奇美集落Kiwit(花蓮県)

Kiwit 奇美部落

閉店・移転、情報の修正などの報告

古来のアミ族の歴史が最も残る奇美、秀姑巒渓のラフティングで立ち寄る場所でもあります

こんにちは、台北ナビです。
台湾でラフティングと言えば、一番有名なスポットは花蓮県の秀姑巒渓。ここは全長約104キロに及ぶ台湾東部最大の河川で、秀姑巒溪の下流である瑞穗から大港口段の秀姑巒溪峽谷の約24キロの区間は、1981年からラフティングスポットとなっています。ナビも10年ほど前、ここでラフティング体験をしたのですが、3~4時間の最高にスリリングな時間を楽しむことができました。
中間点にあるのが、アミ族の「奇美集落」。その昔、奇美のアミ族は船で移動し、外界からの物資も数日かけて、徒歩と船で村まで運んでいました。陸だけに頼るともっと何日も要しました。また、県の記録によると、奇美集落はアミ族文化の発祥の地とされています。ここは交通が不便な土地であることが幸いして近代化が遅れたため、アミ族が古来から使用してきた生活様式や道具が今も多く残っています。今なお残る厳格な階層組織にのっとって行われる捕魚祭や豊年祭の勇士舞などの祭りからも、彼らの文化と伝統風習を深く知ることができます。奇美に電気が通ったのは1964年、電話が使えるようになったのは1992年のことで、当時住民たちはまだ伝統的な茅草の家屋に住んでいました。

神秘の集落、奇美

呉明季老師、背景は秀姑巒溪

呉明季老師、背景は秀姑巒溪

今日、奇美について紹介、案内してくれたのは、呉明季老師。彼女は台湾人で南部の嘉義市の出身、ご主人はここの出身です。初めて奇美へ来たのは1995年のこと。台湾大学の学生だった頃、公視の記者たちと何日もかけて、この集落までやってきました。やがて70年前の披露宴の儀式にのっとって、奇美の男性に嫁ぎました。今では奇美の伝統文化を外部に向かって発信する、奇美について知る、奇美について語れる第一人者となっています。呉老師に、何で奇美の人たちはこんな山奥を選んだんでしょう?と聞いたら、笑いながら、まずは自己防衛、でしょ、と答えてくれました。周辺にはブヌン族やタロコ族というかつては首狩りの部族たちもいます。ここは断崖絶壁の上なので、敵からは攻められにくい。自己防衛が幸いして、伝統文化も守られたと言えます。
現在奇美には550戸約800人が住み、アミ族の集落としては大きい方です。
集落に小学校はありますが、中学はありません。現在35歳以上の奇美の人たちの時代は道も完備されていなかったので、3~4時間歩いて瑞穂國中に通い、途中、木炭やピーナッツを売っておこずかいにしていたそうです。それ以降の人たちは、学校のバスで通学しています。
奇美の名前である「Kiwit」という中文名は、海金沙(カニグサ)という植物に由来するといいます。アミの人達は好んで「奇美草」と呼んでいました。日本統治時代、日本人は「Kiwit」の地名を「奇密」と呼び、その後瑞穂一帯に住む台湾人や客家人もそのように呼び始め、国民党時代に代わってから「奇密」が「奇美」となったそうです。奇美の子供たちは、幼い頃からこの奇美草で物を縛ったり、牛に餌として与えたりしていました。雑草だと思っていた「Kiwit」草が、「奇美」と呼ばれるようになってから、「奇美集落」自体も多くの人の注意を引くようになったのです。
これが、奇美草!集落の中で見られます これが、奇美草!集落の中で見られます

これが、奇美草!集落の中で見られます

アミ族の発祥の地は、拉仔山(Lakasan猫公山)と言われ、奇美はここから始まりました。NakaoとSeraという兄妹が大洪水でこの山の頂上に残され、やがて4人の子を産みます、4人は舞鶴、都蘭、水璉、そして奇美へと各自向かいました。現在アミ族の集落としては、1,2を誇るほどの大所帯である太巴塱集落の祖先は奇美からであり、毎年の豊年祭の際に、太巴塱の代表は必ず奇美へ報告に向かうとのことです。

