鄭惠中布衣文創工作室

Huichung Textiles And Clothing Workroom

閉店・移転、情報の修正などの報告

おかっぱ先生・鄭惠中さんの自由自在な服!肌に環境に優しくって着れば着るほど病みつきに


こんにちは、台北ナビです。
「FRaU」「旅」「暮らしの手帖」等の雑誌や「好好台湾」で紹介され、日本でも着実にファンを増やしている鄭惠中老師(先生)の服。本日は、鄭先生のアトリエ兼ショップである「惠中布衣文創工作室」を訪ねてお話を伺ってきました。

自分流を持つ人中心に人気


「暮らしの手帖」「日々」といったいわゆる旅行ガイドブックではない、そして、どこか個性的でもある雑誌で紹介されている「惠中布衣文創工作室」。アトリエは台北市のおとなり新北市中和区にあります。台北に慣れない旅行者にとって、そこは近くて遠い場所に違いありません。それでも、鄭先生のお洋服の存在を知った誰もが「台湾に行ったら絶対ココへ!」とはるばるやって来るとか。

本日ナビは最寄り駅であるMRT「板橋」駅(台鉄、高鉄駅も同じ)からタクシーで向かいました。タクシーに乗ってしまえば10分ほど、台北中心部からは30分強で到着です。タクシーを降りると、昔ながらの住宅地といった趣き。これといって目立つ看板もなく頼りは門柱の住所標識のみですが、これこそが鄭先生のアトリエ「惠中布衣文創工作室」なのでした。

木の門を開け中へ入ると・・・ありました、ありました!

「鄭惠中布衣工作室」の文字。そして、小さいながらもステキなお庭があって、雰囲気たっぷり!ここがただの空間ではないことは一目瞭然です。
外の木門から中へ入り、入り口でオフィスに向かって「ニーハオ!」と声を掛けてみてください 外の木門から中へ入り、入り口でオフィスに向かって「ニーハオ!」と声を掛けてみてください

外の木門から中へ入り、入り口でオフィスに向かって「ニーハオ!」と声を掛けてみてください

内玄関を入って右手がオフィス、階段をあがるとショップ

内玄関を入って右手がオフィス、階段をあがるとショップ


「惠中布衣文創工作室」は4階建て。

1階はオフィスになっていて、なんと畳が・・・。棚にズラリと並べられた資料。全てがテーマごとにきれいにファイリングされていて、その前に置かれたちゃぶ台がスタッフの作業台です。まさに腰を下ろしてする作業は、どっしりと気持ちまで落ち着きそう。

実のところ、オフィスとも、会社ともいいがたい・・・、鄭先生のアトリエは「職人の作業場」といった言葉がしっくりくる気がしました。

心と魂のこもった服作り

日本では「おかっぱ先生」の愛称で親しまれている鄭惠中先生。デザイナー先生というより手仕事職人の雰囲気を感じました

日本では「おかっぱ先生」の愛称で親しまれている鄭惠中先生。デザイナー先生というより手仕事職人の雰囲気を感じました


ショップは2~4階です。
ナビたちが2階へ行くと、優しい笑顔の鄭先生が出迎えてくださいました。

ナビはまず、入り口の看板に描かれていた小鳥マークについて尋ねてみました。鄭先生のサインなのでしょうか?

「いえいえ、あれは韓国の通度寺の和尚さん(殊眼禅師)のものです」

殊眼禅師は台韓関係の回復に深く関わった方で、鄭先生とも旧知の仲だとか。 鄭先生は韓国へ殊眼禅師を訪ねて行き、寺での生活を通して「禅」について考えるようになっていったといいます。



こうしてお話をしている最中もBGMに流れるのはお経。


「物」「心」「霊」の3つの字を書いて、「物には心があり魂があります」とおっしゃる鄭先生。「殊眼禅師の描く書画は芸術品として、そして、私の作る服は手工品としてどちらも魂がこもっているのです」と、身心一如で知られる仏教の教え「身」「心」「魂」を引き合いに出し説明してくださいます。「古代人は物物交換で物を手に入れていました。それが今は貨幣であらゆる物を手に入れるのです。現代の物には魂がなくなってしまいました」
看板の字は殊眼禅師によるもの。落書きのように見えた(失礼!)ちゃめっけのある小鳥サインが目印だそう

看板の字は殊眼禅師によるもの。落書きのように見えた(失礼!)ちゃめっけのある小鳥サインが目印だそう

この方こそ殊眼禅師。1996年に台湾で書画展を開きその収益金は台湾の老人ホームや孤児院に寄付されたとか

この方こそ殊眼禅師。1996年に台湾で書画展を開きその収益金は台湾の老人ホームや孤児院に寄付されたとか

「僕も服といろいろな物を交換してきたよ。服をあげる変わりに歯の治療をしてもらうとか(笑)」

「僕も服といろいろな物を交換してきたよ。服をあげる変わりに歯の治療をしてもらうとか(笑)」

時代は本当にグローバル化なのか?考える前に即実行!



