こんなに入口が分かりにくいカフェはなかなかない!見つけたときは少し感動するかも。
こんにちは、台北ナビです。今回は台南にあるカフェの紹介です。台南へ行って、まず行く観光地といえば孔子廟という方も多いのではないでしょうか?実は、その向かい側になんとも見つけにくい、知っていないと絶対に見つけられないような入口があるんです。でも勇気を出してその入口を抜けて、2階に上がるとそこに続くのは隠れ家のようなカフェ。
入口はこんなに狭いんです!体を斜めにして進まないと入れません。
その入口を入って進むと、左側に階段があるので、上っていくとたどり着きます。
台南には台湾最古の孔子廟があります。台南に観光に行く際はその孔子廟に行くという方もたくさんいると思いますので、その後にそのカフェで休憩してみてはどうでしょう。昼食も食べることもできますよ。まず孔子廟の入り口前にある南門路の向かい側に行きます。そして、南に下りながら注意深く左側を見ていると、店と店の間に細くて暗い路地が見えます。
その細い路地には看板がかかっていて、「窄門」と店の名前が書かれています。よくカップルなどが写真を撮っているので、それを目印にするのもいいかもしれません(笑)。体を横にしないと入れないほど細い路地に入ると左側に階段があります。その階段を上ると、そこにそのカフェがあります。
地元では有名な店なので土日のお昼時はたくさんの人で賑わっています。
人気の理由はその小さな入口
ちょっとだけ孔子廟の赤い壁が見えます。
このお店の名前にある「窄門」という意味は「狭い門」という意味です。なるほど…。なぜ「狭い門(窄門)」という名前かというと、もう一つ理由があります。これは聖書の言葉に由来するのですが、「狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く…しかし命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを見いだす者は少ない」という言葉があるからなんですって。ということで、お客さんが狭い門(窄門)をくぐることで幸せになってほしいという願いが込められています。中に入るとふたつの部屋があります。入ってすぐの部屋は冷房がかかっていません。その部屋の右には別の部屋があり、そこは冷房がかかっています。自然の風を浴びたい方は左を、暑さにバテてた人は右の部屋に入りましょう。どちらも窓際の席がおすすめです。窓からは少しですが孔子廟が見えます。やはり古い家を使っているので、味がでていて、なんともいえない独特の雰囲気があって、とても心が落ち着きます。
お店の成り立ち
このお店は1990年にオープン。もとは古い家だったそうで、それをオーナーの曾さんが改造してカフェにしたそうです。その昔、日本統治時代にはお医者さんが住んでいたところらしく、その後数人の持ち主を経た後、曾さんが所有、今に至ります。
店主の曾さんです。とても素敵な女性です。
曾さんはカフェを開こうと決めてから台南を探し回り、窓からの景色がいいからと、現在の場所でカフェを開くことを決めたんだそう。なかなかカフェとして使えそうな古い家が見つからなくて、結構苦労したとおっしゃっていました。
店主は女性でとても話しやすい感じの方です。そして、なんと自分のラジオ番組も持っていて、パーソナリティをやっているという気さくな女性です。ナビが「このような狭い門だと誰も店を見つけられなくて、店をやっていけないのではないかという心配はなかったのか」と曾さんに質問をすると、「この狭い門だからこそ人気がでると思った」という答えが返ってきて、やり手だなという印象を受けました。
ここでは、1996年から誰でも何を書いてもいいノートを、お店に置き始めています。それが今では20冊にもなっていて、昔台南に住んでいた人が再び戻ってきたときに自分が昔書いたことを懐かしんで読むんだとか。ここに来た際には是非書き込んでみてください。次に来る機会があったときに自分の昔書いたことを読むのも、おもしろいかもしれませんね。
このお店の特徴は古い家を改造したところですが、そのための苦労もあり、古い家なのでところどころ壊れていくたびに修理して維持するのが大変だそうです。そういうときはできるだけ元の形を壊さないように、昔のままの姿を保つ努力をしていると曾さんは話してくれました。内装がどれほど昔のままなのか伺ってみると、壁などの内装は昔のままで、色を塗っただけなんですって。ということは…ほぼ昔の姿がそのまま維持されているということですよね、すごいです。
