台湾エンタメ2008年総決算!Part1

〜超・個人的、心に残ったムーブメント ベスト10〜2008年元気いっぱいの台湾エンタメ業界!バッサリ!独断で徹底解剖!

こんにちは、台北ナビです。記憶に新しいところでは、2007年、社会現象とまで言われたテレビ番組「超級星光大道」。日本で言うところの「ASAYAN・ボーカルオーディション」ような番組で、挑戦者の実力が半端じゃなく、PK戦で勝ち進んだ上位10人の実力者を、星光10強とか、星光幫(シングヮンバン)などと呼び、彼らがこの番組の中で歌った楽曲を、スタジオレコーディングし直して発売したカヴァー企画アルバム「星光同學會」が、わずか1週間で12万枚(日本のミリオンセラーに相当)を突破し、週間売り上げ枚数の最高記録を更新しました。2008年になってから、そんな勢いが、ドラマや映画方面にも飛び火。あらゆる方面で次々と歴代記録を塗りかえているのです。日本でこそ、韓国エンタメブームに押されがちなイメージのある台湾作品ですが、ここに来て各分野ともに活発化、その存在感、影響力は新しい波となって、アジア全土に渡っています。

そこで、今回は、2008年の台湾エンタメ業界を、総括として、ドラマ(偶像劇)、映画、音楽の3分野から、特に印象の強かったものを10項目とりあげてみました。 あまりにも書き手の個人的なセレクト、展望で申し訳ないのですが、「あぁ、今年はこんなことがあったんだ~」程度にご覧頂けたらと思います。

1)運命だった?彗星のごとく現れたドラマ「命中注定我愛你(Fated to Love You)」ブーム<偶像劇>

2005年人気ドラマ「惡作劇之吻(イタズラなKiss)」の続編「惡作劇2吻」

2005年人気ドラマ「惡作劇之吻(イタズラなKiss)」の続編「惡作劇2吻」

ラブコメドラマばかりの中、バスケのスポ根モノで勝負をかけた豪華キャストの「籃球火」

ラブコメドラマばかりの中、バスケのスポ根モノで勝負をかけた豪華キャストの「籃球火」

2005年、最高視聴率を更新したドラマ「王子變青蛙」

2005年、最高視聴率を更新したドラマ「王子變青蛙」

今年「王子變青蛙」の最高視聴率記録を破り、台湾ドラマ史上ナンバーワンとなった「命中注定我愛你」

今年「王子變青蛙」の最高視聴率記録を破り、台湾ドラマ史上ナンバーワンとなった「命中注定我愛你」

毎週日曜22:00の時間帯は、台湾では偶像劇(いわゆる「トレンディドラマ」)の激戦区です。 2008年のラインナップの目玉として、 昨年12月16日から一足先にスタートした鄭元暢(ジョセフ・チェン)、林依晨(アリエル・リン)コンビの大人気ドラマの続編「惡作劇2吻(イタズラなKiss 2)」、そして、F4の言承旭(ジェリー・イェン)、マルチタレントでCMキングでもある羅志祥(ショウ・ルオ)、それに飛輪海(フェイルンハイ)の呉尊(ウー・ズン)、という現時点でドラマ史上これ以上にない、といっても過言ではない、そうそうたるメンバーのキャスティングで制作発表された「籃球火(Hot Shot)」、さらに、日本でも映画・ドラマ化され人気の「ハチミツとクローバー」を、こちらも鄭元暢(ジョセフ・チェン)、彭于晏(エディ・ポン)や蘇慧倫(ターシー・スー)、張鈞甯(チャン・チュンニン)など、旬で豪華な俳優や歌手ばかりを集めてリメイクする「蜂蜜幸運草」の3作が注目の的でした。

予想通り、「惡作劇2吻(イタズラなKiss 2)」は初回から視聴率1位をキープ、人気の根強さを再確認出来たころ、ドラマ界に異変が起こります。3月にスタートした、若手俳優・阮經天(イーサン・ルアン)の初主演作「命中注定我愛你(Fated to Love You)」

主役を演じたのは、2005年に一度、ドラマ「王子變青蛙(カエルになった王子様)」で、183clubの明道(ミンダオ)とのコンビで視聴率記録を塗り替えている七朵花(7Flowers)のサブリーダーでもある陳喬恩(ジョー・チェン)。この時期、誰もが人気ドラマシリーズを相手にしては、キャスティングが少し「地味」と感じたに違いないこの「命中注定我愛你」の、あまりのドタバタコメディっぷりに突如として火が付き、第2話で「惡作劇2吻(イタズラなKiss 2)」からまさかの1位を奪っただけでなく、歴代視聴率記録も続々と更新。現在、台湾偶像劇史上1位の記録を打ち立てるまでにのぼりつめたのでした。この「命中注定我愛你」は当初の予定から24話まで延長され、実に半年にわたって放送、最終回までの23週間・連続で1位を独占し続けました。