元々、理工系で工業テキスタイルが専攻だったという鄭先生。学生時代に台湾原住民の織物に興味を持ち各村々を訪ね、台湾の土地や文化、人文に開眼していったといいます。

鄭先生が学生であった1970年代初頭は、日本と同様台湾もまた、輸出に伴う高度成長をとげた時代であり、「グローバル化(単一化とそれに伴う大量生産・大量消費)」が盛んに叫ばれていた時代です。しかし、その方向性に疑問を持った鄭先生は、 卒業後10年あまり勤めた大手の紡績工場を退職、独立し自らのアトリエを立ち上げます。「台湾人はまず行動を起こすんだ。結婚しかり、(サービス貿易協定の)学生運動しかり。学生達は参加した後で『はて、サービス貿易協定って何だ?』って勉強し始めるんだよ(笑)。僕もとにかく始めてみた」と笑う鄭先生。

30年経ってやっと時代が追い付いてきた!?

「例えば、日本では東レとか三宅一生とか化学繊維を使った布が開発された。ただ僕は、それは(体や環境に対して)安全ではないと思ったんだ」そういう鄭先生の服作りは30年前から一貫して変わりません。古代中華人が着ていたシンプルでフラットなデザイン、そして環境と身体に優しい、着ていて心地よい服を作り続けています。
「僕は一般的なデザイナーの服作りの方法が違う。まず布からデザインするんだ」鄭先生の服は、綿と麻の天然素材から布を作り、染め上げ、縫製し形にしていきます。「染料は何度も何度も使い回す。色がなくなるまで。だから、その時によって染まる色がちがうんだ」。色とりどりのカラーバリエーション。同じように見えてもよ~く見ればどこか微妙に異なる色合い。「市場ニーズとか生産管理によって染めているわけじゃないから、その時に染まった色の服を置いている。それを気に入った人が買えばいい。」材料だけでなく、生産過程までもがエコ。いまでこそ「エコロジー」が叫ばれる世の中ですが、当初はまだ少数派であったエコを30年前から鄭先生は実践していたのです。やっと時代が鄭先生に追い付いた感じでしょうか?

「あれから30年余りの月日がたち、今わかるのは、あの頃選んだ道はやっぱり正しかったということ」
綿麻は台湾ではあまり採れないので原料は輸入が主。だいたい70%-30%の割合で混合だとか

綿麻は台湾ではあまり採れないので原料は輸入が主。だいたい70%-30%の割合で混合だとか

インディゴなど一部染料は完全に天然のものではないけれど、できるだけ自然に近い肌に優しいものを

インディゴなど一部染料は完全に天然のものではないけれど、できるだけ自然に近い肌に優しいものを

こうやってテキスタイルから手がけるデザイナーはそうそういません

こうやってテキスタイルから手がけるデザイナーはそうそういません

染色工場や縫製工場もアトリエのご近所。運送手段が徒歩というのも何よりのエコ!

染色工場や縫製工場もアトリエのご近所。運送手段が徒歩というのも何よりのエコ!

ブランドネームや洗濯表示のタグも余分なものは敢えてつけていません

ブランドネームや洗濯表示のタグも余分なものは敢えてつけていません

天然素材の悩みは秘技で解決


天然素材は肌にも地球にも優しくていいことづくめ!

でも気になるのが、色落ちや縮みといった天然だからこその悩み。「大丈夫!あまり縮まないし、色落ちだって気にならないはず」とは鄭先生。なぜなら、縮み具合を計算した上で服にしているそうです。色落ち・色褪せに関しても最も定着率のよい時間と温度で染色しているそう。これは理工の技、テキスタイルに精通した鄭先生だからこそ成せる技といえそうです。とはいえ、「それでもやっぱり天然繊維。計算あっても色落ちしたり縮んだりは仕方がないのです。それが天然繊維」とのこと。逆をいえば、新品のときと何年も着続けたあとでは、その服の持つ表情が変化するってこと。着れば着るほど身体になじむという鄭先生の服。時間経過による変化すら楽しみたいですね。
洗濯はネットに入れて漂白剤や漂白系洗剤は使わないで!つけ置きも厳禁。シワをのばしてから陰干しをしましょう