豊年祭

毎年7~8月に行われる「豊年祭」は、アミ族にとって最も重要な祭典ですが、ほかの集落が2~3日間なのに、奇美では4日間続けて行われます。母系社会のアミ族ですが、豊年祭に限って言えば、すべてを男性が取り仕切り、奇美でも豊年祭の1~2か月前から準備は始まっています。4日間の間、今日は豚肉を食べるなど、日々様々な儀式が執り行われ、その儀式の多様さも他の集落以上。奇美では13歳から階層に入り、1階級から4階級までの青年階級は、集落内での責任も一番重く、やらなければいけないことがたくさんあります。階層には名前が付き、2016年現在の奇美では3年が1階層で、18階層まであります。
豊年祭には、祖霊の加護によりに部族の者がこの一年衣食住に欠かなかったことを感謝し、また新たな年も何事もなく過ごせるようにお守りくださいという意味が込められています。どの集落でも豊年祭はお見合いもある、と言われていますが、ここ奇美では、4日目に霊を送った後、女は気に入った男のバッグに檳榔をいれるそうです。そして、男は…。男もOKなら檳榔はそのままバッグに入れて置き、もし気に入らなければ、檳榔をバッグから捨てるのだとか。
奇美では長老が高い地位にあって、絶対的な権威をもっています。長老たちの会議には否決権があり、年齢階級の法則を一貫しています。豊年祭では、老鷹の羽毛をつけた「Ciopihay(久比嗨)」(18~20歲)階層は、青年階級の中でも最も重要で、一番厳しく訓練される階層です。歌や踊りの際に「Ciopihay」が飛び跳ねる舞いは力強さと躍動美にあふれ、この階層を耐え抜いた強い体と魂こそが、奇美の精神を象徴するのです。
呉老師曰く、礼儀の訓練は年齢階級教育の中で最重要課題のひとつなので、今の子供たちは都会に出ていくけど、都会で毎日何を行っているかもこの階層組織でチェックされているのだとか。もし悪い行いがあれば外にいても注意されたり、豊年祭で戻った時に会議で処罰されたりもするのだそう。

ラフティング!!

秀姑巒溪峽谷

秀姑巒溪峽谷

標高3200mを誇る中央山脈の秀姑巒山から流れてくる、紆余曲折の秀姑巒溪の渓流は、花東縱谷の北流を流れ、瑞穗鄉で東に折れ、海岸山脈を横切り、最後には大港口から太平洋へ放出していきます。圧巻の景色は、瑞穗から大港口段の秀姑巒溪峽谷にはさまれた約24キロの区間の約20カ所の激流地点で、それはラフティングすることで体感できます。
集落内でもボートを整備中 集落内でもボートを整備中

集落内でもボートを整備中

Tatadok(達達鹿)とはアミ語で流れる様子のことで、ラフティングを指します。各ボートにはコーチがつき、天候や風向き、渓流の動態に注意をはらいながら、お客さんを終点まで楽しませてくれます。ボートは渓流に乗って、滑るように下っていき、終点地が奇美集落。
資料提供:奇美部落文化發展協會

資料提供:奇美部落文化發展協會

呉老師が、ラフティングの終点地まで案内してくれました

呉老師が、ラフティングの終点地まで案内してくれました

坂道をずっと降りていくと

坂道をずっと降りていくと

ここはシャワーや着替えの建物

ここはシャワーや着替えの建物

奇美男子の帽子は、特色があります

奇美男子の帽子は、特色があります

ナビが訪れたのは夏だったので、ラフティテングは最盛期!奇美への往復途中、終点地からまた出発点へボートを運ぶトラックと何回もすれ違いました!
以下のようなコースがあります。
文化体験+ラフティング一日ツアー(8:30-15:30)/2000元/人、文化体験+ラフティング一泊一日ツアー/3000元/人(6人から)、集落探訪ツアー/大人2500元、10歳以下1700元
終点地はすぐ下のところ

