台湾司法博物館(台南市)

國定古蹟臺南地方法院

閉店・移転、情報の修正などの報告

日本統治時代に建てられた「臺南地方法院」のリノベーションが終了し、新しい観光スポットとなっています!見る価値あり!!

こんにちは、台北ナビです。

現在府前路と永福路の交差点にある台湾司法博物館(國定古蹟臺南地方法院(台南地方裁判所))は、当時総督府の建築士であった森山松之助が担当し、1914年に完成しました。「法院」建築は日本時代の重大建築の一つでもあり、中でも「臺南地方法院」は台湾に現存する当時の大型法院建築で、華麗で繊細なバロック様式と非対称的な建築様式を取り入れたこの建物は、1991年には國定古蹟に指定されました。

木造とレンガ造りの西洋建築は、明治時代の建築スタイルです。2016年8月に修復が施され、「総統府」「国立台湾博物館」と並び日本時代の台湾三大古典建築と呼ばれています。

2017年現在、建物の真向かいは巨大な美術館が建設中ですが、かつてここは神社でした。今は官幣中社台南神社旧址となり、近隣には台南神社事務所(現在の忠義國小內) 、台南武徳殿(現在も小学校で使用中)がありました。ちょうど孔子廟の後方から歩いて行くこともできます。なお現在の台南地方裁判所は、2011年に台南市安平區健康路三段308號に移転されています。

メイン入口から

東のメイン入口。台湾の国花である梅が中央に

東のメイン入口。台湾の国花である梅が中央に

西の二審の入口

西の二審の入口

博物館の入口は建物に向かって東西に2つあり、広いドーム状の天井がある東側はメインの入口で、西側は二審の入口とされています。では、メインから入っていきます!

門廊は古典的な山牆形式で、8本の柱で構成されています。柱はイオニア式と複合式が調和したデザインで、四角い渦卷の間に伝統的な模様が取り入れられ、柱と柱の間の距離は短くとってあります。特徴としては、方柱でも圓柱でも柱には凸方の波線があり、上方には花や葉っぱ模様。中央の模様の一部は、日本の皇室の勳章飾りを表しています。
円柱と角柱

円柱と角柱

マンサード屋根とドーマー

マンサード屋根とドーマー

赤レンガに上下開閉の木枠の窓

赤レンガに上下開閉の木枠の窓

天井にも注目

天井にも注目

複雑な模様

複雑な模様

中央の勲章飾り

中央の勲章飾り

屋根

建物の象徴であるロビー上のドームは、当時の西洋式を取り入れた8面構成で、屋根のてっぺんにも小さなドームがあって、その上にまた避雷針がついています。8面のうち4面は円を描いたような窓で、その間に挟まった4つは丸い窓になっています。
西口から見るドーム方の屋根

西口から見るドーム方の屋根

中庭から見るともっと分かりやすいですね

中庭から見るともっと分かりやすいですね

ロビーヘ

受付所を通って中へ入ります

受付所を通って中へ入ります

日本語のパンフレットがあります

日本語のパンフレットがあります

透かし模様の高い天井をもつロビーには、3本ずつが4カ所に配置された合計で12本の柱があり、こちらの柱にも勲章飾りが見えます。天井から入る光は荘厳な空気を建物に与えているようです。ロビーの手前には、受付所(現在はパンフレット案内を配置)がありますが、入口とロビーをつなぐ場所でもあるので、威厳ある厳かさを醸し出しています。
修復に多大な年月がかかったというのがよくわかります。勲章飾りも見えますね 修復に多大な年月がかかったというのがよくわかります。勲章飾りも見えますね 修復に多大な年月がかかったというのがよくわかります。勲章飾りも見えますね
修復に多大な年月がかかったというのがよくわかります。勲章飾りも見えますね 修復に多大な年月がかかったというのがよくわかります。勲章飾りも見えますね 修復に多大な年月がかかったというのがよくわかります。勲章飾りも見えますね

修復に多大な年月がかかったというのがよくわかります。勲章飾りも見えますね

中央

中央

奉安所へ

奉安所へ

模型室へ

模型室へ

ドームの左側はかつての奉安所(天皇皇后のお写真を飾っていた場所)で、現在はメディアルームとなっていますが、むき出しの天井などをぜひ仰いでみてください。ドームの後方は模型室で、建物の形をここで最初に把握しましょう!
QR Codeをかざすと建築についての説明が聞けます(中国語)

QR Codeをかざすと建築についての説明が聞けます(中国語)