洗濯はネットに入れて漂白剤や漂白系洗剤は使わないで!つけ置きも厳禁。シワをのばしてから陰干しをしましょう

防皺加工など布表面の後処理はナシ。だから肌に優しいけど気になる人は気になっちゃうかものシワ。アイロンする場合は当て布を!(スタッフ談「干す時にパンパンすれば大丈夫!シワの雰囲気もステキよ~とのこと」

防皺加工など布表面の後処理はナシ。だから肌に優しいけど気になる人は気になっちゃうかものシワ。アイロンする場合は当て布を!(スタッフ談「干す時にパンパンすれば大丈夫!シワの雰囲気もステキよ~とのこと」

ナビが気になったのは糸処理。日本のアパレルメーカーほど厳しい検品チェックはないようで…自分でチョキチョキすれば問題なしですが…

ナビが気になったのは糸処理。日本のアパレルメーカーほど厳しい検品チェックはないようで…自分でチョキチョキすれば問題なしですが…

裾上げのよじれもちょっと目立つかな?これは、1着1着異なる表情、服の持ち味ということでポジティブにとらえました!

裾上げのよじれもちょっと目立つかな?これは、1着1着異なる表情、服の持ち味ということでポジティブにとらえました!

もうひとつの変化を楽しむ服

スカートを頭に巻いて・・・

スカートを頭に巻いて・・・

生地そのものの変化だけでなく、鄭先生の服は着方によっていろいろと変化できちゃう服でもあるんです。1枚のマキシサーキュラースカートは普通に穿けばロングスカート、胸まで上げればワンピース。こんなのは序の口で、布のように腰にまけばドレープの入ったタイトスカートに、肩から掛ければちょっとした羽織もの風。胸まで上げて肩で結べばトップスに、そして頭からかぶればヒジャブのように!着る人のアイディアで、また旅先に持って行けばこれ1枚でTPOに合わせた着こなしが幾通りにもできてしまう優れもの。もちろん、これはスカートに限ってのことだけでなく、鄭先生の服はゆったりとしたシンプルな作りなので、パンツでもTブラウスでもストールでもさまざまなアレンジができちゃいます。とってもユニーク!
1枚の茶色のスカートが・・・ 1枚の茶色のスカートが・・・ 1枚の茶色のスカートが・・・

1枚の茶色のスカートが・・・

自由自在に七変化!布マジック~☆ 自由自在に七変化!布マジック~☆ 自由自在に七変化!布マジック~☆

自由自在に七変化!布マジック~☆

モットーは「信念・自在・簡単」という鄭先生の服はまさに単一化に反し、個性的にデザイン化されています。シンプルなのに…不思議!

モットーは「信念・自在・簡単」という鄭先生の服はまさに単一化に反し、個性的にデザイン化されています。シンプルなのに…不思議!

チャチャチャと一瞬でナビをコーディネイトする鄭先生。アイディアは無限、そして鄭先生の服も無限の可能性を持っています

チャチャチャと一瞬でナビをコーディネイトする鄭先生。アイディアは無限、そして鄭先生の服も無限の可能性を持っています

買い物はご縁!!!

ショップは倉庫でもあり、出来上がった全ての服が置かれているそうです。季節に関係なく、2~3階は薄手の春夏物、4階は厚めの秋冬物が置かれ、男性物も女性物もあるそうです。それぞれアイテムごとに棚がわかれていますが、とにかくたくさんあるので、欲しいものがあったらスタッフに(英語・筆談)尋ねてみてください。スタッフは嫌な顔ひとつせず、次から次へと試着させてくれますよ。トップスはSMLとサイズ展開がありますが、なにぶん生産は染料によりますので、気に入ったサイズとカラーがあれば即買い!とにかく着て、自分で着心地がよいと思ったものを選ぶのがポイントのようです。
ナビ取材班も取材後お買い物。急ぎ足だったのでゲットしたのはスカートとストールのみ。次回はできたら、1~2時間くらいゆっくり時間をかけてお気に入りを探しに来たいな~と思いました。みなさんもご来店の際には時間に余裕を持って来ることをオススメいたします。
以上、台北ナビでした。

※価格はストール400元、半そでTブラウス1000元、パンツ1500元、スカート2000元、ワンピース4000元ほど。まとめて買えば割引もあるそうです!
以上、台北ナビでした。
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記事登録日:2014-04-14

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2014-04-14

チェックイン日
宿泊数
部屋数 部屋1 大人 子供

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