終点地はすぐ下のところ

皆ここへ上がって、お弁当などを食べるのです 皆ここへ上がって、お弁当などを食べるのです

皆ここへ上がって、お弁当などを食べるのです

秀姑巒溪に沿って生活をしている奇美は、Tatadok以外に、有機農業を行っていて、米、ダイズ、アズキを植え、量は多くありませんが、品質優良。自作農物から野菜水餃子を作り、インターネットでも販売しています。詳しくは上記サイトからどうぞ。

体験コースや原住民料理もあります

他にも奇美を楽しむ半日コースや1日コース、一泊2日のコースなどもあります。(半日コースの一例:奇美文物館紹介(祭典、文化紹介)→伝統家屋体験(內部解說)→原住民料理→秀姑巒溪の紹介→Misukap(エビ獲りをしてカゴに入れる)→麥飯石を知り、拾う→Cifar(伝統食器)作り→石頭火鍋作り→終了)
時間:9:00に出発したら~14:00奇美に到着。10:00なら15:00
費用:850元/人,675元/10歲以下の子供。
渓谷へ降りたり

渓谷へ降りたり

教室もあります

教室もあります

伝統家屋の案内 伝統家屋の案内 伝統家屋の案内

伝統家屋の案内

木と竹を組み立て茅葺にしつらえられたアミ族伝統の家屋があり、奇美原住民文物館があり、館内にはアミ族が代々伝えてきた生活道具が展示されています。 木と竹を組み立て茅葺にしつらえられたアミ族伝統の家屋があり、奇美原住民文物館があり、館内にはアミ族が代々伝えてきた生活道具が展示されています。 木と竹を組み立て茅葺にしつらえられたアミ族伝統の家屋があり、奇美原住民文物館があり、館内にはアミ族が代々伝えてきた生活道具が展示されています。

木と竹を組み立て茅葺にしつらえられたアミ族伝統の家屋があり、奇美原住民文物館があり、館内にはアミ族が代々伝えてきた生活道具が展示されています。

原住民料理

檳榔の葉で鍋をつくり、真っ赤に焼けた麥飯石と川でとった魚やエビを投げ入れると、野生味たっぷりの「石頭火鍋」の出来上がりです。伝統的な糯米ご飯と塩漬けの肉も味わえます。奇美では、原住民料理も提供しています。魚を獲りに行ったり、野菜を採りに行ったりの準備があるので2日前にはご予約ください。250元/人、300/人、350/人、400/人、450/人。
【ご予約電話】:03-8991220、0963593571、0912916438潘小姐。
台湾は小さな国ですが、密度の高い文化が感じられる国です。通常の観光や食事、買い物はもういいやと思う方、或いは原住民文化を体感したい方は、ぜひここ「奇美集落」へ来てみませんか?
以上、台北ナビでした。

記事登録日:2016-09-13

ページTOPへ▲

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2016-09-13

チェックイン日
宿泊数
部屋数 部屋1 大人 子供

関連記事

地利村Tamazuan (南投県)

地利村Tamazuan (南投県)

南投県のブヌン族が暮らす集落に大潜入。素朴な暮らしとクリスマスのイベントを楽しんできました!

南竹湖集落Pakara`ac(台東県)

南竹湖集落Pakara`ac(台東県)

海岸沿いのアミ族の集落は明るくて、アートな雰囲気に包まれていました

新太平洋1号店-奚卜蘭遊客中心(花蓮県)

新太平洋1号店-奚卜蘭遊客中心(花蓮県)

台湾で一番有名なラフティングスポット、秀姑巒溪の終点にあたる場所にある観光局のインフォメーションセンターです

太巴塱集落Tafalong(花蓮県)

太巴塱集落Tafalong(花蓮県)

アミ族の文化や歴史、風習や食べ物など、ここに来たらすべてがわかります

水璉集落Ciwidian(花蓮県)

水璉集落Ciwidian(花蓮県)

花蓮の美しいアミ族の海岸は、映画「沈黙」のロケ地です!

秀姑巒渓(ラフティング体験)(花蓮県)

秀姑巒渓(ラフティング体験)(花蓮県)

ゴムボートに乗り込んで川下りに挑戦。急流はスリリング、水かけっこでも騒ぎまくり!