人口は日本の約6分の1、ケーブルテレビ社会で、チャンネルは実に100を越える台湾テレビ業界において、この偶像劇ゾーン(日曜22:00〜23:30)の平均視聴率は、だいたい3.5〜4%いけば大ヒット。にもかかわらず、このドラマ「命中注定我愛你」の平均視聴率はなんと!シリーズ中、5週も10%越えしたほどの勢い(最高記録は第20話の10.91%)、記録を作ってはまた自己更新する、の繰り返しで、もはや「誰にも止められない」ブームの域に達したのでした。

視聴率が8%くらいまで上がってきた頃、出演者が揃ってマスコミ・インタビューを受けた際、「10%越えたら、主役の阮經天(イーサン・ルアン)が裸で泳ぎます!」と、流れ的に公約させられましたが、なんとその直後にホントに10%を越えてしまい、「自分が言ったんじゃないのにー!」と渋々ながらも裸泳を実行した阮經天(イーサン・ルアン)は、一気に「視聴率を稼げる旬な俳優」へとブレイクしたのでした。そして「◎◎したら、裸で泳ぐ」というこの「誓約」は、この後いたる所でマスコミ取材の際に取り上げられ、たくさんの芸能人が流れ的に公約させられ、映画「海角七號」の主役・范逸臣(ファン・イーチェン)もその餌食に……と、業界にプチ「裸泳」ブームを巻き起こすことになったのでした。

2) 目から鱗の「台北電影節(台北フィルムフェスティバル)」 、台湾映画「海角七號(Cape No.7)」がブレイク<映画>

今年の「台北電影節」のフリー・パンフレットと「海角七號」の紹介ページ。 大きく取り扱われていたのは、主役のふたりではなく、2役を演じた中孝介

今年の「台北電影節」のフリー・パンフレットと「海角七號」の紹介ページ。 大きく取り扱われていたのは、主役のふたりではなく、2役を演じた中孝介

今年の台湾映画といえばコレ!「海角七號」

今年の台湾映画といえばコレ!「海角七號」





こちらも大ヒット御礼の域「囧男孩」
2007年、台北の映画館で上映された台湾映画の興行成績トップ3は、「色,戒(ラスト・コーション)」 1億3621万元、「不能説的秘密(言えない秘密)」 2664万元、「練習曲(Island Etude)」 894万元でしたが、今年も台湾映画は元気でした。

特に6月に開催された「台北電影節(台北フィルムフェスティバル)」で初披露され、コンペ部門で、『最優秀作品賞』に輝いた「海角七號(Cape No.7)」は、前評判もさることながら、その後口コミで評判が広がり、8月に一般公開されるやいなや、瞬く間に大ヒット。台湾映画では公開から1ヶ月という異例の早さで約1億元を突破と大フィーバー。さらには、9月に日本で開催された「アジア海洋映画祭イン幕張」のコンペティションでもグランプリを獲得したことも追い風となり、さらに動員を稼ぎ、異例のロングラン化、その他、世界各地の映画祭に出品されています。
そして、またこの「台北電影節」で上映され、最優秀監督賞に輝いた「囧男孩(ORZ BOYZ)」も、一般上映開始直前に「日本ではNHKが早くも版権を購入した」と報道され、こちらも現在ヒット中。

この映画祭は、毎年、短編・長編・アニメーションなど、たくさんの新作台湾映画が上映され、ヒット作をイチ早でチェックできるので要注目、と言えそうです。 台湾の映画はその市場や資本の大きさにも関係しているのか、映像はハリウッド映画のようには派手ではないので、中には「物足りない」、と感じる方もいるかもしれませんが、とにかくアイデアが豊富!!奇抜な設定で、自分とは全く接点のないようなストーリーでも、登場人物の目線や気持ちにはなぜだか共感できるような作りのものが多いです。

最近は日本でも、台湾映画の上映作品数は増えているし、この2本も今後公開になると思うので、機会があればぜひチェックしてみて下さい。

ちなみに今年、台北でのアジア映画・興行成績トップ3は、「海角七號(Cape No.7)」(約2億2076万元、公開2か月経った現在も週間チャートも第1位で公開中)、「長江7號(ミラクル7号)」約8687万元、「赤壁(レッド・クリフ)」約7956万元となっています。(Taipei Box Office より)

