台湾糖業博物館(高雄市)

台灣糖業博物館(高雄・橋頭糖廠)

閉店・移転、情報の修正などの報告

高雄からMRTで30分、台湾で指折りの製糖工場は歴史建築物の宝庫で、鉄道好きにもたまらないスポットでした!


こんにちは、台北ナビです。
さて、高雄にやってきました!「高雄ってまだまだ観光スポットが台北ほど多くない!」って思っている方に耳寄りな情報です。日本統治時代の製糖工場跡である「橋頭糖廠」の一部が「十鼓橋頭文創園区」に生まれ変わり、園内劇場では、迫力あるパフォーマンスが見られるようになりました!
「十鼓」のご紹介は、別記事にありますので、今回はさらに整備されてきれいになった「橋頭糖廠」を再度ご紹介します。建物鑑賞スポットのこの工場エリア、古いきれいな建物を美しい並木道と共に鑑賞でき、台湾リピーターや南部好きなあなたにオススメのスポットです。  

「台湾糖廠」(通称:台糖)とは?

 
台湾は昔からサトウキビが主な農産品でした。
その歴史は古く、1900年以降は、日本によって新式の製糖工場が各地に建設され、戦後は中華民国政府が主導で経営を行ってきました。これがいわゆる「台湾糖廠」(通称:台糖)といわれている場所です。

現在製糖業は国の主要な産業ではありませんが、1952年~1964年にかけては、砂糖が国外販売品でトップを占め、最高時では国外売り上げの74%を占めていました。そのため、当時建てられている事務所や工場内は、当時としては相当の資金をつぎ込んだ場所なので、現在でも十分観賞に値する建造物となっています。

時代の流れと共に現在稼動している製糖工場は、少なくなってしまいましたが、どこの工場でもそのノスタルジックな建築と現地で販売される砂糖の甘さが台湾人の郷愁をひきつけています。 

高雄からの日帰り旅行にもうってつけ

「台湾糖業博物館」エリアの入口

「台湾糖業博物館」エリアの入口

MRT「橋頭」駅から歩いて10分。さすがに元南部最大の製糖工場なだけあって、工場のすぐ傍には鉄道の線路が引かれ、在りし日の工場の繁栄が思い起こされます。MRT路線と台鉄路線が上下にあり、しょっちゅう電車や列車が走っているのを見ることができます。
MRT「橋頭」駅は、高雄から約30分。高鉄「左営」駅からも25分ぐらいで到着します。「台湾糖業博物館」へ行く場合は、一つ手前のMRT「橋頭糖廠」駅で降りて、橋頭路をひたすら真っ直ぐ進みます。古い町並みが続き、しばらく歩くと左手に小さな市場があり、踏み切りを渡るとすぐメインゲートです。 

MRT、台鉄沿いの風景、建物は昔の警備室 MRT、台鉄沿いの風景、建物は昔の警備室

MRT、台鉄沿いの風景、建物は昔の警備室

台湾糖業博物館の敷地内をご紹介



ナビは、今回MRT「橋頭」駅で降りて、十鼓橋頭文創園区から入ってみました。
図面で、茶色い部分は「十鼓橋頭文創園区」エリア。
それ以外のエリアは、「台湾糖業博物館」エリアなのです。
ご覧の通り「台湾糖業博物館」エリアの方がかなり広いのです。 


製糖工廠舊址

製糖工場の建物は現在博物館となっていて、中に入ることもできます。ここでは、サトウキビが工場に運送されてきてから、どのように圧縮され結晶になり、糖分を分離していたかなど、どのような過程を経ていたのかを知ることができます。 


糖業歴史館と修護所

この館は、昔の倉庫を使用。内部に6つのテーマを持たせています。糖業歴史紹介、製糖文化と生活、台糖公司の発展状況の展示、農務耕作技術紹介、糖業運輸解說、人文小劇場の各エリアに分かれています。  