一番やっかいなのが床だそうです。ここの床は木でできており、歩くと少し軟らかい印象を受けますが、この床を保つのが非常に大変だそうで、梁をシロアリが食うと梁ごと換えないといけないので、5年に一度、しっかり検査しているそうです。古い家で店を経営するのも中々大変ですね。
庭にはたくさんの植物が生い茂っていて、その奥にひっそりとトイレがあります。
台南には古い家が、この店の開店当初はまだたくさんあったらしいのですが、だんだんと減ってきたそうです。やはり維持が大変だからでしょうか。しかし台湾に週休二日制ができてからは観光に出かける人が増え、それに合わせ、今では観光地の周りにもこんなレトロなカフェが増えているのです。
店主の努力でおしゃれに、しかもいい状態で古い家が保存され、人気が維持されていることが評価され、台南の古都保存再生文教基金会という団体から人気賞と努力賞が受賞されています。
このように壁に穴が空いて中の木組みがむき出しになっています。なんとも味があります。
このお店には結構たくさんの変わったメニューが用意されています。なかでも曾さんのおすすめメニューをご紹介します。飲み物ではお茶やコーヒージュースなども豊富に揃っています。大体130元から150元で飲むことができます。
左が「西蔵酥油茶」で右のものが「黄金鴉片」(60元)です。
このチョコレートの中にはコーヒー豆の砕かれたものが入れられていて、ボリボリと食べましょう。とても食感がいいです。すこしビターな感じで、大人の方におすすめだそうです。コーヒー嫌いのナビでもおいしくいただけました。
これは「西蔵酥油茶」というチベットのバター茶のようなものです。アッサムの茶葉が使われており、その中に酥油粉という粉とバターが混ぜられています。ほんのりとした甘さで、滑らかな口当たりです。(150元)
これは「黄金鴉片」というものでライムに少量のライム酒をかけてコーヒーと砂糖を混ぜた粉が上にかけられています。皮ごと一気に口に運びましょう。なんだか栄養をたくさんとれそうなメニューです。
これは「愛爾蘭咖啡」でアイリッシュコーヒーです。中には少しウィスキーが入れられていて上にはクリームが載っています。(130元)
結構珍しいメニューがそろっていて、おもしろいです。
カレーや火鍋(一人用の鍋)などのごはんメニューも少しですが揃っています。
客家のお茶
ここのメニューは変わったものがたくさんあります、がその中でも結構珍しいメニューをご紹介します。台湾らしくて、とても珍しいのが、「擂茶」(レイチャー)という名前の客家の伝統的なお茶です。なかなか飲めるところは少ないので飲んでみるのもいいかも。
客家人とは台湾にたくさん存在する民族のひとつで新竹縣など、台湾各地に住んでいる人々のことです。その客家の人々の伝統的な飲み物でお客をもてなすときに飲まれているのが「擂茶」というもの。その歴史は古く、中国の三国時代から飲まれているお茶だそうです。まずこの「擂茶」注文すると写真にあるセットが出されます。すり鉢とすり棒が用意されているので、がんばって用意されたものをすりつぶします。そうです、自分でお茶を作るのです。なんか楽しそうですね。
中には茶葉が入っているので、ここに落花生とごまを入れて、用意された棒で擂(す)ります。だから「擂茶」という名前なのです。そして大体混ぜ終わったら、粉末の緑茶を入れ混ぜます。そして最後にお湯を入れて完成です。なかなかカフェにあるようなメニューではないので挑戦してみてはいかがでしょうか。1人前で150元、2人前で280元です。結構珍しいものなので話のネタになりそうですね。
でもこの「擂茶」の器が1セットしかないので、先に注文しているひとがいたら注文してからくるのに時間がかかるかもしれないのでご了承下さいとのことでした。
孔子廟に行った帰りにでも、寄ってみてください。若者からご年配のまでの広い客層に好かれていて、世代間問わず、そのゆったりとした時間を楽しむことができます。いい空間です。夜遅くまで営業しているので夜に行くのもいいかもしれません。夜もいい雰囲気です。夜のほうが見つけやすいかも!
台北ナビでした。