茶葉、茶うけ、茶器の全てが無駄なく揃い、総合力満点。地元客にも愛される、気品溢れるお茶屋さんです
こんにちは、台北ナビです。
観光地エリアには、おしゃれなお茶屋さんが数多くお目見えしていますが、歴史あるお店だって見逃せません。今も昔もずっとそこにあり、変わらぬ品質と品揃えでお客様を迎えてくれる、そんなお茶屋さんのひとつ「吉軒茶語」を再取材してきました。
交通アクセス良し
綺麗な看板が目印
MRT「南京復興」駅から徒歩5分。「吉軒茶語」はアクセスがとても便利な場所にあります。中心部に位置するにも関わらず、裏手には慶城公園があり、緑が多く環境のよいエリアです。長春路と慶城街交差点の年季の入った店舗が並ぶ一角に、突然すっきりとしたガラス張りの店舗がみえたら、そこが「吉軒茶語」です。
以前もすっきりとしたお店でしたが、なんだか以前と雰囲気がちがう……。それもそのはず、一軒右隣に引っ越していました。今の店舗もすっきりと内装されていて、入りやすい雰囲気ですよ。
慶城街と長春路の角から二軒目です
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モダンな内装。すっきり入りやすい雰囲気です
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会話は日本語でどうぞ
美しいパッケージ。
いいお茶屋さんは数あれど、日本語が通じないと心細いですよね。でも「吉軒茶語」の店員さんは日本語が話せます。お店で買い物をする上でのコミュニケーションには、問題ありません。お茶を日本語で説明してもらえて、納得してお買い物ができるのはうれしいですね。
もちろんおいしく淹れたお茶の試飲もできます。
黄緑の缶がきれいにディスプレイされています
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真空パッケージされた茶葉が整然と並んでいます
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品揃え豊富で分かりやすいディスプレイ
選びやすく並べられた商品たち
ディスプレイはお店によって違いますが、「吉軒茶語」の内装は、選びやすく買いやすい、お客様の目線で整えられたディスプレイです。同じ壁の面にお茶がまるで一覧表のように並んでいます。価格も一目瞭然。さらに、メニューのような、冊子タイプの商品リストもあり、まさに用意周到。スタッフさんは日本語がわかりますが、万が一言っていることが通じなくても、これならお目当のお茶をすぐに見つけることができますね。
美人オーナー、沈さんのお茶
オーナー自らお茶を淹れてくださいました。
この日はオーナーの沈暁由さんがお店で待っていてくださいました。以前と変わらず清楚で雰囲気のある方です。
ファショナブルな沈さんは、南投県のご出身。お茶関係のビジネスを営むご家族のなかで育ったそうで、師匠はお父様。子供の頃から日々お茶のテイスティングを教え込まれ、飲んだだけで、製茶の状態がわかってしまうそうです。品質に問題のある茶葉なら、製茶の段階でどこが悪かったのか、原因も味や香りからわかってしまうという凄いきき茶力。
台湾の茶業は男性が携わることが圧倒的に多い中、女性でこのような訓練を受けた人は少ないと思います。
「吉軒茶語」が扱うお茶は、そんな沈さんが自分で選んだ良品ばかりです。
台湾の緑茶である碧螺春から、凍頂烏龍茶、金萱烏龍茶、阿里山茶、梨山茶といったラインナップがずらりと並び、さながら壁のディスプレイは、ザ・台湾茶。
そして更に、焙煎によりバリエーションが加わります。焙煎がごく軽く、爽やかな花香が立ち上る清香と、焙煎により香ばしく仕上げられ、豊かに香る濃香まで、美味しい台湾茶を取り扱っています。台湾茶を求めて立ち寄るお客様には、実にバランスの良い品揃えといえます。
オーナーはどんなお茶がオススメなのかな?
食後には焙煎茶で食べ物の後味をすっきり流します
ナビ、ズバリ聞いてみました。どの茶葉が個人的に好きか……。すると「
どのお茶もオススメ。強いて言うなら、その時の気分や時間帯で飲みたくなるお茶が異なってくる」のだとか。なるほど~、さすがどれも自らが自信を持って選んでいるだけありますね!
それでは代表的なものを数種類試飲させていただきましょう。
まずは、高山で育った「金萱烏龍茶」をいただきました!
美しい金色の水色と、豊かに立ち上る奶香(ミルクのような香り)が素晴らしい金萱烏龍茶は、台湾独自の改良品種で、「台茶12号」という名前を持っています。驚くほど渋みがなく、甘くてとてもまろやか!お仕事中ながら、ナビもほっと一息。
今回、様々な淹れ方を披露してくださいました。まずは蓋碗と呼ばれる方法で!