農場機具展示場
各工場の異なる機械耕作機具を展示しています。
大型機械に圧倒されます。  


鐵園迷戯

この「台湾糖業博物館」エリアでは、工場の内部を公園として再生し、ところどころに、工場での廃材を利用したオブジェや使わなくなった汽車などが飾ってあります。同時に、公園内も整備し、季節の花々が見られるようにしています。ここでは、各工場で以前使用されていたサトウキビの運搬器具などを収集した後、それぞれに組み立て。子供たちが遊べるエリアに用いています。 

商売の神様「関公」も廃材により復活

商売の神様「関公」も廃材により復活

廃材を使ったオブジェは、そこかしこに見られます

廃材を使ったオブジェは、そこかしこに見られます


製糖流程館

日本人が台湾で設立した当時最も現代的な製糖工場で、内部にはイギリスから輸入した圧縮機や分密機などの製糖設備が展示されています。

鉄道景観区

鉄道好きな人にもたまらない「台湾糖業博物館」。たっぷりと時間をとってお出かけくださいね!

蒸気機関車や

蒸気機関車や

五分車が

五分車が

たっくさん

たっくさん

線路をたどって歩いてみたくなります

線路をたどって歩いてみたくなります

上部はMRT、下の方は台鉄の線路が走っています 上部はMRT、下の方は台鉄の線路が走っています

上部はMRT、下の方は台鉄の線路が走っています

きらりと存在感を光らせる日本統治時代の建物群と並木道

 
「台湾糖業博物館」のエリア内で、一際目を引く建物群は、高くて雄々しい南洋杉の並木道でつながっていて、木々を鑑賞しながら優雅に観賞することが出来ます。
台湾南部は「熱帯」に属するので、植生も日本とは違い大王椰子や台湾樺・雨豆樹などかなりものめずらしい木々が立派にドッシリ。暑い南部もこの木の下に入ると若干涼しくなるので、自然の力は偉大。

製糖文物館
この建築物は、1901年に建てられた社員俱樂部。前方の広場は、日本武裝部隊の練習場となっていました。倶楽部と社宅事務所は、オランダと東南アジア植民地時代の建築の風格を醸し出しています。建築の「基礎上げ」がしてあり、風通しをよくしています。屋上にも特色があり、梁などの構造には台湾ヒノキが使用されました。夏は涼しく、冬は保温状況がよく、また腐りにくいということから、ヒノキを使用したんだそうですよ。 


宿舍エリア
1940年(昭和15年)設立、当時は工場長の宿舍でした。建築様式は、木造の瓦引きの平屋建て。建物の前後に庭があります。建物の保存状態はほぼ完ぺきで、当時の工場区内を代表する宿舍となっています。1955年に内部の状態に手を加えました。台糖公司は、2010年に文化遺産として保存し補修。宿舍の庭には現在、巨大な錫蘭橄欖樹と緬梔花(Mexican Frangipani,Pagoda Tree)が植えられています。 

社宅事務所

台灣製糖株式會社事務所として1901年建てられました。当時最新の建築様式を利用したため、日本統治時代の重要建築物の1つとなっています。
倶楽部と同様、建築当時としては最新の建築方法で、鉄筋コンクリートというのもさながら、建築の土台重視に風通しのための通気孔もあります。外国調のデザインも凝っていますね。建物の屋根に四角い穴がありますよね!?これは単なるデザインではありません。戦時下の当時、いつ攻められても防御できるように、屋根は砦の役割を果たし、あの穴からは鉄砲を撃てるようにしたんだそう。敵からは見られないけれど、こちらからは発砲できるというなんとも巧妙な建築なんです。  