また「海角七號」は、台湾のアカデミー賞とも言われる「金馬獎(Golden Horse Awards)」に、「作品賞」のほか、魏徳聖が「監督賞」、田中千繪と林宗仁が「新人賞」など、トータルで9部門にわたってノミネートされており、 賞レースの行方が気になる所です。 こちらは12月6日、台中の中山堂で行われる「金馬獎」のセレモニーで発表されます。

3)大型新人続々デビュー<音楽>

YOGAこと、林宥嘉

YOGAこと、林宥嘉



昨年ブームを巻き起こしたボーカル・オーディション番組「超級星光大道」。 今年は、この番組から続々と、大物新人歌手がソロ・デビューしました。第1期で優勝した林宥嘉(ジェイムズ・リン)、優勝候補と言われつつ、決勝目前で辞退することになった楊宗緯(アスカ・ヤン)、そして、実力がありながらも、早々とその楊宗緯(アスカ・ヤン)に淘汰されてしまった、蕭敬騰(シャオ・ジンタン)、第2期の優勝者、頼銘偉(Yuming)と、黄美珍(ホァン・メイジェン)のユニット、神木與瞳(Y2J)など。
ASKAこと、楊宗緯

ASKAこと、楊宗緯

Jam Hsiaoこと、蕭敬騰

Jam Hsiaoこと、蕭敬騰

ちなみに本格ソロ・デビューはまだですが「命中注定我愛你」のエンディングテーマをデュエットしている呉忠明(ウー・ジョンミン)も、第2期の10強メンバーのひとり。来年度の台湾のレコード大賞とでも言うべき「金曲賞(ゴールデン・メロディ・アワード)」の最優秀新人賞の行方が気になるところです。

また番組中に、楊宗緯(アスカ・ヤン)が取り上げた曹格の「背叛」、林宥嘉(ジェイムズ・リン)が歌った蕭煌奇(シャオ・ホァンチー)の「你是我的眼」は、瞬く間にカラオケチャートを駆けのぼり、今でもトップをキープ、この歌を収録したオリジナル歌手の旧譜アルバムにもフィードバックされる、というリバイバル現象も巻き起こしました。

ちなみに、今年G-musicのCD売上総合チャートで最多1位アルバムは楊宗緯(アスカ・ヤン)「鴿子」の9週、 蕭敬騰(シャオ・ジンタン)「蕭敬騰」の7週、呉克群(ケンジ・ウー)「為你寫詩」の4週となっています。

4)日本人アーティストが続々来台<音楽、映画>


ここのところ、年々増えてる日本のアーティストによる台湾ライブ。
今年は上半期だけでも安室奈美恵、LArc〜en〜Ciel、モーニング娘。、MISIAなどなど大物アーティストが立て続けに来台し、ライブを開催しました。

また、クラシックやジャズ界でも五嶋龍、矢野沙織 、小林香織などが、映画がらみでは松山ケンイチや窪塚洋介なども来台。下半期も、一青窈、大塚愛、RIZE、嵐、Lead、浜崎あゆみ、夏川りみ、島みやえい子などの来台ライブが続々と決定。

台湾には、日本の流行はほとんどタイムラグ無しに入って来るのですが、もうひとつ、こちらのアーティストがアルバムの中でカヴァーしてヒット、オリジナル歌手の知名度もアップする、というパターンもあります。

中孝介などはその例で、台湾では日本よりも先にブレイク、ファースト・アルバム「觸動心弦」が独自に編成されたため、日本でブレイクを確実なものにしたファースト・アルバム「ユライ花(花間道)」は、台湾ではセカンド・アルバムにあたり、内容も若干異なります。そしてこのブレイクにより映画「海角七號 (Cape No.7)」へ本人役含む2役で出演することになり、映画も大ヒット。日本で10月1日に発売されたばかりのアルバム「絆歌」は台湾では「心絆情歌」というタイトルで10月3日に発売され、こちらもボーナストラックが追加されています。リリース・タイミングが絶妙、CD売上総合チャートでは9位で初登場、東洋(J-POPとK-POP)チャートでは2位で初登場し、4週目で1位をゲットしました(g-music 調べ)。


Part2に続く…

関連タグ:映画芸能歌手俳優ドラマ金馬

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-11-25

ページTOPへ▲

その他の記事を見る