精巧な模型。電気もついています

精巧な模型。電気もついています

留置所

ドーム左奥の部屋はかつての留置所。ここには長い部屋が4つあり、拘留者たちは各部屋の椅子に座り、目の前の壁に落書きが記した跡が残されています。また、暑い台南なので中央にはホース台があり、ここから水を放出して拘留者たちがシャワーを浴びたそうです。
入ってみます

入ってみます

鉄格子

鉄格子

ホース設置の水管口、4か所あります

ホース設置の水管口、4か所あります

この中へ…

この中へ…

これでもだいぶ消したそうです

これでもだいぶ消したそうです

光の廊下

参観する場合は、ドーム左の光の廊下からどんどん中へ入っていくことになります。歴史ある建物の天井にもぜひご注目ください。採光を取り入れる光の窓が各所に設置されています。「公明正大」という裁判所の姿をこの光から感じることができるようです。
光の廊下

光の廊下

特別展示会場から見る建物手前の渡り廊下

特別展示会場から見る建物手前の渡り廊下

採光窓の紹介

採光窓の紹介

窓の周囲はむき出しになっているので、建物の骨格がよくわかります

窓の周囲はむき出しになっているので、建物の骨格がよくわかります

特別展示会場

廊下の左3室は展示会場で、右の一番手前は特別展示会場。この日は台南出身の日本で最初の台湾人検事となり、二二八事件で処刑された王育霖検察官の紹介がありました。弟の王育徳氏も明治大学で教鞭をとり、戒厳令当時は持ちこめなかった「台湾」という書の著者でもあります。
この部屋の展示は半年ごとに入れ替わります

この部屋の展示は半年ごとに入れ替わります

東京帝国大学を卒業した王育霖検察官の履歴

東京帝国大学を卒業した王育霖検察官の履歴

奥様と当時の鶯料理でお見合いをしたエピソード

奥様と当時の鶯料理でお見合いをしたエピソード

王育霖検察官の机や使用したものの展示 王育霖検察官の机や使用したものの展示 王育霖検察官の机や使用したものの展示

王育霖検察官の机や使用したものの展示

日本統治時代の優秀な台湾籍の法曹界の人々 日本統治時代の優秀な台湾籍の法曹界の人々 日本統治時代の優秀な台湾籍の法曹界の人々

日本統治時代の優秀な台湾籍の法曹界の人々

一般展示場

隣には司法設備や建築を紹介した部屋、体験教室が3つ並びます。
展示場7,8,9では日本語の記録もたくさん残っていました 展示場7,8,9では日本語の記録もたくさん残っていました 展示場7,8,9では日本語の記録もたくさん残っていました

展示場7,8,9では日本語の記録もたくさん残っていました

ここは体験部屋 ここは体験部屋

ここは体験部屋

建物の構造を紹介する部屋では、釘を使用しない木材の組み立てが体験できます。壁もすべてむき出しにして、中からよくわかるようにしてあります。 建物の構造を紹介する部屋では、釘を使用しない木材の組み立てが体験できます。壁もすべてむき出しにして、中からよくわかるようにしてあります。 建物の構造を紹介する部屋では、釘を使用しない木材の組み立てが体験できます。壁もすべてむき出しにして、中からよくわかるようにしてあります。

建物の構造を紹介する部屋では、釘を使用しない木材の組み立てが体験できます。壁もすべてむき出しにして、中からよくわかるようにしてあります。

廊下へ

湯徳章弁護士

湯徳章弁護士

ここでいったん廊下に出ます。左の中庭に通じるドアは閉まっているので、渡り廊下を見たり、司法設備の紹介部屋に入ってみましょう。ここには湯徳章弁護士の紹介があります。二二八事件で逮捕され拷問に遭い、市中引き回された最期に「台湾人万歳」と叫んだ弁護士です。1907年台南県玉井郷で日本人警官と台湾人の母の間に生まれ、1939年日本に渡り苦学の後、1943年弁護士となりました。終戦後台湾に戻り、台南市南区区長、台湾省参議会候補参議員、台南市人民自由保障委員会主任委員、二二八処理委員会台南市分会治安組長を務めました。台南市内には湯徳章記念公園があります。
二審の受付カウンター

二審の受付カウンター

椅子がずらっと並びます、映画のシーンみたい

椅子がずらっと並びます、映画のシーンみたい

巨大な資料保管室

ここの左に小さなドアがあり、ここはかつてのファイルの保管庫だったそうです。大きな棚や頑丈な金庫などが残っていて、完璧な密室の空気が漂っていました。窓のない広い密室、ここに閉じ込められたら怖いですね。
入口は狭いのに