フランス植民地下の美しいベトナムの建築物のようでした フランス植民地下の美しいベトナムの建築物のようでした

フランス植民地下の美しいベトナムの建築物のようでした

左手にお線香棚があります

左手にお線香棚があります


黒銅等身聖観音

1902年、鈴木藤三郎社長が建立したこの聖像、日本製糖社員を「抗日」から守るため、同時に台湾人の製糖会社への向上心のため、製糖工場と廠房の方向を向いています。社宅事務所を安定させるという意味もあったようです。
また、工場の操業が順調に進み、社員たちが安心して働けるようにということで、聖觀音佛像係は、本奈良藥師寺東院堂聖觀音佛像(1902年)と同じような作品となりました。
鈴木社長は、当時4つの觀世音菩薩佛像を建て、1つは高雄橋仔頭糖廠に、、もう一つは自身の故郷である鎌倉の別墅と森町の龍山住宅、東京深川の日本製糖廠本部に置いたのです。

ところで、この観音様、真っ黒なんです。なので写真にはあまりうまく写りませんが、優雅に立っていらっしゃいます。
台湾で神様といえば金色が当たり前なのに、なぜここの観音様は真っ黒なのか聞いたところ、「もちろん日本の薬師寺からわざわざ特注で持ってきたから日本っぽい色というのもありますが、戦時下では、泥棒が多く、もし金色にしてしまったら、夜中に必ず泥棒に盗まれてしまいます。そのため、夜になると暗闇で見えなくなるように、わざと観音様を黒色にしたのです」…なるほど。  

各所に標識があり、広くても分かりやすい!


百年樟脳園

百年以上の樟脳の木々が、南国の太陽を体中に浴びて今もどんどん成長中。
台湾では、結婚する人たちへのご祝儀に「百年好合」とお喜びの言葉を書くことがありますが、それにあやかってでしょうか?結婚写真を撮るカップルを見かけました。
百年いい関係が続けられますように。

五分車維修室
サトウキビは、1907年まで牛によって工場まで運ばれていました。橋頭糖廠が鉄道を完備してから、運送は五分車で運ばれるように。五分車のサトウキビ専用鉄道は、幅が76.2㎝で、国際基準の半分、そのため五分車と呼ばれるようになったのです。日本統治時代の台湾でサトウキビ運送専用に作られた五分車鉄道は、国民党政府に渡った時3000キロ余りにも及びました。特に雲嘉南一帶では、大衆の主要な運輸系統でもあったのです。「橋頭」火車站は、「五分車鐵路」と「縱貫線鐵路」が共存するとても珍しい駅なのです。 

橋頭芸術村へようこそ!


この地域を、「芸術村」として振興させようとしたのは、2001年のころ。多くの新人芸術家を招いて、この地域の古い建物とアートの融合をさせようと図ってきました。
この日も工場跡の内部で、アーティストたちが、展示品を制作中。

さて、ところどころに見られるのが、防空壕!
「十鼓橋頭文創園区」と「台湾糖業博物館」エリアには、合わせて10個ほどの防空壕があり、中に入ることができます。



さて、取材時は昼間の11~15時という台湾の陽射しが厳しい時間帯。
「どこかに食べるところはないか」と探したところ、「十鼓橋頭文創園区」にレストランがありました。とりあえずナビはそこに向かうことにしました。  
台湾糖業博物館エリアには、砂糖の直売店があり、砂糖関係を筆頭に、お菓子・アイスクリーム・ドライフルーツ・はたまた化粧品までもが売っています。今回ナビは行けませんでしたが、アイスクリームはとっても有名だそうです。

オススメ時期は11~3月


夏場の生き生きとした植生は、見る人にとっても、エネルギーを与えてくれるもの。でもやっぱり夏は暑い!
特に高雄で夏場の昼は、あっという間に体力を消耗してしまいます(涙)。
なので、オススメ時期は暑さもほどほどの11月~5月ごろ。南部の冬は、北部より温かく、雨も少ないのでお出かけにはもってこい。しかもMRTが開通して、今はとっても便利なんです!
ぜひ週末の日帰り旅行スポットの候補に入れてくださいね♪

 以上、台北ナビでした。

記事登録日:2013-01-07

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2009-04-20

スポット更新日:2012-12-22

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