります。いくつかの聚落に集まって民宿があるのですが、今回ナビがご紹介したいのは、黄湘玲さんがオーナーを務める金門水頭12号にある「十八支樑民宿」と金門珠山19号にある「陶然居民宿」です。黄さんは日本で生活したことがあるので日本語は問題なし!伝統建築に宿泊するという体験はそうそうできるものではありませんし、金門の観光で困ったことがあれば全面的に協力しますよ!と頼もしいお言葉も。空港までの有料送迎や各観光地へのアクセス&トラベルインフォメーションも日本語でつとめてくださるとのことなので、金門へ行く方にはかなりオススメの民宿です。
平和主義を掲げるナビとしては正直金門の戦地巡りってどうなんだろうと思っていましたが、今回じっくり見てみてさらに、戦争の痛ましさや金門島民の大変さが伝わって来て、改めて戦争の恐ろしさを感じました。金門は治安がとてもいいと言われています。激しい戦いの戦地で心をきれいに保ち過ごすことのできる金門の奥深さにますます興味が湧いてきました。
以上、戦地巡りもなかなかいいかもと思い始めていているナビがお届けいたしました。