台中市に住むブヌン族の人たちが東部のブヌン族の文化をたずねる企画があると聞いて思わず同行を希望したナビ。11月のある日、一気にバスで台東までやってきました。まずは延平郷にある桃源村の中学校内に設置されたブヌンの部落学校を視察。「部落学校」というのは原住民の子どもたちが自分たちの文化をちゃんと学ぶために数年前から政府によって推進されている課外授業のこと。先生方の苦労話に少数民族の文化を守る難しさを知りました。
次は同じく桃源村にある機織工房を見学。台湾原住民の手織りは泰雅(タイヤル)族が有名ですが、ブヌン族のもなかなか凝った織物です。
夕方、海端郷にあるブヌン族文物館で記念撮影。あいにく改装工事中だったのですが、12月12日から日本統治時代に日本に持ち去られた文物が台湾に返還されたのを記念して特別展示が行われるとのこと。興味のある方はぜひ海端郷まで足を伸ばしてみてくださいねー。
この日の宿泊は海端郷崁頂村。実はここ、世界の民族音楽でも知られているブヌンの「八部和音」が1943年に日本人の黒澤隆朝氏によって発見された場所なのだそうです。村の人の解説によると、ブヌンの男たちが猟に入った山で聞く、滝の音、セミの声、蜂の羽音などがもとになっているのだとか。本場のすばらしさは鳥肌ものでした。
二日目はナビでも紹介したことのある鸞山森林文化博物館へ。アウトドア車に分乗して山中に入ります。この道、わざと標識がないんですって。
なぜ森林が博物館なのか、アリマン(阿力曼)館長による説明。生まれ育った山が財団に買われて霊園になると聞き、ナショナル・トラスト運動を発起。村人を説得し、自分の家も抵当に入れて借金をして山の土地を買い戻していったのだとか。ユーモアたっぷりの口調に皆ひきこまれます。
やっぱりみごととしか言いようのないガジュマルの大木。映画「アバター」の住人が住んでいそうな森です。こんな大木が確認されているだけで1002本あるんだそうです。
ここが霊園と納骨堂が建てられるはずだった場所。眼下に鹿野台地、花連と台東につながる壮大な縦谷が一望できます。確かに風水から見れば最高の場所なのですが、これだけの自然はぜひこのまま守っていってほしいですね。ブヌン族の様々な文化に触れられた旅でした。