入口は狭いのに

中は広い

中は広い

金庫もあります

金庫もあります

パブリックアート

ここを抜けると、近年造られたアート空間に出ます。中へ入るには靴を脱いでくださいね。そして、この部屋の横には上階につながる階段がありました。
アート空間の床は鏡です。靴を脱いで入りましょう

アート空間の床は鏡です。靴を脱いで入りましょう

下から見るアート

下から見るアート

階段を上ると

階段を上ると

上からも見えます。ここはマンサード屋根に入るところです

上からも見えます。ここはマンサード屋根に入るところです

マンサード屋根

ドーム以外の屋根も興味深いものがあります。マンサード屋根の中も見せてもらいました。木材で組み合わされた五角形フレームは、2段に分かれています。中央には作業員の補修作業で歩けるように通路(ここは中国語で「猫道」と呼ばれています)があり、高さもかなりあり、風通しのためのドーマーという丸い窓も内部から見ることができました。当時は冷房もないし、亜熱帯の台南で通気性をよくするため、各所に様々な工夫をしているんだなと感心しました。

★この部分は足場があまりよくないので、小さな子供さんや妊婦さん、ご年配の方にはあまりすすめしていないそうです。
~中国語はここが猫道~

~中国語はここが猫道~

中から望むドーマー

中から望むドーマー

建築と地方裁判所の沿革紹介ルーム

アート空間の奥にも2室あり、ここには日本時代の歴史紹介もありました。建築のすごさもそうですが、日本時代の歴代の院長や台湾の法界に尽くした人たちの名前なども残っています。

法廷に入ります!

日本は台湾を統治した1895年、「臺灣總督府法院職制」を制定し、1896年から西洋の法院制度を採り入れ、三級三審制が始まりました。總督府法院は1919年~1927年の間、地方法院と高等法院から成る二級三審を施行。「臺南地方法院」は初期の頃、2か所にあったのですが、1912年になって市内の南部馬兵營遺址に移り、現在の「台湾司法博物館」となった第二代臺南地方法院廳舍を建設しました。

法廷は第一から第六までありました。今回は日本時代の検察官や弁護士の衣装などが展示されている第二法廷と一番広い第三法廷、映画やドラマのロケにも使用されている第四法廷に入ってみました。
第一法廷 第一法廷

第一法廷

第二法廷は、法界人の衣装がずらり

第二法廷は、法界人の衣装がずらり

白と黒は弁護士

白と黒は弁護士

一番広い第三法廷 一番広い第三法廷 一番広い第三法廷

一番広い第三法廷

「臺南地方法院」が完成した翌年の1915年(大正4年)、歴史に残る事件が起こりました。余清芳による抗日の西來庵事件(またの名を「噍吧哖事件」)です。台南県で発生したこの事件の裁判は、ここ「臺南地方法院」第三法廷で行われました。
第四法廷は、ロケに使用されたりもします 第四法廷は、ロケに使用されたりもします

第四法廷は、ロケに使用されたりもします

法廷の各所にある建築形式にもご注目 法廷の各所にある建築形式にもご注目 法廷の各所にある建築形式にもご注目

法廷の各所にある建築形式にもご注目

長い法廷廊下を歩いていくと、日本統治時代の防空壕跡と当時の井戸の跡などもありました。中庭の中央にあるガジュマルは樹齢90年。日本時代からのもので、倒れそうになってるので何本かの木材で支えられています。
防空壕跡

防空壕跡

ガジュマル

ガジュマル

井戸跡

井戸跡

樹齢90年とあり

樹齢90年とあり

ショップや食事エリアも完備

広い建物なので、かつ建築や歴史に興味がある方は、たっぷり2時間くらいの参観時間をとることをおすすめします。総統府は現在使用されている部分が多いので、参観箇所は限られているし、国立台湾博物館はここほどの広さはありません。長年かけて建物全体の修復を成し遂げ、一般客に開放した台南市政府に感謝ですね。真向いに建設中の新しい美術館も完成したら、ここ一帯が大きな文化と歴史とアートの一大エリアとなることでしょう!建物はバリアフリーも完備し、日本語パンフレットもあります(現在日本語の館内案内サービスはありません)。ペットや食べ物の持ち込みはできません。また、古跡ですので、走ったりもしないでくださいね。
ショップあり

ショップあり

休憩スペースも

休憩スペースも

「臺南地方法院」の向かいにあった神社です

「臺南地方法院」の向かいにあった神社です

以上、台北ナビ(細木仁美)でした。

記事登録日:2017-12-14

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2017-12-14

スポット更新日:2017-12-14

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