国立台湾博物館(南門園区)

國立台灣博物館(南門園區)

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樟脳工場跡地で近代台湾の産業発展に認識を深められる空間です

こんにちは、台北ナビです。

国立台湾博物館の南門園区と呼ばれる分館にやってきました。二二八和平公園にある本館やその向かい側にあるもう一つの分館である土銀展示館と比べてあまり知られていない分館ではありますが、近代台湾の産業発展を知られる場所です。のどかで自然にも触れられるので、家族連れにもピッタリ。早速中をご案内しましょう。

台湾経済を支えた樟脳とアヘン工場の跡地です

南門園区があるのは、文字通り「南門」のすぐ近く。総統府の南側、中正紀念堂の西側です。ちょうど専売局に隣接しているのですが、それはここが元々日本統治時代に建設された樟脳とアヘンの工場だったことを物語っています。

日本は日清戦争に勝利し、1895年から台湾を植民地統治するのですが、台湾の近代化には莫大な費用が必要となりました。台湾総督府は1897年にアヘンを専売とし、その収入で植民地経営の安定化を図ります。同時期には防虫剤やセルロイドの可塑剤として用いられた樟脳についても重要視されており、その流れで1899年にアヘンと樟脳を製造する専売局台北南門工場が建てられました。それがこの南門園区です。
台湾の経済を大きく支えた工場ではありますが、戦後にはアヘンの使用が完全に禁じられたほか、技術の発達で樟脳の需要が低まったことを受け、1960年代には操業が停止されました。敷地の一部は中央銀行や財政部などに引き払われたのですが、樟脳倉庫ともう一つの多目的倉庫が現在でも残されていて、2006年に国立台湾博物館の南門園区として生まれ変わりました。
南国ムードを演出するためにハワイから持ち込まれたヤシの木

南国ムードを演出するためにハワイから持ち込まれたヤシの木

防火用水の意味合いがあった噴水

防火用水の意味合いがあった噴水

工場があった時代のメインストリート。いまはひっそり

工場があった時代のメインストリート。いまはひっそり

究極のリサイクル建築物「小白宮」

南門園区で注目したいのが、日本統治時代に建設された建築物。小白宮(リトルホワイトハウス)と呼ばれる樟脳倉庫は特に貴重なもので、設計は台北賓館や朝鮮総督府と同じ野村一郎とされています。

日本統治時代の建築物としては非常に珍しい石造りの建物なのですが、これは都市計画の進展で撤去された台北城壁の資材を再利用したもの。莫大な資金を必要とした植民地経営を行う中で、少しでも資材調達のコストを抑えようとした当時の工夫が見られます。因みに、使用された石材は北投、内湖、大直など、台北北部で採取されたものだそう。現在は多目的ホールとして利用されています。

窓の上の石材の積み方にセンスを感じます

窓の上の石材の積み方にセンスを感じます

質感のある外壁

質感のある外壁

ここから大量の樟脳が搬出されていました

ここから大量の樟脳が搬出されていました

赤レンガの多目的倉庫「紅楼」

1914年に建設された多目的倉庫は「紅楼」と呼ばれています。設計したのは台湾総督府の技師土生瑾作。鉄筋コンクリートで外壁に赤レンガを使用し、さらに白の帯を巻いてアクセントにしており、東京駅舎を設計した辰野金吾の流れを汲む辰野式建築の特徴が見られます。

ちなみに、紅楼も小白宮も、現在入口となっている場所は戦後に設計変更があり取り付けられたもの。本来は全く逆の方向に入口がありました。そのほかにも窓が開けられたり、それが埋められたりと、日本統治時代の姿が完全に残されているわけではないですが、時代や用途が変わりながらも、同じ建物が使われ続けていることを考えると、それはそれで素晴らしいことだなと思います。

「そもそも樟脳ってなに?」を学べる場所

さて、冒頭から何度も出てきている「樟脳」なのですが、実際にはどんなものに作られ、どのような製品に利用されているのかご存知でしょうか。実はナビもこの方面には詳しくなく……、でもご安心を。紅楼の1階ではそんな樟脳に対する認識を深められる展示スペースがあります。
一言にクスノキといってもたくさんの品種があります。そして樟脳が精製できる品種も限られているんだとか 一言にクスノキといってもたくさんの品種があります。そして樟脳が精製できる品種も限られているんだとか 一言にクスノキといってもたくさんの品種があります。そして樟脳が精製できる品種も限られているんだとか

一言にクスノキといってもたくさんの品種があります。そして樟脳が精製できる品種も限られているんだとか

実際に見学して分かったのですが、おもちゃや医薬品、そして軍事品など、樟脳が使われているものは驚くほど多岐に渡っていました。しかも、台湾の樟脳産業が完全に衰退してしまったので、てっきり過去のものだと思っていたのですが、身近な医薬品にはたくさん使われていたんですね。
子供のおもちゃには欠かせない存在でした 子供のおもちゃには欠かせない存在でした 子供のおもちゃには欠かせない存在でした

子供のおもちゃには欠かせない存在でした

台湾だけでなく、日本でお馴染みの医薬品にも樟脳が 台湾だけでなく、日本でお馴染みの医薬品にも樟脳が

台湾だけでなく、日本でお馴染みの医薬品にも樟脳が

物騒ですが、良質な火薬を精製するのにも樟脳が使われていたそう 物騒ですが、良質な火薬を精製するのにも樟脳が使われていたそう 物騒ですが、良質な火薬を精製するのにも樟脳が使われていたそう

物騒ですが、良質な火薬を精製するのにも樟脳が使われていたそう

元々は質素な施設で樟脳を精製していましたが、機械化が進んで大規模に 元々は質素な施設で樟脳を精製していましたが、機械化が進んで大規模に

元々は質素な施設で樟脳を精製していましたが、機械化が進んで大規模に

台湾のアヘンに関する展示もあります 台湾のアヘンに関する展示もあります 台湾のアヘンに関する展示もあります

台湾のアヘンに関する展示もあります

親子で学んで遊べる空間もあります

2階は特別展示室になっています。ナビが訪れた時には、可愛くデフォルメされた伝統的な市場とそこで販売される農畜水産品のふるさと(畑や果樹園、海など)が再現され、栽培→収穫→運送→販売という物流の一連の流れが学べる展示になっていました。
果物屋さん

果物屋さん

八百屋さん

八百屋さん

お肉屋さん

お肉屋さん

お肉の部位の名称を学べるパネルクイズ

お肉の部位の名称を学べるパネルクイズ

魚介類がどういった加工食品になるか学べます

魚介類がどういった加工食品になるか学べます


室内なのでもちろん天候に左右されることがなく、子供を思いっきり遊ばせられるのが嬉しいです。国立台湾博物館の本館、土銀展示館と合わせて見学すれば半日以上の時間を過ごせます。また、台北市植物園や国立台湾工芸研究発展中心 台北当代工芸設計分館、郵政博物館、中正紀念堂にも隣接しているので、近いエリアで効率よく遊べます。ぜひ上手に活用してくださいね。

以上台北ナビがお伝えしました。

記事登録日:2019-06-27

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スポット登録日:2019-06-27

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