蓋つきの器「蓋碗」を使って、高い温度が必要な球形烏龍茶を手際よく淹れてゆきます。作りが薄い蓋碗で高い温度のお湯を使うのは、慣れた人でないとできません。流れるような動作は、見ていてうっとりしますよ。
「梨山烏龍茶」は台湾の烏龍茶の中では最高峰で、標高がとても高く、昼夜の寒暖の差が大きいこと、そして頻繁に発生する霧が茶の若い芽葉を直射日光や乾燥から守り、成分たっぷりの素晴らしいお茶を育みます。
沈さんは、それぞれのお茶に適した方法で、美味しくお茶を淹れてくださいます。
濃くなりすぎないうちに茶海に注ぎだし
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茶海から茶杯に注いでもOK
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沈さん曰く、「山の上では(茶農家での試飲は)いつもこの方法で試飲します」。と言って取り出したのはお碗とレンゲ。白い磁器のお碗に茶葉を入れ、上から沸騰したお湯を回しかけます。表面張力ぎみにたっぷりとお湯をいれたら、レンゲの背で円を描くように表面の泡をお碗の外に押し出し、茶の湯の表面をきれいにします。
レンゲでお茶をすくって茶杯に移し、いただきます。いい香り!梨山茶のフレッシュな香りが辺りに漂い、ナビとカメラマン、ともに癒されまくりました。
レンゲを上手に使って香りを聞きます。茶湯のなかで熱を帯びたレンゲを持ち上げ、鼻先で乾いてゆくレンゲの香りを楽しみます。これは、茶杯の杯底香(空になった茶杯に残る香り)を聞くのと同じ原理です。生活用品を上手に使うのが台湾流。お食事だけでなく、お茶の世界にもこんな風に登場するのですね。金属と違って磁器だから、金気の邪魔がなくて安心です。
ナビが以前、茶農家を訪れたとき、普通のご飯茶碗を使って、同じ方法でお茶を淹れてご馳走になったことがあります。お茶を淹れるために特別な茶器を使うことなく、お碗にレンゲ(笑)。お茶がいかに生活の一部であるかがよく分かる、非常にカジュアルで理にかなった方法です。
ハマる人多し!「日月潭紅玉紅茶」
大きく縮れた黒い茶葉が特徴
烏龍茶が続いたので、お次は「
日月潭紅玉紅茶」を。こちらも台湾で改良された品種で、「台茶18号」という名前でも呼ばれています。
ねじれが美しいリーフタイプの紅茶なので、入れ上がるのに少し時間がかかりますが、ポテンシャルはたっぷり。お碗の中の茶湯が紅茶の色になってくると同時に、芳しい香りも立ち上り、品質の良いお茶だということが、よくわかります。
紅玉の特徴は、ルビーのような赤い水色と、芳しい糖香(甘い香り)、そしてこの品種特有のミントのような爽やかな香りです。お口に含むと、今までの紅茶に対する概念が変わってしまうほどの香りと味わいです。これはぜひ、砂糖やミルクやレモンなど、ほかの調味を加えずに、小さいカップで、ストレートで味わいたいものです。
オーナーが夜に飲むという「炭焙烏龍」も試飲してみました。電気焙煎機で焙煎を行うのが一般的ですが、このお茶に関しては、経験豊富な焙煎師さんが、炭火をつかって丁寧に焙煎したものです。遠赤外線でじっくり芯まで焙煎したこのお茶は、体に対する刺激が少なく、お味も落ち着いていて、食後や夜に飲むのに向いている感じです。
台湾の緑茶「碧螺春」は、あまり知られていませんが、好きな人にとっては春が来るとこのお茶が楽しみです。白い産毛を帯びた芽の爽やかな甘みと、開いたばかりの若い葉から立ち上る芳しい香りがファンを魅了します。作りたてのフレッシュさを楽しみたいお茶です。
より手軽に高品質を楽しめる、ティーバッグ
きがるに高級茶をたのしめる、吉軒茶語のティーバッグ。茶葉が十分開くように、テトラの立体バッグで、中には砕けのない、普通のお茶が入っています。いつでもどこでも、旅行のお供にも。
茶葉の棚の向かいに、お茶請けが並べられています。
ドライフルーツもお茶請けとしてぴったりですね。マンゴー、ルビーグアバ、青マンゴー、フルーツトマト。台湾ドライフルーツ鉄壁の品揃えです。フルーツを干しただけなのに、このおいしさ。さすが台湾フルーツの底力。水分が抜けてお味が凝縮されまくっている感じです。どれもものすごく美味しい!お値段も、お土産にぴったりです。
お茶請けがズラリ!
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試食できるドライフルーツはガラスの蓋つき器に入っています
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充実した品揃えのお茶請けの中で、最も有名なのが、色々な味が楽しめる「茶梅」。茶葉と同じ棚に並べられています。みずみずしい「烏龍茶梅」、「金香梅」、すっきり爽やかな「紫蘇梅」、そして、種を抜いて干してある「談話梅」など、どれもお茶請けにぴったり。ナビは烏龍茶梅がお気に入りですが、どれも美味しいので、何を選ぶかは試食して決めてくださいね。
ナビお気に入りの烏龍茶梅
お茶と買えば一石二鳥
また吉軒茶語では、微熱山丘(サニーヒルズ)のパイナップルケーキを販売しています。お茶を一緒に買えば一石二鳥。
すてきな茶器たち
茶器も、様々な素材の物が揃っています。磁器と陶器は、両方揃えておくと、茶のタイプにより使い分けができるので便利です。今では貴重な手書きの白磁シリーズもあります。繊細なタッチがいいですね。
お茶を飲み、おしゃべりを楽しんでいると、すっかり夕方になってしまいました。幹線道路から近いので、帰りはバスでもMRTでも。改めて思うアクセスの良さに喜びながら、帰途に着いたカメラマンとナビでした。
再取材となった「吉軒茶語」への感想は「安定した品揃え」。時代とともに、扱う商品を大きく変えるお店もある中、「吉軒茶語」は、内装は変えても、扱う商品は変わっていません。ゆるぎない自信と仕入れルートの安定、そしてオーナーのプライドを感じました。
みなさんもぜひ、「吉軒茶語」を訪れ、自分のお気に入りのお茶やお茶請けを見つけてみてはいかがでしょうか?
以上、台北ナビでした。