長く使いたい革財布を、やっとここで手に入れることができました♪
こんにちは、台北ナビです。
烏瑪皮雕工作坊のオーナー烏瑪(Uma)‧黑蕾‧勒巴さんは、タロコ族の女性です。結婚後は高雄に住み、専業主婦として家事と子育てをしていましたが、ご主人の退職後、生まれ故郷である花蓮へ戻ってきました。もともと学校では美術系で学び、織物工芸もかじったことがあった彼女は、生活も落ち着いてきたころに革工芸アートの製作に興味を持ち始め、先生について一から学び始めたのでした。
Umaさんの祖先は、花蓮縣萬榮鄉見晴村の新白楊部落です。見晴村は日本時代にミハラシと呼ばれ、その名の通り見晴らしが非常によかったとのことでそう名付けられたのでした。ナビが以前行ったことのある萬榮郷萬榮村の摩里莎卡部落Molisakaの東にあたります。 80歳以上の人たちは流暢な日本語を話しますよ、とUmaさんが話してくれました。
さて、花蓮に戻った彼女は、自分のルーツであるタロコ族を強く意識するようになってきます。また、アミ族やパイワン族、ルカイ族などほかの民族の人たちとの交流なども始まると、タロコ以外の民族の特徴も彼女の革工芸デザインにインスピレーションを与え始めました。店内にはタロコ族ほかツォウ族、ダウ族なども加わり、最近の作品の中には星座も含まれています。
花蓮市節約街の工房
革工芸に触れ始めかれこれ21年。花蓮に戻ってきたのは2003年。そして、天祥にあるリージェントホテルでは2年間、作品を展示したり体験教室を行う中で多くの外国人とも接し、新しい刺激を得たそうです。そして、花蓮市内の自由街で5年間工房を持ち、その後現在の節約街へ来てから4年が経ちました。店は木造の古民家で日本統治時代か清朝か、Umaさんもよくわからないそうです。天井などを見るとよくわかりますが、なんとなく「烏瑪皮雕工作坊」をもっと個性的に際立たせている感じも受けます。
革工芸はタロコ族特有の伝統工芸ではなく、ほかの民族も似たようなものは多いのですが、各所に展示したり、教授したりするようなったUmaさんを見ると、パイワン族のトンボ玉のように革工芸はタロコ族の?という感じもしてきます。烏瑪さんの店にも展示販売してあるのですが、タロコ族の象徴は、革じゃなくてこっちよ、と「番刀」を指さしてくれました。
これぞタロコ族の象徴です。作者はZeloさん
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棚には仲間たちの商品も置いてあります
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左側の棚
店内には実用的なものが並んでいます。まず入って左の方を見ていくと、こちらは烏瑪さんの初期の頃の作品だそうで、ツォウ族は勇士、ダウ族はトビウオと船、アミ族は豊年祭、パイワン族は百歩蛇や陶壺、太陽、そして、タロコ族は刺青など、一目で各民族の特徴が分かるようなデザインが多く並んでいます。
タロコ族は、刺青と彩虹橋。Umaさんの民族であるタロコ族の特徴は、刺青文化と彩虹橋(虹の橋)の絵柄。タロコ族、タイヤル族、セデック族の文化は相似していて、男性の顔の刺青は、勇敢さ、正直さ、尊敬される人物を意味します。刺青を入れている人だけが、死後に虹の橋を渡って天国へ行けるとされています。男性の刺青は額と顎に印されるのですが、女性は一人前に機織りができるようになると両頬に刺青を入れてもらえました。
右に掛かっている青い皮バッグは5500元。ほかには小銭入れ650元、キーホルダー250元、ブックカバー1500元 名刺入れ650元 眼鏡入れケース890元などなど
タロコ族の男女の刺青
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パイワン族の陶壺と百歩蛇
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タオ族のトビウオと船
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パイワン族の勇士の太陽、ルカイ族の特徴もパイワンと類似しています
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おしゃれ度が高い
そして、奥にはバッグなどが並び、展示品として雑誌などに紹介されたものもありました。しっかりした造りなので、持てば持つほど味わいが出てくるいい感じのバッグや小物ばかりです。
右側の作品を見ると、左側のデザインとちょっと違うものも発見します。初期の頃は各原住民の特色がすぐわかるようになっていたのですが、ここ5年ほどでデザインを中央に置かず、片側に持ってきたり、また少し抽象的なものもあります。
ここには最新の作品が並んでいます。かつては革だけで作品を作っていたのですが、ここ数年パイワン族のトンボ玉を組み込んでペンダントにしたりも。強烈な色彩は使用せず、渋い色合いのものが並んでいます。藍色を出すのが難しかったそうです。
製作過程について
Umaさんの作品は細かさだけでなく、その絵柄のデザインや色彩にも特徴があります。1つの革製品はデザインから始まり、絵を描き彫刻をし、色を付け、組み合わせ、手作りで一つ一つを打っていき、時間をかけて丁寧に作業をするのです。革は牛革で、主に南アメリカから仕入れているそうです。最高級はイタリア製で、イギリスや日本もあるけど価格が高いとのこと。東南アジアも多いけど安物はその質もよくないしで、表皮の処理の仕方や柔らかさやなども考慮して、様々な種類に対応できる南アメリカ製に落ち着いたそうです。ちなみに工具類は日本製よ、とのことでした。
タロコ族の男性が好む彩虹橋柄の財布です
Umaさんは、商品を取り上げると、その耐久性についても語ってくれました。手作りの感触と精密度は、使えば使うほど使用する者に馴染んでいき、その使い込んだ色艶の具合やしっくり感というのは、機械製造では味わえないものです。
お客さんは台湾人が一番多いそうですが、購入するのは男女半々だそうです。好まれる柄は男性だと勇士や船、パイワン族の柄などで、女性が選ぶのはアミ族の柄。そして、タロコ族の男性は、わが民族の象徴である刺青と彩虹橋柄を選ぶとのことでした。
オーダーメイドもあり
アミ族豊年祭柄の長財布に一目ぼれしたナビ。中を見ると、小銭入れのポケットにはホックがついていません。これだとお金が落ちませんか?と聞いたナビにUmaさんは私もここ数年使用しているから大丈夫、と藍色で同じ柄の財布を見せてくれました。店頭には赤しかなかったので、オーダーメイドもできるんですか?と聞くと、柄や色を変えるのは大丈夫とのこと。一回に10個同じものを作ることが多いので、待ってもらって2週間ぐらいでできますよ、とのことでした。
女性が好むアミ族の柄、上は新しいデザインでアミ族女性、下は豊年祭を表しています
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紙幣やクレジットカードを入れるスペースも十分あり、しっかりしています
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現在彼女は、花蓮縣秀林鄉の秀林中学校でも週に3つのクラスを持ち、革工芸を教えています。彼女の作品は、普段仕様のものからアートの域に入るものまでじわじわ広がってきています。
以上、台北ナビでした。